Yoshiko Ikuma - クラシックはおいしい -Blog

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ジョフロワ・クトー
 新たな才能に出会う喜びは、何ものにも代えがたい。フランスのピアニスト、ジョフロワ・クトーは、その喜びを運んできてくれた。
 2005年、ブラームス国際コンクールで優勝したジョフロワ・クトーは、ブラームスの作品を自身のレパートリーの根幹に据えている。
 そんな彼が、「ブラームス:ピアノ独奏曲全集」(キングインターナショナル)という6枚組のセットをリリースした。
 クトーは、13歳のときに「6つの小品 作品118」を弾いたのがブラームスとの最初の出会いだったそうだ。
 パリ国立高等音楽院の入試では、ブラームスの「7つの幻想曲 作品116」を演奏して難なく入学が許されたという。
 そしてここに、ブラームスのピアノ独奏曲全集が登場した。クトーはこれらを作曲年代順に録音した。ここでは、聴き手とともにブラームスの作曲様式の変遷をたどり、作品の理解とブラームス自身の変遷を深めていこうという意図が感じられる。
 クトーのブラームスは、重厚で渋く荘重で、北国特有のほの暗さに包まれているという従来のブラームス観をくつがえす演奏である。リリカルで情感にあふれ、タッチもリズムも特有の繊細さが身上。ひとつひとつの音の奥に、えもいわれぬ静けさが宿る。
 きっと、ブラームス国際コンクールの審査員たちは、これまで聴いたことのない個性的な表現のブラームスに驚き、新たなブラームス像を見出し、優勝の栄冠をクトーの手に授けたに違いない。
 とりわけ美しいのは、CD6に収録されている作品116から119の「7つの幻想曲」「3つの間奏曲」「6つの小品」「4つの小品」。
 こうした小品こそ、クトーの本領発揮だ。季節の移ろいを感じさせ、美しい詩が浮かび、絵画的世界へと心が浮遊する。
 本当に、新たな才能に出会う喜びは、心を高揚させてくれるものである。
 今日の写真は、ブラームスのジャケット写真。6枚組ゆえ非常に聴きごたえがあり、ブラームスの世界にどっぷりと浸ることができる。

| アーティスト・クローズアップ | 23:51 | - | -
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