Yoshiko Ikuma - クラシックはおいしい -Blog

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塩レモン
 塩レモンが大流行である。
 もともとは、モロッコで郷土料理に使われている調味料だったようだが、それが世界的に広まり、日本でも最近テレビなどで紹介されたため、大ブレイク。さまざまなお料理に使われている。
 早速、無農薬のレモンを手に入れ、作ってみた。皮ごと使うため、やはりオーガニックのレモンは必需品。それにミネラルたっぷりの上質の塩があれば、これですぐに作ることができる。
 まず、よく洗って乾かした瓶にレモン4個をくし型に切って入れ、そこにレモンの約10パーセントの塩を入れる。今回は、レモンが400グラムだったため、塩は40グラム入れた。
 ときどき上下をひっくり返し、塩が均等にまざるようにして、約1週間。ようやく水分が出てきたため、ちょっと味見をしたら、ワオッ、塩辛ーい。でも、とってもおいしい。
 これは豚のヒレ肉をオリーブオイルで炒め、砂糖としょうゆで甘辛く味付けて照り焼き風にし、そこにみじん切りの塩レモンを入れたり、お魚のムニエルの最後に加えたり、パスタを生クリームとともにあえたり、シュニッツェルの上に乗せたりと、いろんなレシピに使える。まさに塩分補給の必要な日本の夏にはピッタリの調味料である。
 2週間くらい漬けておくと、またいっそう風味が増すようで、調べてみると、いまやいろんなお店の看板メニューでも使われているそう。
 今日の写真は、1週間漬け込んだ塩レモン。いつも有機野菜のお店で無農薬レモンを見つけると1個だけ買っていたけど、これからはまとめ買いしそう(笑)。わが家の冷蔵庫には、常備調味料としてこの瓶がデンと居座りそうだ。でも、寒い季節になったら、塩の量は少し減らしたいな。


 
| 美味なるダイアリー | 22:09 | - | -
朴葵姫(ぱくきゅひ)
 今年はワールドカップの開催により、ブラジルに世界の目が向けられている。
 南米にはもともと個性的な作曲家が数多く存在するが、今年のブラジル・イヤーに因み、ギタリストの朴葵姫が「Saudade―ブラジルギター作品集―」(コロムビア)と題したアルバムを完成させた(9月17日発売)。
 今日はそのアルバムに関することなどを聞くため、朴葵姫にインタビューを行った。
 彼女は1985年韓国生まれ。3歳のときに横浜でギターを始め、2004年東京音楽大学に入学。2006年9月からはウィーン国立音楽大学でアルヴァロ・ピエッリに師事して研鑽を積んでいるが、この先生はウルグアイ出身で、ブラジル作品もレッスンでひんばんに取り上げるため、長年こうした作品に親しんできたという。
 Saudadeサウダーヂとは「郷愁」と訳されるが、もっと深い意味合いが含まれ、音楽を表現するときにはさまざまな感情や内的要素が必要となる。
 今日のインタビューは、まずこのサウダーヂに関していろいろ意見交換することから始まった。
 彼女は今回ものすごく多くの候補曲のなかから、CD1枚に収録する曲を選ぶのに大変な時間をかけたという。
 アルバムはジスモンチ、ヴィラ=ロボスからカルロス・ジョビンまで多岐にわたり、全編にサウダーヂの空気が色濃く流れている。
 このインタビューは、「CDジャーナル」の9月20日発売号に掲載される予定。愛器ダニエル・フリードリッシュを手に入れた秘話から、コンクールに落選したときの失意と優勝したときの喜び、手が小さくて苦労していること、今後の方向性まで、ことばを尽くして話してくれた。どうぞ、雑誌をお楽しみに!!
 インタビューを終え、彼女は本当に努力家だと感じ入った。すべてを正直に、飾らずに話してくれる姿勢にも好感がもてた。その率直さ、自然な感覚がすべて音楽に映し出されていると思う。
 CD発売記念コンサートも予定され、10月1日に浜離宮朝日ホールで開催されることになっている。
 今日の写真はインタビュー後の朴葵姫。前髪を切ったためか、以前の写真とは少し雰囲気が異なり、柔らかい印象になった。彼女の抱えている楽器が、名器の誉れ高いフリードリッシュのギターですゾ。


 

 
 
 
| クラシックを愛す | 22:56 | - | -
カルロ・ベルゴンツィ
「世紀のヴェルディ・テノール」と称されたイタリアのカルロ・ベルゴンツィが、25日ミラノの病院で亡くなった。享年90。
 日本にも多くのファンがいるベルゴンツィ、何度か来日公演も行い、75歳
を超えてもなお舞台で活躍した。
 彼の名は、2011年9月5日に急死したテノール、サルヴァトーレ・リチートラとのインタビューのなかで何度も登場したことで、記憶に残っている。
 リチートラは最初の先生の指導法が合わず、コンクールに7回も落ち、その先生にバリトンに転向した方がいいとまでいわれ、6年間就いた先生と離れる決心をする。
 その後、ベルゴンツィに師事することになり、彼のもとで本来の声質を磨き、ミラノ・スカラ座でのデビューにつながることになった。
 そのときの様子を、リチートラはこう語っていた。
「ベルゴンツィのもとでは2年間レッスンを受けました。彼が私にいったのは、いままで練習したことはすべて忘れ、習い始める前に戻りなさい、ということでした。ベルゴンツィは、私に自分の自然な声で自由にうたい、人のまねをするのではなく、自分のもっている個性、声質で勝負するのが一番だといってくれたのです。その教えは、いまも忠実に守っています」
 こう語っていたリチートラだが、恩師よりも先に神のもとに旅立ってしまった。
 ベルゴンツィの訃報を聞き、リチートラのことがまた鮮明に蘇ってきた。イタリアのテノールは、いつまでも聴き手の心に残る印象的な声をもっている。ベルゴンツィには、残念ながらインタビューをする機会がなかった。だが、幸いなことに、彼は多くの録音を残してくれた。それらを聴きながら、「世紀のテノール」を偲びたい。
   
