Yoshiko Ikuma - クラシックはおいしい -Blog

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杉谷昭子
 よく、音楽は恩師から弟子へ、そしてそのまた弟子へと受け継がれていくものだという話を聞くが、杉谷昭子の話を聞いてその思いを強くした。
 彼女はチリが生んだ巨匠、クラウディオ・アラウの日本人としては最後の弟子にあたる。アラウはリスト晩年の高弟、マルティン・クラウゼに師事しているから、杉谷昭子はリストの流れを汲むことになるわけだ。
 そんな彼女が「クラウディオ・アラウへのオマージュ Vol.1」と題したリサイタルを4月28日に浜離宮朝日ホールで行うことになった。
 先日インタビューしたときには、アラウのすばらしい人間性、精神性、音楽性をじっくりと語ってくれたが、実際に偉大なピアニストから教えを受けた人の話は説得力があり、アラウが少しだけ近い存在に思われるようになった。このインタビューは次号の「音楽の友」に掲載される予定になっている。
 杉谷昭子は、今回アラウの得意とした作品や彼女がレッスンを受けた作品を中心にプログラムを組み、リスト、クラウゼ、アラウ、杉谷昭子と受け継がれてきた奏法、表現、解釈、精神性をピアノに託す。
 彼女は「ピアノに向かうと人間性が変わる」という。本当はかわいい女、やさしい人間でありたいのに、ピアノと対峙した途端、内からのエネルギーが全開し、ものすごく熱い演奏を展開してしまうのだそうだ。
 ピアニストの多くがそうであるように、彼女もことばで自己表現するよりも、ピアノを弾いたほうが率直に自分を表現できるのかもしれない。
 杉谷昭子は37年間ドイツで暮らしたが、ドイツ語を理解するためにアラウから本を読むことを勧められたという。
「本は人生を豊かにしてくれます。さまざまな分野の本を読むようにしていますが、これもアラウ先生の教えです」
 こう語る彼女は、アラウがいつも書店に行くのにつきあわされ、抱えきれないほど多くの本を買う恩師を見てきたという。
 この話を聞いて、仕事部屋にまだ読んでいない本が山積みになっていることを思い出した。私もじっくり読書する時間を作らないと、いけないなあ。
 読みたい本はどんどん積み重なり、その横に各社から送られてきた山のような紙資料や音資料がさらに積み上げられ、そのひとつひとつに目を通していかないとならない。
 どうやって時間を作るか。これがいつも私の頭を悩ませ、自分のキャパシティの限界を知ることになり、いつしかストレスがたまっていく。
 でも、杉谷昭子の前向きな話を聞き、一歩一歩解決していかなくちゃ、という思いに駆られた。それにしてもこの資料の山、どうしたらいいんだろう。私ってこんなにも整理が下手だったんだっけ、と考え込んでしまう。
 今日の写真はインタビュー後の杉谷昭子のおだやかな表情。私に読書の大切さを教えてくれ、感謝しています。ただ、その前に整理整頓が…ムムム。


 
 
| 情報・特急便 | 21:55 | - | -
ミロシュ
 ギター好きの私が、ここのところ毎日視聴盤を聴いているのが、モンテネグロ出身のギタリスト、ミロシュの「ミロシュ・デビュー!〜地中海の情熱」(ユニバーサル 4月4日リリース)である。
 これはスペインやギリシャの作曲家の作品を中心に選曲されたアルバムで、地中海の風景や空気を感じさせる旋律が全編を覆い、精緻で情感豊かな音が紡がれ、一気に作品が生まれた土地へと運ばれる。
 ミロシュは1983年生まれ。幼いころからギターを始め、これまで13を超えるコンクールで優勝を遂げている。
 生地で勉強を続けた後、ロンドンの王立音楽院で学び、2008年にルツェルン音楽祭で演奏したことを機に、ドイツ・グラモフォンと契約。昨年のアルバム・デビューとなった。そのデビューCDがいよいよ日本に上陸。ヨーロッパではすでにさまざまな賞に輝き、売れに売れているこのアルバム、1曲目が特にお勧めだ。
 というのは、冒頭を飾るアルベニスの「アストゥリアス」は、ミロシュがアンドレス・セゴビアの録音を聴き、クラシック・ギタリストの道を目指そうと決めた記念の曲。これなくしては、いまのミロシュがないという、思い入れの深い作品である。
 先日、プロモーション来日したときにインタビューをする機会に恵まれたが、会った人をみなとりこにしてしまうほどのナイスガイ。もちろん容姿はすばらしいが、イケメンを鼻にかけることなく、常に自然体。ナマで聴く演奏も心にしみじみと浸透してくる美しさで、もうたまりません(笑)。
 彼は、いまものすごく忙しく、自由な時間はまったくないそうだが、「グラモフォンで録音できて、これ以上の幸せはないよ。プロモーションのために世界各地を飛び歩いているから、いつも寝不足で時差ボケだけど、いま自分がやるべきことはわかっている。こんな時期に遊びたいなんて、思わないよ。ギターと一緒にいられれば、それが一番。だって、ぼくはほどほどの成功を望んでいるわけではなく、自分が本当に納得のいく成功を目指しているから。そのために苦労したり、努力するのは当たり前。いまはとにかく練習して、よりよい演奏ができるように自分を駆り立てていく。だって、幼いころからの夢がかなったんだもの」
 ハハーッ、と私はこのことばを聞いてひれ伏したい気持ちになった。
 文に書くと、結構偉そうにいっているように思えるかもしれないけど、決してそういう感じではない。ひたすら前を向いて走っている感じだ。このインタビューは次号の「音楽の友」に掲載されることになっている。
 ミロシュは数多くのインタビューを受けたが、次のインタビューまで5分でも空くと、すぐに別の部屋に行って練習していた。とにかく、練習魔。ひとときもギターを離さない。
 デビューCDはタレガの「アルハンブラの思い出」、ドメニコーニの「コユンババ」、テオドラキスの「わが星は消えて」など14曲で構成されている。私が大好きなグラナドスの曲もあり、エンドレスで聴きたくなる。
 今日の写真はインタビュー時のミロシュ。ジャケット写真は目力の強い、情熱的な顔に映っているが、私の写真はふだんっぽい表情に撮れている。
 本当に、性格がいいんですよ。7月には来日公演もある。ぜひ、ギター・ファン以外の人にも耳を傾けてほしいと思う。今年の私のイチオシです!!


