Yoshiko Ikuma - クラシックはおいしい -Blog

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スマホ参入
 長年、ホワイトのスリムな携帯を愛用してきたが、ダウンライトの下にいる人を写すとうまくいかないのが問題だった。
 自然光で写すと、非常にクリアに撮れるのだが、私がインタビュー時にアーティストを撮影するのは、ほとんどホテルやホールの楽屋やカフェのなか。こうした場所の照明はダウンライトが多い。
 インタビューが終わって「ブログ用に写真撮ってもいい?」と聞くと、みんなとてもいい表情をしてくれるのだが、ピンボケになることが多く、とても残念な思いを抱くことがしばしば。
 先日、貴重な機会のイダ・ヘンデルの写真がうまくいかなかったことから、ようやく大好きな携帯に別れを告げる決心がついた。
 今日はブラックの軽量のスマホを手に取り、いろいろ試した結果、ようやくなんとか使えるようになった。まだまだ十分に慣れたとはいえないが…。
 今後は少し写真がよくなるに違いない。
 次回はだれのインタビューになるだろうか。それまで試し撮りを何度もやって、いざ本番ではいかにも慣れたふうに、さらりと撮らなくちゃね(笑)。
 さて、どうなることやら…。
| 日々つづれ織り | 23:01 | - | -
イダ・ヘンデル
 イダ・ヘンデルは、「伝説のヴァイオリニスト」といわれる。
 ポーランド出身で、幼少のころよりカール・フレッシュやジョルジュ・エネスコから手ほどきを受け、1933年わずか5歳のときにコンクールでベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲を弾いて優勝した。
 1935年にはヴィエニャフスキ国際コンクールで第1位ジネット・ヌヴー(16歳)、第2位ダヴィド・オイストラフ(27歳)らそうそうたる入賞者のなかにあり、7歳で特別賞を受賞した。
 以後、世界各地で活発な演奏活動を行い、録音にも積極的に取り組んでいる。
 彼女に最初に会ったのは、2003年の来日時だった。そのときに音楽に対するとても真摯な姿勢に感動を覚え、前向きなエネルギーにあふれた、その生きる姿勢に触れ、大きな力をもらったものである。
 以来、何度かインタビューの機会をもった。
 そして今日、また再会することができ、一緒に食事をする機会に恵まれた。
 このインタビューは次号の「intoxicate」に書く予定になっている。
 イダは、「何でもおいしくいただくのよ」といい、関係者とともに4人でホテルの中華レストランのテーブルを囲んだ。
 いつ会っても好奇心が強く、明るく雄弁で、音楽に対してひたむきな姿勢を崩さない。彼女が生涯を通じて弾き続けているバッハの「シャコンヌ」のこと、自身のこれまでの音楽人生、恩師から受けた教え、最近の若手ヴァイオリニストのこと、マスタークラスについて、楽譜の読みかたなど、話は尽きない。
 イダは、初めてDeccaと録音契約したときに、スタッフからクリスマスに犬を贈られ、Deccaと命名。それから何代目にもなる犬の名前はいつも同じ。これまではメスだったそうだが、いまは初めてオスになったそうだ。
 私がそのワンちゃんのことを覚えていて、「Deccaは元気ですか」と聞いた途端、彼女は「ああ、会えなくて寂しい」と表情を曇らせた。
 ここでふたつのエピソードを披露してくれた。
 今回の来日でもピアニストを務めているミーシャ・ダチッチと、以前マイアミの自宅を出てリハーサルに向かおうとしたとき、Deccaはいつになく大声で吠え、イダを行かせまいとしたという。
「どうしても私を離さないの。そこでミーシャが力ずくで犬を家に押し込み、ドアをパタンと閉めたのね。ところが、リハーサル会場に着いた途端、私は急に血圧が上昇して倒れ、救急車で病院に運ばれたのよ。Deccaはそれを予知していたに違いないの。その本能的な態度には、本当に驚いたわ」
 もうひとつは、イダの親しいスペイン人の男性を自宅に呼んだときのこと。いつもはそんなに吠えることはないのに、Deccaは彼を家に入れないように大騒ぎをして吠え続けたのだという。
 きっと、イダはその人にかなり好意をもっていたに違いない。Deccaは妬いたのではないだろうか。
「以後、彼は私の家にきてくれなくなったのよ(笑)」
 Deccaは勝ったのだ、すごいなあ。イダを独り占めしたかったんだろうね。私も昔は実家で犬や猫を飼っていたため、彼らの気持ちはよくわかる。飼い主が本気である人に好意をもつと、ジェラシーをむき出しにするんだよね。
 音楽の話からワンちゃんの話まで、さまざまな話題が飛び出し、イダの温かい人間性に触れ、その演奏と同様、私の心はすっかり彼女のとりことなった。
 イダ・ヘンデルが2009年にリリースした「魂のシャコンヌ」(ソニー)は、2008年の来日時に録音されたものである。バッハの「シャコンヌ」は、6度目の録音にあたる。
 その録音の話になったとき、彼女はこう明言した。
「何度弾いても、録音を行っても、けっして満足のいく演奏はできないの。まだまだ私は勉強しなければならないことがたくさんあると思っている。一生、学び続けなければならない。それが音楽家の人生なのよね」
 このことばは私の心の奥に深く刻み込まれた。なんとすばらしいことばであろうか。そしてなんとすばらしいヴァイオリニストだろうか。
 彼女は今日、素敵なグリーンの靴を履いていた。会ってハグした後にその靴をほめると、「私ね、靴が大好きで、1000足以上もっているんだけど、あと1足買いたいの。ホテルの下のお店で見つけてしまったのよ」
 こういって、いたずらっ子のように肩をすぼめてクスッと笑う彼女。みんなに愛される笑顔がそこにはあった。
 今日の写真はランチをいただいたときに撮ったワンショット。照明の関係で多少見にくいけど、いい表情しているでしょ。大好きなんです、この笑顔。






