Yoshiko Ikuma - クラシックはおいしい -Blog

ブログ

<< ホタルイカ | main | ブルーローズ >>
マルタ・アルゲリッチ
 こんなに躍動感あふれ、心が高揚するようなスカルラッティのソナタは、久しぶりに聴いた感じがする。
 今日は、「日本生命presentsアルゲリッチ ベートーヴェンを弾く」のコンサートが東京オペラシティ コンサートホールで行われ、高関健指揮紀尾井シンフォニエッタ東京との共演で、アルゲリッチがベートーヴェンのピアノ協奏曲第2番を演奏した。
 このコンサートは、第18回別府アルゲリッチ音楽祭の東京公演にあたる。
 前半はモーツァルトのディヴェルティメントやシンフォニーが演奏され、アルゲリッチのコンチェルトは最後に組まれていた。
 後半からは皇后陛下がご臨席になり、アルゲリッチの演奏にじっくりと耳を傾けていらっしゃった。
 ベートーヴェンのピアノ協奏曲第2番は、5曲のコンチェルトのなかでもっとも演奏される機会が少ない。
 この作品はベートーヴェンの最初に書かれたピアノ協奏曲といわれ、ウィーンでの自身の演奏会用に書かれている。まだ20代半ばの若きベートーヴェンの作で、壮大さや豪華さとは一線を画し、おだやかでかろやかである。管弦楽も大編成ではなく、室内管弦楽団の規模を想定して書かれているため、紀尾井シンフォニエッタのスタイルがピッタリである。
 第1楽章は主和音と属和音の交替が特徴で、モーツァルト的な主題が登場する。アルゲリッチは管弦楽の序奏に次いで弱奏で入るところを、深い打鍵で自然にスッと入り、やがてカデンツァのあとの第2主題を豊かにうたわせた。
 第2楽章は、とても美しい変奏曲形式のアダージョ。弦の美しい旋律に、アルゲリッチは装飾的な旋律をゆったりと重ねていく。
 前の楽章からすぐに第3楽章に入り、アルゲリッチの生き生きとしたリズミカルなピアニズムが全開する。
 彼女のピアノは、常に感じることだが、その作品がいま生まれたばかりのようなみずみずしさを放つ。第3楽章のロンドも、生気あふれる音楽が疾走し、オーケストラをリードするように駆け抜けていく。
 そして鳴りやまぬ拍手に応えて登場したアンコールがスカルラッティのソナタ ニ短調 K.141=L.422である。
 もちろん、ベートーヴェンのコンチェルトは深い印象をもたらしたが、私はこのスカルラッティのソナタに、いまのアルゲリッチの心身の充実を見る思いがした。
 彼女のピアノは成熟度を増し、エネルギッシュで軽快。このエネルギーの素は何なのだろうか。インタビューに応じてくれる人ではないため、その秘訣を聞くことはできないが、底知れぬエネルギーと情熱に深い感銘を受けた。
 今日の写真は、プログラムの表紙。


 
| クラシックを愛す | 23:42 | - | -
CALENDAR
S M T W T F S
    123
45678910
11121314151617
18192021222324
252627282930 
<< June 2017 >>
CATEGORIES
ARCHIVES
LINKS
PROFILE