Yoshiko Ikuma - クラシックはおいしい -Blog

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ラルス・フォークト
 私は、ネクラな人を乗せるのが得意なようだ。
 今日はラルス・フォークトのインタビューがあったが、彼は本人いわく「ネクラ」だそうで、昔は目立つことや人前に出ることが苦手だったという。
 しかし、ピアニストになり、最近は指揮活動も行っているため、性格が徐々に変化してきたようで、いまは感情を外に出すようにしているそうだ。
「昔から指揮には興味があったんですよ」
 最初は弾き振りを行っていたが、やがて本格的な指揮を行うようになり、2015/16シーズンからノーザン・シンフォニアの音楽監督に就任し、指揮活動の時間が多くなっている。
 室内楽奏者としても知られるフォークトは、1998年6月にケルン近郊のハイムバッハで室内楽音楽祭「シュパヌンゲン音楽祭」を創設し、その活動も多忙を極める。さらに教育プログラムも設立し、教えることにも時間を割いている。
「もう、時間が足りなくて足りなくて。本当にどうやったらすべての活動に力を注げるのか、そればかり考えている」
 もちろんピアニストとしてのソロ活動がもっとも重要だが、その時間のやりくりや指揮に関しては、友人であるラトル、ハーディング、P.ヤルヴィらがアドヴァイスをしてくれるという。
 フォークトはひとつの質問に対して、ことばを尽くして一生懸命答えてくれたが、その目力の強いこと。このインタビューは、次号の「intoxicate」に掲載される予定である。
 いろんな話に話題が広がったが、7月3日にサントリーホールで新日本フィルとの共演で演奏するブラームスのピアノ協奏曲第2番に関し、私が「もうこのコンチェルトは、自分の曲といってもいいくらい弾き込んでいるでしょう」といったところ、目を大きく見開いて「とんでもない!」と大声を上げた。
「このコンチェルトを弾くときは、いつも生か死か、というくらいの切羽詰まった気持ちで対峙しているんだよ」
 これを受けて私が「シェイクスピアのようですね」といったところ、急に芝居がかった調子で「生きるべきか死ぬべきか」と台詞のように語り、すぐに「へへへっ」と照れくさそうに笑った。こういうところが「ネクラ」なのかもね。ネアカな私が乗せてしまったのかしら(笑)。
 このインタビューでは、著名な指揮者たちとの交流、子どものころにモーツァルトに魅せられたこと、ノーザン・シンフォニアは家族だと思っていること、ようやくショパンを録音したこと、リーズ国際コンクールの思い出、サッカー少年だったときのことといま応援しているチームについてなど、多岐に渡ることを話してくれた。
 今日の写真は、その目力の強いラルス・フォークトの一瞬の表情。顔も大きくて立派、からだもがっしりしている。サッカーの話のときに「いまは走っていないの」と聞いたら、急に立ち上がって走り出すまねをし、「う〜ん、無理」といってすわりこんだ。結構、お茶目かも。これも私が乗せたせい?


| アーティスト・クローズアップ | 23:26 | - | -
ラルス・フォークト
 以前から、ずっとナマを聴きたいと思っていたのが、ドイツのピアニスト、ラルス・フォークトである。ようやくそれがかない、今夜は12年ぶりというリサイタルを紀尾井ホールに聴きにいった。
 プログラムは前半がシューベルトのピアノ・ソナタ第19番、後半がシェーンベルクの「6つのピアノ小品」、ベートーヴェンのピアノ・ソナタ第32番だったが事前に告知がなされ、シェーンベルクの「6つのピアノ小品」を冒頭にも演奏するとのことだった。
 フォークトは、それに関してプログラムに自身のことばを挟み込んでいる。
「この作品を2度聴くことはそれぞれ違った鑑賞体験になると思いますので、それは価値あることだと考えていますし、この作品をそれぞれシューベルトとベートーヴェンの直前に演奏することでこれら二つのソナタが実にどれだけ幻想性に富んでいるかを、より強く感じていただけると思います」
 フォークトの演奏はとても雄々しく壮大で、楽器を豊かに鳴らし、しかもそれぞれのソナタの細部まで神経が行き届いた奏法だった。
 実は、つい先ごろ、彼はショパンのピアノ・ソナタ第2番、バラード、スケルツォ、ノクターンなどを収録したアルバムをリリースしている(キングインターナショナル)。ようやくショパンを録音する時期になったのだろうか。その演奏は、弱音の美しさが際立ち、情感あふれ、とりわけノクターンの嬰ハ短調(遺作)が涙がこぼれそうになる美音に包まれている。
 それを聴いたからか、今夜の男性的で示唆に富む、ソナタ全体を大きく俯瞰する演奏は、彼の異なる面を見る思いがした。
 明日は、フォークトのインタビューが組まれている(intoxicate)。素顔はどんな感じだろうか。人間性を引き出すようなインタビューを行いたいと思う。
 
