Yoshiko Ikuma - クラシックはおいしい -Blog

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肩の荷が下りた
 キャッホー、夏から抱えていた単行本の原稿を昨夜すべて入稿した。
 肩の荷が下りたというか、肩がパリバリになっているというか。いまは疲労困憊の状態だが、精神的にはとっても楽になった。
 さあて、遊びに行くゾー。と、いいたいところだけど、来日ラッシュの真っただ中ゆえ、これからはコンサートとインタビューが相次いでいる。
 それでも、心はかろやか。これまですべてを犠牲にしてきたから、仕事の合間を縫って、まずはおしゃべり食事会をしたい。
 だれかー、誘ってくださいな。どこでも、どんなお料理でも、だれとでも行きますよー(笑)。
 それから、フィットネスをずっと休んでいるから顔を出さないといけないでしょ。腰痛がまたぶり返したし。
 買い物にも出かけたいでしょ。季節はもう秋を通り越して冬めいてきたから、ジャケットかセーターを見たいし。
 ああ、やりたいことがたくさんありすぎて、目が回りそう。
 でも、部屋を見回すと、あまりの散らかりように気が滅入る。まずは、お掃除が最優先事項だわ。
 とはいえ、当面はレギュラー雑誌の月末入稿が控えている。
 うーん、なかなかパーっと遊びに行くことはできないのね。ずっと集中していたから、緊張感から解放されて風邪をひかないようにしなくちゃ。
 でも、だれか自由の身になった私のお相手してくださーい!!
| ああ愉しき(?)、締切り地獄 | 17:55 | - | -
ジャン=マルク・ルイサダ
 今日は、次号の「音楽の友」の表紙を飾るフランスのピアニスト、ジャン=マルク・ルイサダの巻頭インタビューの原稿を書いた。
 ルイサダは、1985年のショパン・コンクールの入賞者。コンクール直後、当時彼が住んでいたブーローニュの森の近くの自宅に取材に行き、以来何度もインタビューを行ってきた。
 もちろん、ずっと演奏も聴き続けている。
 ルイサダは、最近教える仕事も多く、いまは演奏活動と後進の指導の割合が半々になっているそうだ。
 記事にはその教えかた、いまの若いピアニストたちの音楽に対する姿勢、先生としてのありかた、そしてピアニストとしての心構えなど、彼が雄弁に語ってくれたことを綴った。
 実は、最初に自宅を訪れたときに、ルイサダは興味深い写真を見せてくれた。彼はショパン・コンクールに2度挑戦し、2度目に入賞を果たしたわけだが、1980年に受けたときの写真を見せてくれたのである。
 私はそれを見た途端、大声をたてて笑いころげてしまった。
 そこには、いまのルイサダとはまったく異なった顔をした彼がいたからだ。短髪をなでつけ、黒ぶちのメガネをかけ、ふつうのスーツにネクタイを締めた、およそピアニストらしからぬ風貌の若い男性が写っていた。
「ええーっ、これ本当にあなた?」
 私は驚きの声を上げながら、しかも笑いながら聞いた。
「そうなんだよ、さえないだろう。昔はこんなダサい格好をしていたんだよ」
 没個性のルイサダは、演奏も個性が感じられず、落選したと考えた。そこで5年間かけて徹底的に自分を磨き、演奏を立て直し、再度の挑戦で入賞にこぎつけたというわけだ。
 しかし、その後、私が彼に会うごとにこの写真の話を持ち出すため、ルイサダは「もう、いい加減に忘れてよ。わざわざ日本から取材にきてくれたから、とっておきの写真を見せてあげたんだよ。あれは、本来は秘密にしておきたいものなんだ。いいね、もうあれはなかったことにして」
 へっへっへ、そうはいかないもんね。私の脳裏には鮮明にあの顔が焼きついているんだから。また、しばらくしたら、かまっちゃおうっと(笑)。
 今回のインタビューは、もちろん大真面目な内容。新譜の「主よ、人の望みの喜びよ、トルコ行進曲&月光ソナタ」(ソニー)の話も含み、ピアニストにとって感性を磨くことがいかに大切かという話題に終始した。
 彼は11月24日に紀尾井ホールでリサイタルを開く。プログラムは、ショパンの作品の間にドビュッシーをはさむというスタイル。
「私は演奏会も録音も、伝統的な作品でプログラムを構成することを好む。アンコールピースのような小品を並べることはしたくない。厳格な作品が好きなんだよ」
 彼は音楽のみならず、芸術全般に関心があり、話題は次々に広がっていく。
「人間、好奇心を持ち続けることが大切だと思うよ」
 ルイサダは音楽家以外の友人も多い。そうした交流のなかで、感性を磨いているのだろう。
 でも、あのまだ洗練されていない若いときのルイサダ、本当に印象深い。あっ、またもやこの話題になっちゃった。また、にらまれるな(笑)。
 今日の写真はインタビュー時の1枚。ハイハイ、いまはすっごく洗練されていますよ。

| 親しき友との語らい | 21:55 | - | -
ニコライ・ホジャイノフ
 今日は、先日のニコライ・ホジャイノフのインタビュー記事をヤマハWEB「音楽ジャーナリスト&ライターの眼」に書いた。おそらく、記事アップは2週間後くらいだと思う。
 WEBの原稿というのは、大体の文字数が決められているだけで、長さはかなり自由。だから思いっきりたくさん書くことができる。
 通常、インタビュー記事というのは、800字から2000字くらいの間が多い。でも、WEBの場合は、軽く4000字ほどは大丈夫。
 今日も、書き始めたらどんどん増えてしまい、すごく多くなってしまった。このくらい書くことができると、アーティストのことをかなり詳しく伝えることができる。
 インタビューは記事が長くても短くても、通常は写真撮影込みで約1時間だ。私は早口なので、ものすごく多くのことをガンガン聞く。それがあとで短い文字数だといわれると、もったいないくらい内容をそぎ落とすことになってしまう。
 雑誌はページに限りがあるから仕方がないが、やっぱりたくさん書くときのほうがいい記事になる。
 ホジャイノフはまだ20歳なのに、話は哲学的で、成熟したピアニストのよう。これをほんの短い文章で表すのは至難の業だ。今回は、かなり多くの要素を盛り込むことができたため、彼の人となりをある程度詳しく伝えることができたように思う。
 私はインタビュー記事を書いていると、時間が経つのを忘れてしまう。休みなく、一気に書きたいからだ。
「インタビュー、一番得意ですよね」
 こういわれることが多いけど、本当にそう。インタビュー記事は実に楽しい。人間に興味があるからかな。人の話を聞くのが好きだからかな。
 いずれにしても、いまや来日ラッシュ。またインタビューの仕事が多くなってきた。疲れたからだにムチ打って、頑張るゾー(笑)。
  
