Yoshiko Ikuma - クラシックはおいしい -Blog

ブログ

<< ベアトリーチェ・ラナ | main | ニラの卵とじ >>
ベアトリーチェ・ラナ
 勢いのある若手音楽家の演奏を聴くというのは、活力が湧いてくるものだ。
 今日は、トッパンホールにベアトリーチェ・ラナのJ.S.バッハ「ゴルトベルク変奏曲」を聴きにいった。
 ラナは「ゴルトベルク変奏曲」を長年研究し、2016年11月、ようやく録音にこぎつけた(ワーナー)。
 彼女はバッハを「初恋の作曲家」と語っているが、「ゴルトベルク変奏曲」はバッハの作品のなかでもとりわけ深い内容を備え、ピアニストの憧れの作品ともいうべき存在だ。  
 ラナの演奏は、豊かな歌心と抒情的な空気がただよい、ときにチェンバロの繊細さを表出し、弱音の美しさや微妙なニュアンスを生かした奏法である。録音ではアリアと30の変奏をすべてリピートし、じっくり大作と対峙し、真っ向勝負を行っている。
 もちろん、今夜の演奏も同様で、冒頭のアリアから、耳をそばだてて聴き入ってしまった。アリアは柔軟性に富み、静謐でゆったりと語りかけてくるような奏法で、古典的な解釈に貫かれ、聴き手の心に深く浸透してくる。
 そして変奏が始まると、若々しさと抑制された情熱、和声や対位法を大切にするピアニズムが顔をのぞかせ、バッハの深遠な世界へと分け入っていく。
 彼女のバッハは、確固たる構成と伝統的な枠組みを守りながらも自由闊達でのびやか。全編に前進するエネルギーがあふれ、長大な作品を一瞬たりとも弛緩することなく、一気に聴かせた。
 まったく長さを感じさせることなく、最後のアリアまで聴き手の心をわしづかみ。80分を超えるバッハの旅を堪能することができた。
 こうしたすばらしい新星の登場は、ピアノ界を活性化させる。ラナは、インタビューで、各地を回って演奏旅行しているため、自宅にほとんどいられないと語っていた。それだけ演奏のオファーが多いということ。
 ベアトリーチェ・ラナ、今後も目が離せない存在である。
 今日の写真は、「ゴルトベルク変奏曲」のジャケット写真。


 




| クラシックを愛す | 22:06 | - | -
CALENDAR
S M T W T F S
    123
45678910
11121314151617
18192021222324
252627282930 
<< June 2017 >>
CATEGORIES
ARCHIVES
LINKS
PROFILE