| 日々つづれ織り | 22:32 | - | -
ヴァレリー・アファナシエフ
 今日もヴァレリー・アファナシエフのリサイタルがあった。今度は紀尾井ホールで、先日新譜がリリースされたベートーヴェンのピアノ・ソナタ第8番「悲愴」と、第4番「月光」が前半に組まれていた。
 もちろん録音を聴いているため、テンポや解釈や表現に関してはすでに理解しているつもりだったが、やはりナマで聴くと、アファナシエフの作り出す音楽は聴き手にも緊張感と集中力を要求する。
 彼のベートーヴェンは心の奥の叫びのようで、作曲家の魂を代弁しているかのように強靭な訴えが全編を支配している。
 先日のインタビューでは、彼のベートーヴェンに対する思いのたけを存分に吐露してもらったが、まさに「私のベートーヴェンはこれだ!」という主張の強い音楽だった。
 その強い心の叫びは、後半のショパンのポロネーズ6曲にも現れていた。ショパンが祖国の危機に対して自分が無力だということを嘆きながらピアノに向かった、その痛いほどの思いがアファナシエフの深く強い響きから伝わってきた。
 いつしか、私の脳裏にはワルシャワのワジェンキ公園が浮かんできた。音楽を聴いてある風景が浮かぶということはよくあるが、なぜか今日はワジェンキの広大な自然が目の前に現れた。
 アファナシエフのショパンは、ルバートと音符と音符の間(ま)の取り方が実に個性的で、演奏が終わってもその間が頭のなかにずっと居座る。
 このリサイタルの公演評は、「公明新聞」に書くことになっている。
 今日の写真はワジェンキ公園。いつもショパン・コンクール開催時の10月に訪れるため、もうかなり寒く、ここを散策するとリラックスするというよりは、ショパンの望郷の念を強く感じる。なんとも不思議な気持ちに駆られる場所である。それがアファナシエフの慟哭のような演奏から呼び覚まされたのだろうか…。


| クラシックを愛す | 22:57 | - | -
赤シソ酢
 赤シソが八百屋さんの店頭に並ぶ季節になった。これが出回ると、赤シソ酢を作りたくなる。
 赤シソは、食用または漢方薬として重宝されていて、血液や血管の健康に役立つといわれる。ポリフェノール、アントシアニン、ルテオリンなどが豊富に含まれ、悪玉コレステロールの酸化を抑制、動脈硬化の予防、抗アレルギーなどの効果があるという。
 こんなに立派な野菜、利用しなきゃ損よね(笑)。
 さて、赤シソ酢である。
 まず、赤シソを300グラムほど用意し、葉だけ摘み取る。たっぷりの水で何度か洗って水気を切る。
 塩大さじ1を振りかけてざっくりと混ぜ、しばらく置いておくとアクが出てくるので、それをひと握りずつ何度かに分けて絞る。
 もう一度、同じことを繰り返し、アクを除いたら、密閉容器に入れる。
 ここに上質な酢を4カップ入れ、葉をほぐす。常温で保存すれば、1週間後から使える。
 赤シソ酢は寿司めしに利用すると、ほんのり桜色をした寿司めしになり、香りもよく、美しい色合いが楽しめる。この場合は、砂糖少々を加える。あとは野菜や貝類、海藻などの酢の物や、焼き野菜のマリネにもピッタリ。
 今日の写真は、たっぷり用意した赤シソの葉と、密閉容器に入れたところ。3カ月くらいは十分にもつけど、いろんなお料理に使っていると、あっというまになくなっちゃうんだよね。