 
| アーティスト・クローズアップ | 23:17 | - | -
東京マラソン
 私が通っているフィットネスクラブ「セラフィット洗足」のトレーナー、春木桜子さんが、昨日の東京マラソンに参加し、5時間6分41秒で完走した。
 今日のフィットネスクラブは、その話題で持ち切り。実際にこうしたマラソンに参加した人からじかに聞く話はとても興味深く、テレビには映らないことや、フルマラソンの大変さや、沿道の人々の応援の大切さや、体調の維持のしかたなど、さまざまな話を聞くことができた。
 今年の参加者は36,406人で、倍率も高く、もうひとりの先輩格のトレーナー神谷さんは参加資格が得られなかったそうだ。ただし、彼は先週の青梅マラソン(30キロ)を完走している。
 セラフィットには、もうひとり男性のトレーナー竹澤さんがいるのだが、彼は昨年の東京マラソンに参加し、4時間55分で完走した人。
 ここはみんなすばらしい体力とガッツの持ち主の集まりで、私たち会員にも元気を分けてくれる。
 完走した人にはメダルが贈られるのだが、そのメダルの美しいこと。「伊熊さん、首にかけてみたら」といわれたが、とてもとても、もったいないです(笑)。見せてもらっただけで十分。
 でも、あの距離を走ったのに、翌日はこうして仕事をしているのだから、なんともすごいことだ。ただし、股関節と膝と背中が痛いといって、苦笑していた。
 マラソンは、終わった後は疲労困憊して何も考えられないが、しばらくするともっといいタイムを出したいと、次も走りたくなるのだそうだ。
 今回はテレビで応援したが、来年は沿道で応援しようかな。ランナーは、応援してくれる人たちとハイタッチをして勇気をもらうそうだから。
 今日の写真は記念のメダルと、それを誇らしげにかけた春木さんの笑顔。ねっ、これ見ただけでなんだか走りたくなってくるでしょ。
 実は、私は新入社員のとき、入社しだばかりだというのに組合のマラソン大会に強制的に参加させられ、多摩川沿いを6キロ(男子は10キロ)走ったことがある。なにしろ音大出身なので、そのころはまったくスポーツはしていないため、突然の6キロはものすごくきつかった。
 でも、中学時代に短距離の選手をしていたおかげか、なんとか完走し、女子で第1位になってしまった。賞品は自転車。でも、自宅まで乗っていかなくてはならない。困っていると、経理の男性が「自分のキャンドル立て」と交換してほしいという。その人の住まいは国立。まだ新人だった私は大先輩にノーとはいえず、すごくおもちゃっぽいキャンドル立てをもらうことに。
 でも、翌日その人は足が動かず、欠勤した。まあ、そうだろうな。私はみんなに「交換してよかったじゃない」といわれた。喜んでいいやら、悲しんでいいやら…。
 あれからマラソンとは縁がない。春木さんの雄姿を見て、若いときの自分を思い出した。えっ、距離も格も違う? そりゃ、そうだ。春木さん、比べてごめんね(笑)。完走、おめでとう!!



 
| 日々つづれ織り | 22:48 | - | -
ユズ味噌おにぎり
 ユズのおいしい季節である。私は柑橘類が大好きなので、春夏秋冬いろんな柑橘類をお料理に使うが、いまはなんといってもユズが一番。
 今日はユズ味噌を作り、これをおにぎりに使ってみた。
 まず、ユズ味噌は、味噌、砂糖、みりん、酒を同量鍋に入れ、弱火で混ぜ合わせる。作りやすい分量は、すべて大さじ5ほど。
 あまり煮たてると味噌の香りが飛ぶので、短時間でOK。荒熱が取れたら、ユズの絞り汁2分の1個分を加える。
 おにぎりを作り、トースターに油を薄く塗ったホイルを敷き、そこに乗せてさっと焼く。
 おにぎりの上部ににユズ味噌を塗り、再びトースターで焼く。
 あつあつになったら、ユズの皮の千切りをトッピングし、細めに切った海苔でぐるりと巻いて出来上がり。
 これは休日のランチにぴったり。またはお酒を飲んだあとでも、いくらでも入る。ユズは血行を促進し、風邪をひきにくくしてくれる。
 寒い時期に欠かせない、まさにお助け柑橘類だ。
 今日の写真は焼きたてのおにぎり。ユズ味噌はお味噌の種類を変えたり、お砂糖の量を変えたりすると、また違った味わいに。焼きナスに添えても、お豆腐に塗って田楽風にしても、また薄味のだしで煮た里芋と一緒に盛りつけてもおいしい。
 風邪をひきそうなときに、ぜひ作ってみてくださいな。ウイルスが飛んでいきますよー(笑)。

| 美味なるダイアリー | 18:00 | - | -
大谷康子
 またまた、締め切りの重なる時期に突入。でも、ここ数日はインタビューの仕事が相次ぎ、出たり入ったり…。
 というわけで、原稿を書くのはどうしても深夜になってしまう。いかんなあ、次の日に寝不足のひどい顔でアーティストに会うのはマズイし。どうしたものか。
 でも、ここ2、3日に会ったアーティストはみんな超のつくエネルギッシュな人ばかり。話を聞いているだけで、そのエネルギーが私にも乗り移り、疲れているはずなのにやけに元気になった。
 昨日インタビューをしたヴァイオリニスト、大谷康子はそのなかでも、飛びぬけて元気だった。話は止まらず、話題は広がって滔々と流れていき、常に笑顔を絶やさない。
 彼女は5月12日にサントリーホールで、ピアノの藤井一興との共演でバッハの「シャコンヌ」を中心に据えたリサイタルを行う。このときの話を中心に聞いたのだが、プログラムの組み立てから各々の作品に対する思い、新録音の「シャコンヌ〜佐村河内守 弦楽作品集」(コロムビア)に関することまで、一瞬たりともいいよどむことなく、雄弁に熱く語った。
 大谷康子は東京交響楽団のソロ・コンサートマスターを務め、音大で数多くの生徒を教え、弦楽四重奏団の活動から各種の室内楽、イヴェントまで幅広く活躍。時間がいくらあっても足りないほどだと思うが、ご本人は「やりたいことが山ほどあって、いくら演奏しても疲れないし、ふだんは5時間ほどの睡眠で大丈夫。おいしいものをたくさん食べて、いっぱいしゃべって、楽しくヴァイオリンを弾く。これも周囲の人たちがみんな助けてくれるおかげ」とにっこり。
 いやー、あまりにもすごい情熱に、疲れも一気に吹き飛んだ感じ(笑)。ランチもご一緒し、その間も楽しいおしゃべりは続いた。
 実は、このインタビューは彼女が教授を務めている東京音楽大学のレッスン室で行われた。久しぶりに母校を訪れたため、感慨無量。この音大から私も巣立ったんだよね。
 大谷康子の元気なオーラと、新校舎が増えて輝いている母校の様子と、両方から活力をもらった日となった。
 このインタビューは「音楽の友」の次号に掲載される予定になっている。
 今日の写真は、笑顔のステキな彼女のワンショット。躍動感に満ちた情熱的な演奏が聴こえてくるような感じでしょ。

