Yoshiko Ikuma - クラシックはおいしい -Blog

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ウィーン&ベルリン出張の原稿
 今夜、先日のウィーンとベルリンの取材による女性誌の特集号のレイアウトが送られてきた。
 20数ページの大特集で、私の担当も20ページを超す。
 ヒエー、大変だ。わかっていたことだが、こうして実際のレイアウトを前にすると、そのボリュームに一瞬たじろぐ。
 でも、ひとつひとつていねいに見ていき、書く内容を極め、本文と写真のキャプションとのつりあいを考え、読みごたえのあるページにしなくてはならない。
 とはいえ、いまは連載の月末入稿が山積み。さて、どうしたものか。
 いつものやり方で、締め切りの原稿をメモに書き、仕事机の前に貼ってひとつ終わったら消していくという方法をとる。
 まだまだ消していくのが少ない、こりゃ困ったゾ。う〜ん、いつになったら女性誌のほうに取りかかることができるのだろう。
 というわけで、ムーティのコンサートも、チェコ・フィルもすべて行くことがかなわず、パソコンとにらめっこ。
 明日は、なんとしてでもある程度の結果を出さないとならない。いやあ、考え出すとめげるので、深く考えないようにしようっと(笑)。
 いざとなると、私は「なんとかなるさ」という楽観主義に走る。それでいままで切り抜けてきたんだから、今回も「なんとかなるさ」。
 それにしてもこのレイアウト、ボリュームたっぷり、存在感あるなあ。いったい何時間かけたら終わるんだろう。
 いやいや、考えまい。1ページずつやっていくしかないんだから。時間との勝負、これもいまに始まったことではないし。
 楽しい楽しい取材記事、うれしいなあ、こんなにたくさんあって。と、なんだか自虐的になってきたゾ。おいしい紅茶を飲んで、頑張ろうっと。
| ああ愉しき(?)、締切り地獄 | 23:03 | - | -
オーストリアの名物料理
 先日のウィーン出張では買い物をする時間がまったくなく、お土産らしいものはほとんど買うことができなかった。
 唯一、自分用に購入したのが、国立歌劇場のなかにあるお店で見つけた「オーストリアの名物料理」と題したお料理の本。著者はマリア・ヴィースミュラーという人。
 これが、なんと日本語で書かれた本なのである。
 見つけたときは、「キャーッ」と喜びの声を上げてしまったほどで、手のひらサイズの小さな本なのに、存在感はたっぷり。
「はじめに」と書かれた文章には、「これらのなかでも有名な料理の多くは、オーストリア・ハンガリー帝国時代にボヘミアやハンガリー、クロアチアなどから取り入れられたもの」「オーストリア料理がいかにおいしく、変化に富んだものであるかをお伝えできれば」と綴られている。
 文章のなかにはそれぞれのお料理の地域の特色が書かれ、レシピは48種類。もちろんだれでも知っている「ウィーン風子牛のカツレツ(ウィンナ・シュニッツェル)」はあるが、スイーツも充実。ウィーンにいくと必ず食べたくなる「アプフェルシュトルーデル(アップルパイ)」も載っている。
 ウィンナ・シュニッツェルはそんなに難しくはないけど、アプフェルシュトルーデルは、かなり気合を入れないとできない感じ。
 でも、とても詳しく書いてあるから、ここはひとつ時間ができたら、挑戦してみますかな。これができたら、みんなに自慢できるもんね。
 というわけで、このちっちゃな本は、今回のウィーンの大切なお土産となった。これが、ながめているだけで楽しいんだよね。オーストリアのいろんな地方のお料理の特色が歴史とともに書かれていて、「ああ、そうだったんだ」「へえ、そういうことなの」とページをめくるごとに新たな発見があって、とっても役に立つ。
 われながら、いい物を見つけたと、内心ほくほく。困ったなあ、またレパートリーが増えちゃうよ(笑)。
 今日の写真はその本の表紙。縦16センチ、横9センチというほんの小さな本なんですよ。それなのにこの楽しさ、本を作ってくれた人に感謝!!

