Yoshiko Ikuma - クラシックはおいしい -Blog

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ペール・ギュント
 グリーグの劇付随音楽「ペール・ギュント」は、全曲演奏される機会はそんなに多くない。
 今日は、東京オペラシティコンサートホールで、ミハイル・プレトニョフ指揮東京フィルハーモニー交響楽団がこの作品の全曲演奏を行った。
 演奏が進むにつれ、私は2007年にノルウェーを訪れ、「グリーグを愛す」という単行本を書いたことを思い出した。
「ペール・ギュント」は、ノルウェーが世界に誇る文豪イプセンが1867年に発表した同名戯曲の付随音楽として作曲されたもので、1875年に完成を見ている。
 ストーリーは、ノルウェーの古い伝説に基づいており、空想家で喧嘩っ早く、自慢話が得意なペール・ギュントの冒険を描いた物語である。
 この作品は、随所に耳になじみのある美しい音楽がちりばめられていて、「朝」「オーゼの死」「アニトラの踊り」「山の魔王の宮殿にて」などの曲が有名だ。
 なかでも忘れがたほどの強烈な印象を残すのが、「ソルヴェイグの歌」。今日はノルウェー出身のソプラノ、ベリト・ゾルセットがソールヴェイ(ソルヴェイグ)をうたい、透明感あふれる凛とした歌声が舞台を引き締めた。
 彼女の声は、ホールの隅々まで浸透する強さと、自然な高音が美しく、ソルヴェイグの心情を切々とうたい上げた。
 特筆すべきは石丸幹二の語りで、ペール・ギュント、母オーゼ、ソルヴェイグなどの声を使い分け、ひとり芝居を巧みに繰り広げた。
 指揮のプレトニョフは、プログラムのなかでこう綴っている。

――「ペール・ギュント」でイプセンが描いているのはまさに人生そのものです。生きることの意味を問いかけている。若いころ、母の死、その後のこと。だれもがプロジェクターを見るように自分の人生を振り返ることでしょう。そこにグリーグはただ美しいだけではない、非常に深い音楽をつけた。

 音楽を聴くうちに、私の脳裏にはノルウェーのフィヨルドの風景が浮かんできた。音楽は、想像力を喚起する。今日は、19時開演、22時近くの終演だったが、この3時間というもの、ノルウェーの偉大なイプセンとグリーグの芸術の衣を全身にまとうことができた。
 終演後、プレトニョフの満足そうな、ちょっとはにかんだような笑顔が印象に残った。
 今日の写真は、グリーグの本のために撮影したノルウェーの風景。グリーグの像、ベルゲン、ロストフース。






 
  
  
| クラシックを愛す | 23:57 | - | -
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