| アーティスト・クローズアップ | 23:02 | - | -
丸の内アート×ミュージックセミナー
 今日は、東京国際フォーラムのホールD7で開催された「丸の内アート×ミュージックセミナー〜近代フランスの音楽と美術」というイベントに出演し、三菱一号館美術館の高橋明也館長と公開対談を行った。
 これは美術と音楽とのコラボレーションで、現在開催されている三菱一号館美術館の「奇跡のクラーク・コレクション」展と「ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン2013」の見どころ聴きどころを紹介するというもの。
 こうした試みは初めてのことで、「ラ・フォル・ジュルネ」のクラシックアンバサダーとして第1回の音楽の担当を任された私は、責任重大。ただし、打ち合わせのときに、「好きな音楽を自由に選んでください」といわれたため、本当に自分が好きな音楽、みんなに聴いてほしい音楽をセレクトした。
 事前にどんなことを話すか、どんなCDやDVDを流すか、いろいろ考えてコンテを作り、時間内に終わるよう組み立てを行った。
 だが、今日の最終的な打ち合わせもまた、「基本は押さえて、あとは自由におふたりで対談してください」といわれ、高橋館長と簡単な進行を確認して、いざ本番という形になった。
 19時開演で20時半までの予定だったが、少しだけオーバーしてしまった。私のテーブルの上には時計が置かれ、それを横目で見ながら高橋館長のお話に耳を傾け、自分も話し、どこでCDをかけるかタイミングを図り、話が途切れないように工夫し、しかも美術と音楽の連動を気にしていなければならない。
 すべて終わったときには、安堵感よりもどっと疲労感が押し寄せてきた。
 でも、今日はPHPの担当者のYさんが私の単行本の販売をしてくれたため、そのサイン会もあった。
 ひとりひとりと話し、サインをし、お礼を述べたが、「握手してください」とか「一緒に写真撮っていいですか」といわれ、ちょっとびっくり。
 それでも、みんな「とてもわかりやすくて楽しかった」「ラ・フォル・ジュルネがすごく楽しみになった」「もっと音楽とお話を聞きたかった」といってくれ、それがとても励みになった。
 今日セミナーに参加してくれたみなさま、本当にありがとうございました。
 また、「ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン2013」の初日、5月3日の14時半からホールD1で「フランス音楽とスペイン音楽の楽しみ」(ホールと時間とタイトルはまだ仮)という講演を行う予定が入っているので、ぜひ興味のあるかたはのぞいてくださいな。有料チケットの半券を1枚でももっていれば、入れます。
 さて、大きな仕事がひとつ終わった。今日はのんびりワインでも飲もうかな。やっぱりフランスワインに限るよね(笑)。
 
| 終わりよければ…取材奮闘記 | 22:56 | - | -
仙台の空気
 先日、友人のKさんが仙台に行き、おいしいかまぼこを送ってくださった。
 とても新鮮で、賞味期限が限られているため、できる限り早く食べなくてはならない。
 そのため、私は毎日必ずこのかまぼこをいただくことになった。アツアツのごはんとともに食べるのもいいが、今日はたけのこごはんを作り、一緒に食卓に乗せたら、もうたまりません。いくらでも入ってしまいます(笑)。
 Kさん、ごちそうさま。海の幸から元気をもらいました。
 仙台の味はすばらしいなあと、しばし感動していたら、その思いが通じたのか、第5回仙台国際音楽コンクールの事務局のかたからお電話があった。
 コンクールの楽しみかたという原稿の依頼である。
 これはコンクールの折り込みチラシと公式ホームページに掲載される記事で、さらにもうひとつは仙台市市政だよりの原稿とのこと。
 かまぼこに舌鼓を打っていたら、仙台から原稿依頼が入るなんて、不思議な気持ち。以前もコンクールの取材に行ったことがあるため、このコンクールはよく知っている。コンチェルトがメインのユニークな特徴をもつコンクールである。
 それを踏まえ、まだコンクールに足を運んだことがない人、コンクールの醍醐味を知らない人、コンクールというものを敬遠している人などに向けて、コンクールの楽しみかたを綴るという内容である。
 担当のかたといろいろ話しているうちに、各地のコンクールの取材に行った思い出が走馬灯のように蘇ってきた。
 かまぼこから発し、仙台コンクールに飛び火し、さらにいろんな場所でのコンクールが頭に浮かんできた。なんとも不思議なつながりである。
 今日の写真はその美味なるかまぼこ。ラベルを見ると、白謙蒲鉾店と書いてある。すごくおいしいので、今度仙台に行く機会があったら、このお店のかまぼこを探そうと思っている。


 
| 美味なるダイアリー | 22:47 | - | -
カニサレス
 1月末から2月初旬にかけてのナントとパリでの「ラ・フォル・ジュルネ」の取材では、何人かのアーティストにインタビューを行い、それをさまざまな新聞や雑誌やWEBの記事に書いている。
 いま書いているのは、ヤマハのWEB「音楽ジャーナリスト&ライターの眼」に掲載される予定のカニサレスの原稿。
 スペインのフラメンコ・ギタリストのカニサレスは、ナントではロドリーゴの「アランフェス協奏曲」とフラメンコの作品(彼のオリジナル)の両方を演奏したが、いずれもリズムが際立ち、情熱的で、ときに土の匂いがするような音楽だった。
 インタビューで私が一番聞きたかったのは、クラシックとフラメンコの奏法の違い。これを質問すると、ちょっと影のあるアンニュイな表情をしているカニサレスは、途端に目が輝き、雄弁になった。
 もちろんクラシックとフラメンコでは旋律、リズム、表現、解釈などすべてが異なるが、彼はその両分野を演奏することに大きな喜びを抱いているようだった。そしてもっとも重要なのは、楽器だという。
 カニサレスは有名な製作家にこまかく指示を出して自分がクラシックもフラメンコも弾くことができるよう、最良の楽器を特注しているそうだ。
 そのインタビューは、4月4日にアップされることになっている。
 ここで、ひとつビッグニュース。カニサレスはいま新しい楽器を特注していて、「ハイブリットのギターだよ」といっていたが、そのできたてのほやほやの楽器を日本公演にもってくるかもしれないという。
「もしもすばらしい仕上がりだったら、日本でクラシックとフラメンコの両方をその楽器で演奏したいと思っている。全体のサイズから弦と弦の幅、棹の長さ、その他あらゆるところを自分の思うように作ってもらった楽器だから」
 カニサレスの演奏は、もちろんスペイン人ならではの情熱的で躍動感に満ち、心が高揚するような演奏だが、その奥に不思議な静けさが宿っている。
 そのある種のミステリアスな表現は、彼のインタビュー時の表情、ふとした仕草、シャイな笑顔、生真面目な態度、ひたむきに音楽について語る様子で理解することができた。
 カニサレスは陽気で開けっぴろげで情熱的で雄弁なスペイン人ではなく、光と影の両面を有している人だということがわかった。彼のギターの繊細でこまやかな表現に、その人間性が全面的に映し出されている。
 今日の写真はナントでのインタビュー時のカニサレス。ポーズを頼んだわけではなく、自然にこういう表情になったのだが、やはり影がのぞいているよね。
 ちょっとアンニュイな雰囲気がただようこの顔つき、きっとファンにはたまらないんだろうな。
 ぜひ、「ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン2013」で、クラシックとフラメンコの両方を聴いてみてくださいな。まさに光と影が映し出されているから。