 
| 美味なるダイアリー | 22:39 | - | -
ジョン・ウィリアムス
「キング・オブ・ギター」と称されるジョン・ウィリアムスが、年内いっぱいで演奏から引退すると表明し、最後の日本公演を行った。
 10月17日からのツアーは、今日が最終日。白寿ホールで行われたリサイタルはJ.S.バッハ「リュート組曲」第4番、タレガ「アルハンブラ宮殿の思い出」、バリオス「ワルツ第3番」から自作、映画音楽まで幅広い作品が組まれ、まさにジョン・ウィリアムスの全貌を明らかにするという趣向だった。
 冒頭から、ジョン・ウィリアムスならではの柔軟性に富んだ、精緻で正確でゆるぎない響きが胸に迫ってきた。
 いずれの作品も、ゆったりとしたおだやかな空気に包まれ、ひとつひとつの音が非常にクリアで、あるべきところに存在するという演奏。こんなギターを聴いたら、もう何もことばが出てこない。
 私はギターの音色が大好きで、特にこうした心に切々と響いてくる演奏をこよなく愛している。特に、白寿ホールはギターの音に適した広さで、完全にナマの音を聴くことができる。
 残念ながら、ジョン・ウィリアムスにはこれまでインタビューする機会がまったくなかった。これが日本でのラストコンサートとは、本当に残念だ。
 ただし、聞くところによると、ツアーからの引退で、ロンドンでは来年も現代作品の初演を行うとか。そうか、海外にいけば、まだ演奏を聴くことはできるのね。
 ラストコンサートとあって、聴衆はホールに明かりがついても拍手を送り続けた。ジョン・ウィリアムスもそれに応えて何度もステージに登場。優しく、知的で、はにかんだような笑顔を見せ、キングは静かにステージから去っていった。
 今夜はギタリストが多く会場に姿を見せていたが、鈴木大介と大萩康司に会ってしばし歓談し、近況も聞かせてもらった。
 本当に心に残る、すばらしいギターの調べだった。これこそ、今年のコンサート・ベストテンに入れたいと思う。
| アーティスト・クローズアップ | 23:12 | - | -
マレイ・ペライア
 10月24日、待ちに待ったマレイ・ペライアのリサイタルを聴きにサントリーホールに出かけた。
 ペライアの演奏はいつ聴いても心がほのぼのと温かくなり、その人間性が映し出された誠実で、ひたむきで、洞察力に富む深々としたピアニズムに魅了される。
 この夜は、J.S.バッハの「フランス組曲」第4番から始まった。これを聴き、おそらくペライアは以前「イギリス組曲」全曲を録音しているため、近々「フランス組曲」を収録するのだろうな、と予測させた。すでに完璧な美しさに彩られ、自信あふれる演奏だったからだ。
 あとでレコード会社の方から「ペライアは《フランス組曲》をリリースする予定だそうですよ」ということばを聴き、予測があたって、うーん、納得。
 次いで登場したのはベートーヴェンのピアノ・ソナタ第23番(熱情」。多くのピアニストがこのソナタをすさまじいスピードで疾走するようなはげしさを見せ、ドラマティックに圧倒的な音量で聴かせるが、ペライアはテンポを抑え、ひとつひとつの音をじっくりと聴かせ、主題を鮮やかに浮き上がらせ、最終楽章に向けて徐々にクライマックスを築いていくという奏法をとった。 
 そのなかで、「運命の動機」の情熱とエネルギーの表現が際立ち、いすから立ち上がらんばかりに体重をかけ、深い打鍵を試みる姿勢が印象的だった。
 後半はシューマンの「ウィーンの謝肉祭の道化」からスタート。この連作曲集は、演奏が非常に難しい。長大であり、文学的要素、多種多彩な曲想、幻想的なタッチ、ウイットとユーモアなど、作品に込められたさまざまな表現を、第5楽章まで一瞬たりとも弛緩せずに弾き進めなくてはならないからである。
 ペライアは、以前、こうした作品を演奏するときは、各地の図書館や資料室でオリジナルの楽譜を徹底的に研究し、作曲家の意図するところに近づいていくと語っていた。
 そのことば通り、ペライアのシューマンは、すみずみまで神経が張り巡らされた、緻密で構成力に富んだもので、その奥に限りないロマンを感じさせた。
 最後は、ショパンの即興曲第2番、スケルツォ第2番で締めくくり、アンコールもすべてショパンで構成された。
 あまりにも心に響く演奏だったため、その余韻を楽しもうということになり、この夜は久しぶりに「末っ子トリオの会」の友人ふたりとワインを飲みにいった。
 そこで出されたおまかせおつまみのひと皿が、実に美しい盛り付けだったため、すぐにパチリ。これ、自分で作るときに参考になるなあ、とひとしきり感心。もちろん味もよかったですよ。
 いい音楽に酔った日は、こうして親しい友人とおしゃべりしながら飲むのも、またいい。
 ペライアの音楽は、いつまでも心に残る。何日たっても感動の泉は枯れることがない。
 今日の写真はその美しい盛り付けのおつまみ。ちょっと参考になるでしょ。自宅のテーブルで、ぜひまねしてくださいな、ペライアのCDをかけると、もっとおいしくなるかも(笑)。