| ああ愉しき(?)、締切り地獄 | 22:57 | - | -
三浦友理枝
 先日に続き、再び三浦友理枝に話を聞く機会が巡ってきた。
 今回はヤマハのWEB「ピアニスト・ラウンジ」でのインタビューである。
 もちろん、3月28日に東京文化会館・小ホールで開催されるフランス作品によるリサイタルの内容が話題と中心となったが、これは以前詳細をご紹介したので、今回は彼女のラヴェル好きにスポットを当てたい。
 三浦友理枝は昔からラヴェルが大好きで、これまで多くの作品に取り組み、今回のリサイタルで演奏する「夜のガスパール」と「鏡」でソロ作品は全部網羅。すでにピアノ協奏曲もピアノ三重奏曲も演奏・録音しているため、ほとんどのピアノ作品を手がけてきたことになる。
「でも、左手のためのピアノ協奏曲だけは手があまり大きくないので、届かないところがあり、弾くことができません。本当に残念です。これは音をずらして弾くことができず、バンと一度に押さえなくてはならないため、無理なんです」
 このコンチェルトは第一次世界大戦で右手を失ったピアニスト、パウル・ヴィトゲンシュタインの依頼によって書かれたもので、彼に献呈されている。
 ラヴェルはこの依頼に非常に意欲を燃やし、もてるすべてのエネルギーを注ぎ込み、名作といわれるコンチェルトを生み出した。当時としては珍しい単一楽章で書かれ、ジャジーな要素、ピアノとオーケストラとの濃密な音の対話、こまやかな色彩と表現、創意工夫が随所に息づく作品で、現在でも絶大な人気を誇る。
 それだけが弾けないと、彼女は残念がっていたが、他の作品はたくさんあるし、大丈夫よ、という話になった。
 作品を本当に愛するピアニストが演奏すると、その作品がきらきらと輝き、生命力をもって聴き手の心にストレートに響いてくるものだが、三浦友理枝のラヴェルも、作曲家が目指した多種多様な表情がまっすぐに伝わってくる演奏だ。
 ラヴェルをこよなく愛す私は、このリサイタルをとても楽しみにしている。
 今日の写真はインタビュー後の撮影の様子。現在、この記事はヤマハのサイトで公開中。ぜひ、読んでくださいね。


| 親しき友との語らい | 12:08 | - | -
ロジャー・フェデラー
 昨日、テニス・ワールドトーナメントのロッテルダム大会で、ロジャー・フェデラーが2005年の優勝以来7年目の参戦で、再び優勝を手にした。
 先週、デビスカップのスイス対アメリカ戦で、フェデラーはシングルスとスタニスラフ・バブリンカと組んだダブルスの両方で敗戦したため、いったいどうしたのかと心配していたが、ようやく元気な様子を見てほっと安堵した。
 ただし、アルゼンチンのフアン・マルティン・デル・ポトロとの決勝では、ファーストサーブの確率が極端に低く、私はテレビ観戦しながら終始ひやひやものだった。
 でも、このときに解説者がいい話を伝えてくれた。サンプラスのことばである。
 フェデラーは偉大な先輩であるピート・サンプラスと親交を深めているが、そのサンプラスが現在のフェデラーをこう評したというのだ。
「ロジャーのハートは、いまも真っ赤に燃えているよ」
 うーん、実にすばらしいことばだ。
 30歳になったフェデラーは、ちょっと負けが混むと、すぐに「引退間近」「王者陥落」「一時の輝きが失せた」などといわれる。だが、サンプラスは現在のフェデラーの前向きな精神を短いことばで的確に表した。
 ロジャー、優勝おめでとう!! 今年はぜひ、グランドスラムをとってね。ロジャーのテニスはいまなお進化している。期待していますよー。
| ロジャー・フェデラー | 23:04 | - | -
ブリの照り焼き・決定版
 冬といえば、寒ブリがおいしい季節。これは照り焼きがもっともポピュラーな食べかただと思うが、たれを何度も塗ってじっくり焼き上げていくのはとても時間がかかり、火加減の調節により思わぬ失敗をすることも。
 私も何度も挑戦しているが、なかなか思うような味にならず、もっと簡単な方法はないものかと模索してきた。
 そこで到達したのが、切り身をまるごと焼くのではなく、ひと口大に切ってフライパンで焼く方法。これは失敗なしの短時間成功法。
 まず、ブリの切り身4切れをひと口大に切って水気をキッチンペーパーでしっかりとっておく。これに塩、コショー少々を手でしっかり磨り込み、小麦粉をまぶす。余分な粉をはたき、うっすらとまぶす程度でOK。
 フライパンで油大さじ2を熱し、ブリの両面を色づくまでカリッと焼く。そしてここからが大切。余分な油をキッチンペーパーでふき取ってしまう。このときは火を一度消したほうがやりやすい。
 再びフライパンを加熱し、あらかじめ用意しておいたたれ(しょうゆ大さじ3、みりん大さじ2、酒大さじ2、砂糖小さじ1)を加え、手早く混ぜ合わせる。このときは弱火がいい、焦げやすいので。
 今日の写真はできたてのブリの照り焼き。お皿に盛りつけるときに皮をとり、骨が残っていたら、それも焼きあがってからだと簡単にとれる。
 大根おろしを添えるとごはんのおかずにピッタリだが、たきたてのごはんの上にひとつ置き、大葉やショウガやミョウガなどの香味野菜の千切りを散らし、熱いだし汁を注いで最後に梅干しをほんの少しトッピングし、海苔の千切りと白ゴマをバラリと振ると、お酒のあとの食事に最適。みんな涙を流さんばかりに、ハフハフと一気に食べてくれますよ(笑)。
 季節によっては、カジキマグロやサワラでもおいしくいただける。これはまとめて作っておくと、忙しいときにいろんなお料理に姿を変える超便利レシピ。まずは、この時期の寒ブリでお試しくださいませー。


