Yoshiko Ikuma - クラシックはおいしい -Blog

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エドガー・モロー
 フランスから彗星のごとく国際舞台に飛翔した若きチェリスト、エドガー・モロー。
 昨日は、王子ホールでリサイタルがあり、久しぶりに精神が高揚する演奏を聴くことができた。
 プログラムは、シューマン「幻想小曲集」、フォーレ「エレジー」、ショスタコーヴィチ「チェロ・ソナタ ニ短調」が前半。後半は、ブラームス「チェロ・ソナタ第1番」、サン=サーンス「オペラ 《サムソンとデリラ》より あなたの声に私の心は開く」、パガニーニ「モーゼ幻想曲」。
 ソナタや超絶技巧を要する作品の間に、美しい旋律に彩られた歌心あふれる小品を挟み込む、こだわりの選曲である。
 いずれの作品も鍛え抜かれたテクニックとあふれんばかりの情感、みずみずしい表現力が息づいている演奏だったが、どんなに超絶技巧を要する箇所も、ごく自然体で流麗な響きを聴かせる。
 私がとりわけ心に響いたのが、サン=サーンス。このオペラ・アリアは大好きで、いつも歌手の歌に聴き惚れてしまうほどだが、エドガー・モローのチェロは、まさしく芳醇な旋律をうたっていて、ノックアウトされてしまった。
 モローは1994年パリ生まれ。4歳でチェロを始めた。
 その名が広く知られるようになったのは、2011年にチャイコフスキー国際コンクールで第2位に輝いてから。その後、一気に国際舞台に飛翔し、2014年にはデビュー・アルバムをリリースした(ワーナー)。
 今日は、そのモローにインタビュー。昨日のサン=サーンスの興奮冷めやらぬ私は、その気持ちを率直に伝えると、日本語で「ありがとう」という答えが戻ってきた。そして「チェロが豊かにうたうといわれると、本当にうれしい。ずっとそれを目指しているから」と素直に喜びを表した。
 モローは、チェロを始めたきっかけ、子ども時代のこと、コンクールを受けたときのこと、年間100回を超すコンサートに関して、昔から何でも自分で決めること、恩師のこと、フランス流派について、今後のレコーディングまで、さまざまな話を実に自然にリラックスした表情で語った。
 昨日のステージでも感じたことだが、音楽も性格も、人に愛されるものを備えている。盟友のピアニスト、ピエール=イヴ・オディクと並ぶと、ホームズとワトソンのように異なった個性が見事なバランスを保っているようで、とても興味深い。
「ヤング・シャーロック」のようだというと、「じゃ、どんな事件を解決しようかな」と話に乗ってきた。
 王子ホールの響きはチェロのリサイタルに最適で、贅沢な空間である。若きモローの説得力のある演奏は、前途洋々な思いを抱かせる。
 長い目で見て応援したい、そう感じさせるチェリストの登場である。今日のインタビューは「CDジャーナル」に書く予定になっている。
 写真は、インタビュー後の1枚。話しているときに髪をくしゃくしゃにしていたので、写真でも髪がボワーン。「この写真で大丈夫?」と聞いたら、「きみはどう? ぼくはいいと思うけど」という答えが戻ってきたので、アップします。ホント、感じのいいナイスガイです! チェロのお好きな方、ぜひ一度演奏を聴いてくださいな。圧倒され、感動が押し寄せ、心に深く響いてきますよ。


| アーティスト・クローズアップ | 22:41 | - | -
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