| アーティスト・クローズアップ | 23:15 | - | -
単行本のトークショウ&サイン会
 先日お知らせした、「クラシックはおいしい アーティスト・レシピ」の本のトークショウ&サイン会のチラシができあがった。
 ジュンク堂池袋本店のホームページでも掲載されているそうで、いよいよ募集が始まった。
 こうして実際に告知記事が掲載されると、いやが上にも緊張感が増してきますなあ(笑)。
 まずはチラシを見てくださいな。ひとりでも多くの人が足を運んでくれ、願わくばクラシックを好きになってほしい、そう願っています。
 拡大して見てくださいね。

| 情報・特急便 | 21:27 | - | -
ブッフビンダーの「皇帝」
 もうすぐルドルフ・ブッフビンダーが来日する。今回はウィーン・フィルとの共演で、ベートーヴェンのピアノ協奏曲全曲を弾き振りするプログラムが組まれているが、11月13日に「サントリーホール&ウィーン・フィル 青少年プログラム」にも出演することになっている。
 これは高校生を対象とするもので、12時から13時までの1時間。プログラムはベートーヴェンのピアノ協奏曲第5番「皇帝」の1曲で、ブッフビンダーが弾き振りを披露する。
 そのプログラムの曲目解説をわかりやすく書いてほしいと依頼され、ふだんの原稿とは多少異なった形で仕上げた。
 これを聴くことができる高校生は幸せだ。最高の作品を現代の最高の音楽家たちの演奏で聴くことができるからだ。
 きっとこれまでクラシックにあまり興味をもたなかった人たちが、これを機に耳を傾けてくれるようになるかもしれない。
 若い心と耳は柔軟性に富むから、本物に触れて深い感動を得るのではないだろうか。
 こうした原稿は、ふだんのものとは違い、神経を遣う。少しでもベートーヴェンを知ってほしい、「皇帝」の魅力に触れてほしいと願い、知恵を絞ったつもりである。
 私も今回は通常のコンサートのほうの「皇帝」を聴きにいくつもりだ。ブッフビンダーの第2楽章は、涙がこぼれるほど美しい。私はこの緩徐楽章が、ベートーヴェンの作品のなかでもっとも好きである。
 さて、どんな感動が味わえるだろうか。ひたすら待ち遠しい。

 
| 情報・特急便 | 23:07 | - | -
けんちんうどん
 いつも高原の仕事部屋にいくと、必ず食べにいくおうどん屋さんがある。
 駅のそばの古民家風のたたずまいで、お店の人も素朴で温かい人ばかり。もう20年以上通っていて、メニューを見ていろんな物を試したいと思っているものの、必ず「けんちんうどん」を注文してしまう。
 これはお肉は入っていないが、だしと野菜のうまみが効いていて、重量感たっぷり。だいこんもにんじんもじゃがいもも、みんな大きく切ってあり、中までしっかり味がしみている。
 とりわけおいしいのは、焼き麩。これは食感がお肉に似ているため、よくまちがえられるらしく、お店の人は注文した人ひとりひとりにていねいに「これはお麩なんですよ。肉類はいっさい入っていません。精進料理ですから」と説明している。
 おうどんは手打ちで、これまた忘れがたい味。
 というわけで、先日いったときも、また「けんちんうどん」を食べてしまった。本当は、てんぷら定食やおそばやお魚類も試したいけど、なぜか「けんちん」ひと筋。私の心身を癒してくれる一品となっている。
 今日の写真は、何年間も味の変わらない「けんちんうどん」。
 これ、まねして作ってみたけど、どうしてもあの味にならない。厨房をのぞいて、大鍋で煮ているけんちんを横目で見たりしたが、何も特別な材料は使っていないみたい。
 きっとだしに秘密があるのだろう。ご主人に聞いたところ、おうどんは毎日90歳を超えた、このお店の創始者であるおばあさまが打っているとか。そして調理は、長年地元の年配の女性たちが、自然な材料を使ってじっくりと腰を据えて作っているそうだ。
 なるほどね。年季がものをいっているわけだ。だからしみじみとした味になるのね。私もその姿勢を学びたい。
 90歳を超えておうどんが作れるなんて、すごいことだ。その気合いと精神、分けてくださ〜い(笑)。