| 日々つづれ織り | 22:50 | - | -
追い込み
 いまは単行本の追い込みで、あっというまに1日が過ぎてしまう。
 来週の半ばには全部入稿しなければならないから、今週が正念場だ。ただし、集中力と体力と気力が限界にきているためか、思うようにはかどらない。
 みんな、こういうときにはどうしているのだろう。だれか、仕事の効率が上がる方法を教えてくれないかなあ。
 私は自分をだましだまし、なんとか折り合いをつけてやっていくしかないと思っているのだが、なんとも歩みはのろい。
 そののろい進み具合のなかで、少しずつ峠を目指して足を運んでいくしかないんだよね。
 でも、もう来週は出かける仕事やコンサートが目白押し。その前に仕上げなくてはいけない。
 ああ、時間よ、止まってほしい!!
 
| ああ愉しき(?)、締切り地獄 | 21:44 | - | -
ベートーヴェンのピアノ・ソナタ
 最近、ベートーヴェンのピアノ・ソナタ全曲演奏や全曲録音を行うピアニストが増えている。
 ベートーヴェンは生涯に32曲のピアノ・ソナタを残した。これらはピアニストにとってJ.S.バッハの作品と同様バイブルと呼ばれるもので、多くのピアニストが演奏家生命を賭けてリサイタルやレコーディングに臨む。ピアニストにとってベートーヴェンに取り組む時期はかなり異なるものの、ライフワークとなることには相違ない。それほどこれらのソナタは奥が深い。
 ベートーヴェンの活躍した18世紀末から19世紀前半は、ピアノという楽器が表現能力を大きく変遷させていった時期である。ベートーヴェンは生涯にまったく種類の違い楽器を少なくとも5台は使い分けたといわれるが、それが作品に如実に現れ、最晩年のソナタには超低音が登場する。これなど楽器の発達抜きには考えられない。
 ベートーヴェンの作品を演奏するとき、こうした時代の流れも念頭に置いて考えなければならない。初期の作品にはまだチェンバロやクラヴィコード的なかろやかなタッチを必要とするフレーズが顔をのぞかせているからだ。
 毎月、ベートーヴェンの新録音がいくつかリリースされるごとに、この作曲家の偉大さを改めて知る思いにとらわれる。それぞれの演奏が非常に異なった解釈、表現、奏法を備え、個性的な演奏となっているからである。
 こうした多彩な解釈と表現が可能だからこそ、バイブルとして愛され続けているんでしょうね。
 さて、また新譜を聴き、月末のCD評を書く音源を選ぶとしましょうか。
| クラシックを愛す | 22:04 | - | -
マリア・カラス
 今月号のモーストリー・クラシックの特集は、「カラスと世界の名歌手格付け」。
 そのなかで、1974年秋にカラスのリサイタルを聴きにいったときのことを書いた。あのときの記憶はいまだ心の奥に深い印象となって残っている。
 20世紀最高のソプラノといわれたマリア・カラスの最盛期は1950年代だった。このころのカラスは「アイーダ」を得意とし、イタリアの誇るテノール、マリオ・デル・モナコと共演したステージでヴェルディも書いていない超高音、3点ESを出したことは特に有名である。
 ミラノ・スカラ座にデビューしたのも、フィレンツェの5月音楽祭で絶賛を浴びたのもこのころで、ヨーロッパのみならずメキシコにもたびたび演奏旅行に出かけている。そして、50年代中ごろには体重を30キロも落として美しく生まれ変わり、世間をアッといわせた。しかも声はまったく衰えず、次々とオペラの大役をこなしていった。
 カラスは1923年12月ニューヨーク生まれ。47年ヴェローナ野外劇場の「ラ・ジョコンダ」でイタリアにデビュー。このとき知り合った富豪のメネギーニと結婚。それからのカラスは名指揮者セラフィンの指導を受けるようになったり、ヴィスコンティの演出によって歌ったりと、着実にキャリアを伸ばしていく。しかし、有名な、オナシスとの運命的な出会いによりメネギーニと別れてから、彼女の人生はスキャンダルにとりまかれるようになり、このころから声にかげりが見られるようになっていく。
 74年、カラスは日本にやってきた。真紅のドレスでステージに現れた彼女は、声に往年の張りは見られなかったものの、その存在感は第一線で活躍した人だけが持つ独特の雰囲気があり、それゆえ声の衰えがなおさら聴く者の胸をしめつけた。
 カラスはオナシスから贈られたパリのアバルトマンをこよなく愛し、バルコンにはいつも真っ赤な花を絶やさなかった。晩年はディ・ステファノとジョイント・リサイタルをしたり、パゾリーニの映画に出演したり、ジュリアード音楽院で後進の指導にあたったりしたが、概して孤独だった。
 彼女が53歳の若さで突然この世を去った翌年、このアバルトマンを訪れたが、主のいなくなったその部屋は鎧戸がピッタリと閉まり、古い植木鉢だけが並んでいた。いま、あの部屋はどうなっているだろう。
 