 
| 美味なるダイアリー | 15:04 | - | -
村治奏一
 先日、ギタリストの村治奏一に会い、彼のプロデュースによるコンサートの話を聞いた。
 これは5月15日に紀尾井ホールで行われる「新緑のギター〜バッハからピアソラへ〜」と題したコンサートで、前半は村治のソロ、後半は恩師の鈴木大介とのデュオが含まれ、ピアソラから始まり、ピアソラで幕を閉じるというプログラムである。
 ファリャ、タレルガ、J.S.バッハ、ヒナステラ、ラヴェルから西村朗の作品まで幅広い選曲となっている。
「17歳で渡米し、ボストン、ニューヨークと移り、いまはワシントンDCに住んでいるんですよ」
 久しぶりに会った村治奏一は30歳を目前にし、いまの自分を表現するためにこのコンサートをプロデュースしたと語った。師弟関係にある鈴木大介と共演できることをとても楽しみにしていると。
 鈴木大介は、以前はいろんな助言をしてくれたそうだが、最近はほとんど何もいわないとか。それだけ弟子を信頼しているということなのだろうか。あるいは、村治が大人になったという意味だろうか。
「これまで大介さんと一緒に演奏してはいるのですが、こうしたコンサートで共演するのは初めて。今回はふたりともフレタのギターを使うんですよ」
 フレタのギターはジョン・ウィリアムスやレオ・ブローウェル、エルネスト・ビテッティが使っていることでも知られる。
 イグナシオ・フレタは1897年スペイン生まれ。最初はヴァイオリンやチェロの製作をしていたようだが、20世紀最大のギタリストと称されるアンドレス・セゴビアの演奏を聴いて感銘を受け、ギター製作を始めたそうだ。セゴビアのために3台の楽器を製作しているという。
 1977年にイグナシオが亡くなった後は、父とともに製作を行っていたふたりの息子、フランシスコとガブリエルが引き継ぎ、現在はフランシスコも引退して弟のガブリエルとその息子たちが伝統を守っているようだ。
 そんなスペインの長き歴史と伝統を感じさせる名器で演奏されるこのコンサート、ギターが大好きな私は待ち遠しくてたまらない。
 ギタリストは通常、足台を用いて演奏するが、このインタビューのなかで、村治奏一はギターレストという足に置いてギターを支える支持具を見せてくれた。こうした道具はステージでは遠くてよく見えないが、間近で見ると、とても興味深い。
 このインタビュー記事は次号の「音楽の友」に掲載される予定だが、私があまりにもギターレストに興味を示したため、カメラマンがしっかり撮影。きっと雑誌にも載るのではないだろうか。
 村治奏一は今回のプログラムを考えるにあたり、自身のギターへの思いをギュッと凝縮したという。さぞ思いのこもった演奏が披露されるに違いない。
 今日の写真はインタビュー後の村治奏一と、私の目が集中したギターレストを使って演奏する彼。この支持具、おもしろいでしょう。足に置くところがヴァイオリンのf字孔になっているんですよ。ギターを作ったときに余った木材を使っているのだとか。いやー、いいもの見せてもらっちゃった。演奏がもっともっと楽しみになってきた(笑)。



| 情報・特急便 | 20:56 | - | -
南西ドイツ放送交響楽団バーデン=バーデン&フライブルク
 毎年この時期になると、「東芝グランドコンサート」の日本ツアーが開催される。2012年のオーケストラは、1946年に設立された南西ドイツ放送交響楽団バーデン=バーデン&フライブルクで、指揮は2011年9月に首席指揮者に就任した、1971年フランス生まれのフランソワ=グザヴィエ・ロト。
 毎年このプログラムの原稿にかかわっているため、今夜は前半が萩原麻未のソロによるラヴェルのピアノ協奏曲、後半はマーラーの交響曲第5番というプログラムを聴きに出かけた。
 萩原麻未は、2010年11月のジュネーヴ国際コンクールのピアノ部門で優勝したときに、このラヴェルを演奏した。このコンチェルトはその意味で彼女の記念碑的な作品である。すでに各地で数多く弾いているだけあって、今夜の演奏も完全に手の内に入った演奏。彼女はインタビューのときに「第2楽章の中間部のイングリッシュホルンとピアノのやりとりの部分がすごく好き」といっていたが、まさに美しい音の対話を聴くことができた。
 そして、アンコールに登場したサン=サーンスの「トッカータ」が、萩原麻未の未来への大きな可能性を示唆していた。 
 後半のマーラーは、このオーケストラと早くも親密な関係を築いていることを示したマエストロ・ロトの本領発揮となった。
 ドイツ南西部に位置しているからか、このオーケストラの響きはとてもクリアで明るい。ロトの音楽作りは余分なことをせずに、真っ向勝負の正統的な指揮。両者は長い作品であるマーラーの交響曲第5番を一瞬たりとも飽きさせず、最後まで聴き手の心をひきつけ、終演後には大喝采に包まれた。
 マーラーの交響曲は聴き終わると心にずっしりと重く深い感情が残る場合が多いが、今夜の演奏は爽快感と充足感と作品の新たな面の発見をもたらしてくれた。
 ロトとオーケストラの生み出す音楽は、作品がいま生まれたばかりのような新鮮さを醸し出し、前向きで明快で音楽する喜びにあふれていたからだ。
 このオーケストラはいい指揮者を得たと思う。今後の歩みに大きな期待をもたせてくれる。ロトの世代のフランスの指揮者は各地で活躍しているが、みな新たな視点でオーケストラと対峙している。
 今日の演奏を聴いて、最近の指揮者の動向に目が離せなくなってきた。今年は各地のオーケストラがすばらしい指揮者と次々に来日する。集中して聴かなくっちゃね。
 今日の写真はコンサートでお会いした友人のKさんからいただいた手作りのバレンタインチョコレート。ご家族で作ったそうだ。素敵な箱に入っていて、とてもキュート。食べるのがもったいないくらいで、ずっとながめていたい(笑)。Kさん、ごちそうさま。「ありがとう」とご家族に伝えてくださいね。またまた、音と味のハーモニーに心が癒された。
実は、Kさんは萩原麻未の大切な恩師的存在。彼女にも同じチョコがプレゼントされたそうだから、私はピアニストと同じチョコをいただいたことになる。
 だからかな、味わっていると、ラヴェルの旋律が浮かんできたゾ(笑)。


 
 