 
| 美味なるダイアリー | 22:49 | - | -
ブルーノ・メツ
 10月14日、フランス出身のサッカーの監督、ブルーノ・メツの訃報が飛び込んできた。
 メツは選手時代はフランスのチームで活躍。監督になってからは、セネガル代表監督としての功績が光る。2002年のW杯では開幕戦で前回王者のフランスを破り、セネガルは初出場ながらベスト8に進んだのである。
 この偉業がメツの名を一気に高めた。
 その後はUAEやカタール代表監督を務めていたが、1年ほど前からガンが悪化し、2013年10月14日、故郷のクドケルク=ヴィラージュの病院で息を引き取った。享年59。
 実は、私はメツの大ファンで、ぜひとも日本代表の監督に就任してほしいと願っていたほどだ。
 戦術、指導力、先を見る目に長け、カリスマ性も備わっていたからである。サッカー好きの人たちと話すときには必ずメツの話題を出し、いかにすばらしい人かと力説していたのだが、もうあのスタジアムで巻き毛の長髪をなびかせながら大声でメンバーにゲキを飛ばしている雄姿は見られない。
 ひとりの偉大な監督を失い、とてもショックである。
 私のまわりにはメツのファンはいなかったが、きっと世界中のサポーターが悲嘆に暮れているに違いない。
 そういえば、2011年のアジアカップでは、カタール代表を率いて日本と死闘を演じたっけ。それを記憶している人は多いのではないだろうか。
 ブルーノ・メツ、ぜひこの名を記憶にとどめてほしい。合掌…。
 
| 日々つづれ織り | 23:11 | - | -
ネマニャ・ラドゥロヴィチ
 昨日はネマニャ・ラドゥロヴィチの「無伴奏ヴァイオリン・リサイタル」を聴きに、第一生命ホールに出かけた。
 実は、以前もブログで紹介したが、このリサイタルのためのインタビューを行って記事を書き、プログラムの曲目解説も担当した。
 彼はいまもっとも弾きたいのは、J.S.バッハとイザイの無伴奏作品だと語り、今回のプログラムもこの両作曲家の作品で組み立てられた。
 ネマニャはいつもステージに駆け足で颯爽と登場してくる。
 この日もスリムなからだを黒のモダンなデザインのえんび服をもじった衣裳に包み、いつもながらの集中力に富んだ演奏を披露。最後まで超絶技巧をものともしない、緊迫感あふれる演奏で聴き手の心に強い印象をもたらした。
 奏法がしっかりしていること、表現力が多彩なこと、演奏姿勢が魅力的なことなど、ネマニャの魅力は幅広い。ほぼ毎年のように来日しているが、いつもホールは満員だ。
 この日も、終演後のCDのサイン会には100人以上の列が続いた。
 私が初めてネマニャの演奏を聴いたのは、もう6年くらい前だろうか。彼はリサイタル前日に28歳のお誕生日を迎え、「ショックだ」といっていたとか。そんなことをいっていたら、これから毎年ショックが続くのにね(笑)。
 ネマニャの演奏は、ヴァイオリンの可能性をひたすら追求していく探究心と、作曲家の魂に寄り添うようその作品の奥に入り込み、新たな魅力を生み出そうとする創造性に富む。
 長年聴き続けていると、その演奏は徐々に変容していくことに気づく。もっと若いころは、テクニックを前面に押し出してバリバリ弾いていたが、いまはそれに加え、表現力の深さが増した。そして何より、自信に満ちている。これが一番の変化かもしれない。
 また、すぐにでも来日してほしいと願う。
 今日の写真は彼のヴァイオリンとケース。ファンからの贈り物だろうか、かわいい動物のぬいぐるみがついていた。
 もう1枚は着替えたあとのラフな格好のネマニャ。いつも同じことをいっているのだが、また「髪がボワーンとしてまとまらなくて…」。
 ちなみに、演奏中はきちっと結わえていますよ。



| クラシックを愛す | 22:45 | - | -
単行本の打ち上げ
 昨夜は、「クラシックはおいしい アーティスト・レシピ」の出版社の主催で、本にかかわった人が集まり、打ち上げが行われた。
 中華料理を囲みながら、多岐にわたる話題が出ておしゃべりがはずみ、楽しいひとときを過ごすことができた。
 お料理の話からそれぞれの仕事の話、サッカー、政治、知人の近況までさまざまな話題が次々に現れ、あっというまに3時間を超えていた。
 実は、この本に関して、書店でトークショウとサイン会を行うことになり、そのスケジュールが決まった。
 ジュンク堂池袋本店、12月17日(火)、19時からである。本のプロデューサーをしてくださった、椎根和さんとの対談をすることになった。
 出版社の芸術新聞社社長のAさんによると、ジュンク堂はこうしたトークショウやサイン会をたくさん行っていて、日程を調整するのが大変だったそうだ。それらは、かなり人気があるのだという。そこに参加することができ、うれしい限りである。
「どんなことを話したらいいのかしら」
 私が思案していると、こういうことに慣れている椎根さんはひとこと。
「なあに、気楽にやればいいんですよ」
 それでも、私がいろいろ心配していると。
「ぼくがふだん話しているように聞くから、それに答えてくれればいいんですよ」
 まあ、相手が椎根さんだから、大船に乗った気分でいきますか(笑)。
 というわけで会もお開きになり、その後は椎根さんと駅まで歩きながら話し、さらに電車のなかでも話し続け、ふだん音楽界の人たちとの話題とはまったく異なった話に触れることができ、とても有意義な時間となった。
 ところが、話に夢中になっていたため、お料理の写真を撮るのをすっかり忘れてしまった。とてもおいしかったのに、残念。
 なにはともあれ、12月17日はうまくやんなくちゃ…。せっかくみなさんが準備してくれたのだから。本が少しでも売れるように、頑張らなくちゃね。
 