| アーティスト・クローズアップ | 22:18 | - | -
カリフラワーとワカメのツナサラダ
 ようやく、ムックの長い原稿をすべて入稿した。やれやれ、肩がバリバリ状態だ。
 こういうときは、やっぱりおいしいワカメでミネラルを補給したい。この間いただいた阿波名産の鳴門ワカメをたっぷり食べることにしようかな。
 というわけで、カリフラワーとキュウリとワカメとツナのサラダを作ることにした。 
 カリフラワー(小)1個は葉と茎を除き、丸ごと蒸し器でやわらかくなるまで蒸す。私はゆでずに、蒸している。こうすると水っぽくならないから。蒸しあがったら、食べやすい大きさに切っておく。
 キュウリ1本は小さめの乱切りに。乾燥ワカメ30センチは水で戻して、小口切り。ツナ缶のツナは50グラム用意する。
 これらをお皿に盛りつけ、たれ(しょうゆ、酢各大さじ1、ゴマ油大さじ2分の1)をまわしかける。
 私はこのたれに結構こだわり、おしょうゆはオーガニックの生しょうゆ、お酢ははちみつ屋さんのはちみつ酢、ゴマ油は香りのいい熟成したしらしぼりを使っている。ちょっとたれに凝るだけで、味はぐんとよくなるため。
 もちろん、たれの濃さはお好み次第。好きな濃さに加減してくださいな。
 このサラダ、ごはんにも合うし、おつまみにもいける。かなりの量を作っても、すぐになくなってしまうほどの人気者。
 でも、やっぱりワカメがいいからよね。うーん、だいぶミネラルが補給できた感じがするゾ。週明けに疲れは残したくないもんね
 今日の写真はできたてのカリフラワーとワカメのツナサラダ。そうそう、これはツナも決め手になる。ノンオイルがおススメ。なぜなら、たれにオイルを使っているから。
 以前、季節限定の上質なツナ缶に出合い、その新鮮なおいしさにびっくりしたことがある。ツナ缶なら何でもいいやと思わず、ぜひ吟味してね。


 
| 美味なるダイアリー | 21:51 | - | -
アンドレイ・ニコルスキー
 先日、あるピアニストとの話のなかでエリーザベト王妃国際コンクールのことが話題となり、急にアンドレイ・ニコルスキーのことを思い出してしまった。
 私がニコルスキーの演奏を初めて聴いたのは、1987年にブリュッセルで行われた第25回エリーザベト・コンクールのときのこと。このとき彼は最初から本命視されていたが、本選で圧倒的な迫力に富むラフマニノフのピアノ協奏曲第3番を演奏し、優勝を勝ち取った。
 当時、27歳。決して早すぎる栄冠ではなかった。24歳のときに旧ソ連からドイツに亡命し、苦労したのちに手にした優勝だった。一夜明けた翌朝のインタビューでは、こんなことばを残している。
「いままでどんなに働きかけてもだれも振り向いてくれなかったのに、第1位になった途端、世界中からコンサートの依頼やレコーディングの電話がじゃんじゃんかかってくる。ぼく自身はちっとも変わっていないのに、この反応の変化にはびっくり。人生って不思議なものだよね。ここでいい気になったらおしまいだと、いまは自分を落ち着かせるのに精いっぱいなんだ」
 ニコルスキーは複雑な表情を隠さなかった。彼はコンクールで演奏した各々の曲目の自己評価をこまかく語ってくれたが、それによるともっとも納得いく演奏ができたのは本選のコンチェルトで、もう一度弾き直したいほどだというのは、同じく本選で弾いたショパンの「舟歌」だった。
 ニコルスキーは大変な汗かきである。それがステージ衣裳にも表れ、タキシードや燕尾服などは大嫌い。できる限り涼しく演奏しやすいものということで、コンクールでも黒のワイシャツというかドレスシャツ1枚といういでたちで現れた。これは賛否両論の的となったが、本人は涼しい顔。
 このようになにごともマイペースで、性格的には一途で妥協を知らない。真っ正直に自分の意見をいい、おせじや立ち回りがうまくないため、周囲の人々と常に争いが絶えなかった。
 ピアニストは体力が一番とばかりにからだを鍛え、ジム通いや泳ぎを欠かさない。それがそのまま演奏に反映され、弱音も決してヤワではなく、音楽が一本筋の通った強さを見せていた。
 だからだろうか、この人の演奏は初めは平常心で聴いていても、徐々にその強靭さに引きつけられていき、最後はその熱気にからだじゅうが満たされていることに気づく。
 そんなニコルスキーの突然の訃報が入ったのは、1995年2月3日。ベルギーに住んでいた彼が交通事故で亡くなったというニュースが飛び込んできた。
 この日、ニコルスキーは仕事の打ち合わせで秘書の家に立ち寄り、深夜になって山道をクルマで走っていたときに、急に目の前に小さな動物が現れ、それをよけるためにハンドルを切りそこねて崖下に転落。即死だったそうだ。享年35。1時間以上経過しても自宅に戻らない彼を心配し、家族が捜索願いを出して事故が判明した。
 このときの最新情報としては、ロシアで指揮の勉強をしていて、近々サンクト・ペテルブルクで指揮者デビューをすることになっていたとか。その矢先の事故だった。
 個性的なマスクをした寡黙なタイプの彼は、日本での人気は決して高くなかったが、こういう人は40歳すぎて真の実力で勝負に出たときに評価が定まるのではないだろうか、とひそかに思っていただけに残念でたまらない。
 いまでも、あのコンクール時の熱い演奏は胸の奥に確固とした形でいすわっている。
| クラシックを愛す | 22:35 | - | -
カジキマグロと五色豆のイタリアンサラダ
 先日いただいたすだちをおいしく食べようと、日々知恵を絞っている。
 今日は、肉厚のカジキマグロが手に入ったため、先日のフライとはまた違ったレシピを考えた。
 まず、お皿にサラダ菜5枚を敷き、その上にひと口大のモッツァレラチーズ5個を半分に切ったもの、うずらの卵5個をゆでて半分に切ったもの、プラムトマトを半分に切ったもの、そしてイタリア産の五色豆のゆでたもの(缶詰)を適宜並べておく。
 カジキマグロ2切れは食べやすい大きさに切り、塩コショーを振り、薄く小麦粉をまぶしてオリーブオイルでこんがりと焼く。
 これをお皿の中央に乗せ、すだち2個を添える。
 食べるときにすだちを思いっきりギューッとカジキマグロの上に絞り、周囲にはバルサミコ酢とエクストラバージンオリーブオイルをたっぷりまわしかける。
 これでさっぱりしたシンプルな味の、ちょっとシチリア風のサラダが出来上がる。
 もちろん、ワインは欠かせないけど、さっと焼いたパケットにニンニクの香りをこすりつけ、オリーブオイルをたらしたガーリックトーストも添えたい。
 今日の写真はそのサラダ。すだちは本当にいい香り。疲れが一気に吹き飛ぶ感じだ。レモンとは多分に趣を異とし、まろやかでしっとりした味わい。
 いやあ、ワインが進みますなあ(笑)。