| 情報・特急便 | 22:27 | - | -
西荻おわら風の舞
 今日は、夕方からわが町で「越中おわら風の盆」で有名なおわら節が披露された。
 3年前から行われている「西荻おわら風の舞」で、越中おわら節同好会「高尾会」のみなさんによる唄と踊りである。
 実は、2003年に富山県八尾町在住の胡弓奏者、若林美智子が「哀の調べ〜風の盆の里より」(ビクター)というアルバムをリリースしたときに、彼女にインタビューをし、この「越中おわら風の盆」のことを知った。
 八尾町では毎年9月1日から3日まで行われる有名なお祭りで、江戸時代中期より五穀豊穣を願い、210日の風よ鎮まれと祈る風の盆がこの時期に行われるようになったという。
 町を練り歩くのは、地方と呼ばれるおわら節の唄と、三味線、胡弓、太鼓の音色に合わせて編笠をかぶった男踊りと女踊り。
 西荻では、組踊り、町流し、輪踊りが時間を少しずつずらして披露され、旧府道(乙女ロード)を3時間かけてゆったりと静かにおだやかに練り歩いた。
 おわら節はどこか哀愁ただよい、気品にあふれ、その静けさに満ちた特有の雰囲気が、見る者の心を引き付ける。
 今日は、新聞やWEBなどで情報が流されたためか、電車でやってくる人も多く、そんなに道幅の広くない旧府道は人でびっしり。みんなおわらのうちわをもらい、バタバタしながらいまかいまかと自分の近くを通るのを待った。
 今日の写真は、踊りと唄のショット。午後からの雷雨も早めに止み、夕方はからりと晴れたため、見ることができた。
 来年は、もっとゆっくりいろいろ場所を変えて、いろんな踊りを見たり、音楽を聴きたいと思う。でも、あまりにも人が多すぎて、簡単に移動できない。こういうのは、ちょっとしたコツがいるのかも(笑)。






 
| 日々つづれ織り | 22:51 | - | -
秋の来日ピアニスト
 連日、猛暑が続いているなか、すでに秋のシーズンの来日プログラムやチラシ、情報記事などの原稿依頼が相次いでいる。
 今秋もまた、実力派のピアニストの来日が多い。
 マレイ・ペライア、フレディ・ケンプ、ダン・タイ・ソン、ティル・フェルナー、ユンディ・リ、ミシェル・ダルベルト、ピエール=ロラン・エマール、ボリス・ベレゾフスキー、ユリアンナ・アヴデーエワ、チョ・ソンジン、クリスチャン・ツィメルマン、ネルソン・フレイレ、ジャン=マルク・ルイサダをはじめとする多くのピアニストが予定されている。
 それぞれ弾き振りを行ったり、珍しい作品を組んだり、著名なオーケストラとのソリストとしての来日公演だったり、個性的なプログラムが組まれている。
 まだまだ暑い日が続くというのに、もう仕事は秋の気配。先取りというのは、頭とからだがついていかないものですなあ(笑)。
 とはいえ、各地からすばらしいピアニストが次々に来日してくれるのは、本当にうれしい。夏バテしないように、秋口に調子が悪くならないように、万全の体調で新たなシーズンを迎えたいものだ。
 そのためには、この時期、しっかり食べることと睡眠をきちんととること。このふたつさえクリアできれば、私は大丈夫。
 みなさ〜ん、くれぐれも体調管理に気をつけて、猛暑を乗り切ってくださいね。秋には、すばらしいコンサートがたくさん待っていますよ。
 
| 情報・特急便 | 22:23 | - | -
れんこん天
 いやあ、昨日はものすごい風雨にさらされた。
 いつもおしゃべりに花が咲く、レコード会社のOさんと、もうひとつのレコード会社のKさんに誘われ、3人が便利な吉祥寺の和食屋さんで待ち合わせたのだが、出かけるときにちょうど暴風雨の真っ只中になってしまった。
 でも、ふたりが待っているとまずいと思い、全身ビショビショになりながら、お店に着いたら、なんと一番乗り。
 ひとりは吉祥寺の駅でびしょぬれになりながら、このまま進もうかもう少し待とうかと逡巡し、もうひとりは井の頭線が止まってしまって足止め。
 結局、3人がそろったのが、1時間半後。
 その間、私はお店の人からタオルをもらって全身を拭き、靴の中が金魚鉢のようになったため、靴下を脱いで干し、毛布のようなものをかぶって冷房の冷えからからだを守り、という大変さ。
 でも、「こんな経験あまりないから、きっと忘れないね」という話になった。
 そろってからは、いつものように飲みまくり、食べまくり、しゃべりまくり。
 近況を話し、ストレスを発散し、情報交換もする。
 あっというまに12時半になってしまい、あわてて解散。
 というわけで、いろんな物を食べたけど、「れんこん天」というのが印象に残った。これはれんこんに薄い衣をつけてさっと揚げ、ゆかりをまぶしたもの。日本酒にとても合い、すぐにまねできるな、とうれしくなった。
 今日の写真は、そのれんこん天。私はからだが冷えたので、熱燗を飲んでいたのだが、それにとてもよく合った。今度、試してみよおっと。でも、これを食べると、きっと暴風雨の思い出が蘇ってくるんだろうな(笑)。

| 親しき友との語らい | 17:54 | - | -
1年に1度の断捨離
 昨年、引っ越しのときに何年間もたまった古い資料や書籍、その他さまざまな物を思い出に浸る感情や、後ろ髪を引かれる気持ちをスパッと排除して一気に断捨離したはずなのに、またまた物があふれかえっている。
 私の仕事柄、各社からあらゆる資料や関連した物が送られてくるため、毎日その整理にかなりの時間を要する。
 以前は、もっときれい好きだったのになあ、と仕事部屋やリビングルームにあふれている物をながめては、ため息ばかり。
 子ども時代は、母親に「整理整頓がうまいねえ」とほめられるほどだったのに、なんたること。
 きっと自分のキャパシティを超える物が送られてくるため、整理が追い付かないのだと自分に言い聞かせているが、これは単なる言い訳にすぎない。
 よく、同業者に「CDの整理や資料の整理、どうしてる?」と質問すると、みんな「その話はしないで」とか「その話題、タブーだよ」といわれる。
 そうか、みんな悩んでいるってことなのね。
 というわけで、シーズンオフの夏の間に、1年に1度の断捨離をしなくてはならない。これが結構、時間がかかるんだよね。ひとつひとつ見ながら、ファイルしたり、シールを付けて整理したり、棚に選り分けていくわけだから。
 でも、秋になってシーズンが始まったらいっさいできないから、いまや悠長なことはいっていられない。原稿の合間を見て、少しずつでもやらなくちゃ。
 私がひとつだけ自慢できるのは、英国アンティークの棚のアーティスト別整理術。1910年くらいに英国で作られた書類棚に、あいうえお順にアーティストのファイルを作り、整理してある。そのアーティスト関連資料、自分が書いた雑誌や新聞の記事などを挟んであるのだが、まだまだアーティストすべてが終わったわけではない。記事の切り抜きはどんどんたまるからだ。
 これは本当に地道な作業。でも、資料が見つかると、すぐに原稿にかかれるから、この作業はなんとしてでも優先させなくては。
 今日の写真は、唯一の自慢の整理棚。ここまでくるのに、なんと時間がかかったことか。ホント、いい方法だれか教えてくれないかなあ…。