 
| 美味なるダイアリー | 22:02 | - | -
ラドゥ・ルプー
 昨夜は、オペラシティにラドゥ・ルプーのリサイタルを聴きにいった。
 プログラムは前半シューマンの「子供の情景」と「色とりどりの小品」。後半がシューベルトのピアノ・ソナタ第20番だった。
 昨年はオール・シューベルト・プロを聴いて深い感動を得たが、今年もまた心の奥深く響いてくるすばらしい演奏をたっぷりと味わった。
 ルプーの音は柔軟性に富み、やわらかく、おだやかで、しかも深遠で思索的。冒頭の音が響いた途端、私の胸には昨年の感動が蘇り、頭を垂れてひたすら聴き入った。
 ルプーのシューマンは物語性に満ち、詩的でエレガントで淡々としている。美しい声によって語られる朗読を聴いているようだ。
 ひとつひとつの音がからだのすみずみまで潤してくれ、魂が浄化していくような感覚にとらわれる。
 実は、今回の来日に際し、KAJIMOTOのホームページに「アイ・ラヴ・ルプー」の記事を寄せたが、そのとき担当の方に「ぜひ楽屋にきてください、ご紹介しますから」といわれた。
 ルプーは近年録音も行わないし、インタビューもけっして受けない。コンサートが、唯一の表現手段である。私も、これまでインタビューで会ったこともなければ、間近で話をしたこともない。
 きっととても気難しい人なんだろうな、と勝手に思っていた。
 ところが、終演後に楽屋で会ったルプーは、とてもやさしいまなざしのあったかい感じのする人だった。
 マネージメントの方が紹介してくれ、ほんの少し立ち話をしただけだが、ふんわりと大きなぬくもりに包まれる感じを受けた。
「ほらほら、伊熊さん、並んで」
 KAJIMOTOの方が、ツーショットを撮ってくれた。これは生涯の宝だ。
「ルプーさん、またすぐに来日してくださいね」
 こういうと、ルプーは困ったような顔をしてマネージャーを見、マネージャーは、「うんうん、その通り」というような表情をしていた。 
 この夜は、まさに「神の音楽」を聴いたような気分になった。現世から離脱し、別の世界へと運ばれる気持ちになったからだ。その感動はいつまでも心に残り、時間が過ぎてもけっして消えることはない。
 この日、楽屋でちょうど来日しているマレイ・ペライアに会った。早速あいさつを交わし、「来週のリサイタルにいきます」というと、「ああ、ありがとう」といっていつものおだやかな笑みを返してくれた。
 ルプーとペライアはデュオを組んで録音を行っている。ふたりの音の質はとても似ていて、どちらが弾いているのか判断しかねるくらいだ。
 今回のルプーの公演評は、次号の「モーストリー・クラシック」に書く予定になっている。そのときもまだ、演奏の鮮烈な印象が残っているに違いない。
| クラシックを愛す | 23:31 | - | -
プラシド・ドミンゴ
 10月15日、日本スペイン交流400周年にあたり、スペインを代表する文化交流大使として来日したプラシド・ドミンゴのコンサートを聴きにいった。
 実は、9月末のウィーン、ベルリン出張直前にプログラムの原稿依頼を受けたが、とてもまにあいそうもなく、「10月6日に帰国するから、そのあとでいいですか」と聞いたら、「申し訳ありません、こんなに急なお願いで。実は10月7日が校了なんです」といわれ、そりゃ、あかん。何がなんでも出かける前に入稿せねば、ということになった。
 そのコンサートのために、オーチャードホールに出かけた。
 2011年、ドミンゴは震災直後の日本を訪れてコンサートを開き、日本人を元気づけようとすばらしい歌声を聴かせてくれた。プログラムには、そのときの様子を綴った。
 今回は前半がメモリアルイヤーのワーグナーとヴェルディの作品を組み、後半はサルスエラからオペレッタ、ミュージカルまで多彩なプログラミング。
 2011年にも来日したアルゼンチン生まれのソプラノ、ヴァージニア・トーラとのデュオ、クラシック・スパニッシュ・ダンサーのヌリア・ポマレスの舞踊も交え、おなじみのユージン・コーンの指揮により、エンターテイナーに徹したステージを披露した。
 ドミンゴは以前もそうだったが、後半になるとのってきて、アンコールもたくさんうたう。今回もさまざまなジャンルの曲をうたい、19時開演のコンサートがすべて終了したのは22時10分前だった。
 そして2011年に会場が涙に包まれた「故郷」を再び最後にうたい、長いコンサートは幕を閉じた。
 本当に彼は疲れを知らない。そして誠心誠意、聴き手の心に届く歌をうたってくれる。この夜は声の調子がとてもよく、のびやかで声量も十分。声がとても健康的で、輝かしい響きを保ち、表現力の深さが際立っていた。
 ドミンゴの歌声はインパクトが強く、いまもその印象が深く心に残っている。まだまだ、ずっとうたい続けてほしいと願うばかりだ。
 今日の写真はプログラムの表紙と、私の記事のページ。この表紙の写真、かなり渋いよね〜(笑)。



