Yoshiko Ikuma - クラシックはおいしい -Blog

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ライジングスター
 いま、新譜評を書きながら、さまざまな録音に耳を傾けている。
 最近はこだわりの選曲によるCDが多く、いずれも聴きごたえ十分。しかも、アーティストたちがすこぶる個性的だ。
 まず、2015年のショパン国際ピアノ・コンクール第2位入賞のカナダ出身のシャルル=リシャール・アムランの「ショパン:ピアノ・ソナタ第3番/幻想ポロネーズ」(東京エムプラス)から。コンクールの5カ月前の録音で、ソナタ賞(ツィメルマン賞)を受賞したピアノ・ソナタ第3番がまさに“大人の演奏”。成熟したまろやかでゆったりした音色が持ち味で、ガンガン強音ですっ飛ばす演奏とは一線を画す。
 インタビューしたときにも感じたが、やわらかく自然体で素のままの音楽は本人の人間性が表れたもの。5月23日には東京オペラシティコンサートホールでデビュー・リサイタルが行われる。このプログラムの最後を飾るのも、ソナタ第3番である。
「スカルラッティ・ショパン・リスト・ラヴェル」(ソニー)と題するCDでデビューしたのは、2015年のチャイコフスキー国際コンクール第4位入賞のフランスのピアニスト、リュカ・ドゥバルグ。オープニングを飾るスカルラッティのソナタ イ長調K208は、一度耳にすると忘れられない音の記憶となって、ずっと脳裏に居座る。ラヴェルの「夜のガスパール」はコンクールでも絶賛された作品。ほとんど独学という稀有なピアニストの登場である。
 前回のチャイコフスキー・コンクールで第2位を獲得したフランスのチェリスト、エドガー・モローは「ジョヴィンチェロ〜バロック協奏曲集」(ワーナー)で、しなやかな美音とのびやかな表現によるハイドン、ヴィヴァルディ、ブラッティ、ボッケリーニ、グラツィアーニを聴かせている。
 これはガット弦とバロック弓を使用するスペシャリストの集まり、イル・ポモドーロとの共演で、モローは1711年製のテックラーのチェロを用い、ピリオド・オーケストラとの音の融合を図っている。
 2012年のブルージュ国際古楽コンクールの覇者、フランスのチェンバリスト、ジャン・ロンドーの「イマジン〜J.S.バッハ:チェンバロ作品集」(ワーナー)は、新世代のチェンバリストの到来を強く印象付けるもの。これまで聴き慣れたバッハの演奏とは趣を異とし、斬新で驚きに満ちた創意工夫が随所に顔をのぞかせる。彼は音楽院での勉強以外に、ソルボンヌでも学んでいて、ジャズにも情熱を傾けているという。
 スペインの古楽界に彗星のように現れ、「若き鬼才」と称されているのは、ヴィオラ・ダ・ガンバのファミ・アルカイ。「思いのままに〜ア・ピアチェーレ ヴィオラ・ダ・ガンバのための音楽」(東京エムプラス)は、ガスパール・サンスからジャン・フィリップ・ラモー、マラン・マレまで非常に興味深いプログラム。打楽器やヴォーカルなども加わり、自由で創意に富むアンサンブルを展開している。
 今日の写真は、5枚のライジングスターの新譜。いまどきのアーティストはディレクターをしたり、ライナーノーツを執筆したりと、多芸多才。さまざまなバリアを軽々と飛び越えていく。


 
| アーティスト・クローズアップ | 23:50 | - | -
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