 
| アーティスト・クローズアップ | 22:37 | - | -
ピリスとユッセン兄弟
 先日、ぎりぎりまでねばったが、結局ピリスのインタビューはできないことになってしまった。ああ、残念。
 ただし、演奏はコンチェルトとメネセスとのデュオを聴き、楽屋であいさつもできたため、今回は実り多き日々となった。
 というわけで、今日締め切りの「婦人公論」の連載記事は、ピリスとユッセン兄弟の師弟関係の新譜を取り上げることにした。
 ルーカスとアルトゥールのインタビューでピリスのことはたくさん聞くことができ、彼らのつながりも十分に把握することができたため、それを綴った。
 最近は次の単行本と「ラ・フォル・ジュルネ」のアンバサダーの仕事で手いっぱいのため、コンサートも取材もかなり抑えている状態だが、来日アーティストの情報は次々に入ってくる。
 今日は、ヴァイオリンのイダ・ヘンデルとピアノのエリック・ル・サージュのインタビューが飛び込んできた。まだ詳細は決まっていないが、ふたりとも私が大好きなアーティストである。
 イダ・ヘンデルは、おそらく最後の来日公演になるだろうとのこと(3月27日、浜離宮朝日ホール)。そしてエリック・ル・サージュは、初の紀尾井ホールでのリサイタル(5月16日)に向けてのインタビューである。
 今後も来日公演が目白押し。なんとか時間をやりくりせねばならない。
 とはいえ、目の前には原稿締め切りが迫っている。毎度のことながら、体力と気力を充実させなければならないな。眼精疲労もちょっと問題で、なんとか目を休ませないといけない。
 花粉症はかなり沈静化したのでひと安心だが、目の疲れはやはり辛い。
 さて、週末の締め切りは一応こなしたから、ビタミン補給をしようかな。
 実は、愛媛のみずみずしい柑橘類をお取り寄せした。これがとっても甘くてなかの皮もやわらかく、ジューシー。ちょっとふんぱつして、もうひとつ食べちゃおっと。ビタミンC、ビタミンC、疲れを吹き飛ばしてくれー(笑)。
| 日々つづれ織り | 23:53 | - | -
なつかしい旧友との会話
 3カ月前に出版した単行本は、さまざまな出会いを運んできてくれる。
 今日は、もう何年間も音信不通だった旧友が突然電話をかけてくれ、長時間おしゃべりに花が咲いた。
 Uさんは私の大先輩の編集者で、私が「ショパン」の編集長をほんのしばらく休業していた時期に、編集長代理を務めてくれた人。
 しばらく体調を崩して入退院を繰り返していたそうだが、ようやく少し元気になったとのこと。退院してから、しんぶん「赤旗」で私の単行本に関するインタビュー記事を読んでくれたそうだ。
 さらに、今日の同新聞の「ラ・フォル・ジュルネ」の記事も読んでくれ、すぐに電話をくれたという次第だ。
 体調を崩していたため、本を買いに行くことはできず、友人に頼んで買ってきてもらい、「これから楽しみに読むわ」といってくれた。
 ああ、なんという貴重な出会いだろう。
 この本が出版されなければ、新聞に記事が載らなければ、彼女がこの時期に新聞を読まなければ、きっとこのまま音信不通の状態が続いていたはずだ。
「読んでから、また感想をいうために電話するわね」
 体調はまだ本来の調子ではないというが、声は元気そうだったのでひと安心。
 何か病後で食べたい物はないのか、必要な物はないのかと聞いたが、これまで何でもひとりでやってきた気丈なUさんは「ない、ない、大丈夫。ヘルパーさんもきてくれるし、コーヒーもタバコも復活したのよ」と笑っていた。
 そうだ、彼女はコーヒーに目がないんだったけ。そこでいまはどんなコーヒーが好みかを聞き出し、すぐに家の近くのコーヒー専門店に飛んでいった。
 Uさんは「モカ」が大好きだといっていたため、いろんな種類の「モカ」の説明を聞き、結局エチオピア産の「モカ」を焙煎、中挽きにしてもらった。
 それを明日送ることにした。
 Uさんは、ちょっとハスキーな、ドスの効いたような個性的な声の持ち主。その声を聞き、無性に会いたくなった。
「あなたの活躍をすごくうれしく思っているの。陰ながら応援しているから、からだに気をつけて頑張ってね」
 このことばを聞き、胸が熱くなり、つい涙が出てしまった。
 Uさん、ありがとう。私のほうが「からだに気をつけてね」、といわなくてはならない立場なのに、逆になってしまった。
 こういう人がいてくれるから、どんなに人間関係でストレスがたまろうが、仕事がきつかろうが、乗り越えることができる。
 辛いときや苦しいときには涙なんか出ないのに、どうも優しくされると弱い。困ったもんだ。ああ、テレビ電話じゃなくてよかった、グシュン(笑)。
 

 
| 親しき友との語らい | 21:47 | - | -
ピリス&メネセス デュオ・リサイタル
 今日は、すみだトリフォニーホールにマリア・ジョアン・ピリス(ピアノ)とアントニオ・メネセス(チェロ)のデュオ・リサイタルを聴きにいった。
 プログラムは、「ベートーヴェンのピアノとチェロのためのソナタ第2番ト短調」からスタート。ベートーヴェンの若い時代の作品の特徴である、のびやかな主題とシンプルな曲想が印象的で、メネセスのゆったりとした深い響きにピリスの凛としたクリアで推進力に富むピアノが和し、全2楽章を一気に聴かせた。
 次いでピリスのソロによるシューベルトの「3つのピアノ曲D.946」。この3曲のなんと心に染みいることか。
 疾走する急速なテンポの第1番、メランコリックでアンニュイな表情の第2番、快活で切羽詰まったような雰囲気を醸し出す第3番と、ピリスはそれぞれの曲想を深く掘り下げ、繊細で陰影に富む創造性豊かな音楽を作り上げた。
 後半は、まずメネセスのソロでJ.S.バッハの「無伴奏チェロ組曲第1番」がしっとりと歌い上げられ、最後にベートーヴェンの「ピアノとチェロのためのソナタ第3番イ長調」が絶妙のコンビネーションで紡がれた。
 まさに名手同士のデュオの醍醐味で、先日リリースされたふたりの「ウィグモア・ホール・リサイタル」(ユニバーサル)の新譜を思い起こさせた。
 終演後、楽屋でピリスに会い、インタビューの依頼をしたが、明日は札幌公演があり、翌日お昼過ぎに東京に戻ってくるため、そのときにできるかどうかが判明することになった。そしてその翌日には帰国するそうだ。
 やはり、今回はスケジュール的に無理かもしれない。でも、一応いつでも飛び出せるように、スタンバイしていようっと。
 今日の写真は、終演後のサイン会のピリスとメネセス。リサイタルはテレビが入っていたため、結構ふたりとも神経を遣っていたそうだが、すべて終わってからはリラックスしてサインに応じていた。
 さて、明後日はどうなるかな、運を天に任せるしかないな(笑)。