 
| クラシックを愛す | 00:08 | - | -
アレッシオ・バックス
 3連休の初日、12日に中村紘子さんのご自宅でアレッシオ・バックスを囲むパーティが開かれた。
 私もお招きを受けて伺ったのだが、当日は45人ほどの招待客が集まり、非常ににぎやかな会となった。
 アレッシオ・バックスは1977年イタリアのバーリ生まれ。1997年に浜松国際ピアノ・コンクール、2000年にリーズ国際ピアノ・コンクールで優勝の栄冠に輝き、以後、国際舞台で幅広く活躍。現在はニューヨークを拠点に活発な演奏活動を行っている。
 もっとも尊敬する作曲家はラフマニノフだそうで、この夜もラフマニノフの作品を2曲披露してくれた。
 アレッシオ・バックスはやさしいまなざしのナイーブな表情をもつ人で、演奏も難曲を鮮やかにこなす技巧と、繊細さと大胆さを併せ持つ表現力が特徴である。
 実はこの日、演奏をごく間近でじっくりと聴かせてもらったのだが、タッチがとてもやわらかく、情感豊かな音色が美しく、ペダリングも絶妙だった。
 中村紘子さんは浜松国際ピアノ・コンクールの審査委員長をされていたとき以来、バックスの将来性を見越して応援し続けている。今回も、ぜひもっと広く彼の演奏を知ってほしいと、このパーティを計画された。
 若いピアニストにとって、こうしたバックアップは非常に力になる。彼はクラシック界のさまざまな人たちに紹介され、ひとりずつじっくりと対話していたが、私もぜひ次回はインタビューをしたいと申し出た。
「ええ、ぜひ。ぼくのほうこそお願いします」
 謙虚で人なつこい笑顔がとても印象に残った。
 中村さんによれば、この9月にはシカゴ交響楽団とサミュエル・パーパーのピアノ協奏曲を演奏し、新聞評で絶賛されたという。
 夫人のルシル・チョンもピアニストで、浜松のコンクールで知り合ったそうだ。彼女も国際コンクールの覇者で、ときおりふたりでデュオ・コンサートも開くという。
 最近のスケジュールをいただいたのだが、欧米でのコンサートがびっしり。ぜひ、日本でも各地でのツアーを行ってほしい。
 今日の写真はあいさつをしている中村さんとバックス。もう1枚は当日、中村さんが履いていた靴。うしろに音符が書いてあるユニークなハイヒールで、特注品かと思ったのだが、かなり前にホテルのショップで見つけたとか。まさに音楽家が履いてくれるのを待っていたような靴ですよね(笑)。



| 情報・特急便 | 16:52 | - | -
秋の気配
 連休の2日間、久しぶりに高原の仕事部屋にいった。
 東京はまだ暑いくらいだが、高原はもうすっかり秋の気配で、ススキやキリンソウが生い茂り、ようやく「日本の秋」を満喫することができた。
 考えてみると、今年は念頭から「ラ・フォル・ジュルネ」一色で、ナントやパリに取材にいき、公式本の出版に関してさまざまなプロモーション活動を行い、4月から5月にかけては「ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン」のアンバサダーとして飛び回り、いろんなメディアに出演した。
 そして夏前には牛田智大の単行本を必死になって仕上げ、ようやくそれが完成した後、ヴェローナの音楽祭に出かけた。
そして、すべてが終わるのを待っていてくれた「アーティスト・レシピ」の本の担当者との約束通り、この本を一気に仕上げた。
 秋になってからは、つい先ごろウィーンとベルリンの取材に出かけ、これからその原稿が待っているという次第だ。
 というわけで、つかのまのひととき、高原の仕事部屋へと読まなくてはならない本を携えて出かけた。
 ここはいつ訪れても心が解き放たれ、からだが癒され、のんびりできる。森のなかのおいしい空気が一番のごちそうだが、実際の食事もすこぶるおいしいものがそろっている。
 1泊2日でも、朝から晩までさまざまなものをいただき、存分に堪能することができた。
 さて、明日からはまた仕事、仕事の日々。コンサートも目白押しで、原稿もたまっている。高原からエネルギーをもらったので、それを糧にしようと思っている。
 今日の写真は、散策の途中に写した1枚。ねっ、これって日本の秋でしょ。