| 美味なるダイアリー | 18:04 | - | -
ヨーロッパの香り
 仕事を通じて知り合ったかたが今夏ヨーロッパに旅行し、そのお土産にさまざまな物を買ってきてくれた。
 そのほとんどがハートの形をしている。パスタからキッチン用の小物まで、すべてハート。うーん、愛がいっぱいという感じだ。あっ、でも、このかた、女性なんですよ(笑)。
 もっとも興味深かったのは、クッキーなどの型抜き。音符と弦楽器とモーツァルト。箱を開けた途端、笑ってしまいましたよ。なんてユニーク。ああ、早くこの型抜きを使ってクッキー焼きたいなあ。
 これ、いまの私にはほど遠い願望のように思える。
 でも、ながめているだけでほんわか幸せな気持ちになってくるから不思議だ。Tさん、ありがとう!! 仕事漬けの私は、心が癒されています。
 というわけで、今日も朝から晩まで働きっぱなし。もうからだが悲鳴を上げていて、目もショボショボだ。
 こういうときは、赤ワインかブドウジュースが効くんじゃないだろうか。と勝手に考えて、いそいそ。
 さて、一杯いきますか。もうパソコンとはおさらばして、少しは目を休ませないとね。
 今日の写真は、Tさんからいただいたヨーロッパの香り。いいよねえ、ながめているだけでおだやかな気持ちになれるし、ついでにクッキーの香りもどこからか流れてくるような気になるし(笑)。

| 日々つづれ織り | 22:26 | - | -
五嶋龍
 今日は五嶋龍のインタビューのため、ユニバーサルに行った。これは角川マガジンズの「毎日が発見」に書く予定である。
 彼の取材は11歳のころから続けているため、これまでさまざまな話を聞いてきたが、昨年 ハーバード大学(物理学専攻)を卒業したと聞き、なんと時間のたつのは早いものかと感慨を新たにした。
 五嶋龍は11月21日から12月9日まで全国リサイタル・ツアーを行うことになっていて、それに先駆け11月14日には「リサイタル/五嶋龍」と題した新譜をリリースする。
 龍くん(長年この名で呼んでいるので、急には変えられないため、このままでいきます)は、一時期ヴァイオリニストの道に進もうか、それとも他の選択肢があるのではないかと迷っていたことがあったが、いまはヴァイオリンに集中している。
「他のことは、まだ先送りしてもいいけど、ヴァイオリンはいまやるべきことだと思ったから」だという。
 ずっと演奏を聴き続けていると、その人の成長と経験と歩みが演奏に反映し、変貌していく様子がリアルにわかるものだが、龍くんの場合も演奏に自信がみなぎり、説得力が増してきた。
「今回の演奏、すごくいいですよ」
 彼は自画自賛を照れもせずに口に出すところが、やはりアメリカ育ちだ。自分の演奏には絶対的な自信を持っている。
 そして、ヴァイオリンを通して人々とコミュニケーションをとることが「最高の喜び」だと明言する。
 今回はハーバードで知り合った友人の話、その友人のひとりの祖国ガーナで演奏した話、ガーナの高校生が日本語を勉強していて驚いたこと、友人たちと投資会社を運営していること、社会貢献・教育活動の大切さ、大好きな空手のこと、お姉さんのみどりさんの近況など、さまざまな話に花が咲いた。
 なかでも、長年共演しているピアニストのマイケル・ドゥセクとの性格の違いが音楽をおもしろくしているという話が興味深かった。
 ふたりともある意味で頑固なため、ぶつかりあうことは多いそうだが、龍くんいわく「なんでもピタッと合うよりも、違うからおもしろいことってあるんですよ。演奏も個性の違いが出て、刺激性が増すので」
 今日の写真は、取材後にカメラマンの要望に応えてポーズをとっているところ。彼の使用楽器はNPO法人イエロー・エンジェルより貸与された1715年製のストラディヴァリウス「エクス・ピエール・ローデ」。
 いつもこうした偉大な楽器を目にすると、ヴァイオリンという楽器の長い歴史を感じ、その存在がミステリアスかつ神聖で、その奥に壮大なドラマが隠されているような思いにとらわれる。今日もまた、まじまじとながめてしまった。


 
| 親しき友との語らい | 22:59 | - | -
ピアノのムック
 いま、音楽之友社の「Piano&Pianist2012」の原稿を書いている。
 これは2008年以来の発刊となるもので、複数の執筆者が複数のピアニストの原稿を担当するというスタイル。
 ピアニストによって原稿の分量は異なり、CDの紹介が入る場合もある。
 それぞれのピアニストのできる限り新しい情報を盛り込みたいため、あれこれ調べることになるわけだが、これが結構時間がかかる。
 もう締め切りは過ぎているのに、まだ全部終わらない。こういうこまかい作業が得意な人っているんだよね。でも、私は大の苦手。
 しかし、いまさら文句をいっていても始まらないから、やるっきゃない。
 最近は、なんだか文句タラタラのブログが多いような気がするけど、これって読んでくれる人は不愉快になるだけだから、もっと楽しいことを書かなくてはいけないよなあ。
 ああ、私も楽しく仕事をしたいのはやまやま。
 調べ物も楽しみ、資料を読むのも楽しみ、ちっとも進まない原稿書きも楽しみ、なあんて、やっぱり無理っぽい。
 ここは集中してどんどん書いて、早く終わらせるのが一番。
 とはいえ、まだ調べることが盛りだくさん。やれやれ、いつになったら開放的な気分になれるんだろうか。
 さあて、また取り組まなくちゃ。でも、ちょっと紅茶でも飲んじゃおうかな。そうだ、いただいたおいしい紅茶があったんだ。息抜き、息抜きっと(笑)。
 