 
 
| クラシックを愛す | 23:48 | - | -
れんこん菓子西湖
 先日のナント出張のさい、ナントの手作りスイーツのお店でおいしそうなお菓子を見つけたので、「伊熊よし子のおいしい音楽案内」の出版社の担当のYさんにお土産を購入した。
 それを送ったのがちょうどバレンタインデーと重なったため、今度はYさんがホワイトデーに和菓子を送ってくださった。
 開けてびっくり、私の大好きな京都紫野の和久傳のれんこん菓子西湖だった。
 このお菓子は初めてで、あまりに美しい姿をしているので、しばし見とれてしまった。
 食べるのがもったいないくらい風情ある面持ちで、説明書によると、「れんこんのでんぷんである蓮粉と、和三盆糖から作った料亭の生菓子」だそうだ。
 何枚もの生笹に包まれ、ひと口味わうと、つるりとのどに滑り込んでいく食感と、上品でシンプルな甘さがたまらない。
 うーん、これぞ、日本の伝統を誇る味なんですね。
 京都に思いを馳せ、味覚のみならず五感を刺激されるような感覚に陥り、うっとり夢見心地。
 Yさん、ありがとうございました。至福のときを味わいました。
 今日の写真は、そのれんこん菓子西湖の艶姿。おいしそうでしょう。
 
| 美味なるダイアリー | 00:10 | - | -
服部百音の快挙
 今日、すばらしいニュースが飛び込んできた。
 以前ブログにも書き、ヤマハのWEB「音楽ジャーナリスト&ライターの眼」でも紹介した若きヴァイオリニスト、服部百音(13歳)が、ブルガリアのソフィアで開催された第9回ヤング・ヴィルトゥオーソ国際コンクールのヴァイオリン部門グループ2(12歳〜15歳)で、第1位の上に位置する「グランプリ」を受賞したのである。
 服部百音は1999年9月14日生まれ。これまでいくつかのコンクールで好成績を残しており、現在はチューリヒで名教師として知られるザハール・ブロンに師事している。
 ブロンは、多くの若手ヴァイオリニストを世に送り出したことで知られ、レッスンのきびしさでは定評がある。服部百音も、そのハードなレッスンで鍛えられたのだろう。
 彼女はこれからもっともっと才能を伸ばし、大きな花を咲かせるに違いない。
 しばらくナマの演奏を聴いていないが、次回は以前よりも大きな変貌を遂げた演奏を聴くことができそうだ。
 こういうニュースは、本当に日本の未来を明るくしてくれる。暗いニュースが多いなか、若き才能の活躍はみんなの力になる。
 凱旋公演が組まれるといいのだが…。
 
| アーティスト・クローズアップ | 22:27 | - | -
ブリックリフレクター
 いま、北欧はいろんな分野でデザイン賞を得ている、デザイン王国だ。
 先日、知人からそんな北欧で「命を守る世界で一番安いもの」として子どもからシニアまで人口の20パーセント、5人にひとりが使用しているという交通安全アイテムをいただいた。
 さまざまなデザインがあるようだが、私がいただいたのは、なんとウッドストック。これはハンドバッグなどにつけておくと、車のヘッドライトをドライバーの元へ反射し、歩行者の存在を知らせるというもの。
 実は、私は20代のころ、会社に遅刻しそうになって、朝ものすごいスピードで部屋に飛び込んでいったことがある。そのときはかなりショートカットで、うしろの髪が全部逆立ち、たまたま淡いクリーム色のタートルネックのセーターを着ていた。
「ああっ、ウッドストックがやってきたー」
「わあ、そっくり。ストックちゃんだー」
 その日から、私は「ストック」と呼ばれるようになった。男性には「おーい、ストック、電話だよー」などといわれた。
 それを覚えていた知人が、今回のアイテムにウッドストックを選んでくれたというわけ。
 いやあ、すっかり忘れていた。なつかしいニックネームを思い出したゾ。
 いまどき、この年で「ストックちゃん」などと呼ばれるわけもないが、北欧からやってきたこの小さなリフレクターが、若いころの思い出を蘇らせてくれた。
 早速、ハンドバッグにつけちゃおっと。
 暗い夜道を歩くときなど、威力を発揮してくれそうだ。
 今日の写真はそのウッドストック。私は笑うと垂れ目になるため、それも似ているといわれたっけ(笑)。うーん、なつかしい。



| 日々つづれ織り | 22:38 | - | -
読売新聞のインタビュー
 先日、「読売新聞」のインタビューを受けた話を書いたが、その記事が2月27日の夕刊に掲載された。
 見開きで大きく「ラ・フォル・ジュルネ」の特集が組まれており、記者のMさんがナントでの様子を詳しく報道している。
 私のインタビューは「音楽家の育った地 知って」というタイトルで紹介され、インタビューで話したフランスとスペインの音楽に関すること、「伊熊よし子のおいしい音楽案内 パリに魅せられ、グラナダに酔う」をどういう思いで書いたか、東京の「ラ・フォル・ジュルネ」の楽しみかたなどが綴られている。
 掲載されている写真は、新聞社のカメラマンが「ラ・フォル・ジュルネ」の記者会見後に撮影してくれたもので、私に「手振り見まねを大きく入れたほうがいいので、手を動かして」とポーズを要求。私は精一杯その希望に沿うよう、あれこれポーズをとり、それが載っている。
 そのいきさつについては、以前書いたとおり。本当に、写真撮影というのは難しいものですね、何度やっても慣れない。
 今日の写真はその新聞の一部。苦労の賜物なんです(笑)。

