Yoshiko Ikuma - クラシックはおいしい -Blog

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ナタリー・デセイ
 ナタリー・デセイのリサイタルが近づいている。私が今春、とても楽しみにしていた演奏会である。
 今日は、彼女に話を聞くために宿泊先のホテルに出向き、インタビューを行った。
 このインタビューは、「日経新聞」「intoxicate」と私のHP「音楽を語ろうよ」に書く予定にしている。
 ナタリー・デセイは4月12日(水)に東京文化会館大ホール、16日(日)に福岡シンフォニーホール、19日(水)に東京オペラシティ コンサートホールで盟友のピアニスト、フィリップ・カサールと組んでリサイタルを行う。今回はモーツァルト、シューベルト、ドビュッシー、グノーなどの作品が組まれている。
 今日は、初めてシューベルトの「歌曲集」(ソニー)を録音した新譜に関して、じっくりと話を聞いた。
 実は、東京オペラシティの冊子に記事を寄せている。ナタリー・デセイのことがよくわかると思うので、下記に貼りつけた。興味のある方は、ぜひ全部読んでくださいな。


 ナタリー・デセイが待望の初来日公演を行ったのは、2004年9月のことだった。コンサートでは、マスネ「マノン」、トマ「ハムレット」のオフェリア、ベッリーニ「夢遊病の女」のアミーナの各アリアが凄みを帯びたすばらしい歌唱でうたわれ、驚異的な集中力に支配されたドニゼッティ「ランメルモールのルチア」では、会場が息を殺したように静まり、みな「狂乱の場」に酔いしれた。
2010年のトリノ王立歌劇場の日本公演では、ヴェルディ「椿姫」のヴィオレッタを熱演。これまでのヴィオレッタ像をくつがえす新しいヒロイン像を生み出した。         
 デセイは子どものころにバレエを習い、やがて女優を目指したというだけあって、演技力抜群。舞台狭しとはだしで走り回ったり寝転びながらうたったりする。どんな姿勢をとろうが、完璧に磨き上げられた歌唱はゆるがない。高音はコロコロところがる真珠の粒のようであり、また大空に飛翔していくかろやかな鳥の羽ばたきのようでもある。
 しかし、ヴィオレッタでは、幾重にも表情を変えていく中音域の表現力の多彩さが際立っていた。これは全幕にわたってほとんどうたいっぱなしの難役。それを幕ごとにあたかも異なった人物のように表情を変化させ、その場のヴィオレッタになりきり、聴き手の心にひとりの女性のはげしい生きざまを強烈に植え付けた。彼女は2001年以降、幾度か声帯の外科手術を受け、声域や声質を考慮し、レパートリーを見直さなくてはならなくなった。
 来日公演は病が癒え、声に負担をかけぬよう表現力により磨きをかけた時期だったが、大きな試練を乗り越えた人だけがもつ、心を揺さぶるような説得力にあふれた歌声だった。
 デセイが舞台に登場すると、そこだけ空気が変わるようだ。顔の表情からからだ全体が醸し出す雰囲気まで、すべて作品の主人公そのもの。この演技力と表現力を兼ね備えた「奇跡の声」は聴き手の心を強くとらえ、もっと他の役を聴きたいと切望させる。
 日本でリサイタル・デビューが行われたのは2014年。フィリップ・カサールと組み、さまざまな作曲家の色とりどりの歌曲を選んで熱唱、各曲で圧倒的な歌声を披露した。彼女は作品の雰囲気に合わせて衣裳も変え、前半は人魚姫のようであり、後半は天女を思わせ、聴き手を別世界へといざなうような歌を聴かせた。それにはカサールのピアノが大きく影響している。声とピアノが見事に一体化し、創造的な世界を作り上げ、ふたりの音楽は完璧な形で融合していたからである。
 カサールはドビュッシーの解釈者として知られ、ピアノ曲全曲演奏を行うなど作品に精通している。デセイともドビュッシーの歌曲集を録音している。それゆえ、彼らはドビュッシーの歌曲をプログラムに登場させることを好み、今回も選曲している。このデュオは、詩的で絵画のような衣をまとった歌声をピアノが幻想的な美で包み込む。香り高きエスプリを感じさせる名演が生まれるに違いない。

 今日の写真は、インタビュー後のワンショット。彼女は最初はとっつきにくい性格だといわれるが、一度親しくなると、ずっと親密なつきあいが続くタイプとか。
 髪をシニヨンにまとめ、フランスのエスプリを感じさせた。話は知的でエレガントで率直。シューベルトの録音は、いまようやく自分が成熟した時期だから、挑戦したのだという。リサイタルが楽しみである。




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