| ああ愉しき(?)、締切り地獄 | 22:23 | - | -
ニコライ・ホジャイノフ 
 クラシックのアーティストは、概して「音楽は演奏するもので、話すものではない」という考えの人が多い。
 それでは私の仕事は成り立たないため、嫌がる(?)相手に無理やり話を聞くことになる。これが実に大変。
 相手をリスペクトしながら、気分を害されることなく、しかも内容のあることを話してもらえるよう、最大限の努力をするわけだ。
 インタビューの時間は限られているため、その時間内で質問したいことを効率よく聞き、記事を書く媒体に合う内容を聞き出すよう力を尽くす。
 先日も書いたが、今日はニコライ・ホジャイノフのインタビューに再度出かけた。ヤマハのWEB「ピアニストラウンジ」のインタビューである。
 前回聞いたことと重複しないよう話題を変え、さらに今日はメディア用のコンベンションとCDを購入してくれた人たちに向けてのコンベンションとふたつの間に挟まれた時間枠だったため、ホジャイノフが疲れないよう気を遣って短めに切り上げた。
 でも、話を聞く回数が増えてきたためか、徐々に内容も深いものになってきた。こうなると、流れがスムーズになる。
 実は、来年7月19日(金)に日本でのリサイタルが決まった(浜離宮朝日ホール、19時開演)。来春にはニューヨークのカーネギーホールにもデビューする。
 いよいよ世界各地での演奏会が本格始動しそうだ。
 今日のコンベンションはインタビュー後の19時から。30分間CDに収録された作品を何曲か演奏し、その後トークとなった。
 事前に短い打ち合わせをし、「シューベルトに関してだけ、質問を振るから答えてね」と話しておき、時間があったためリストに関しても少しだけ話してもらった。
 彼は「音楽は話すものではない」という考えの持ち主だが、いったん作品論を話し出すと、次々にいろんな話題が出てきて、話が尽きなくなることがある。古代ローマの詩人の詩の一節が飛び出したり、ロシアの格言が出てきたり、哲学的な内容に進んでいくこともある。
 まだ20歳なのに、その知識の豊富なこと。日本人が知らないような文学や詩の断片が顔を出すため、そのたびに原題や内容を書きとめることになる。
 それらすべてがホジャイノフの演奏に反映し、洞察力に富むピアニズムを形成していく。
 ショパン・コンクールから2年。あのときワルシャワのフィルハーモニーホールで聴いたみずみずしい演奏はいまだ忘れられないが、現在は味わいの深さが増し、説得力に満ちた演奏に変貌を遂げた。
 これからまだまだ大きなコンクールを制覇すると明言しているから、目が離せない。今度会うときは、よりステップアップした自信に満ちあふれたホジャイノフに変容しているに違いない。楽しみだなあ。
 今日の写真はヤマハのピアノを弾くホジャイノフ。撮影の間中、ガーシュウィンの「ポーギーとベス」より「It ain't necessarily so」を弾いていたが、この曲をコンベンションではアンコールに弾いた。撮影のときには、ちょっと練習していたのね(笑)。




| 終わりよければ…取材奮闘記 | 23:11 | - | -
ニコライ・ホジャイノフ
 今日は、CDのプロモーションのために来日をしているニコライ・ホジャイノフのインタビューに出かけた。これは「日経新聞」などに書くつもりである。
 以前、デビューCD「マイ・フェイヴァリッツ」がリリースされる前に彼と話したときは、直後にダブリン国際ピアノ・コンクールとシドニー国際コンクールに参加するといっていたが、ダブリンで見事優勝を成し遂げ、シドニーでも第2位入賞を果たした。
 その話題から入ると、ダブリンの話は審査委員長のオコーナーと話したことなど、ほんの少しだったが、シドニーのほうは宿泊先から練習場の話、開会式からコンクール終了まで、実にさまざまな試練に遭遇したそうで、それに私が興味を示したためか、この話が延々と続いた。
 ホジャイノフは、もともとあまりインタビューが得意ではない。話す表情もクールだ。
 ところが自分が気に入る話題になると、笑顔を絶やさず、ジョークも飛び出し、一気に雄弁になる。
 このギャップが本当におもしろい。顔の表情がガラリと変わるのである。
 彼は幼いころから自分の目指す方向というものをしっかり把握し、それに向かってひたすら努力し、自己の可能性を追求してきた。
 話を聞いていると、あまりにも小さいときから思慮深く、大人顔負けの理性を備え、本なども年齢を超えたものを読んでいることに驚く。
 CDに収録しているような、ベートーヴェンやシューベルトの晩年の作品に無性に惹きつけられるそうで、それは人生の奥深さを知らされるからだという。その話題も得意なようで、舌はなめらかになる。
 来週の15日にはまたもう1本インタビューを行う予定になっているため(ヤマハのWEB「ピアニストラウンジ」)、今回と内容が重ならないようにしなくてはならない。
 そのインタビューが終わってすぐ、以前書いたようにヤマハホールでのイヴェントが始まる。公開インタビュアーを務めるため、しっかり準備をしなくては。
 今日の写真はインタビュー後のひとこま。話がはずんでいたときは笑っていたけど、写真を撮るとなると、やっぱりクールよね(笑)。


 
| クラシックを愛す | 23:53 | - | -
牛田智大
 先日も紹介した「リヒテンシュタイン展」の特別番組が、明日10月13日(土)11:00〜11:54 BS-TBSで放映される。タイトルは「華麗なる侯爵家の秘宝〜500年に渡る奇跡の物語〜」。再放送は11月4日(日)16:00〜16:54。
 この展覧会の公式テーマ曲を作曲・演奏しているピアニストの牛田智大が今夏リヒテンシュタインを訪れ、番組では「なぜ小国・リヒテンシュタインが、3万点もの美術品を所有しているのか」という謎を解き明かすというナビゲーター役を担っている。
 これまで日本ではあまり知られることのなかったリヒテンシュタイン。この展覧会を機に国のことを知り、訪れたいと思う人が増えるのではないだろうか。
 牛田くんの演奏も収録されているというから、楽しみだ。
 見られない人は、ぜひビデオをセットして!!
 