 
| 美味なるダイアリー | 21:22 | - | -
ヴァレリー・アファナシエフ
 今日は、トッパンホールでヴァレリー・アファナシエフのリサイタルがあった。プログラムは前半がJ.S.バッハの「平均律クラヴィーア曲集」第1巻より3曲とヴァレンティン・シルヴェストロフの「オーラル・ミュージック」、後半はシルヴェストロフの「サンクトゥス/ベネディクトゥス」とバッハの「平均律クラヴィーア曲集」第2巻より6曲という構成。
 アファナシエフというと、極端に遅いテンポ、個性的な解釈、強靭なタッチなどが特徴といわれているが、今日の演奏は実に自然で躍動感に満ち、全編に音楽する喜びがあふれていた。
 先日インタビューしたときにも感じたことだが、彼はいま真の自由と開放感と前向きな精神に満ちているようで、それはバッハの音楽の外に向かって放たれる自由な意志を伴う演奏にも現れていた。
 以前、アファナシエフの演奏はひたすら内省的で自己の内面と対話するような様相を呈していたが、今夜の演奏はそれらと一線を画していた。
 それが証拠に、なんとサイン会までしたのである。本当に珍しいことだ。それも、ひとりひとりのファンににこやかに対応し、話を聞き、それにていねいに答え、ずっと笑顔を絶やさなかった。
 アファナシエフのなかで何かが大きく変容している。インタビューでも話が止まらず、時間がきても、もっと話したいという表情をしていたし…。
 バッハの「平均律」では、指をまっすぐに手をひらひらさせながら演奏する奏法はまったく変わらず、強靭な打鍵と絶妙の間の取り方が印象に残った。さらにクリアなアーティキュレーション、フレーズのつなげ方、内声の響かせ方、ペダルの使用、プレリュードとフーガの対比、分散和音の流れなどに特有のこだわりが宿っていた。
 もっとも印象的なのは、各曲の最後の音をずっとペダルで伸ばし、すっと足を外して消音したかと思うと、一気に次の曲へと入り込んでいく奏法。これにより、最後の音から次なる作品への音の架け橋が可能になり、聴き手は前の作品の余韻を意識しながら、次なる作品との関連性に気づくことになる。
 今日の写真は、終演後のサイン会でのアファナシエフ。こんな楽しそうな彼の表情は、初めて見たような気がする。
 でも、本来のアファナシエフは、ものすごくシャイな性格だ。それがステージには如実に現れ、アンコールのショパンのマズルカ第47番イ短調作品68-2を弾いた後の照れくさそうな表情に出ていた。おじぎもそこそこに、さっとステージをあとにするのである。
 実は、そんな態度が、私はすごく好きなのである。人間性が強く感じられるから。今日の公演評は、次号の「モーストリー・クラシック」に書くことになっている。


 
 