 
 
 
| 日々つづれ織り | 22:06 | - | -
ミロシュ
 ミロシュは、本当の意味のナイスガイ。
 いまや国際舞台で大活躍するギタリストに成長したが、性格はデビュー当初からまったく変わらず、いつ会ってもその実直でおだやかで自然体のキャラクターに、心がなごむ感じを抱く。
 そのミロシュが、待望のロドリーゴの「アランフェス協奏曲」をリリース(ユニバーサル)。いま指揮界の若武者のひとりに数えられているヤニック・ネゼ=セガンとの共演で、オーケストラはミロシュが「とても演奏しやすい」と語るロンドン・フィル。
 このアルバムには、ファリャの「クロード・ドビュッシーの墓碑銘のための讃歌」「粉屋の踊り(《三角帽子》から)、ロドリーゴの「祈りと踊り」「ある貴神のための幻想曲」が収録されている。
 実は、このアルバムにはもうひとつの大きな話題がある。いま、スタジオジブリの最新作「思い出のマーニー」が公開中だが、この音楽を作曲した村松崇継が自身の作品に合うギタリストを探していて、ミロシュのデビュー作を聴いて感激し、映画への参加を打診したという。
 先日のミロシュへのインタビューは、この録音のために来日したときのもの。「アルハンブラの想い出」を演奏し、その新たな録音が今回のアルバムではボーナストラックに収録されている。
 映画音楽の場合、映像を見ながら演奏するためとても大変だったと語っていたが、慣れるに従い、「すごく楽しんで演奏することができた」そうだ。
 ミロシュのギターは静けさただよう美しい響きのなかに、多種多様な感情が息づき、聴き手の耳を開き、集中力を促す。
 私は「アランフェス協奏曲」を聴くと、以前アランフェスで村治香織、セビーリャで木村大の録音が行われたときに取材にいったことを思い出す。音楽は、ある曲を聴いたときの思い出を瞬時に蘇らせる不思議な力を有していると思うが、このコンチェルトも、聴き込むほどにさまざまなシーンが脳裏に浮かんでくる。
 有名な作品が詰まった今回のミロシュの新作は、何度も繰り返して聴きたくなる引力の強い録音。スペインに強く惹かれるという彼の熱い思いが音から伝わり、スペイン大好き人間の私は胸がいっぱいになってしまうほど、音楽にのめり込む。
 今日の写真は「アランフェス協奏曲/アルハンブラの想い出」のジャケット写真。私の久々の愛聴盤になりそうだ。



| 親しき友との語らい | 23:16 | - | -
揚げなすのソースあえ
 なすのおいしい季節である。
 この時期、山盛りのなすを買ってきて作っておきたいのが、「揚げなすのソースあえ」である。
 まず、なす(大5本)の表面をキッチンペーパーで拭き、ひと口大の乱切りにする。それを油でさっと素揚げする。
 キッチンペーパーの上で余分な油を取ったら、ボールに入れ、ウスターソース(大さじ1)をからめる。
 ここに欠かせないのが、紅しょうがの千切り(適量)。
 先日、おいしそうなオーガニックのウスターソースを見つけ、ぜひこのレシピを作ろうと思い立った。紅しょうがも色づけなしの自然な物を使っている。
 これは冷えたビールの友に最適。あっさりしているので、いくらでも食べられる。なす5本分を作って出しても、すぐに終わってしまうほどの人気者。揚げ立てが一番おいしいのは確かだが、冷めてからでもOK。
 くれぐれも、辛目のソースを入れ過ぎないようにね。ソースの味ばかりが口のなかに残ってしまうから。できる限り、自然な味のソースや紅しょうがで調味したい。あくまでも、夏のなすのおいしさを味わいたいので。
 今日の写真は出来立ての「揚げなすのソースあえ」。ビールとなす、合いますよ〜。

| 美味なるダイアリー | 22:19 | - | -
岡本誠司
 国際コンクールで日本人が優勝するというニュースは、いつ聞いても胸が高鳴る思いがする。
 今日は、ライプツィヒで開催されているヨハン・セバスティアン・バッハ国際コンクールのヴァイオリン部門で、東京芸術大学2年生の岡本誠司(20歳)が第1位を獲得したという朗報が飛び込んできた。
 バッハ・コンクールは1950年に創設された歴史あるコンクールで、ヴァイオリン部門における日本人の第1位は初めてのことになる。
 同コンクールを主催するライプツィヒ・バッハ資料財団によると、岡本誠司はオランダ人とオーストリア人とともにファイナルに進んでいたという。
 映像を見るとバロック期の奏法で、とてもリラックスして演奏しているように思える。
 本人のコメントも紹介され、やわらかな笑顔を見せながら喜びを語っている様子が映し出されている。
 バッハを得意とする若手ヴァイオリニストの出現は、クラシック界に大きな喜びと希望をもたらすのではないだろうか。
 ぜひ、ご本人に話を聞いてみたいと思っている。もちろん、演奏もじっくり聴いてみたい。
 
| 情報・特急便 | 22:29 | - | -
週末の締め切り
 またまた週末が巡ってきて、週末締め切りに追われることになった。
 しかし、こういうときこそ、からだを動かさなくてはならない。というわけで、ちょっとした合間を縫ってフィットネスのクラスを顔を出した。
 いつもながらの明るいスタッフの声と笑顔に心がなごみ、短時間ながらトレーニングに集中すると、しばし日常から離脱する。
 こういう時間って、必要なんだよね。パソコンとずっと向き合っているため、からだがバリバリになっているのがよくわかるし、トレーニングをしていると頭もほぐれてくる感じがする。
 一番いいのは、汗を目いっぱいかくこと。私は汗をかきにくいタイプゆえ、運動すると発汗作用が促されてからだが軽くなる。
 ただし、困るのは、フィットネスから戻ると一気に眠気が襲ってくることだ。からだは正直といおうか、全身がほぐれるためだろうな。
 でも、やらなくてはならないことが山積み。休んではいられない。
 そんなこんなで、またまたからだにムチ打って、仕事をこなすことになる。
 今日は、今秋のコンサートのチラシに掲載される原稿を入稿したのだが、音楽事務所の担当者からとても感動的な感想が送られてきて、疲れが吹き飛んだ。
 まだテープ起こしも残っているし、インタビュー原稿もある。新聞の記事の校正もしなくては。でも、なんだかとっても眠い。困ったモンだ。
 このボ〜ンヤリした感じが、実は癖になる感覚なのだと気付いた。からだから余分な力が抜けていき、頭がホンワカして、休息を求めている。
 さて、こういう状態で原稿を書くか、あきらめて休んでしまうか、思案のしどころ。ちょっとのども乾いたし、冷たいビールを飲んで、それから考えようっと(笑)。
 