 
| 情報・特急便 | 21:13 | - | -
ウィーン少年合唱団
 ウィーン少年合唱団が、いまテレビCMで美しい声を披露している。
 三井住友海上火災保険株式会社の自動車保険のCMで、安全運転アプリ「スマ保」を紹介するものだ。
 イメージキャラクターを務める堀北真希さんとのコラボレーションで、歌っているのはヨハン・シュトラウス2世の「トリッチ・トラッチ・ポルカ」をもとにした「スマ保の唄」。
 今年来日したブルックナー組が歌っているもので、「スマ保、スマ保」と歌い上げているところが聴いていると癖になってしまい、いつしか自分でも歌っていることに気づく。
 ウィーン少年合唱団は来春から夏にかけての来日も決まり、次はモーツァルト組がやってくる。
 このCMで、また人気が高まりそうだ。ぜひ、CMご覧あそばせー。癖になりますゾ(笑)。
| 情報・特急便 | 22:59 | - | -
コンサートシーズンの幕開け
 10月に入った途端、一気にコンサートシーズンの幕開けとなった。
 もちろん夏の間もコンサートはあったが、9月末ころから徐々に増え、いまや連日すばらしいコンサートが目白押し。
 しかし、単行本でフーフーいっている身には、辛い時期。それでも最近は若手ピアニストの来日に因み、各誌のインタビューが続いている。
 先日書いたベン・キム、ヤン・リシエツキに続き、今週末にはニコライ・ホジャイノフが来日する。
 その後も五嶋龍、庄司紗矢香と続いている。
 単行本の締め切りは10月末。担当の編集のかたから「進行状況はいかがですか」と問い合わせがあり、プロモーションの担当のかたからも「少しだけでも、できていたら見せてくれる」といわれ、「えっ、冗談。まだ途中で見せられるほどではなくて…」と、冷や汗タラタラで言いわけばかり。
 ああ、他の仕事をしていると単行本に集中できないし、かといってレギュラーの原稿を飛ばすわけにもいかず、悪戦苦闘。
 もう明日は10日だ。キャーっ、10月が3分の1過ぎてしまう。どうしよう。
 いまはテニスの上海オープンの開催時期なのに、フェデラーの試合をゆっくりテレビ観戦することもできない。そりゃ、無理ってもんよね。
 だったら、早く単行本を仕上げればいいじゃない、という声がどこかから聞えてこえてきそう。ごもっともざんす。パソコンにへばりついてやるっきゃない!!
 
| ロジャー・フェデラー | 21:34 | - | -
アルトゥーロ・トスカニーニ
 アルトゥーロ・トスカニーニが残した映像で彼の指揮法を見ていると、現在の指揮者のルーツのような振りかたをしていることに気づく。
 タクトのこまかい運び、左手の使いかた、からだ全体でのリズムの刻みかた、微妙な顔の表情でオーケストラに自分の意図しているところを伝えるなど、そのすべての動きが指揮の原点のように思えるのだ。
 若手指揮者にトスカニーニをどう思うかと尋ねると、みんな一様に「すばらしい指揮者だと思う。大先輩として尊敬している」という答えが戻ってくるが、しかしそれに続けて必ず「でも、まねはしたくない」と付け加える。それだけ彼らにとって気になる存在だということなのだろう。
 トスカニーニの指揮はCDで聴いてもそのエネルギーの爆発に驚かされるが、それを映像で見ると疲れを知らないパワフルな指揮姿に「一体この収録は何歳のときなのだろう」と疑問を抱いてしまうほどだ。
 トスカニーニは大変長生きした人で、1867年イタリアのパルマで生まれ、1957年ニューヨークで没している。90歳を目前にして亡くなったわけだ。亡くなる3年前まで超人的な活動を続けた彼だが、コンサートのみならず多くの録音を残している。
 彼が自らのオーケストラ、NBC交響楽団を指揮しての1948年から1952年までの貴重な映像では、得意のヴェルディのオペラ「アイーダ」から、名演と名高いレスピーギの「ローマの松」まで多彩なレパートリーを披露。コンサートの風景を映し出した映像はともすれば単調になりがちだが、トスカニーニの場合はモノクロの映画を見ているような感覚が味わえる。威厳に満ちた風貌のトスカニーニが、楽譜に忠実に正攻法で演奏する。ただこれだけなのだが…。
 彼はニコリともしないし、踊るような楽しい指揮姿を見せるわけでもない。楽章の合間にほとばしる汗を拭き、ただひたすら指揮に没頭する。ベートーヴェンの第9やオペラの合唱部分ではのってきて一緒に歌っている。
 しかし、これとても楽しそうに歌っているわけではない。かみつかんばかりの表情だ。最近ではオーケストラと仲間意識を持って協調を図りながら指揮する人が多くなった。トスカニーニの絶対君主的な統率力が妙になつかしい。
| クラシックを愛す | 22:47 | - | -
アボカドとすだちのディップ
 先日いただいたすだちをなんとかおいしく食べられないかといろいろ考えているうちに、「そうだ、ディップを作ろう」と思い立った。
 まず、アボカド1個の中身を取りだしてフォークでなめらかになるまでつぶし、ここにすだち4〜5個を絞って入れる。柑橘類を加えると、アボカドは変色しないから安心だ。
 これにツナ缶のツナを大さじ2、マヨネーズ大さじ1、バルサミコ酢少々を加え、最後にパセリのみじん切り大さじ5を混ぜて出来上がり。
 味付けは少しずついろんなものを加えながら、そのつど味を見て、自分の気に入った味にしていく。
 今日はノルウェー・サーモンのムニエルに添えてみた。
 2007年にノルウェーに出張して以来、すっかりかの地のサーモンにハマった私。表面に塩、コショー少々を振り、小麦粉を軽くはたいて味を閉じ込め、たっぷりのバターでこんがりと焼く。
 冷蔵庫にあったニンジンをグラッセにし、魚沼産の肉厚な八色シイタケをソテーしてつけ合わせにしてみた。
 写真は仕上がったワンプレート。休日のランチにピッタリでしょ。このディップ、たくさん作っておいて、カリカリに焼いたパケットに塗っても美味。
 さあて、またすだちのレシピを考えようかな、楽しくてやめられないワ(笑)。

