Yoshiko Ikuma - クラシックはおいしい -Blog

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モーリス・ブルグ&若尾圭介
 相手が複数の場合、インタビューは非常ににぎやかで楽しい雰囲気のものになるか、だれかがしゃべりすぎてバランスがとれなくなるか、みんなが遠慮してうまく話が進まなくなるか、複雑な人間模様が浮き彫りになるか、その内容はさまざまである。
 概して、私はそれぞれの人に話を均等に振っていくのだが、それが成功する場合は、非常に和気あいあいとした空気が生まれる。
 昨日は、オーボエ界の重鎮であるモーリス・ブルグと、彼を敬愛し、共演する録音を実現させたボストン交響楽団準首席奏者&ボストン・ポップス・オーケストラ首席奏者の若尾圭介のふたりにインタビューを行った。
 このインタビューは、次号の「intoxicate」に書く予定になっている。
 今回のアルバムは「オーボエの世界〜オーボエ室内楽曲集〜」(ワーナー)と題され、彼らふたりと音楽仲間による録音。レフラー、サン=サーンス、上林裕子、ブリテン、ミヨーの作品が組まれている。
 この録音に関して、選曲や録音時の様子、ふたりの出会いから交流、今後のことまで話が広がったが、なかでも興味深かったのは、若尾がフランスのブルグのもとに指導を受けにいくときの話。
 約3カ月間オーケストラの演奏から離れて休暇をパリで過ごし、ブルグのもとに13回通ったという。
 その住まいが、パリのドラクロワ美術館のすぐ近くだったそうだ。
 私はこのサン・ジェルマン・デ・プレ界隈、フュルスタンベール広場の近くに位置する小径にひっそりとたたずむドラクロワ最後の家が大好きで、パリに行くと何度も訪ねている。
 ドラクロワは最晩年の作、サン・シュルピス聖堂の壁画を描くために、この家に1857年から63年まで住み、ここで亡くなった。
 家も当時のままの空気をたたえているが、小さな中庭がとても風情があり、管理している人に頼むと、庭に出られる。
 なんと、若尾さんは、この近くに3カ月も暮らしたとは…。ブルグのレッスンもすばらしかっただろうが、このパリの家も忘れがたいだろうな。
 インタビューはいろんな方面に話が広がり、ブルグも含蓄のある興味深い話をしてくれた。
 このCDが出来上がったのは、ブルグいわく「まあ、自然ななりゆき。当然のこと」と、実に自然体の答え。
 こんな大家なのに、どんな質問に対しても、にこやかに温厚な表情で、ことばを尽くして話してくれる。
 若尾さんが、尊敬してやまないのがよくわかる。ふたりの共演は、オーボエを愛する人たちには願ってもないことだろうが、オーボエの音楽を初めて聴く人にも新鮮な驚きをもたらすのではないだろうか。
 ふたりは、呼吸法に関しても、とても印象に残ることを話してくれた。
 記事では、ぜひその奥義についても綴りたいと思う。
 今日の写真は、インタビュー後のふたりのにこやかな表情。時間が限られていたが、まだまだたくさん話したいことはあるよ、といった余韻を残す語り口となり、私も後ろ髪を引かれる思いだった。


 
| 終わりよければ…取材奮闘記 | 22:32 | - | -
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