| ああ愉しき(?)、締切り地獄 | 22:25 | - | -
マゼールのレシピ
 先日、ロリン・マゼールの訃報に触れ、これまでのマエストロとのインタビューが走馬灯のように浮かんできた。
 昨年出版した「クラシックはおいしい アーティスト・レシピ」の単行本には登場してもらうことができなかったため、改めてマゼールのレシピを考えている。
 長年にわたって聴いてきた演奏を思い出し、キャラクターも加味し、マゼールのルーツも考慮すると、頭に浮かんできたのがサーモンを使ったレシピである。
 以前、私の仕事部屋のあった高原のレストランにいったとき、そこで出されたサーモンのお料理がとてもおいしかったことを覚えている。
 その高原では地元の川で採れたますを使っていたが、そのますでポテトサラダをくるりと巻き、フルーツを使ったソースを添えてあった。
 これを食べたとき、この味を覚えておいて、ぜひアーティスト・レシピに加えたいと思ったのである。
 そこでマゼールである。このお料理はいろんな味が混在していて、奥深く、素材はシンプルながら実に凝った印象を抱く。マゼールの演奏に共通している面が多い。
 だが、その味の再現には、かなり時間がかかりそう。何度かいろいろ試してみて、自分なりの味を見つけ、マゼールのイメージに近づけていかなくてはならない。
 もっとも難しいのはソースである。これで最終的な味が決まる。マゼールの音楽のような華やかさ、ダイナミクス、流れるような美しさと劇的な要素、さらに後味のよさを極めなくてはならない。
 ひとつテーマが決まったから、じっくり取り組むことにしましょ。何度か失敗するだろうけど、いつの日か納得のいくレシピが出来上がると思うから。その日を目指して、まずおいしいサーモンを探さなくっちゃ。
 今日の写真は、私が惚れ込んだますのお料理。やっぱ、ソースだな。ソースを極めなくっちゃ、マゼールの音楽を表現できないもんね。
 彼は完璧主義者だったから、「そんな味じゃダメだろう」「まだまだ、甘いよ」「私の音楽は、そんな簡単なモンじゃないぞ」といわれそうだ。
 そうそう、彼は歯がすごく丈夫で、虫歯1本なく、完璧なる歯並びを自慢していた。そうか、ちょっと歯ごたえのある副菜を添えた方がいいかもね。演奏も硬派な面もあったし。やれやれ、結構大変なレシピになりそうだ(笑)。


 
  
| 美味なるダイアリー | 22:12 | - | -
ロリン・マゼール
「鬼才」と称された指揮者、ロリン・マゼールが7月14日、肺炎およびその合併症により亡くなった。享年84。
 マエストロ・マゼールには何度かインタビューを行い、演奏も聴き続けてきた。記憶力がハンパではなく、私が撮ったウィーン・フィルのニューイヤーコンサートのときの写真を希望されたことから、会えなくなってしまった。そのいきさつは、2012年12月11日のブログに綴った。ご興味のある方は、そちらをクリックしてくださいな。
 今日はマゼールを偲んで、もう一度「インタビュー・アーカイヴ」第57回で以前とは別の雑誌の記事を紹介したいと思う。一部、記事が重複している部分もあるけど、そこは飛ばしてね。
 マゼールはいつ会ってもエネルギッシュで、雄弁で、前向きな姿勢を崩さない人だった。

[BS fan 1993年6月号]

「このオーケストラで聴くドイツ音楽だったら文句はないでしょう」

 カラヤン亡きあと、ベルリン・フィルの音楽監督候補の最右翼といわれたマゼールが、その地位をアバドにさらわれるや「もう2度とベルリン・フィルの指揮台には立たない」と爆弾発言をしてからはや3年半。ウィーン国立歌劇場の総監督を辞すときも、フランス国立管弦楽団の音楽監督をやめるときも、常に物議を醸してきたマゼールだが、1988年からは故郷のピッツバーグに戻り、同交響楽団の音楽監督に就任して、このオーケストラをより向上させることに力を注いできた。そして今年、いよいよドイツ・オーケストラ界のもう一方の雄、バイエルン放送交響楽団の首席指揮者に就任することになった。
 バイエルン放送交響楽団は1949年に創設され、リヒャルト・シュトラウスの指揮によって幕開けした歴史と伝統を誇るオーケストラ。ドイツ音楽をレパートリーの中心に据え、重厚で豊かな響きをもつドイツ音楽の王道をいく演奏を聴かせる。
 マゼールが今年から5回(1年から1年半おきにわが国で定期的に行う)にわたって行うコンサート・シリーズの第1回目に、彼はこのオーケストラを選んだ。
「バイエルン放響はドイツのエリート・オーケストラです。私のディレクションによるシリーズの第1回には、ぜひともドイツ音楽をもってきたかった。それも水準の高い演奏をね。このオーケストラで聴くドイツ音楽だったら文句ないでしょう。磨き抜かれた響きと、からだのなかに染み込んでいるドイツの伝統が音となって出てきますから」
 マゼールは今回スポンサーとの話し合いのなかから、プログラムのテーマを決めた。これはスポンサーのシンボルキャラクターであるスワン(白鳥)である。「ローエングリン」の主人公である騎士ローエングリンは、白鳥の曳く小舟に乗って登場する白鳥の騎士であり、シベリウスの交響曲第5番は、湖をわたっていく白鳥を見て曲想を得たというシベリウス自身の記録が残されている。そしてブラームスの交響曲第2番は別名「田園」と呼ばれているように、風光明媚な湖のほとりで自然を満喫しながら書かれた牧歌的な曲である。
「それらの作品の底に流れる優雅さ、気品などの表情をテーマとして取り上げたわけです。白鳥は美や音楽の象徴ですし、第1回のテーマにピッタリだと思ったんでね」
 彼はひとつのテーマに基づいてプログラムを作るのが好きなようだ。以前来日したときは、自然をテーマに全プログラムを組んだ。
「本当は演奏家というのは、その場所、時間、その場の空気などから霊感を得て演奏するのが一番いいんだけど、現在はなかなかそうはいかない。インドの伝統音楽などはいまでもその方法を忠実に守っているけど…。昔はアンコールを100曲くらい書いた紙を聴衆に配って、ところでみなさんはどんな曲が聴きたいのかな”と声をかけ、2時間くらいアンコールをしたなんていうことがあったらしいけど、こういうのいいよね、理想だな」
 マゼールはこのように録音よりもナマの演奏会で燃える指揮者だ。瞬間瞬間の表情が著しく変わり、音楽は異様なまでの高揚感を見せ、ありったけの情熱をステージにぶつける。他に類を見ないほどの記憶力のよさ(どんな曲でも全暗譜)と、緻密な解釈、オーケストラをタクト1本で自在に操る偉大な才能を持ち合わせているから、さぞクールな素顔の持ち主かと思うと、あにはからんや、非常にフランクで饒舌である。
 彼はシベリウスが昔から得意で、最近録音でも積極的に取り上げている。
「第5番は前作がプツッという感じで終わっているのに対し、十分に準備されてフィナーレへの道が開かれていたから成功作となったのではないだろうか。私はこの曲ではのどかで抒情的な味わいを出したいと思っている」
 ワーグナーとブラームスという、両ドイツ音楽の厚みのある和音と、北欧の涼やかな調べは、マゼールのぐんぐん高みへ上り詰めていくような指揮ぶりで渾然一体となり、聴き手の精神をいやか上にも高揚させていくに違いない。