| 日々つづれ織り | 22:36 | - | -
アンティーク家具
 昔からアンティークの家具に目がない。
 これまでは、イギリスの1910年製のハンガーやテーブル、1920年製の小さなドレッサーなどをお金をためて買い求め、大切に使ってきた。
 ところが、今日とてもすばらしい日本の茶ダンスに出合ってしまった。
 先日出版した「クラシックはおいしい アーティスト・レシピ」のプロデューサーを務めてくださったSさんにベルリンのお土産を渡しにいったところ、彼の事務所にその茶ダンスはひっそりと置いてあったのである。
 いろんな話をするなかで、つい私が両親が大昔使っていた「松本家具」のテーブルといすを譲り受けて、いま使っていると話したら、Sさんがその茶ダンスを見せてくれたのである。
 私のすわっているうしろに置かれていたため見過ごしていたのだが、これがすばらしい黒柿の職人芸を存分に発揮した家具。
 なんでも昭和15年7月20日に福島で制作されたもので、Sさんのおじいさんが特注したそうだ。
 まったく傷もなく、形も色も美しく、まさに日本の職人芸の賜物。時代を感じさせる風格があり、しかもしっかりした作りである。
 あまりにも私が気に入ったため、彼は「○○万円で譲ってもいいよ」といってくれたが、すぐには払えない。
 ここでSさんは、「黒柿とは」と詳細を教えてくれた。柿の木が数百年の樹齢を経て古木になると、墨のような黒い模様ができることがあり、その表面を加工して家具にするのだそうだ。とても貴重な素材で、なかなか手に入らず、入ったとしても、制作できる職人は限られているとのこと。
 う〜ん、ますます気に入った。お金をためなくちゃ(笑)。
 帰宅してからいま置いてある食器棚の幅を測ったら、78センチ。あの茶ダンスは85,5センチあった。家具を大移動させ、正面にもってくれば置けないことはない。
 いろいろ調べてみると、黒柿の家具をそばに置いておくと幸福が訪れるそうだ。あ〜ん、そんなこと知ったら、気持ちが余計に募るよ〜。
 日本にも、こんなすばらしいアンティークがあると、今日はとても勉強になった。なにはさておき、お金ためなくちゃ。
 今日の写真はその味わい深い黒柿の茶ダンス。いったい、いつになったら私のところにきてくれるのだろうか…。


 
| 日々つづれ織り | 21:58 | - | -
CDの付録
 今日は、雑誌のCDの付録について打ち合わせるため、出版社に出かけた。
 レコード会社の担当者は、私が以前からよく知っている人で、打ち合わせもスムーズに運んだ。
 ただし、この仕事は時間との勝負で、スケジュールが非常にタイトなため、全員が超スピードで仕事をしなくてはならない。
 元の音源を受け取って、一度すべて聴いてみて選曲の確認をすることになり、帰宅後急いで聴いてみた。
 すると、夜になってレコード会社の担当者から電話が入り、プレスがまにあわないため、より進行を早めないといけないことが判明。そうか、もっと急いで聴き込まなくちゃ。
 ようやく全曲通して聴いてみて、今度は雑誌の担当者に事情を連絡した。
 CDの付録というのは、読者にはとても喜んでもらえるのだが、それにはいろんな人がかかわり、しかも全員が急ピッチで仕事を遂行しなくてはならない。要は、いい物を作るためには内容と質を落とすことなく、時間だけとにらめっこして最大限の努力をすることを要求されるわけだ。
 出張から戻った途端にいろんなことがたまっていて、またもや落ち着かない日々となっているが、こうして新たなCDの企画に携われることはとてもうれしい。集中力を高めて頑張らなくっちゃ。
 
 
 
 
 