| 日々つづれ織り | 22:23 | - | -
ユッセン兄弟
 いつも感じていることだが、新たなアーティストのデビューCDのライナーノーツを執筆することは、特別な意義をもつ。
 今回は、オランダのルーカスとアルトゥールという10代のピアニストのドイツ・グラモフォンにおけるデビュー・アルバムとセカンド・アルバムのライナーを書くことができた。
「月光〜ユッセン兄弟デビュー」と、「シューベルト:即興曲集」という2枚同時リリース(4月24日)で、すでにオランダではデビュー・アルバムは2010年4月に発売され、わずか1日でゴールド・ディスク(1万枚)達成、同年12月にはプラチナ・ディスクに認定されている。
 さらにセカンド・アルバムのシューベルトは2011年9月にリリースされ、こちらもゴールで・ディスクに認定されている人気ピアニストである。彼らはこれらのアルバムに、各々のソロ演奏と、4手の演奏を収録している。
 ルーカスは1993年、アルトゥールは1996年生まれ。ふたりとも5歳でピアノをはじめ、幼いころからさまざまな場で演奏し、ベアトリックス女王の記念祝賀会でも演奏、ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団とも共演している。
 彼らは2005年からマリア・ジョアン・ピリスの指導を受け、現在も機会あるごとに彼女からレッスンを受けている。
 ルーカスとアルトゥールは、ピリスが2007年12月にブラジルで行ったマスタークラスに参加し、この模様がNHKのドキュメンタリーとして放映されたから、それを記憶している人もいるのではないだろうか。
 あの番組に出ていた金髪の少年ふたりが、ユッセン兄弟である。
 彼らはいまや19歳と16歳に成長、ルーカスはアメリカに留学し、アルトゥールはオランダで学んでいる。彼らの父親はオーケストラのティンパニ奏者で、母親はフルーティストで教育にも携わっている。
 そんな彼らが初めてプロモーションのために来日し、今日はオランダ大使館で演奏とレセプションが催され、その後インタビューを行った。
 録音で聴くとルーカスはおだやかで知的で繊細、アルトゥールはみずみずしく情感豊かでリズムが際立つ感じがしたが、実際のソロ演奏はもっと躍動感に満ち、4手の演奏も情熱的でリズミカルだった。
 インタビューでは終始にこやかに、ことばを尽くして一生懸命ひとつひとつの質問にていねいに答えてくれ、昨夕来日したばかりで疲れているはずなのに、とても好感がもてた。
 このインタビューは今月28日の「日経新聞」の夕刊と、他のいろんなところに書き分けしていきたいと思っている。
 なお、5月には来日公演が予定され、5日(東京・朝日浜離宮ホール)、6日(広島・三原市芸術文化センター)、9日(神奈川フィリアホール)、11日(埼玉所沢市民文化センター)が組まれている。 問ユーラシック(03-3481-8788)
 今日の写真はオランダ大使館での演奏を終えたふたりと、インタビュー後のショット。
 淡いブルーのシャツが兄のルーカス、濃いブルーのシャツが弟のアルトゥール。ロック・ミュージシャンのようで、もちろんそうした音楽も大好きだそうだ。そしてテニスも好きで、よくふたりで本気で試合をするとか。ピアノに関してライヴァル意識はまったくもっていないそうだが、テニスだけは相手に負けたくないと意気込む。
 なんでも、ロジャー・フェデラーとラファエル・ナダルの両方を応援しているという。「まったくプレースタイルが違うふたりを応援しているって、ちょっと珍しいでしょ」と笑っていた。
 これからいかようにも変化しうる、未知数の魅力を備えたルーカスとアルトゥール。また、デビュー当初から聴き続けていく楽しみなアーティストが出現した。







 
 
| 情報・特急便 | 22:38 | - | -
旅行読売のインタビュー
 2年前の今日、私たちは自然災害の恐ろしさを知った。そしていま、自分に何ができるのか、何をすべきかを考えさせられた。
 あれからずっと、それを考えている。そして、自分にできることをひとつひとつやっていくしかないと思っている。

 さて、今日は「旅行読売」のインタビューを受けた。1カ月半ほど先の号の「旅の記憶」という見開き2ページのカラーページである。
 編集長のKさんと編集部主任のNさんのおふたりにインタビューされ、これまでさまざまな土地を旅し、作曲家ゆかりの場所や作品が生まれたところなどを中心に歩いている話をした。
 話しているうちに次第に話があちこちに飛んでいき、食べ物や人々の気質、その土地でのエピソードなどの話に花が咲いた。
 こうした記事をまとめるのは、さぞ大変に違いない。Kさん、すみません、よろしくお願いいたします。
 楽しくおしゃべりさせていただいたので、話題があちこちに広がってしまい、収拾がつかなくなってしまいました(笑)。
 本来は「ラ・フォル・ジュルネ」のナントでの様子や、私の単行本のことを話さなくてはならないのに、どうも逸れっ放しでしたね。
 今日は最新号をいただいた。特集は「東京さんぽ」。東京駅を中心に周辺地域のことがたくさん載っている。ゆっくり読ませていただくことにする。
 写真はその表紙。
 実は、先日、次号の「モーストリー・クラシック」の特集記事「世界のホール」のアムステルダム・コンセルトヘボウの原稿を書いたばかり。東京駅はアムステルダム駅を参考にしている旨を綴ったので、この表紙を見たらすぐにアムステルダム駅を連想してしまった。
 インタビューで旅の話をたくさんしたため、心がすっかりヨーロッパに飛んでいったようだ。このアムステルダムという土地は、20代だった私が初めてヨーロッパに降り立ったところ。その意味でもとても印象深い。
 もうひとつ忘れられないのは、ヨーロッパで初めてコンサートを聴いたのも、このホールでのロイヤル・コンセルトヘボウの演奏だった。ゴッホ美術館の横を歩きながら、指揮者のまねをしている写真が残っている。
「旅行読売」の表紙を見ただけで、私の心ははるかかなたにタイムスリップ。旅とは、ホント不思議なものですね。 


 


 
| 麗しき旅の記憶 | 22:42 | - | -
マリア・ジョアン・ピリス
 いま、私の大好きなマリア・ジョアン・ピリスが来日している。3月7日、ベルナルト・ハイティンク指揮ロンドン交響楽団の東京公演初日のコンサートに出かけ、ピリスのソロによるベートーヴェンのピアノ協奏曲第2番を聴いた。
 若きベートーヴェンの足跡が色濃く投影されているコンチェルト、ピリスは凛としたシャープな音色、作品全体を俯瞰する視野の広さ、細部まで神経を張り巡らせたこまやかさ、オーケストラとの雄弁な対話など、コントラストの効いた演奏を披露し、成熟したピアニズムを遺憾なく発揮した。
 この来日プログラムに原稿を寄せ、私は「真摯で純粋で温かい、マリア・ジョアン・ピリスの音の世界」というタイトルで文を綴った。
「インタビュー・アーカイヴ」第48回はそのピリスの登場。何度もインタビューをしているが、今回は19年前にインタビューした記事を再現したい。

[レコパル 1994年11月号]