 このときのコンサートの様子を、別稿で書いた。

マゼールの魔術に興奮の坩堝と化した感動の一夜

 4月5日のバイエルン放響のコンサートは、3曲のアンコールが終わってもまだ拍手が鳴りやまず、会場は興奮の坩堝と化した。
 マゼールは1曲目のワーグナーでは神秘的な美しさを弦と木管から引き出して、このオーケストラのアンサンブルの見事さを示し、シベリウスではオーケストラの機能美を充分に発揮させた。ヴィオラやチェロのピッツィカートは鋭く、金管もはげしく咆哮する。しかし、それがけっして強い響きではなく、あくまでもやわらかな、森の奥から聴こえてくるような深さをもっているのはさすがドイツの名門オーケストラだ。
 それはブラームスで全開し、マゼールは自然賛歌の美しい旋律を、オーケストラの名人芸を充分に考慮しながら一幅の絵画のように鮮やかに描き出した。
 聴き終わった後に、熱い感動が心に残る、マゼールのタクトの魔術にかかった一夜となった。

 今日の写真はその雑誌の一部。ぜひ、もう一度会って話を聞きたかったが、かなわぬこととなってしまった。彼の両親は非常に長命だから、自分も長生きすると語っていたことが忘れられない。

| インタビュー・アーカイヴ | 23:26 | - | -
アンドレア・バッケッティ
 こんなにユニークな人だと思わなかった。もう笑いが止まらないというか、本人はいたって真面目なため、余計におかしい。
 今日は、4月に「イタリア協奏曲 バッケッティ・ブレイズ・バッハ」(ソニー)と題したCDがリリースされたイタリア出身のピアニスト、アンドレア・バッケッティのリサイタルを聴きにトッパンホールに出かけた。
 プログラムは前半がJ.S.バッハのトッカータ ホ短調 BWV914からスタート。次いで「ゴルトベルク変奏曲」をリピートなしで演奏。これだけで、すでにバッケッティの非凡な才能が存分に伝わってきた。
 4月の「音楽の友」の「今月の注目盤」に私はこう記している。
「イタリアからユニークなピアニストが彗星のごとく現れた。中略。かろやかで歌心にあふれ、色彩感豊か。”カンタービレ”というのはこういう演奏を表すことばなのだろう」
 まさにナマで聴くバッケッティのピアノは、輝きに満ちた明るさが特徴で、芯のある音なのだが、実にかろやか。「ゴルトベルク変奏曲」はこれまでさまざまなピアニストの演奏を聴いてきたが、そのだれとも似ていない個性的な演奏で、ぜひリピートをした完全なるバージョンを聴いてみたいと思わせた。
 彼はまるでピアノと遊んでいるような楽しさに満ちた表情で演奏し、バッハを弾き出したら止まらないという感じ。ひらめきと創造性に富み、装飾音がごく自然に入ってくる。
 後半はモーツァルトの「幻想曲」ニ短調 K.397とピアノ・ソナタ第10番 ハ長調 K.330という組み合わせ。耳慣れた作品がまたもや新たな空気をまとって目の前に現れ、どこか夢見心地になった。
 バッケッティは、細身で小柄。黒のシャツに黒のパンツというごくふつうの格好でステージに前かがみで登場。演奏中は首をかなり前に突き出し、顔を動かしながらからだ全体でリズムを取りながら弾く独特のスタイル。
 演奏が終わると、手を合わせておじぎをしながら、ひょこひょことステージをあとにする。
 すべてがユニークで、ピアニストとは思えない。究極は、その声だ。
 アンコールの曲目を語り出した途端、私は腹話術かと思ってしまった(笑)。それほど高く、想像もしていなかった声で、しかも話し方まで上質なコメディアンのよう。いやあ、これほどとは…。まいりましたなあ、おかしくて、笑いをこらえるのに苦労したほどだ。
 ああ、失敗したあ。インタビューを申し込んでおけばよかった。きっとものすごく楽しい話を聞くことができたのに、失敗失敗、すでに遅し。
 アンコールもまた、実に凝っていて、「アンナ・マグダレーナ・バッハの音楽帳」より「ただ愛する神の摂理にまかせて」、プレリュード ハ長調、メヌエット ト長調、フランス組曲第5番を続けて演奏。この音楽帳の手稿譜は1722年と1725年のものがあるが、それらから選曲し、ひとつの有機的な流れを作り出した。
 さらにヴィラ・ロボスの「パンク」を超絶技巧を物ともせずにさらりと弾いたかと思うと、最後にショパンの「黒鍵のエチュード」を披露。このショパンがまたまた目からウロコ。こんな透明感のある雄弁なエチュードは聴いたことがない。もっとショパンを聴きたかった。
 本当に、わくわくするような才能が出現したと思って、うれしくなった。インタビューをすることができなかったから、ぜひ近いうちに再来日を果たしてほしい。アンドレア、待っていますよ〜。
 今日の写真は新譜のジャケット写真と、終演後のサイン会でのバッケッティ。ホント、ユニーク。演奏の高貴な輝きにあふれた味わい深さと、あの頭声発生のような声のギャップがたまらない。う〜ん、ちょっとはまりそう…。