 
| クラシックを愛す | 21:38 | - | -
心惹かれる魚屋さん
 以前住んでいた町にも、新鮮で安くておいしいお魚を売る魚屋さんがあったのだが、引っ越してからも、この町にはさまざまな魚屋さんがあることを知った。
 チェーン店の大きなお店から、小ぢんまりとしたお店までさまざま。
 私がもっとも気になっていたのが、もう60年くらい前から営業しているというなつかしい雰囲気をもったお店。
 外観は、なんだか昔のモノクロ映画に登場しそうな古めかしさで、ガラスケースのなかには丹念にさばいたお魚やおさしみ、貝類などが並んでいる。いずれもすこぶる新鮮で、お魚の目が生き生きとしているのが特徴だ。
 でも、定休日にぶつかったりしてなかなかいく機会がなく、今日ようやくいくことができた。
 ガラスケースの横には切った新聞がつり下げられ、お店の人も飾らず素朴で、本当に映画のワンシーンを見るよう。
 すべてがおいしそうでいろいろ迷ったが、やはりここは「さんまの塩焼き」でいきますか、ということで、脂ののったさんまにした。
 ふと見ると、大ぶりのしじみがある。うん、これもいきましょう!
 牡蠣もおいしそうだったし、なんとすずきもあった。日本では、なかなかすずきはお目にかかれない。今度は、すずきのイタリアンにしよう。
 いいなあ、こういうレトロなお店。ずっとずっと続けてほしい。お店の人は、1匹でもさばいてくれるそうだ。
 先日は、この近くでものすごくいい老舗のお肉屋さんを見つけたばかり。とりわけ自家製の焼き豚が逸品。チャーハンに入れたら、あまりにもおいしくて、2人前くらい食べてしまった。
 まだまだいろんなおいしいお店がありそう。食材がいいと、お料理の幅が広がる。私はこういう昔ながらのお店が大好き。そういうお店の人と話すのも好き。
 もちろん、さんまとしじみは絶品でございましたよ(笑)。
 今日の写真はそのお魚屋さんの外観。いい味、醸し出しているでしょう。

| 美味なるダイアリー | 22:20 | - | -
辻井伸行 ベルリン・コンサート
 ベルリンではタクシーではなく、みんなで地下鉄やパスに乗って移動したため、いろんな発見があった。
 ひとつ、私たちが日本人として大きな誇りを抱いたのが、地下鉄の駅に辻井伸行のカンマームジークザールでのコンサートのポスターが貼ってあったことである。
 早速、写真に収めた。
「辻井さん、頑張っているなあ」
 何度も取材でお会いしている身としては、うれしい限りだ。
 彼はこれまでもベルリンで演奏しているが、私はまだ海外での演奏は一度も聴いたことがない。
 先日、アシュケナージのインタビューの際、辻井伸行との共演について聞くと、「とても素直で、才能がある」と語っていた。
 ぜひ、機会があったら海外で演奏を聴いてみたいと思う。海外の聴衆にまじって聴く演奏は、また格別だろうから。
 今日の写真はそんな貴重な1枚。これも、タクシー移動だったら、けっして目にすることはなかっただろうから、取材班に感謝、感謝。
 辻井さん、コンサート頑張ってください。いつか聴きにいきますからね。


 
| 情報・特急便 | 23:01 | - | -
帰国しました
 やはり、遠い。
 いつも思うことだが、ヨーロッパは時間がかかる。もちろんアメリカも遠いが、今回は朝ベルリンを出てウィーンで乗り換え、成田に着いてから自宅まで、また時間がかかる。
 家に着くころは、「もう乗り物にはこれ以上乗りたくない」という気持ちになってしまう。
 ウィーンとベルリンでは、取材の合間を縫っておいしいソーセージやシュニッツェルやグラーシュなど、お肉料理をいただいた。
 というわけで、帰国一番のランチには何がいいかなと考え、近くのオーガニックの和食に出かけた。ここはいつも満員。予約がないと入れないほどだが、ちょっと早めにいったため、無事にからだにいいお料理をいただくことができた。
 お肉が続いたので、少しあっさり系の野菜寿司のセットを頼んだのだが、これがすこぶる美味。見た目も美しく、パクパクいける(笑)。 
 これで一気に元気になり、時差も気温差も忘れ、今日中に入稿しなくてはならない原稿を2本書き上げた。
 無事に送り終わると、あらら不思議、からだって正直なのね。疲れがどっと押し寄せてきた。
 でも、出発前に入稿した原稿の校正が山ほど届いている。しかも、みんな週明け一番で見たいという。
 ということは、私は今日中に見ないといけないってことなのよね。うーん、まだ休めないか…。
 そんなこんなで仕事をなんとか終えたら、もう夜になっていた。いったい今日は何時間起きていたんだろう。
 さて、ゆっくりバスタイムを楽しむことにしよう。最近、手に入れたバスオイルはとてもゆったりとした気分にしてくれるから。
 まだ女性誌の企画発表まで少し時間があるため、ウィーンとベルリンの情報は流せないが、解禁になったら雑誌が売れることを願って、ドーッと記事と写真を紹介しまっせ。おったのしみに〜。
 と、から元気を出しているところで、完全にエネルギー切れ。プシュプシュプシューッと風船が縮むように、私もパタン。おやすみなさい。
 今日の写真は、美味なる野菜寿司のセットですゾ。



 
 
| 日々つづれ織り | 23:17 | - | -
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