Yoshiko Ikuma - クラシックはおいしい -Blog

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ピーター・ゼルキン
 すみだトリフォニーホールの「グレイト・ピアニスト・シリーズ2017/18」&「ゴルトベルク変奏曲2017」に、アメリカのピアニスト、ピーター・ゼルキンが登場した。
 昨日は突然の雨に見舞われるなか、聴き逃してはなるまいと、急いでホールに出向いた。
 ゼルキンは、ドイツの名ヴァイオリニスト、アドルフ・ブッシュを祖父に、20世紀を代表するピアニスト、ルドルフ・ゼルキンを父にもつ。
 名門の血筋にプレッシャーを得たのか、若いころは人生に迷いを感じて放浪の旅に出るなど、さまざまな逸話を残している。
 音楽を聴く限り、とても繊細な神経の持ち主なのだと思う。ナチスに反旗を翻した祖父や、ミスを恐れずに自由に自分の音楽を追求した父親のたくましさは、ピーターには受け継がれなかったのかもしれない。
 彼は、J.S.バッハの「ゴルトベルク変奏曲」を3度も録音し、ついさきごろ4度目の録音を行ったという。それほどこの作品には思い入れが深いのだろう。
 昨日は、前半にモーツァルトの「アダージョ ロ短調 K.540」と同ピアノ・ソナタ第17(16)番 変ロ長調 K.570が演奏された。背筋がビシッとなるような凛としたモーツァルトで、余分なものをそぎ落としたシンプルな音楽がそこにはあった。
 バッハの「ゴルトベルク変奏曲」は、冒頭のアリアから最後のアリアまで、まさに「自分の音楽」となっていた。この作品と長年じっくり対峙し、細部まで磨き抜かれた真実の美が音となって立ちのぼった。
 この公演評は、次号の「モーストリー・クラシック」に書く予定である。
 トリフォニーホールの「ゴルトベルク変奏曲」のシリーズは、さまざまなピアニストで聴いてきたが、そのつど深い感慨にとらわれる。懐が深く、音楽が深遠で、そのピアニストの人生が映し出されると同時に、聴き手も自己の内面と向き合う大切さを教えられる。
 ピーター・ゼルキンもまた、とても心に響くバッハを奏で、彼の70年の人生を音楽に投影させていた。
 
 
| クラシックを愛す | 22:37 | - | -
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