 
| アーティスト・クローズアップ | 23:40 | - | -
メンターのひとこと
 私が常に「メンター」として敬愛しているSさんから連絡があり、またもや参考になる本を送ってくれるという。
 いつも彼からは叱咤激励され、「文章を磨け」「いい仕事をしろ」「もっといろんなこと学んで、視野を広げろ」と、背中を押される。
 今日も、Sさんはさまざまな話題に触れ、そのなかで広範囲な勉強と好奇心をもつことの大切さを説いた。でも、硬い話ばかりではなく、サッカーの話や日常のことまで、話題は限りなく広がっていった。
 本当にこういう人の存在は、貴重である。
 声を聞くだけで身が引き締まる思いに駆られ、話しているうちに前向きになっていく自分を感じる。
 いつも考えることだが、Sさんにはどんな恩返しをしたらいいのだろうか。私がいい仕事をすることが一番の恩返しになると思うのだが、こればかりは一朝一夕にはいかない。
 いまどんな原稿を書いているか、もうすぐこんな仕事に取りかかることになっている、などと近況報告をしているのだが、そこからまた話は広がり、「こういう表現も可能だ」「芸術をことばで表現するのは難しいが、こういう方法もある」と、アイディアを出してくれる。
 さて、送ってくれるという本を楽しみに待っていよう。そして読後の報告もしなくっちゃ。
 
 
| 日々つづれ織り | 18:02 | - | -
束の間の休日
 月末締め切りと、月初めの入稿ラッシュが終わると、束の間の休日が訪れる。
 こういう時期は心身を休め、ふだんできないことを片っ端から片付け、気がつくとあっというまに時間が過ぎていて、あまり休めなかったことに唖然とする。
 それでも、今日は原稿の締め切りがない、という日は実にのびやかな気持ちになる。たまっていた新譜を聴いたり、資料を読んだり、郵便物を整理したり、本を読んだり…。
 ああ、やっぱり仕事モードになっているなあ、いかんいかん(笑)。
 というわけで、気分を一新するために、久しぶりに高原の仕事部屋に出かけた。もうすっかり緑が濃くなって、空気は澄みきり、静けさがなんともいえない財産だ。
 でも、この部屋とも、もうすぐお別れ。土日に仕事やコンサートが入ると、どうしても来られないからである。
 今日の写真は、ルーフバルコニーからの眺め。遠くの山が美しく、深呼吸すると心身が生き返る。やはり自然の力は大きい。今日は、目いっぱい森林浴をした気分になった。


 
| 日々つづれ織り | 22:20 | - | -
美術館のカフェ
 海外に旅をすると、必ずいくつかの美術館に足を運ぶ。
 絵画や彫刻を見るのはもちろん無上の楽しみだが、歩き疲れると、行き先は美術館併設のカフェだ。
 最近、興味深かったのは、新しくなったパリのオルセー美術館の4階にあるカフェ・カンパナ。大時計の裏側に当たり、独創的なデザインが施されている。仕切りやいすやお皿までもが斬新なデザインで統一され、いつの時間帯も超満員。
 ようやく席を取ることができたら、一気に甘い物が食べたくなり、女性3人でスイーツを目いっぱい頼んでしまった。
 こういうところでお茶をするのは、本当に心がなごむ。日常のさまざまなことがスーッと忘れられ、ニュートラルな状態になるのである。
 そして英気を養ったら、また絵を見に行く。
 パリに旅する機会があったら、ぜひ生まれ変わったオルセーを訪ねてみてくださいな。そしてカフェもお忘れなく。心が豊かになりますから。
 今日の写真は、カフェの内部と、スイーツの数々。でも、残さずたくさん食べたら、ちょっと甘すぎた(笑)。




 
 
 
| 美味なるダイアリー | 22:37 | - | -
辻井伸行
 辻井伸行の快進撃が続いている。最近はドイツでも毎年のようにコンサートを行い、日本でのコンサートも快調だ。
 今日は、「プレミアム・リサイタル」と題された各地で開催されている全10公演の中日にあたり、紀尾井ホールでリサイタルが行われた。
 プログラムは前半がラヴェルの「ソナチネ」と「夜のガスパール」。後半がショパンの「バラード第4番」とピアノ・ソナタ第3番という重量級の内容である。
 このプログラムの原稿を書いたため、選曲はすでに知っていたのだが、実際の演奏を聴き、大きな成長を遂げた音楽作りに強い感銘を受けた。
 辻井伸行に関してはこのブログでも何度か紹介し、そのつど演奏の変貌を綴ってきたが、今日も非常に説得力のある演奏で、終演後の楽屋を訪ねたときにもついその旨を口にしてしまった。
 とりわけ印象的だったのは、「夜のガスパール」。これはさまざまなピアニストが難曲だといい、しかもフランスのピアノ作品の最高峰に位置するという人が多い。
 辻井伸行は、「水の精(オンディーヌ)」を真珠の粒がころがるような美しくかろやかな音で始め、次第に流麗な響きを駆使して水の精の心情を鮮やかに映し出した。
 次いで「絞首台」は、不気味な表現で弾き進め、変ロ音の鐘の音を淡々と鳴らし続けた。
 最後の超絶技巧を要する「スカルボ」は、地の精であるスカルボが怪しげにころがりまわっている様子を一気に疾走するようなスピードで聴かせ、最後は突然消えてしまうスカルボを減衰する音で視覚的に表現した。
 実は、辻井伸行の次なる新譜のライナーを書く予定になっている。今日、その音源が届き、これからじっくり耳を傾けようと思っている。
 たゆまぬ努力の結果をこうして聴くと、また新たなる彼の進化と深化に触れる思いがする。いつも辻井伸行の音楽を聴くと、勇気を与えられる。「私も頑張らなくちゃ」という気持ちにさせられるのである。
 人間はつい怠け心が顔を出し、楽な方に流れがちだが、辻井伸行は音楽を通して、そんな私の背中を押してくれる稀有な存在なのである。
 今日の写真は、演奏後のリラックスした表情の辻井伸行。彼はトークもユーモアがあり、「今日は台風のため交通事情が心配なので、アンコールは1曲だけにします」と話して会場の笑いを誘い、ラヴェルの「水の戯れ」を演奏した。