| クラシックを愛す | 23:45 | - | -
イザベル・ファウスト&アレクサンドル・メルニコフ
 今日は、ヴァイオリンのイザベル・ファウストとピアノのアレクサンドル・メルニコフのデュオを聴きに王子ホールに行った。
 これは今日から明後日まで行われるベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタ全曲演奏会の一環で、今日は初日。プログラムは前半が第1番と第2番と第3番。後半が第9番「クロイツェル」だ。
 ベートーヴェンの初期の作品は、名手によって演奏されると、作品のすばらしさが浮き彫りになる。ファウストの気負いのない自然体の演奏、透明感のある美しい音色、ピリオド奏法を随所に感じさせる響きが秀逸。一方、メルニコフは真珠の粒がころがるような美しい音を聴かせたかと思うと、一気にドラマティックな表現を見せ、そのピアニズムは変幻自在。
 ベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタは、よくピアノ・ソナタにヴァイオリンが加わっているような作品だといわれるが、まさにメルニコフのピアノはベートーヴェンの意図するところを存分に汲み取り、作曲家の魂に近づいていく。
 私は室内楽が大好きなので、今夜は至福のひとときを過ごすことができた。
 とりわけ後半の「クロイツェル」は、装飾音の工夫や即興的な要素が随所に盛り込まれ、ふたりの個性的な「クロイツェル」に心が高揚する思いにとらわれた。
 イザベル・ファウストの実力は折り紙つきだが、ようやく日本でも彼女の真の実力が評価されるようになってきた。うれしい限りだ。
 メルニコフはヴァディム・レーピンと共演していたころから知っているが、いまや音楽が成熟し、自信がみなぎり、説得力が増した。彼はインタビューをすると、とてもシャイで真面目で、どちらかというと内省的な性格の人だが、ピアノに向かうと内に秘めた音楽に対する情熱が一気に爆発。もっともっと聴きたいと思わせるピアニストである。
 うーん、やはり息の合った音楽家同士の室内楽は最高ですなあ(笑)。ファウストはメルニコフにほれ込んで、他のピアニストは考えられず、ずっと彼とコンビを組みたいといっているそうだが、とてもよくわかる。
 また、すぐにでも他の作品を聴いてみたい!!
 
| クラシックを愛す | 00:03 | - | -
アキコ・グレース
 昨夜は、ヤマハホールで行われた「アキコ・グレース バレンタイン・ナイト・コンサート」を聴きに行った。
 私はジャズは専門ではないが、アキコ・グレースは「日経新聞」の執筆仲間で、新年会のときに「ぜひ、聴きに来てね」といわれたため、出かけた。
 というのは、彼女は第2部でJ.S.バッハの「ゴルトベルク変奏曲」の即興を行ったのである。これが「聴きに来てね」といわれたゆえんだ。
 アキコ・グレースの演奏は、エレガントで流麗で柔軟性に富む。美しいドレスでピアノに向かうところも、ちょっとクラシック的。
 この日はバレンタインデー。いま大人気のパティシエ、辻口博啓氏のショコラのおみやげ付きで、彼も忙しい合間を縫って会場に駆け付け、ステージであいさつを。
  以前、彼女のCDのライナーノーツを辻口氏が執筆したのが友情の始まりとか。
 その2つのショコラの中身は、ひとつはフランスから取り寄せた桃の紅茶のフレーバー入り、もうひとつはドンペリのシャンパン入り。
 うーん、おしゃれでぜいたく。
 昨日はアキコ・グレースの音楽とショコラで五感に刺激を与え、しばし異次元の世界をさまよった。
 今日の写真は終演後の彼女のリラックスした表情と、さまざまな味と香りが凝縮したショコラ。音と味をお届けできないのがクヤシイ(笑)。



| 日々つづれ織り | 22:23 | - | -
旬のワカサギ
 寒さがきびしいこの時期になると、みずみずしいワカサギが魚屋さんの店頭に並ぶ。
 ワカサギはてんぷら、フライ、南蛮漬け、マリネなど、さまざまな料理法があるが、今日は旬のワカサギのもっともシンプルな料理法、フライを作った。
 まず、ワカサギはさっと塩を振って水洗いする。私は生臭みをとるために、しばらく牛乳少々に漬けておく。
 これをキッチンペーパーでしっかり水気を切る。ここでものすごくていねいに水分をとっておかないと、油に入れたときにはねるので、要注意。
 ワカサギに小麦粉、卵、パン粉をまぶし、きれいな色がつくまで揚げる。
 熱いうちにレモン、シークワーサー、ライム、すだちなど、柑橘類のしぼり汁をジューッとまわしかける。手に入る柑橘類なら、何でもOK。
 揚げる前に、用意しておきたいのがタルタルソース。タマネギ、ゆで卵、キュウリのピクルス、パセリをみじん切りにし、マヨネーズと和え、柑橘類を混ぜる。
 今日の写真は揚げたてのワカサギ。手作りのタルタルソースを添えて、さあ、どうぞ。この時期だけの季節限定レシピですぞ(笑)。


 
| 美味なるダイアリー | 22:10 | - | -
ナージャ・サレルノ・ソネンバーグ、セルジオ&オダイル・アサド
 息の合った演奏家同士の共演は、実力がより強く発揮され、音楽の楽しさが倍増する。
 イタリア出身のヴァイオリニスト、ナージャ・サレルノ・ソネンバーグと、ブラジルのギター・デュオ、セルジオとオダイルのアサド兄弟の場合も、才能と才能がぶつかりあい、とてつもないパワーを生み、聴き手をとりこにした。
「インタビュー・アーカイヴ」の第33回はその3人。音楽も濃厚で情熱的ではげしいものだけど、彼らの顔も「すごく濃い(笑)」。3人そろうと、なかなか壮観。こちらも体温が5度くらい上昇する感じだった。

[FM fan 2000年7月10日〜7月23日号]

「曲想がガンガン湧いてきたよ」(セルジオ)
「兄貴は演奏での難しい面は全部オレにおっかぶせる。ひどいもんだよ」(オダイル)
「即興なんて、目が点になっちゃうわよ」(ナージャ) 


 ナージャ・サレルノ・ソネンバーグといえば、ヴァイオリンの濃厚な響きと個性的な容貌、枠にとらわれない奔放な性格で有名だ。ギターのアサド兄弟も濃さでは負けていない。見事なひげは濃い顔の作りをいっそう際立たせ、演奏も深い思考と超絶技巧、内に秘められた情熱などを特徴とし、しかもそれらがごく自然な形で表現される。
 この3人がトリオを組んで録音したのが「GYPSY」(ワーナー)。セルジオ・アサドが各地のロマ(ジプシー)音楽を自分のフィルターを通してスリリングな曲に仕上げたもので、すさまじい超絶技巧が随所に盛り込まれている。
「兄貴はいつもそうなんだ。自分は作曲にエネルギーを費やすから、演奏での難しい面は全部オレにおっかぶせる。ひどいもんさ。これだってとてつもなく難しい奏法が出てきて、ホント録音中は頭が火事になりそうだったよ」
 弟のオダイルはふだん寡黙だが、曲の難しさに触れると、途端に火を吹く。これに呼応するのがナージャだ。
「あら、私の譜面もものすごく難しいわよ。こんなの弾けるわけないじゃない、っていうところがいくつもあったもの。私はクラシックのヴァイオリニストなのよ。即興なんて、目が点になっちゃうわよ。オダイルが火山爆発なら、私は嵐の状態だったわね」
 とにかく録音はすさまじい雰囲気で行われた。だが、セルジオは彼らならできると判断し、難曲を課した。
「オダイルがブーブーいうのは、いつものことさ。ぼくはナージャに初めて会ったとき、その音楽にほれ込んだんだ。すごいエネルギーとパッションがある。曲想がガンガン湧いてきたよ」