大切にしているのはショパンと自分との気持ちの一体化 

 現代屈指のモーツァルト弾きといわれるピリスが、久しぶりにショパンを録音した。
 ショパンのピアノ協奏曲第2番は作曲者の19歳のときの作品。全体がえもいわれぬみずみずしさに満ち、ショパンの青春の息吹が伝わってくる協奏曲である。特に第2楽章はそのころ淡い気持ちを抱いていた初恋の相手コンスタンツィアへの思いが込められ、美しい緩徐楽章となっている。
 これはともすれば哀愁を前面に押し出して感情過多に演奏してしまいがちだが、そこはシャープな音楽を得意とするピリスのこと、感情におぼれず淡々と、あくまでも主題の美しさを際立たせるように弾き進めていく。
「ショパンは子どものころからずっと弾き続けてきた大好きな作曲家なんです。私は体重がないからブラームスのソロ作品を弾くとすごく大変で、パワーばかり要求される曲というのも近寄りがたいんだけど、ショパンはどんな曲でもスッと入ることができる。演奏に必要とされるテクニックがごく自然で、どんなピアニストでも適応することができるから」
 そんなピリスもショパンの作品のなかでポロネーズの1曲と、練習曲のなかの2曲だけはどうしても難しくて弾けないという。これは技巧的な難しさではなく、手になじまないという意味らしいが…。
「ショパンを弾くときに大切にしているのは、ショパンと自分との気持ちの一体化。これはどんな作曲家にもいえますが、ショパンに関してはピアニストの気持ちを先行させて弾くのは危険なのです。ショパンの想いを楽譜から読み取り、自分の気持ちとじっくり対話させる。ふたつのパーソナリティーが一体化したときに完璧な一瞬が訪れます。そこに行き着くのが目標であり、一生の仕事と考えています」
 ピリスは毎日3時間しか練習しない。あとは家事などをしながら頭のなかで音楽を考えている。頭のなかでその曲と対話しているから、ピアノに向かうのはごく短時間でいいという。
 彼女の集中力というのは驚異的で、それは「音楽は別世界」と何度も口にしたことばからもうかがえる。これは私生活でどんなことが起きようと、いったん演奏が始まれば完全に音楽のなかに入ってしまうことを意味している。それが無理なくできるそうだ。
 だが、ピリスも人間である。今回の日本公演ではそれが如実に現れた。
 実はこの来日中にピリスは最愛の母を失った。その訃報を聞いた夜、彼女は黒のドレスでここ数年パートナーを務めているフランス人ヴァイオリニスト、オーギュスタン・デュメイとのステージに現れた。心持ち目線が下向きで、いつものやわらかな笑顔は見られなかったが、演奏はかえって集中しなくちゃという必死な気持ちを感じさせるものだった。
 そんななか一番心に残ったのは、彼女を懸命にサポートするデュメイの大きな心だった。彼はピリスの音楽をいつもの演奏に戻そうと、全身全霊を傾け、弦で呼びかけていた。
「よく家事と仕事の両立は大変でしょうと聞かれますが、それよりも私は音楽家であり続ける姿勢を保つことのほうが大変だと思います。音楽家は人とは違うんだということをいわれ続ける。そうするとふつうは自分を見失ってしまうものなんです。ふつうの感覚というものがいつのまにか失われていくのに、当人はまったく気がつかない。それでは人々を感動させられる演奏ができるはずがありません。人々から隔絶されているわけですから」
 ピリスと話していると、いつもこの人はお金や名声にとらわれず真摯な姿勢をもって音楽に向かっているんだなという感を抱く。
 彼女は一時期病気でピアノが弾けない時期があった。だが、苦難のときを乗り越えてピアノはいっそう味わい深いものになった。
 若いころからスター扱いされ経済的にも恵まれると、人は平常心を失ってしまう。ピリスはそれを十分に知っていて、地に足の着いた人生を歩もうと努力している。それがそのままピアノに表れているため、私たちはその音楽から彼女の一途で純粋な生きかたを感じ取ることができ、感動を覚える。
 今年はショパンのノクターン全曲録音を予定しているそうだ。「あなた、ショパン好き? だったら期待しててね」と、こちらに聞いてくる彼女。ピリスとは、あくまでも聴き手の気持ちを重視し、両者のコミュニケーションを大切にする演奏家だ。

 今日の写真はその雑誌の一部。このころからずっとインタビューを続け、いまではもっと本音を話してくれるようになった。
 また再会するのを首を長くして待っている。


 
| インタビュー・アーカイヴ | 22:38 | - | -
おいしいオイル
 先日、パリ出張の最終日、飛行機の出発時間が夜中だったため、夕方の仕事のあと少しだけ時間が空いた。
 そこですぐに頭をよぎったのは、食材を探しにいくこと。アンサンブル・アンテルコンタンポランのインタビューとリハーサル取材を終えて地下鉄で移動し、ギャラリー・ラファイエットまでいき、食料品の専門フロア「ラファイエット・グルメ」に直行した。
 ここは世界中の質のよいものだけをセレクトしたこだわりの品揃えを誇っており、何時間見て歩いてもけっして飽きないほど充実した内容となっている。
 しかし、旅人にとっては、あまりかさばるものや割れやすいものは避けなければならず、「うーん、残念」と頭を抱えることしきり。
 それでも短時間で効率よくいろんな食材を見てまわり、びんものも少しだけゲットした。
 私の大好きなオリーブオイルO&CO.の小さなびんを見つけたときは、「これだ!」と狂喜乱舞。今回はマンダリン入りとレモン入りをセレクトし、こんがり焼いたバゲットに塗ると最高だろうなと舌なめずり。
 その隣に目をやると、なんと、これも私が目がないトリュフオイルがずらりと並んでいるではないか。
「キャーッ、これって買うしかないってこと」
 困ったゾ、すでにトランクは資料やさまざまなものでぎっしりのはず。割れものは控えなくちゃいけないんだよね。いまは手荷物にすると没収されてまうし…。
 でも、でも、こんなにおいしそうなトリュフオイル、黙って通り過ぎることはできないよね。
 というわけで、できる限りスリムなボトルを選び、これも購入。
 帰国してからはゆっくりこれらを楽しむ余裕がないため、まだどれも試してないが、ながめているだけで幸せな気分になるから不思議だ。
 いまのたまっている原稿や出かける仕事がひと段落したら、これらをたっぷりと楽しみたい。ああ、考えるだけでよだれが出そう(笑)。
 今日の写真は悩みに悩んで選んできたオリーブオイルとトリュフオイル。どこからかフランスの香りがただよってくると思いませんか。