| クラシックを愛す | 23:58 | - | -
すばらしいスタッフ
 今日は、デザイン事務所でHPのリニューアルの打ち合わせがあった。
 集まったメンバーは、デザイン事務所のM社長とデザイナーのSさん、営業を担当してくれるNさん、翻訳と通訳を担当してくれるEさんと私の5人。
 2時間に渡り、リニューアルの具体的な内容、方法、今後の展開などをじっくり話し合い、各々の担当の確認をした。
 私がHPを立ち上げたのは2011年。この5年間にWEBの世界は大きな変貌を遂げ、スマホも現れ、WEBの記事展開もそれに合わせた変化を余儀なくされている。
 ミーティングのなかで、WEBに関した専門語が出てくるたびに、私は質問して理解をしていかなくてはならず、本当に時代に即したことをしなくてはならないのは大変なことだと痛感した。
 それでも、スタッフのみなさんがとても親密的で温かく、前向きに対処してくれるため、つくづくいい仕事仲間に恵まれたと幸せな気持ちになった。
 やはり、仕事というのは、人間関係がもっとも大切である。気の合う人たちと仕事をすると、エネルギーが全開になるが、合わない人と組むと、それは辛い時間になってしまう。
 これからデザイン事務所の方たちがさまざまな面で仕事を進めてくれ、すべてが終わるのが10月末ころになりそうだ。そこから新たなHPがスタートを切る。
 その間、私がやるべきことをきちんとこなさなければならない。
 なにはともあれ、今日から具体的な動きがスタートした。大海原に漕ぎ出したような気分、といったらちょっとオーバーかな(笑)。
| 親しき友との語らい | 23:44 | - | -
キリル・ペトレンコ
 2018年のサー・サイモン・ラトルの退任に対し、次期首席指揮者・音楽監督の選任にあたっていたベルリン・フィルが、6月22日に楽員投票によりキリル・ペトレンコを選出したと発表した。
 ペトレンコは1972年、ロシアのオムスク生まれ。父はヴァイオリニストで、母は音楽学の講師という音楽一家に育つ。1990年、一家はオーストリアに移り、ペトレンコはウィーン音楽大学などで研鑽を積み、マイニンゲン歌劇場、ベルリン・コーミッシェ・オーパーなどの音楽監督を歴任。2013年、バイエルン州立歌劇場の音楽監督に就任した。
 ベルリン・フィルは5月に投票を実施していたが、楽員の意見が割れて結論に達することはできなかった。そこで1年以内に再投票を行うと発表していたが、6月22日の段階でペトレンコに決まった。
 ペトレンコは日本人にはまだなじみが薄く、その音楽性や人間性はあまり知られていない。ただし、ヨーロッパでは天才肌として知られ、2013年からはバイロイト音楽祭の新演出「ニーベルングの指輪」の指揮も担当している。
 ラトルが退任するのが2018年だから、これから3年間、ペトレンコの演奏に注目が集まるのではないだろうか。録音も行われるに違いない。
 思えば、ラトルがベルリン・フィルのシェフに就任した2年後の2004年、フィルハーモニーに取材に行き、いろんな話を聞いた。
「このオーケストラは猛獣のような集団で、強くて大きくて才能豊かで、ひとりひとりがとてつもない意志と力をもっている。毎朝、リハーサルにくるたびに、猛獣がいるところの扉を開けるような怖さがあるんだ。一気に100人が私に飛びかかってくるわけだからね」
 ラトルは当時、オーケストラをこんなことばで評していた。やがて両者は互いのよさを存分に理解し、いまや一体となった演奏を聴かせているが、ベルリン・フィルとはそんなすごい集団なのである。
 さて、キリル・ペトレンコに世界の目が集まっているわけだが、ぜひナマの演奏を聴いてみたいと多くの人が願っているに違いない。ミュンヘンに出かける人も多いんじゃないかな。
 今日の写真は、2004年にラトルにインタビューしたときのワンショット。ふだんはジーンズにシャツというラフなマエストロ。人柄もとても気さくで、サーとか、マエストロと呼ばれることを好まず、「サイモンと呼んで」と笑っていた。

| 情報・特急便 | 22:09 | - | -
ホームページのリニューアル
 昨年7月からホームページのリニューアルに関し、さまざまな人に相談し、意見を聞き、いまどんな記事の発信がもっとも必要なのかを模索している。
 今日は、一緒に組み、営業の分野を担当してくれるNさんに会い、いろんな意見交換をした。
 彼はPR会社を経営していて、多岐に渡る仕事を行っている。あるコンサートのシリーズで長年ご一緒し、つきあいは結構長い。
 しかし、サイトの営業という仕事は初めてということで、心配する面も多いとのことだったが、私がぜひ一緒にやってほしいとお願いし、引き受けてくれることになった。
「私もまったく新しいことに挑戦するわけで、HPをWEBマガジンのような形にしていきたいという考えはもっているけど、それがすぐに全部可能になるわけではないから、できるところからゆっくりやっていきましょうよ」
 こう話して、了解してもらった。
 Nさんも自身の仕事の経験からいろんな提案をしてくれ、これからもふたりでそのつど意見交換をすることになった。
 もうひとり、先日のブログにも書いたが、翻訳&通訳、アーティストのコーディネイトなどを担当してくれるEさんが加わってくれ、いよいよリニューアルは本格的に動き出した。
 WEBデザインをすべて担当してくれるデザイン会社にもメンバーがそろったことを報告し、近々具体的な打ち合わせをすることになった。
 さて、この夏にはある形を作り、それをみんなに見てもらい、また意見を聞かせてもらおうと思っている。いまのHPのコンテンツはかなり変わり、様相が一変するはずだが、ブログはいままでと同様にこの形で残る。
 5年ぶりのリニューアル、期待していてくださいね。
 