演奏も性格も嵐のよう


 アサド兄弟がニューヨークのナージャの部屋を訪れたのは、音合わせのとき。彼らはナージャの部屋に飾ってある鮫のはく製に度肝が抜かれた。
「ふたりはね、私が以前捕獲した鮫が部屋にドーンと置いてあるのを見て恐怖を感じたらしいの。なんていう恐ろしい女だろうって思ったみたい。これは共演するのは大変だってね」
 ナージャはこういって大笑いする。
「そりゃそうだよ。なんて危険な女性だろうって思った。捕って食われるかもって(笑)。でも、音楽的にはピッタリ合ったんだ。不思議だよねえ」
 アサド兄弟は口をそろえる。しかし、ナージャは最初、ふたりのなかに入っていくのに大変な苦労を要した。
「だって、相手は常にふたり一緒に演奏している。すべて理解しつくしているわけでしょ。私はやっていることも違うし、兄弟でもない。共演が決まったときはすごくナーバスになっちゃって、長い間悩んだの。それで初対面のときはカチカチ。でも、その後飲みにいったらすっかり意気投合しちゃって、いまでは妹みたいなもんよ」
 5月には東京・台場にオープンしたライブ&レストラン、トリビュート・トゥ・ザ・ラブ・ジェネレーションで彼らのライブが行われ、このCDから何曲か披露した。
 その演奏は熱くはげしく深く、ナージャはほとんど暗譜。終始ふたりのギターに雄弁に語りかけ、オダイルはひたすらギターを情感豊かに歌わせ、セルジオが全体をコントロールしていた。彼らはヴァイオリンと2本のギターという斬新な組み合わせを存分に楽しませてくれた。
「私にとって、一番難しかったのはすべてが新しいということ。共演者、作品、そして演奏する場も。最初は1音ずつ音を読んでいかなくてはならなかったから大変だったけど、こういう曲を演奏した後にいつものクラシックのレパートリーに戻ると、何かが違っていることに気づいたの。リズムやフレーズのひとつひとつに新しい感覚で立ち向かえる。弾き慣れた曲に異なる角度からの解釈が加わるわけ。これは発見ね。ふたりに感謝しているわ」
 ナージャがこういうと、アサド兄弟はわざと深々とおじぎをする。
「それはどうも。ぼくたちは彼女からエネルギーをもらったよ。こっちが疲れていると、途端にゲキが飛んでくる。演奏も性格も嵐のようにすごい妹さ」

 今日の写真はその雑誌の一部。このインタビューは時間を過ぎてもみんなの話がいっこうに終わらず、お祭りのようだった。あまりにテンションが高かったため、私は1週間くらい、思い出すとクラクラとめまいがする感覚にとらわれた。いやはや、ものすごく熱い3人でした。

| インタビュー・アーカイヴ | 23:23 | - | -
北川曉子
 初期の教育の大切さを説くピアニストで教育者でもある北川曉子は、「ムジカノーヴァ」(今月発売号)のインタビューで非常に有意義な話をしてくれた。
 彼女は日本でL.コハンスキー教授に、ウィーンでR.ハウザー教授に師事している。その先生たちの教えが、東京芸術大学音楽学部教授として生徒を教える立場になったときにとても役立ったと述懐する。
「ピアノを教えるとき、曲の構造やどういう和声を用いているか、どういう形式で書かれているかということは教えられます。でも、どんなふうに弾いたらいいか、どんな気分で演奏すべきかということは教えるべきではないと思います。それは生徒ひとりひとりが自分で考えることだからです」
 よく、この曲はこういう景色が浮かんでくるようにとか、こんな気分になって弾くようにという教えがあるが、北川曉子は教師はそれをすべきではないと断言する。
 彼女は「日本人はリズムと和声に弱い」といわれることを考慮し、自身も学生時代に作曲家に就いて和声の勉強を徹底して行った。そして現在は、生徒たちにその大切さを説く。
 話を聞いていると、とてもきびしいレッスンが行われるように感じられるが、実質的で理論的で愛情深いレッスンはとても人気があり、生徒たちはみな楽しいと感じ、笑顔でレッスンにやってくるそうだ。
 そんな彼女は、これまでもベートーヴェンのピアノ・ソナタ全曲演奏を2度行っているが、2011年12月から2012年6月にかけて(全7夜)、第3回目の全曲演奏会に取り組んでいる。
 3月16日(津田ホール 19時開演)の第4夜は、東京芸術大学音楽学部退任記念コンサートと銘打ち、長年の教授生活を退任する記念のリサイタルとなっている。
 プログラムはピアノ・ソナタ第10番、第22番、第29番「ハンマークラヴィーア」。
「ベートーヴェンのピアノ・ソナタはずっと身近にある存在。弾くたびに新たな発見があり、昔は偉大さばかりに目が向いていたけど、いまは人間ベートーヴェンの奥に潜むものに近づきたいと思っています。世界各地で研究が進むんでいるため、楽譜の読みかたも変わってきました。それを表現したい」
 北川曉子は好奇心旺盛でエネルギッシュで、豊かな探求心と前向きな精神の持ち主である。
 3月には教授職から離れるため、自由な時間ができる。「時間ができたら何をしたいですか」と聞くと、こんな答えが戻ってきた。
「以前少し弾いていたヴァイオリンをまたやりたいと思っているの。それから語学もまたいろいろ勉強したい。私は本の虫で、本がないとダメなタイプ。時間ができたら、読みたい本はたくさんあるのよ」
 こういう知的好奇心があふれんばかりの人と接すると、そのオーラに自然に包まれ、私もいろんなことに挑戦したくなる。生徒たちが笑顔でレッスン室に現れるのがわかるような気がした。
 今日の写真はインタビュー時のワンショット。そうそう、彼女が最後に語ったことばも印象的だった。
「人間は現状に満足してしまったら、それでおしまい。演奏もどうしたら聴いてくれる人に伝わるのだろうか、と常に疑問を感じ、否定形で物を考えないと。自己満足の演奏はだれも聴いてくれないから」