 
| 美味なるダイアリー | 22:25 | - | -
ニコライ・ホジャイノフのインタビュー
 昨年10月にインタビューしたロシアの若き逸材、ピアニストのニコライ・ホジャイノフの記事が、ようやくヤマハのWEB「ピアニスト・ラウンジ」にアップされた。
 カテゴリーは「明日を担うピアニスト達」で、結構盛りだくさんの内容を書くことができたので、ぜひクリックしてホジャイノフのことを知ってほしい。
 以前ブログにも書いたが、彼はいつ会ってもとてもおしゃれで、クール。若いのに、非常に知識が豊富で、大変な読書家のようだ。
 演奏も作品をとことん極めつくすもので、洞察力が深く、聴き手の心を音楽の内奥へと引き込んでいく。
 ホジャイノフはこれから大きな国際コンクールにどんどん挑戦すると意欲を示しているから、きっとすぐにいい結果が得られるのではないだろうか。
 このサイトは写真も豊富に盛り込まれているから、ホジャイノフのいろんな表情が見られる。
 ぜひ、見てくださいね。
 

 
| アーティスト・クローズアップ | 14:17 | - | -
TOKYO FMの番組に出演
 今日は、TOKYO FMの番組に出演するため、放送局に出かけた。
 ふたつの番組の収録があり、ひとつは「トランス・ワールド・ミュージック・ウェイズ」。以前から親しくしている田中美登里さんがパーソナリティを務めている番組だ。
 今回のテーマはラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン「熱狂の日」音楽祭2013予習篇。
 前篇が「スペインのパッション」で、放送日は以下の通り。
2013年4月6日(土)28:30〜29:00 TOKYO FM
&radiko.jp(インターネット首都圏限定)
4月6日(土)28:00〜28:30 K-MIX(FM静岡)
4月7日(日)10:00〜11:00 MUSICBIRD Cross Culture
4月8日(月)23:00〜24:00 MUSICBIRD Cross Culture
 後篇が「フランスのエスプリ」で、放送日は以下の通り。
2013年4月13日(土)28:30〜29:00 TOKYO FM
&radiko.jp(インターネット首都圏限定)
4月13日(土)28:00〜28:30 K-MIX(FM静岡)
4月14日(日)10:00〜11:00 MUSICBIRD Cross Culture
4月15日(月)23:00〜24:00 MUSICBIRD Cross Culture

MUSICBIRDはTOKYO FMグループの高音質CS衛星デジタルラジオ。
クラシック、ジャズなどジャンル別に多数のチャンネルがあり、   
これを聴くには専用のチューナーとアンテナが必要。
お問合せは03−3221−9000
http://www.musicbird.jp/

 田中さんとは長年おつきあいがあるため、和気あいあいとした収録となり、私が用意していった10曲ほどの音源をかけながら話をすすめ、私の単行本の紹介もしてくださった。
 
 その後、今度は隣のスタジオに移動し、「ガイド・フォー・ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン2013」という特番の収録を行った。
 こちらはディレクターの林さんの質問に答える形で、途中でいつもの早口になってしまい、最後は林さんに「伊熊よし子でした、とゆっくりいって終わりにしてください」といわれてしまった。ああ、またまた飛ばしてしまったなあ(笑)。
 こちらは3月20日(水・祝)16:00〜18:45の放送で、私のコメントは5分ほどだと思う。
 というわけで、なんとかふたつの番組収録を終えた。
 終わったら、すごくのどが渇いていることに気づき、集中していたためか花粉症も影をひそめていて、ホッとひと安心。出されたお茶をガブガブ飲んでしまった。
 さて、原稿もたまっているし、休んではいられない。また夜業になりそうだ。
 今日の写真は、田中美登里さん。スタジオのなかで撮ったので、ちょっと暗すぎてピンが合わなかった、エーン、残念。田中さん、ごめんね。

| 日々つづれ織り | 22:38 | - | -
有馬雄太さんのフィルム
 ナントの「エルムンド」の撮影でお世話になったフランス在住のディレクター、有馬雄太さんが、個人的なプロジェクトとして1本の掌編フィルムを制作された。
 題して「Fukushima,Bourgogne,J.S.Bach」。
 本来はフランス人に観てもらいたいと思って作ったそうだが、やはり日本人にも観てほしいと考え、日本語での補足字幕をつけたという。
 全体が明と暗、歓喜と苦悩、光と影、静謐と躍動など、さまざまなコントラストが際立ち、そこにバッハの音楽がはさみこまれている。
 まるで救済の音楽のようでもあり、また癒しの音色でもあり、祈りの空気をも感じさせる。
 やはり音楽の力は偉大だ。
 LINKSの「有馬雄太フィルム」をクリックしてください。
 ぜひ、観てね。



 
| 情報・特急便 | 22:12 | - | -
OTTAVA放送日決定
 先日、ゲスト出演したクラシック音楽専門ラジオ、OTTAVAの放送時間が決定したと林田さんからご連絡をいただいた。
 3月9日(土)の11時ころからという予定だそうだ。
 さて、いったいどんなふうに仕上がっているだろうか。ふたりでいつものように気軽にワイワイ話していたから、きっと仲間同士のおしゃべりのような雰囲気になっているのではないだろうか。
 先日も書いたが、こういうラジオの新しいスタイルを経験すると、世の中の変化を肌で感じる。
 収録のときも、ごく小さな機材で簡単に声を取ることができ、しかも音質はすばらしく、本当に驚きの連続だった。
 メディアは日々とてつもない速さで進化し、目からウロコということが多い。これからどんな形のものが登場してくるのか、予想不可能である。
 OTTAVAも、21世紀ならではの新たなスタイル。その新しいメディアに参加させていただくことができ、とても光栄だ。
 インターネットで聴くラジオ放送、ぜひ聴いてくださいな。
| 親しき友との語らい | 22:29 | - | -
モディリアーニ弦楽四重奏団
 先日、ナントの「ラ・フォル・ジュルネ」で、久しぶりにモディリアーニ弦楽四重奏団の演奏を聴いた。彼らの演奏はいつ聴いても音色がみずみずしく、作品がいま生まれたような新鮮さに彩られている。
 今回の「ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン」にも彼らは参加、フランス作品をたっぷり披露する予定だ。
 そこで「インタビュー・アーカイヴ」第47回はモディリアーニ弦楽四重奏団の登場。彼らの魅了の一端を垣間見てほしい。

[intoxicate 2010年9月号]