| 日々つづれ織り | 22:13 | - | -
前橋汀子
 前橋汀子はエレガントで思慮深く物静かな感じがするのだが、実はエネルギーのかたまりのような人である。
 コンサート活動においても、次々に新たなシリーズを立ち上げ、自身の可能性をひたすら追求していく。
 今日はサントリーホールで「アフタヌーン・コンサートVol.11」と題されたリサイタルが行われ、ピアノの松本和将とともに名曲の数々を表現力豊かに奏でた。
 前半はベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタ第5番「春」、フランクのヴァイオリン・ソナタという2大ソナタで構成。美しく、聴きやすく、明朗な作品を流れるように紡いでいく。
 後半は皇后陛下御臨席のもと、ショーソンの「詩曲」、サン=サーンスの「序奏とロンド・カプリツィオーソ」をはじめとするヴァイオリンのさまざまな奏法と表現が楽しめる作品がズラリ。まさに、作品の美しさに心が満たされるひとときとなった。
 今日は満員御礼で、大入り袋をいただいてしまった。
 終演後、楽屋で会うと、「ねえ、今度お茶しましょうよ。お話したいことがたくさんあるし…」といわれたのだが、私はぜひ彼女のポジティブな姿勢を多くの人に伝えたいため、インタビューという形にしたいと申し出た。もちろん、お茶を飲みながら、いろんな話に話題が広がっていくのは大賛成だ。
 7月11日には神奈川県立音楽堂でJ.S.バッハの無伴奏全曲リサイタルが予定されているのだが、こちらもすでに完売だ。
 前橋汀子に会うと、いつも「私も頑張らなくちゃ」という思いにさせられる。彼女の自然体且つたおやかな風情でぐんぐん前に進んでいく姿勢に、インスパイアされるからである。
 今日の写真は、終演後の晴れ晴れとした表情の彼女。ステージ衣裳は、前半はオーソドックスで上品な白、後半は情熱的で躍動感あふれる感じの真紅という、作品に合わせた色合いだった。
 う〜ん、いつ会っても女らしくてステキ。この麗しさ、見習わなくっちゃね(笑)。


 
| クラシックを愛す | 23:06 | - | -
SOL3 MIO(ソレ・ミオ)
ニュージーランドはラグビーが強い。私が大好きなオールブラックスは、ニュージーランド代表チームで、たくましく男っぽく、どこかユーモラスでもある。
 ニュージーランドは、1850年代に入植した英国人がラグビーを持ち込み、マオリ、サモア、フィジー、トンガといった南太平洋の島々のさまざまな人種がこれに融合し、彼らの高い身体能力とすばらしい運動能力が混じり合ってラグビーの基礎が築かれたようだ。
 なんでも、ニュージーランドでは、ラグビーは「ブラッド・スポーツ」と称され、祖先から次世代へと次々に受け継がれ、家族のなかに根付いていくといわれる。
 オールブラックスは世界的な強豪チームとして知られ、ユニフォームはまさに黒一色で、国際試合の前にはハカと呼ばれる民族舞踏を披露する。これはマオリの戦士が戦いの前に手を叩き足を踏み鳴らして自分の力を誇示し、相手を威嚇することに由来しているそうで、とても素朴でユニークなダンスである。
 そのニュージーランドから、SOL3 MIO(ソレ・ミオ)というヴォーカル・トリオが出現した。ペネとアミタイ・パティの兄弟と、いとこのモーゼス・マッケイによるトリオで、2013年に発売したデビュー・アルバムがニュージーランドで最速売上記録を樹立。発売から5カ月で、その年にニュージーランドでもっとも売れたアルバムというヒットを成し遂げた。
 その「オー・ソレ・ミオ〜癒しのオーシャン・ヴォイス」(ユニバーサル 6月24日発売)がついに日本上陸。オープニングは彼らの代名詞ともいえる「オー・ソレ・ミオ」で、これが実に陽気で楽しく、ついリズムに乗ってからだを動かしたくなる極上の音楽。パティ兄弟がテノールで、モーゼスがバリトンである。
 プログラムは、「マイ・ウェイ」「マリア」「オー・ホーリー・ナイト」から「誰も寝てはならぬ」まで多彩な選曲。日本盤ボーナス・トラックとして「あったかいんだからあ🎵」が入っている。
 これは、ぜひナマのステージを聴いてみたい。あったかくて陽気で、心から楽しめるステージになるのではないだろうか。
 これを聴くと、私にはオールブラックスの野性的なプレーが浮かんでくる。ニュージーランドは一度も行ったことがないが、ぜひ訪ねてみたい土地である。なぜか、自分の血が騒ぐのだ(笑)。
 今日の写真は、ジャケット写真。この「オー・ソレ・ミオ」を聴くと、ふだん聴き慣れたイタリア人のうたう地中海的な曲想とはまったく趣の異なる雰囲気が生まれ、まさに南太平洋のが空気がただよう。梅雨の季節に、ひと吹きの南国の風が吹き込んでくる感じだ。