 
| 情報・特急便 | 23:28 | - | -
たっぷりミートのポテトコロッケ
 山もりの安いジャガイモを見つけると、途端に豚ひき肉をたっぷり入れたポテトコロッケが頭に浮かぶ。
 近所のオーガニックショップでジャガイモ、タマネギ、豚ひき肉を仕入れ、さっそく作り始めた。
 ジャガイモ大4個をひと口大に切ってゆで、マッシャーでつぶす。タマネギ中2個は粗いみじん切りにし、豚ひき肉200グラムとオリーブオイルで炒め、塩、コショー各少々で下味をつける。
 すべてを合わせ、適当な大きさに丸め、小麦粉、卵、パン粉をつけておく。私は衣の厚い揚げ物は苦手なので、それぞれ薄めにまぶし、特にパン粉はこまかくひいたものを使っている。
 今日は小さめのコロッケが22個できた。形はふぞろいでも大丈夫。なんたって家庭の味だもん、中身で勝負よ(笑)。
 これはキャベツの千切りやサラダと一緒に盛りつけるのもいいけど、行きつけのベーカリーでパンをサンドイッチ用に薄く切ってもらい、コロッケサンドを作るのも楽しみ。
 さらに忙しいときの簡単レシピとして、カツ丼を作る要領でトンカツをこのコロッケで代用。コロッケの卵とじ丼もお勧め。これは定食屋さんのおかずみたいだけど、男性に絶大なる人気。
 タマネギの薄切りをだし汁と砂糖、酒、しょうゆを入れたなかでコトコト煮、コロッケの厚さを半分に切ったものを加え、卵でとじて半熟状態のときにミツバの葉ををひらひらとトッピング。温かいごはんを入れた丼にザザーッと乗せて、はい召し上がれ!!
 手作りコロッケがひとつあれば、あれこれレシピは変幻自在。でも、揚げたてのコロッケを何のソースもかけずにハフハフいいながらぱくつくのが、一番素朴でおいしいかも。
 今日の写真はできたてのコロッケ。形はよくないかもしれないけどけど、メチャメチャおいしいんですよ。どこかに差し入れでもって行こうかな(笑)。


 
 
| 美味なるダイアリー | 13:14 | - | -
小山実稚恵
 小山実稚恵がアルバム・デビューを果たしたのは、1987年2月2日のことだった。ショパンのピアノ・ソナタ第3番をメインに据えた選曲だったが、あれから彼女は日本を代表するピアニストのひとりとして活躍、今年録音デビュー25周年を迎える。
「本当に早いですよねえ。なんだか、昔のアルバムのジャケット写真を見ると、恥ずかしくって…」
 ご自宅にインタビューに伺うと、彼女はいつもながらのおだやかな笑みを浮かべて、本当に恥ずかしそうに笑った。
 小山実稚恵は東北の出身ゆえ、震災以来「音楽の力を信じたい」「被災地に音楽を届けたい」という強い気持ちから被災地での演奏を続けている。
 そして25周年を記念した新譜も、幅広い人々が耳を傾け、音楽のすばらしさに触れることができるよう、ピアノの小宇宙のような作品を集め、大好きな16曲で構成した。
「ヴォカリーズ」と名付けられたアルバム(ソニー)は、初めての録音となるスカルラッティとシマノフスキが入っている。さらに彼女自身が北国の育ちゆえ、その空気の感触が自然に理解できるというロシア作品、さらに弾きながら胸がキューンとなってしまうというブラームス、これにリスト、ドビュッシー、シューマン、グラナドスなどが加わり、小品といえども聴きごたえたっぷりの作品がずらりと勢ぞろい。
 そして最後を飾るのは、J.S.バッハの「平均律クラヴィーア曲集」第1巻の第4番。これがフィナーレにふさわしい味わい深い演奏となっている。
「いま、私の思いの入る曲、心情を映し出す曲を選んだの」
 思えば、彼女がショパン国際ピアノ・コンクールで入賞した1985年から、私はピアノ雑誌の編集に携わるようになった。その意味で、彼女の成長は私自身の成長とも重なる感じがして、25周年と聞き、とても感慨深かった。
 このインタビューは次号の「intoxicate」に掲載される予定である。
 長年ひとりのアーティストの演奏を聴き続けるのは、いつも感じていることだが、そのアーティストの人生をたどることにつながり、意義深い。
 小山実稚恵の新譜を聴きながら、自分の仕事を振り返り、少しばかりノスタルジックな思いに駆られた。ふだんは過去を振り返らない主義だけど、今日はどうしたんだろう、これも音楽の力なのかもしれない。ちょっとおセンチ(笑)。
 今日の写真はインタビュー時の小山実稚恵。この横に愛する猫ちゃんがいる。写真には写らなかったけど。

| 情報・特急便 | 23:18 | - | -
宮田大&三浦一馬
 今日は王子ホールで13時半から行われた「銀座ぶらっとコンサート」の宮田大の「大ism VOL2」を聴きに行った。
 今回のゲストはバンドネオンの三浦一馬。若いふたりが奏でるチェロとバンドネオンのデュオはとても珍しい組み合わせだが、不思議に音色がマッチし、ピアソラをはじめとする曲では息の合った二重奏を聴かせた。
 宮田大が「チェロとバンドネオンはヴィブラートをかけるところとか、人間の声を思わせる音色がよく似ていて、とても合うことがわかった」と演奏の合間のトークで語っていたが、本当に音の質が合っていた。
 彼らはいま上り坂を一気に駆け上がっている勢いに満ちたアーティスト。こういうみずみずしい才能に触れると、なんだか元気が湧いてくる。
 もちろん、チェロのソロでJ.S.バッハの「無伴奏チェロ組曲第1番よりプレリュード」、バンドネオンのソロではガーシュウィンの「ラプソディ・イン・ブルー」なども組み込まれ、実力を存分に堪能することができた。
 なかでも、宮田大がヨーロッパでよく演奏しているという日本の作品、黛敏郎の「文楽」が印象深かった。
 これは文楽(人形浄瑠璃)における大夫(浄瑠璃語り)と太棹(大型の三味線)の演奏をチェロ1本に置き換えた作品。さまざまな奏法が盛り込まれ、まさに文楽を見ているような思いを抱かせる。
 こうした作品はナマで聴く機会が少ない。今日は宮田大の演奏の新たな面を知り、作品のすばらしさも味わうことができた。
 写真はそんな若き逸材、ふたりの終演後の笑顔。このコンサートは銀座の午後のひとときとあって満員。お茶のサービスなどもあり、聴衆はみなリラックスした雰囲気に包まれていた。
 CDのサイン会も盛況。やはり音楽というのはこういうふうにゆったりとくつろいで楽しむものなのだろうな。私のように、このあとまたバタスタと仕事に走っていく人はだれもいない。やれやれ、せわしいのって、本当にイヤですねえ(笑)。