4人ではなくひとりで奏でているように…

 学生時代の友人4人が集まって結成したモディリアーニ弦楽四重奏団は、国際コンクールを次々に制覇。世界各地からオファーがひっきりなしに入る人気の高いカルテットに成長。結成6年を迎え、新録の「メンデルスゾーンの弦楽四重奏曲選集」は欧米で話題沸騰中だ。
「作品13はメンデルスゾーンが18歳で書き、ベートーヴェンへのオマージュの意味が含まれている。いまのぼくたちが自然に入っていける若さあふれる作品。一方、作品80は姉のファニーの死を悼んで書かれた悲劇性が込められ、メンデルスゾーンの個性と人格が込められている。これに僕たちはありったけの表現と技巧と音楽性を込めて録音した。メンデルスゾーンは作品の真の意味や偉大さがなかなか評価されにくいけどこの録音からそれを受け取ってほしい。新しい発見があると思うから」
 4人が互いを評すると、第1ヴァイオリンのフィリップ・ベルナールは信頼でき、話のおもしろい人。第2ヴァイオリンのロイック・リオは予想できないことを行うサプライズ人間。ヴィオラのローラン・マルフェングは自他ともに認めるいいヤツ。チェロのフランソワ・キエフェルは知性派で、エレガンスの持ち主だそうだ。
「カルテットの演奏は家を建てるようなもの。チェロが土台となり、ヴィオラと第2ヴァイオリンが壁を作り、第1ヴァイオリンが屋根の役目。でも4人ではなく、ひとりで音楽を奏でているような密度の濃さと一体感が必要。僕たちは昔のカルテットのように、第1ヴァイオリンが中心となってあとの3人が伴奏的な役割を果たすのではなく、あくまでも民主的。喧嘩してもすぐ仲直り」
 その一体感が功を奏し、フランスのラジオ番組「音盤批評トリビューン」の名前を隠して録音を聴きくらべる放送で、最終的にアルバン・ベルク四重奏団とハイドンの弦楽四重奏曲「日の出」で絶対盤として引き分けた。
「これはワインの利き酒のように演奏者の名前を隠して出演者たちが聴きくらべる番組。すごく名誉に感じたよ。最終的に残った相手が偉大なアルバン・ベルクなんだもの。4人ともびっくり。自分たちがやってきたことがまちがっていなかったと確信できた瞬間だった。これまで多くの偉大なカルテットから影響を受けてきたけどもっとも尊敬しているのはアマデウス四重奏団。彼らはずっとメンバーチェンジなし。すぐにアマデウスとわかる響きを保持していた。僕らもそれを目指している」
 グループ名のモディリアーニは偉大な画家から命名したものだが、モディリアーニの絵はすぐに画家の名がわかる個性に彩られている。それに触発された。
「弦楽四重奏曲は作曲家が魂を込めて書いた作品ばかり。それを自分の100パーセントを注いで演奏するわけだけど、いつも作品のすばらしさに没入して心が震えるほど。その感動を聴衆と分かち合いたい。来春のラ・フォル・ジュルネでまた来日するからぜひ聴きに来て!」

 今日の写真は一番上が、このインタビュー時の写真。真ん中は、ナントで撮った写真。でも、左端にいるのはだれ?
 そう、これはラムルー管弦楽団の音楽監督のフェイサル・カルイ。
「ぼくたち、モディリアーニだよー」とふざけてポーズ。でも、第1ヴァイオリンのフィリップが戻ってきたら、「ほらほら、本物のカルテットの写真撮らなくちゃ」と、私はカルイに促された。それが一番下の写真。
 マエストロ・カルイは、ふだんはちょっとカッコつけて渋い感じなのに、実はユーモアたっぷりな人だったんですね(笑)。
 というわけで、そろいました。左から第2ヴァイオリンのロイック・リオ、ヴィオラのローラン・マルフェング、チェロのフランソワ・キエフェル、第1ヴァイオリンのフィリップ・ベルナールです。名前、覚えてね。





| インタビュー・アーカイヴ | 22:33 | - | -
OTTAVAに出演
 今日は、TBSラジオ・プレゼンツによるクラシック専門のインターネット・ラジオ局「OTTAVA amoroso for weekend」に出演のため、TBSに出かけた。
 プレゼンターは私の長年の仕事仲間というか、同業者である林田直樹さん。音楽之友社を退職されてフリーとなり、さまざまな面におけるクラシックの仕事を行っている視野の広い人である。
 収録時間は20分ということだったが、打ち合わせを始めたらふたりで話が止まらなくなり、結局4時間もおじゃましてしまった。
 クラシックの世界で長年仕事をしていると、積もる話があり、お互いに情報交換もし、時間がたつのを忘れてしまった。
 音楽を流す部分は作品を決めてから、あとはすべてお任せすることになり、またまた話し込んだ。
 彼はとてもフットワークの軽い人で、いわゆるジャーナリスト・タイプ。私も音楽評論の仕事よりは、取材が好きなため、話はバッチリ合う。
 今日は「ラ・フォル・ジュルネ」のナントでの様子と、パリでの取材のことを話し、東京公演への期待へとつなげ、単行本の紹介を林田さんが最後にしてくれ、無事に収録完了となった。
 スタジオには初めて訪れたが、とても居心地のよさそうなところで、ひとりで何役も果たさなくてはならないそうだが、その代わり、自分の自由にできるところがたくさんあり、とても魅力的にうつった。
 林田さん、今日は番組にお招きいただき、ありがとうございました。これからもいい音楽番組を作ってくださいね、期待しています。
 今日の写真は、収録後の林田直樹さん。ちょっとシリアスな表情に写っているかな。ふだんはもっとにこやかで、人あたりのいい感じの人なんだけどね、ちょっと気取っちゃったかな(笑)。

 
 
 
| 親しき友との語らい | 21:57 | - | -
かりんジャム
 先日、音楽事務所社長のSさんに、おいしいジャムをいただいた。実家が長野県上田市ということで、いつも帰郷したさいにその老舗のジャムをお土産に買ってくるとのことだった。
「信州・上田みすず飴本舗」の飯島商店の製品で、四季の果物の収穫に合わせてさまざまな種類が作られているそうだ。
 いまは晩秋に製造されたかりん(マルメロ)が売られていて、それをいただいた。
 このジャムのなんとおいしいことか。余分な添加物が入っていないため、シンプルで自然でまろやかで香り高い。
 いただいた日から毎朝、このジャムをパンにつけて食べることがとても楽しみになった。カリッと焼いたトーストにとても合う。
 S社長、ありがとうございました。まだまだたくさんあるので、毎日楽しみながらいただきます。
 自然な果物を使ったジャムは作り手の温かい心を感じさせ、ほんのりとした甘さがからだ全体を包み込み、つい笑顔になってしまう。
 今日の写真は、その老舗のかりんジャム。シャリシャリとした食感がまた楽しい。忙しい日々のひとときのリラックスタイムだ。


 
| 美味なるダイアリー | 22:17 | - | -
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