 
| クラシックを愛す | 22:39 | - | -
福間洸太朗
 どこか雰囲気がフィギュアスケートの選手に似ているなあ、と感じてしまった。
 先日、ピアニストの福間洸太朗と話していて、なぜかそう感じたのである。容姿とか、具体的にどこかが似ているわけではない。あとで編集の方と話していたら、彼の凛とした、背筋をビシッと伸ばした姿勢がそう感じさせるのではないか、ということになった。
 福間洸太朗は1982年生まれ、東京都出身。パリ国立高等音楽院とベルリン芸術大学・同大学院、コモ湖国際ピアノアカデミーで学び、2003年クリーヴランド国際コンクールで優勝に輝いた。以後、多くのコンクールにも入賞を果たし、南北アメリカ、ヨーロッパ、アフリカ、アジアの5大陸で活発な演奏活動を行い、各地のオーケストラとも共演している。
 スケジュール表を見せてくれたが、各地でのコンサートがびっしり詰まっていて、まさに超多忙なピアニストの日程となっていた。
 その彼が9月に「展覧会の絵(仮題 日本コロムビア)」をリリースする。そしてCDを記念したリサイタルを10月24日に浜離宮朝日ホールで行うことになっている。
 こうした内容に関するインタビューを行ったのだが、福間洸太朗はいずれの質問にも流れるようななめらかな口調で話し、録音時の様子、コンサートへの抱負を熱く語った。
 このインタビューは、秋の号の「intoxicate」に書く予定になっている。
 作品については多くを語ってくれたが、もっとも興味深かったのは、南米での演奏旅行の話。とんでもなくアバウトなコンサートの仕切りや主催者のあきれるほど大雑把な対応があれこれ飛び出し、聞いていて大笑いしてしまった。
 もちろん、当の本人は、ひとつずつ大変な思いをしているのだろうが、それを難なくクリアしているところが、実にたくましい。
 福間洸太朗は貴公子のような涼やかな表情をしているが、性格は前向きで社交的で怖いもの知らずのようだ。
 自分の意思を伝えたいために語学をマスターし、さまざまな人との交流を楽しみ、それを演奏に生かしている。
 よく、日本の男性は多分にシャイで、パーティなどで知らない人と話すのが苦手、自分のことを話すのは控えるという人が多いといわれるが、彼の場合は積極的にみんなのなかに入っていく。
 その例が、スイスのフィギュアスケートの選手、ステファン・ランビエールとの出会いだ。空港で彼を見つけ、話しかけて自己紹介したことがきっかけとなり、いまではメール交換するほどの仲になったという。
 こういう話を聞くと、う〜ん、日本人もここまで国際的になったのね、と感心してしまう。これはなかなかできることではない。
 福間洸太朗の10月のリサイタルは、「鐘に共鳴するロシア魂」と題され、ラフマニノフ、チャイコフスキー、スクリャービン、ボロディン、バラキレフ、そしてムソルグスキーの作品でプログラムが組まれている。
 ロシアの友人に誘われて、彼のサンクトペテルブルクの自宅にホームステイをしたときの話もおもしろかった。私も外国人の家にホームステイするのは平気な方で、みんなに不思議がられるが、彼はひんぱんに欧米の演奏する土地でホームステイをしているようだ。
 こういうピアニストは、もっともっと国際的に活躍してほしい。そして視野の広い演奏をし、聴き手を作品が生まれた土地へといざなってほしいと願う。
 今日の写真はインタビュー後の福間洸太朗。雑談のときに聞いたのだが、子どものころにフィギュアスケートをちょっと習っていたとか。やっぱりね、どこかその雰囲気がある感じがしたんだ(笑)。


 
 
| アーティスト・クローズアップ | 22:50 | - | -
ロジャー・フェデラーの粘り
 世の中はワールドカップ一色だが、私はひそかにウィンブルドンで開催されている全英テニスを見て、ロジャー・フェデラーの優勝を願っていた。
 今回は体調もよく、準決勝までは快進撃を続けていたフェデラーだったが、決勝でノバク・ジョコヴィッチに敗れ、史上初の8度目の優勝という大記録達成を逃した。
 それにしても、フェデラーの粘りはすごかった。第1セットをなんとかもぎ取ると、第2セットと第3セットは逆襲されて奪われたが、第4セットを取り返して、5セット目に持ち込んだ。
 もう、夜中になってハラハラドキドキの連続である。
 フェデラーはサービスエースの連発で、29本も放ったが、ジョコヴィッチはこれに耐え、すばらしいリターンで終始試合をリードした。
 最後は、フェデラーのシングルバックハンドがネットにかかり、終わりを告げた。
 3時間59分というすさまじい試合を展開し、両者は絶対に最後まであきらめないという気迫のすごさを見せつけ、人々の記憶に残る試合となった。
 ジョコヴィッチはトロフィーを掲げながらうれし涙を隠せず、フェデラーは悔し涙を必死でこらえていた。 
 試合後の記者会見で、フェデラーは「5セットマッチができるなんて、驚きだ。すばらしい試合で、非常に楽しめた」と語っていたが、内心悔しくて悲しくて残念で、号泣したい思いだろう。きっと、彼特有の負けん気がそういわせたに違いない。
 しかし、すごい試合だった。
 ロジャー、その悔しさを8月の全米オープンで払拭してね。いまの調子だったら、絶対に大丈夫!!
 さて、ワールドカップはいよいよベスト4が出そろい、ヨーロッパと南米の戦いとなった。
 今回はキーパー・フリークの私にとって、とても個性的で好セーブのキーパーが多く登場しているため、毎試合胸が高鳴る。
 これまでの見たキーパーでは、ドイツのマヌエル・ノイアー、イタリアのジャンルイジ・ブッフォン、アメリカのティム・ハワードらベテラン勢の健在ぶりは想定内だったが、新たな才能をたくさん見つけてしまった。
 なかでもメキシコのギジェルモ・オチョア、コスタリカのケイラー・ナバス、スイスのディエゴ・ベナーリオ、ベルギーのティボー・クルトワ、フランスのユーゴ・ロリスは「キーパーはこうでなくっちゃ」と興奮するほどのセーブを見せてくれ、サッカーの醍醐味を味わわせてくれた。
 ただし、私の応援したキーパーは、みんな敗れてしまった。
 いよいよ正念場を迎えるワールドカップ。テニスに続いて、また寝不足になるのが、困るんだよねえ(笑)。
 