| 美味なるダイアリー | 21:30 | - | -
ヤン・リシエツキ
 毎年この時期になると、翌年の春に開催される「東芝グランドコンサート」のプログラム用のインタビューが行われる。
 来年は1月から2月にかけてヤニック・ネゼ=セガン指揮ロッテルダム・フィルハーモニー管弦楽団が予定され、ソリストはヴァイオリンの庄司紗矢香とピアノのヤン・リシエツキが参加する。
 今日はそのリシエツキのインタビューに行った。
 リシエツキは1995年ポーランド人の両親のもと、カナダに生まれた。わずか9歳でオーケストラと共演、2011年に15歳の若さでドイツ・グラモフォンと専属契約を結んだ。
 彼の演奏は以前も聴いているが、若々しいエネルギーに満ちあふれたポジティブな音楽作りが特徴。とても知的で、確固たる構成を持つ思慮深いピアノを奏でる。
 今日は「東芝グランドコンサート」のプログラムと「モーストリー・クラシック」に書く記事のためのインタビューだったため、来春コンサートで演奏するベートーヴェンのピアノ協奏曲第4番についての話がメーンとなったが、各楽章について、ベートーヴェンの作品の解釈について、指揮者やオーケストラとの音の対話についてなど、雄弁に語ってくれた。
 なかでも印象的だったのは、冒頭の5小節のピアノ・ソロで出る部分の話。これはとても抒情的で静謐で美しい旋律に彩られている。それをリシエツキはこんなことばで表現した。
「この5小節がこのコンチェルトのすべてを表しているように思える。だから、どう演奏するか、十分に見極めないといけない」
 彼は幼いころから数学を得意とし、学校では飛び級をし、ピアノもとてつもない速さで上達した。
 新譜はモーツァルトのピアノ協奏曲だが、ショパンも得意とし、ポーランドにはしばしば招かれている。
 長身でブロンドの巻き毛がキュート、スター性がある。知性派で知られるものの、素顔はとてもいたずら好きで茶目っ気たっぷり。明日は14時にオペラシティコンサートホールでリサイタルがある。
 次の録音はショパンのエチュードになるそうだが、その作品10のほうを明日演奏する。若き逸材はどんな演奏を聴かせてくれるだろうか。
 今日はこのインタビューが終わってからオペラシティにベン・キムのリサイタルを聴きに行った。
 こちらは繊細で情感あふれ、弱音の美しさが際立つピアニズムの持ち主。久しぶりにゆっくりピアノを聴くことができ、みずみずしい音色に心が癒される思いがした。
 今日の写真はインタビュー後のリシエツキ。ピアノのある部屋だったため、ショパンの「革命エチュード」をわざと大音響でガンガン弾き、みんなが驚くのを見て大喜びしていた。

| 情報・特急便 | 22:32 | - | -
「リヒテンシュタイン 華麗なる侯爵家の秘宝」展
 10月3日から12月23日まで、国立新美術館で「リヒテンシュタイン 華麗なる侯爵家の秘宝」展が開催されている。
 リヒテンシュタイン侯国の国家元首である同侯爵家の美術コレクションは、英国王室に次ぐ世界最大級の個人コレクションといわれる。今回はその全貌を日本で初めて紹介するもので、ルーベンス、ヴァン・アイク、ラファエッロなど巨匠たちの名画が勢ぞろいしている。
 この秘宝展の公式テーマ曲をピアニストの牛田智大が作曲し、2日の特別内覧会で演奏するというので、開会式に出かけた。
 彼が初めて作曲したこのテーマ曲「遥かなる時をこえて」は、新譜の「想い出」に収録されている。ロマンあふれる美しい曲で、ドラマティックでもあり、スケールも大きい。
 当日は、関係者で混み合っていたが、ポスターにもなっているルーベンスの「クララ・セレーナ・ルーベンスの肖像」がもっとも人気が高い様子で、その前は立錐の余地もないくらい。これはルーベンスの最初のイサベラ・ブラントの間に生まれた5歳の長女を描いた作品で、まっすぐに正面を見据えた目の表情がとても印象的である。
 思ったよりも小さな絵だったが、圧倒的な存在感を放っていた。
 私がもっとも時間をかけてゆっくり鑑賞したのは、ブリューゲルの「ベツレヘムの人口調査」。この聖書の物語を日常的な農民生活を舞台として描いた作品は、細部まで緻密な描写がなされ、雪の村で生活を送る多数の人々の様子が生き生きとしたタッチで描かれている。
 本当に多数の名画、ブロンズ像、タペストリー、調度品などがあり、時間がたつのを忘れるほど。私は音楽を聴くのと同じくらい絵を見るのが好きなため、しばし心の栄養を与えられた気持ちになった。
 今日の写真はそのポスター。やはりこの絵はインパクトが強い。

| 日々つづれ織り | 23:24 | - | -
ヘルシーな食材
 先日、ブログに掲載した和風サラダを試したという友人のkさんから、「ぜひこれも使って」と、とってもヘルシーなワカメとすだちを送っていただいた。
 箱を開けてびっくり。阿波特産の鳴門糸ワカメの存在感の強さに圧倒され、阿波特産のすだちの丸々とした大きさにも度肝を抜かれた。
 こんな迫力のあるワカメは見たことがないし、すだちもまるでかぼすのような大きさだ。
 もちろんいろんなお料理に使わせていただくが、今日はまず肉厚のカジキマグロのフライにすだちを合わせてみた。
 カジキは食べやすい棒状に切り、塩、コショーをし、小麦粉、卵、パン粉の順につけてオリーブオイルでカラッと揚げる。
 あつあつの出来立てにすだちをたっぷり絞り、ガブリといく。ああ、幸せー、なんというおいしさ。シンプルながら奥深く、やみつきになる味だ。
 これは南イタリアを思わせる味。もちろんかの地ではレモンをギュッとしぼって食べるが、そこはすだちの底力。なんともいえない和風の香りとオリーブオイルがマッチし、おしょうゆをひとたらししたくなるような雰囲気も。
 kさん、ごちそうさま。ワカメもいろいろ工夫してみます。
 こういう食材をいただくと、心身の疲れがどこかに飛んでいき、一気にパワー全開に。さあて、頑張って原稿と格闘するか、という気持ちが湧いてくる。
 でも、困るのはあれこれレシピが浮かんできて、仕事に集中できなくなることだ。ああ、タケノコ買ってきて若竹煮にしようか、キュウリとタコと竹輪とワカメで酢の物をしたいな、いやいやシーフードサラダにワカメをプラスしてみようか、ワカメと白身魚をすだちであえようかなど、キャーッ、だれか止めてー(笑)。
 こりゃ、しばらく仕事にはなりませんな。集中できなくなってきたゾ。 
 今日の写真は大迫力のワカメとすだち。もう1枚はカジキのフライ、すだち添え。だれかー、白ワイン持ってきてくださーい。