| 情報・特急便 | 22:47 | - | -
ヴァレリー・アファナシエフ
 ヴァレリー・アファナシエフの音楽は、聴き手に「自由とは何か」「自己表現とは何か」「生きる意義とは」ということを考えさせる。彼は常に何かを模索し、可能性を追求し、自己表現の方法を考え、それが自身のなかで完璧な形となった段階で世に送り出していく。
 ムソルグスキーの「展覧会の絵」では、アファナシエフが書いた戯曲をもとにステージを構成し、作曲家に扮した人物をステージに登場させて彼と対話しながら演奏を進めたり、シューベルトのピアノ・ソナタを特有のゆったりしたテンポを保ちながら延々3時間近く弾き続けたりと、そのプログラムは超個性的。活動はピアノを弾くことのみならず、詩や随筆、小説の執筆などの広範囲に及び、最近は指揮も行うようになった。
 ときに人を驚かせ、とまどわせることもあるこれらの活動は、すべてアファナシエフの精神の解放であり、究極の愉悦の世界である。彼はステージで演奏以外のことをすることに対し、「あんなことはやめろ」と周囲からいわれているにもかかわらず、「これは私の楽しみ。これからも自分の可能性を貪欲に求めていくつもり」と語る。その表情のなんと楽しそうなことか。口調は静かでエレガントだが、芯の強さを感じさせる。
 彼は子どものころから自由を愛し、自由のためならなんだってする覚悟ができていた。亡命したことも、ヴェルサイユ郊外の家でひとりで暮らしていることも(2年前にベルギーに居を移したが)、音のみならず文で何かを表現することも、自分が音を出さずにタクトで音楽を表現することも、すべては自由のため。その自由を渇望する精神を演奏から受け取ることができたとき、私たちは初めてアファナシエフの音楽と一体になれるのである。
「私はシューベルトの作品に潜む孤独と沈黙を愛し、ベートーヴェンが他から遮断された世界で書いたソナタに魅了されます。彼らはプライベートな王国を築いた。その王国に入り込み、そこで感じた私の心の叫びを演奏に託したい。それが限りない自由を生み、生きる喜びをもたらしてくれるわけですから」
 今日は久しぶりにアファナシエフにインタビューで会い、また新たな彼の考えに接し、リサイタルが楽しみになった。
 今回の来日公演では、6月25日にトッパンホールでJ.S.バッハの「平均律クラヴィーア曲集」第1巻より第1番、第8番、第22番、シルヴェストロフのオーラル・ミュージック、サンクトゥス/ベネディクトゥス、バッハの「平均律クラヴィーア曲集」第2巻より第5番、第7番、第8番、第9番、第14番、第16番を演奏。27日に紀尾井ホールでベートーヴェンのピアノ・ソナタ第8番「悲愴」、第14番「月光」、ショパンのポロネーズ第1番〜第6番を演奏する。
 今日のインタビューでは、新譜のベートーヴェン:「悲愴・月光・熱情」(ソニー)にまつわる話をメインに聞いたのだが、いつもながらの思慮深く洞察力に富む語り口で、しかもときおりユーモアを交えて雄弁に語ってくれた。
 なんでも、ベートーヴェンのソナタとの出合いは3歳のときに母親が弾いてくれた「月光」の第1楽章だそうで、私が「それでは、そのときにお母さまが弾いてくれたのがいまのアファナシエフさんのあのゆっくりとしたテンポのルーツなのですか」といったら大笑いして、「母のテンポは、まったく私の演奏とは関係ありませんねえ」といっていた。
 さて、演奏会ではどんな「月光」が登場するだろうか。
 今日の写真は、話している間に次々に表情が変わるアファナシエフの一瞬にんまりしたワンショット。この人、私の話の間、よく笑ってくれるんですよ。それも「フフフッ」と不思議な笑い方で…。