| ロジャー・フェデラー | 22:36 | - | -
渡辺克也
 長年ドイツのさまざまなオーケストラの首席奏者を歴任し、現在はソリスツ・ヨーロピアンズ・ルクセンブルグの首席奏者として活躍しているオーボエの渡辺克也は、1991年からベルリンに居を構えている。
 この間、オペラからシンフォニーまで多岐にわたって演奏し、録音も多数行っている。
 そんな彼が8月8日、渋谷区文化総合センター大和田さくらホールでリサイタルを開くことになった。これは「Romance」(キングインターナショナル)と題した新譜を記念するリサイタルで、シューマン、プレヴィーユ、パラディール、ルフェーヴル、ヒンデミットの作品が収録されている。もちろん、リサイタルもこれらの作品でプログラムが組まれている。
 先日、帰国した渡辺克也に会い、さまざまな話を聞くことができた。
 ドイツに長く住んでいるからか、日本の湿度の高い夏にはまいっているようで、蒸し暑さが苦手なようだった。
 もちろん作品ごとにさまざまな質問をし、なぜその曲を選んだのか、曲にまつわる思い出、演奏を始めたころのこと、作品の解釈などを詳しく聞いていったのだが、渡辺克也は非常に人あたりのいい話しやすい性格ゆえ、私も話がどんどん逸れてしまい、雑談が多くなってしまった。
 オーボエ奏者は、こだわり人間が多いようだ。それは楽器の性質にもよるのだろうが、概してひたむきで手を抜くことができず、細部まで神経を張り巡らせた演奏をし、ある意味で頑固なタイプに見える。
 彼の演奏は、聴き込むほどに、人間のからだから発するヒューマンな歌のように思え、ドイツの新聞が絶賛したことがよく理解できる。
 いまはベルリンとルクセンブルグをひんぱんに行き来しているそうだが、その交通事情の話や物価のこと、ルクセンブルグの聴衆のことなど、さまざまな話題が出て非常に興味深かった。
 このインタビューは、今月末の「日経新聞」に書く予定にしている。
 今日の写真は、インタビュー後の渡辺克也。8月8日のリサイタルが楽しみだ。真夏にオーボエを聴く、きっとからだのなかを涼風が吹き抜けるのではないだろうか。あっ、「吹き抜ける」なあんて、ちょっと韻を踏んでしまったかな。いやいや、単なるギャグか(笑)。

| アーティスト・クローズアップ | 22:03 | - | -
豆アジのから揚げ
 週末の締め切りが重なり、動きがとれないなか、おいしそうな豆アジを見つけてしまった。
 こうなると、すぐにから揚げを作りたくなる。仕事は、しばし横に置いておき、アジが新鮮なうちに調理する。
 まず、アジの水気をしっかり拭き取り、塩、コショウ、小麦粉をまぶす。揚げ油を中火にセットし、少しずつゆっくり揚げていく。
 ひとつ味見をしたら、おおっ、イケる。カラッとおいしく揚がったではないか。
 う〜ん、おいしい。この豆アジ、以前よく通った自宅近くの老舗のおそば屋さんの自慢レシピだった。
 その味にも劣らず、おいしくできた、しめしめ(笑)。
 これは何もかけずに、パリパリ食べるのが一番シンプルでいい食べ方なのだが、レモンを絞ったり、生姜醤油をつけてもおいしい。
 ただし、豆アジはあまりお魚屋さんに出てこない。こんなにビールに合うのに、見かけるのは稀だ。
 今日の写真は、揚げたての豆アジ。貴重な逸品です。


 
| 美味なるダイアリー | 22:06 | - | -
ヴァレンティーナ・リシッツァ
 いまは、You Tube全盛時代で、さまざまな音楽を居ながらにして気楽に楽しむことができる。
 ウクライナ出身で、現在はアメリカを拠点に各地で活発な演奏活動を展開しているピアニスト、ヴァレンティーナ・リシッツァは、そのYou Tubeに自らの演奏をアップし続け、公式チャンネル再生回数がいまや7400万回を超えたという驚きのアーティストである。
 リシッツァは1973年キエフ生まれ。3歳でピアノを始め、天才少女と称された。1991年にマレイ・ドラノフ2台ピアノ・コンクールにおいて、アレクセイ・クズネツォフとともに優勝を飾り、以後アメリカに移って活動を展開するようになる。
 しかし、さまざまな問題が起こり、ピアニストとしての活動もはかばかしくなくなり、一時はピアニストを断念する気持ちにまでなった。
 その後、演奏をひとりでも多くの人に聴いてほしいという思いから、演奏をYou Tubeにアップしたところ、世界中の人々が再生し、膨大な数に及んだわけである。
 先日、ベーゼンドルファーのスタジオでミニリサイタルと記者会見が行われ、彼女のピアノをごく間近で聴くことができた。ラフマニノフなどは楽器を大きく鳴らすエネルギッシュな奏法だったが、新譜は「ピアノ・レッスン〜リシッツァ・ブレイズ・ナイマン」(ユニバーサル)。収録されたナイマンの映画音楽も何曲か演奏されたが、こちらはロシア作品とは異なり、繊細で弱音の美しさを生かした瞑想的な演奏、幅広い奏法と解釈を印象づけた。
 翌日のインタビューでは、ナイマンの音楽の難しさ、録音が決まったときのこと、ジャケット写真撮影の裏話、苦難の時代を送ったころのこと、将来の夢までパワフルに雄弁に語り、演奏同様の情熱を感じさせた。
 このインタビューは、「CDジャーナル」に掲載されることになっている。
 今日の写真はインタビューのときのにこやかな表情と、コンベンションで演奏するリシッツァ。
 ぜひ、You Tubeを見てくださいな。元気が出ますよ!




| アーティスト・クローズアップ | 22:36 | - | -
夏の花
 6月末から現在まで、締め切りに追われ、インタビューとコンサートが続き、まったく生活にゆとりがない。
 こういうときは、花壇の手入れもままならず、ほったらかしだ。なにしろ、自分の目の前にあることを処理していくだけで精一杯なのだから。
 それなのに、夏の花々が次々に咲いて、目を楽しませてくれる。
 夜中まで原稿に追われ、朝遅くようやく目が覚めると、あらら、またまた元気に咲いた花が出迎えてくれる。
 なんと健気な花々なのだろう。
 昨年9月に引っ越し、いまは初めての夏を迎えている。いろいろ植えた草花が元気に育っているのを見ると、「ああ、この花はここに合うのね」と思うし、ハーブなどで枯れてしまったものは、「合わないのかなあ」と考える。
 というわけで、元気な花たちの写真を紹介します。朝顔、ハイビスカス、夾竹桃です。






 
| ああ愉しき(?)、締切り地獄 | 22:21 | - | -
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