| 美味なるダイアリー | 18:16 | - | -
藤井香織
 インターネットの発達によって世界中のどこからでも通信が可能になり、本当に世界が狭くなったと感じる。
 つい先ごろ、フルーティストの藤井香織からメールが届いた。彼女はずっとニューヨークで暮らし、アメリカを中心に音楽活動をしている。
 以前、インタビューをしたときに意気投合し、それからはいろんな話をするようになった。いつ会っても、とても元気で明るく、エネルギーをもらえる感じ。メールによると、ニューヨークでも元気に頑張っているようで、ほっとひと安心。
 来年の春にはしばらく日本に滞在するそうなので、そのときに一緒にお食事会でもしようということになった。まだ先のことだが、待ち遠しい。
 こうしていながらにして世界のアーティストの様子が入ってくるなんて、便利な時代になったものだ。
 最近は、海外のアーティストに会って名刺を渡すと、多くのアーティスのマネージャーやプロモーターから情報が次々に送られてくるようになった。
「きみのブログ、日本語だけなの? 読めないよ、せめて英語があるといいんだけどねえ」
 アーティストからこういわれると、絶句。情報交換が可能になったのはいいけど、語学の問題がある。日本人にとっては、高い壁がたちはだかっているのだ。
 いつも困るのは、その国の言語だけで情報が送られてくる場合。オランダ語のオーケストラの情報が山ほど来ても、お手上げ状態。
 藤井香織は以前から語学が堪能だった。いまやネイティヴのように話せるんだろうな。香織ちゃん、国際人を目指して頑張ってね。
| 親しき友との語らい | 22:19 | - | -
樫本大進&コンスタンチン・リフシッツ
 今日は樫本大進とコンスタンチン・リフシッツのCDリリースコンベンション(EMI)のインタビュアーを務めた(サントリーホールのブルーローズ)。
 これは樫本大進がEMI CLASSICSと世界契約を果たし、第1弾としてベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタ作品30(第6番〜第8番)を10月3日にリリースするのに先駆けて行われたもので、各メディア、ディーラー、CDのユーザーが250名ほど集まり、彼らの演奏とトークを楽しんだ。
 私の役目は、彼らに今回のレコーディングのこと、ベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタ全曲演奏に関すること、そして大進にはベルリン・フィルのコンサートマスターとしての近況、彼が音楽監督を務めているル・ポン2012(姫路国際音楽祭と赤穂国際音楽祭)に関してなど、幅広い質問をすること。
 大進にはデビュー当時からインタビューをし、海外録音の取材も行い、長年にわたって演奏を聴き続けてきた。彼のさまざまな苦難の時期も知っているため、いまの自信に満ちた演奏をする姿を見るにつけ、胸が熱くなる。
 一方、リフシッツにも17年前に出会い、口の重いシャイな性格に苦労したものだが、いまではジョークもはさみ込み、雄弁に語ってくれるようになった。
 大進がコンサートマスターになってからはや3年。いろんな指揮者がベルリン・フィルにやってくるため、すごく楽しいという。オーケストラのこのポジションは重責だが、ようやく自信を持って自分の意見を明確に打つ出すことができるようになったそうだ。
 ただし、練習に次ぐ練習の日々で、一時たりとも休むことはないという。さまざまなオーケストラ作品を演奏することに喜びを感じ、その経験がソロや室内楽を演奏するときに非常に役立ち、楽譜の読み込みの深さにつながっていると目を輝かせる。
 一方、リフシッツは昔からJ.S.バッハを得意とする。大進とは10年前に「クロイツェル」で共演し、今回のプロジェクトにつながったわけだが、偉大な作品を気心の知れた大進と演奏することができ、とても有意義だと感じていると語る。
 大進は、リフシッツの演奏に触れたときから、「真の天才」と感じ、彼のピアノに一種の憧れを抱いた。そして自分がいつの日かベートーヴェンのソナタ全曲を演奏する機会が巡ってきたら、「ぜひ、コンスタンチンと組みたい」と願った。
 そのチャンスが到来したのが2008年。ふたりは大きなプロジェクトに向かって歩みを進めることになる。
「大進からオファーがあったとき、とても光栄だと思った。ふだんから仲がよく、彼のヴァイオリンはよく知っていたし、すばらしい音楽家なので、ぜひベートーヴェンを一緒に演奏したかった。大進とともに演奏できてとても幸せだ」
 こう答えるリフシッツの横で大進は額に汗がにじんでいた。
「冷や汗かいてますね」というと、「いやー、こんなこといわれちゃって、まいったなあ」
 大進はほめられると、てれまくって、居心地が悪くなるタイプだ。
 コンスタンチンは、そんなやりとりを見て、にこにこ笑顔を浮かべながら、シリアスに、しかもユーモアを交えて話す。
 実は、大進は以前リハーサルのためにリフシッツの家に宿泊していたのだが、朝どこからともなくバッハの調べが聴こえてきた。隣の部屋でリフシッツがピアノを弾き、大進を目覚めさせたのである。
「こんな幸せな目覚めはないですよね。ああ、なんてすばらしい朝なんだろう、天才の弾くバッハで目が覚めるなんて、と思いましたよ」
 大進のことばを受けてリフシッツが続ける。
「だって、ショスタコーヴィチを弾くわけにはいかないでしょ」
 ここで、会場中が爆笑となった。
 彼らふたりは本当に仲がいい。音合わせの時間も、眉間にしわを寄せながら真剣に弾いているのだが、その合間に冗談をいいながら大笑いしている。
 大進は昨日到着。リフシッツは今朝来日。だが、ふたりとも精力的に取材をこなし、コンベンションで演奏し、10月5日から11日まで上記の音楽祭で演奏する。
 彼らのベートーヴェン・シリーズの完結編は、2013年1月29日サントリーホールでの第3番、第4番、第9番「クロイツェル」。録音も引き続き行われる。
 今日の写真はすべてが終了した後、にこやかな笑顔を見せるふたり。本当に気の合ういい音楽仲間、親しい友人という感じが出ているでしょ。

| 親しき友との語らい | 23:15 | - | -
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