 
| クラシックを愛す | 23:56 | - | -
辻井伸行
 今日はサントリーホールに辻井伸行のリサイタルを聴きに行った。
 これは昨年の12月から今年の3月にかけて全国で行われている日本ツアーの一環で、東京公演は昨日と今日のサントリーホール2回。すべて30分で完売したそうで、地方公演もほとんど完売というすごさ。
 今回のプログラムはモーツァルトとベートーヴェン。今夜はまずモーツァルトの「きらきら星変奏曲」がピュアな音色と粒のそろった柔らかいタッチで奏され、聴き手を一気に辻井伸行の世界へといざなう。
 次いでモーツァルトのピアノ・ソナタ第10番がかろやかに愛らしく、多彩な響きを駆使して紡がれ、辻井伸行のいまの心身の充実を示した。
 後半はベートーヴェンのピアノ・ソナタ第17番「テンペスト」と第21番「ワルトシュタイン」。いずれも集中力に満ちたすばらしい演奏で、表現力が増し、これまでで最高の存在感を放っていた。
 彼は、まさに本番のステージで成長していくタイプ。デビュー当初から聴き続けているが、そのつど大きな飛躍を遂げている。
 モーツァルトとベートーヴェンという、ピアニストのすべてがあらわになってしまう作品で勝負に出たその気合いも見事だが、アンコールに映画音楽などの自作を何曲も演奏して聴衆の緊張感をほぐし、リラックスした雰囲気にもっていく手法にも脱帽した。
 アンコールのときにステージから一生懸命みんなに語りかける様子はとても好感がもて、ホール全体が温かい雰囲気に包まれた。
 先ごろ、辻井伸行の「カーネギーホール・デビューLIVE」のDVD(エイベックス)がリリースされたばかり。CDは昨年末にすでに発売されている。
 それを辻井伸行はトークのなかで自ら「ホールで売っています」と宣伝。聴衆の笑いを誘った。
 このコンサート・レポートは次号の「音楽の友」に書く予定になっている。辻井伸行は無限の可能性を秘めている。また次回の演奏が楽しみになる、そんな聴き手を心待ちにさせてくれるピアニストである。
| クラシックを愛す | 23:47 | - | -
アストル・ピアソラ
 ああ、ようやく締め切り地獄から這い出た感じだ。なんだか、まわりの空気が違って見える(笑)。
 実は、次号の「モーストリー・クラシック」はピアソラの特集ということで、以前ピアソラについてインタビューをしたギドン・クレーメルとヨーヨー・マの原稿を入稿したばかり。
 この原稿を書いていて、ピアソラに関して熱く語っていたクレーメルとヨーヨー・マの表情をなつかしく思い出した。
 彼らのピアソラの録音はいまでも大切に聴き続けているが、本当にピアソラの音楽に惚れ込んでいるのがわかる情熱的な演奏だ。

 アストル・ピアソラ(1921〜1992)が残した録音を聴くと、まずその鋭角的で明快なタッチに驚く。バンドネオンとは、こんなにもはげしい音を出す楽器だったのかと。
 現在は多くの実力派のバンドネオン奏者がいる。彼らの奏でるバンドネオンはノスタルジックで哀愁に満ち、情熱的で多彩な表情をもっている。
 ところが、ピアソラのバンドネオンはちょっと趣が異なる。実際にこの楽器で生涯戦っていた人特有のすさまじく思いの強い音なのである。
 ピアソラは新しいタンゴを創造し、踊りの音楽から純粋に聴いて楽しむタンゴを生み出した。「タンゴの破壊者」とか「タンゴの革命家」といわれ、保守派からさまざまな妨害を受けた。
 だが、ピアソラは屈しなかった。彼は生涯自分のタンゴを模索し、曲を書き続けた。
「私はクラシックの作品を書きたいんだよ」
 子どものころバンドネオンでバッハやモーツァルトを演奏し、作曲の勉強をしていたピアソラは、クラシックの作曲家になる夢を抱いていた。しかし、結局はタンゴに自分の道を見出す。
 クラシックの演奏家が彼の音楽に魅了されるのは、ピアソラの曲にクラシック的な要素が見え隠れしているからかもしれない。
 ピアソラは常に恋をし、音楽で戦い、10キロ近いバンドネオンで自己を主張した。音楽も人生も味が濃い。
| ああ愉しき(?)、締切り地獄 | 14:33 | - | -
お店探訪
 旅に出ると、とかく野菜や果物不足になる。
 そこで私はいつも町を散策しながら八百屋さんや果物屋さんを見つけ、新鮮な野菜や果物をいくつか購入し、ホテルに持ち帰ることにしている。
 いつも感じるのは、海外のこれらお店はディスプレイがとてもおしゃれで、美しい。品物を無造作に入れてある木箱なども、絵になる感じ。
 こういうお店を見て回るだけでも、旅の楽しさが倍増。そして食材などもついつい買い過ぎて、トランクの重量が増し、あとで泣くことに…。
 今日の写真はフィレンツェの果物屋さんと、グラナダの香辛料のお店と同じくグラナダのサフラン専門店。サフランは日本ではとっても高価だから、このさいたくさん買っていこうかな、などと思ったら、もういけません。両手にいっぱい買ってしまう。すでに頭のなかはパエリャのレシピで満杯だ(笑)。
 うーん、どれもステキな並べかた。こういうのって、ずっとながめていても決して飽きないんだけど、どうしてかなあ。
 これ見ていたら、また旅に出かけたくなってきた。締め切りに追われていると、現実逃避したくなるのだろうか。いかん、いかん、真面目に仕事しなくちゃ(笑)。





| 麗しき旅の記憶 | 23:11 | - | -
美味なる打ち合わせ
 昨夜は、仕事の打ち合わせに御茶ノ水のホテルのフレンチレストランに出かけた。お相手は、会社の社長さんおふたり。
 フレンチレストランでおいしいワインを飲みながら、お料理をいただきながら、さまざまな話題で盛り上がり、その後、場所を変えてバーに移り、またまたおしゃべり。
 気がついたら12時を回っていて、夕方6時から始めた打ち合わせはなんと6時間を過ぎていた。
 おふたりはとても話題が豊富で、私もつられて仕事以外の話などもしてしまい、とても有意義なひとときを過ごすことができた。
 実は、いまは締め切り地獄のまっただなか。本当はこんなにリラックスしている時期ではないのだが、おふたりのおだやかな雰囲気と楽しい話術と仕事熱心な姿勢に巻き込まれ、日ごろの疲れが一気に吹き飛んだ。
 さてと、またまたパソコンと格闘しなくちゃ。これからまだ1週間くらいは気が抜けない。フィットネスにも全然行けないし。ああ、からだがバリバリしてきた。もっとスピードを上げて原稿を書かなくちゃいけないなあ。
 といっても、ひとつひとつの原稿がまったく異なる内容だから、時間がかかるし…。集中力の勝負だワ。エーイッ、集中力やってこーい(無理か 笑)。
 今日の写真は美しいフレンチのひと皿。完全フルコースのすばらしきお料理が次々に登場してきた。やっぱり、お料理って目でも楽しむものなのね。

| ああ愉しき(?)、締切り地獄 | 22:26 | - | -
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