Yoshiko Ikuma - クラシックはおいしい -Blog

ブログ

<< ニラの卵とじ | main | 音楽ジャーナリスト&ライターの眼から音遊人へ >>
阪田知樹
 1993年名古屋に生まれ、現在ハノーファー音楽演劇メディア大学のピアノ科修士課程に在籍中の若きピアニスト阪田知樹には、以前からさまざまな媒体でインタビューを行ってきた。
 今日は、彼が2016年フランツ・リスト国際ピアノコンクール(ハンガリー・ブダペスト)で優勝、併せて6つの特別賞を受賞した記念のリサイタルが浜離宮朝日ホールで開催された。
 プログラムは、オール・リスト。
 まず、シューベルト/リストの「連祷」からスタート。シューベルトの歌曲の美しく荘厳な旋律を、リストがピアノに置き換えた作品。この祈りの歌を、阪田知樹はやわらかな響きで、静けさを重視するように淡々と紡いでいく。
 次いで、ピアノ・ソナタ ロ短調が登場。プログラムの前半にこの大作をもってくることから見ても、今回のリサイタルに対する意気込みがうかがえる。
 このソナタは、革新的で劇的で、新たなピアノ作品の可能性を追求したリストの意欲作。単一楽章で書かれ、全編に物語性が色濃く打ち出されている。
 阪田知樹は、ここでリスト・コンクール優勝の底力を遺憾なく発揮した。楽器を豊かに大きく鳴らし、文学的な要素を示した。主題を幾重にも変容させていく手法をていねいに紡ぎ、超絶技巧を前面に押し出さず、リストの奥深さを追求した。
 後半は、ハンガリー狂詩曲第12番、パガニーニによる大練習曲第3番「ラ・カンパネッラ」、スペイン狂詩曲、愛の夢第3番と続け、緩急を付けたプログラミングの妙を示した。
 そして、フィナーレは、リスト・コンクールの審査員と聴衆が大絶賛したと伝えられているベッリーニ/リストの歌劇「ノルマ」の回想が登場。この難曲を華々しく名技性あふれる演奏で披露し、まさに会場は大喝采となった。
 若き才能に触れると、その未来に大きな期待を抱くものだが、阪田知樹の前途も洋々だ。
 まだ23歳。これからが本当の勝負、正念場である。ずっと聴き続けていきたいと思わせるピアニストが、またひとり現れた!
 今日の写真は、終演後の楽屋での1枚。照明のためか、ちょっとピンが甘くなってしまった。阪田さん、ごめんね。次はカッコよく撮るからね(笑)。



| アーティスト・クローズアップ | 23:44 | - | -
CALENDAR
S M T W T F S
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
293031    
<< October 2017 >>
CATEGORIES
ARCHIVES
LINKS
PROFILE