 
| アーティスト・クローズアップ | 20:37 | - | -
ジョシュ・グローバン
 クラシックを専門としていると、他の洋楽の新譜を聴く機会はほとんどない。しかし、そのアーティストがクラシックに興味をもっていたり、ジャンルを問わずに演奏している人の場合は、インタビューなどの話が持ちかけられることがある。
 1981年ロサンゼルス生まれのシンガー、ジョシュ・グローバンもそんなひとりだ。彼は、1999年アンドレア・ボチェッリの代役としてセリーヌ・ディオンと共演。2001年には映画「A.I.」の曲をララ・ファビアンとデュエット。サラ・ブライトマンの全米ツアーの前座を務めたことも話題を呼ぶ。同年「ジョシュ・グローバン」でCDデビュー(ワーナー)を果たした。
 彼にインタビューをしたのは、2002年のことだった。この冬、冬季オリンピックの閉会式でシャルロット・チャーチとデュオを披露したり、テレビの人気番組「アリーmyラブ」に出演したりと幅広い活躍を続けていた。
 子どものころはミュージカルスターを夢に見、その後ジャズに傾倒し、やがてクラシックの歌唱法と演技の勉強を行ったのだという。
「ジャンルは問わないんだ。いい歌がうたえればいい。デビューCDにもいろんなジャンルの曲を入れたんだけど、特にこだわったのは歌詞。歌詞から何かメッセージが伝わってくる、そういう曲を集めた。1年半もかけて練ったんだよ」
 こう語るジョシュは、とてもフランクで自然体でナイスガイだった。
 名プロデューサー、デヴィッド・フォスターに見出されたジョシュは、バッハからモリコーネまで幅広い曲を録音。そののびやかな美声によるCDが、各地でヒットチャートを上昇中という時期だった。
 趣味はピアノとドラムを演奏することだそうで、すべての生活が音楽に密着していると語り、「演技も好きだよ」と付け加えた。
 そんなジョシュが古今の傑作ミュージカルをカヴァー。6枚目のオリジナル・アルバムにして、初めてのミュージカル名曲集「ステージズ」(ワーナー)をリリースした。33歳になったジョシュの歌声は、のびやかさは以前と変わらないが、表現力と存在感が増し、貫禄すら感じさせる。
 収録曲は、「チャーリーとチョコレート工場」「レ・ミゼラブル」「回転木馬」「オペラ座の怪人」「オズの魔法使い」などから15曲。ライナーのなかで、彼は選曲に関し、「このアルバムで伝えたいことは何か。自問しながら、共感できる歌詞、ヴォーカル的に独自性が発揮できる可能性、さらにミュージカルという非現実の世界を離れても、社会や人生に対する有意義なメッセージが内包されているか。この3つをポイントに、最終的に15曲に決まった」と語っている。
 久しぶりに聴くジョシュ・グローバンの歌はもちろん、彼の考えもまた変わらぬものが感じられ、チャンスがあれば本人に会って、また話を聞きたくなった。
 今日の写真は「ステージズ」のジャケット。ひげをはやしたせいか、かなり大人びて、男らしくなったよね。以前は、まだ学生のような雰囲気だったけど。




 
| 情報・特急便 | 22:59 | - | -
マルティン・シュタットフェルト
 マルティン・シュタットフェルトの記事は何度か書いてきたが、やはり最初にシュトゥットガルトでインタビューをしたときの印象が強いため、その記事を「インタビュー・アーカイヴ」の第62回として再現したい。
 
[音楽の友 2005年11月号]

ドイツ・ピアノ界に誕生した超新星 マルティン・シュタットフェルト

「バッハは極端な面を備えている音楽だと思っている」

 いま、ドイツの若きピアニスト、マルティン・シュタットフェルトのデビューCD「ゴルトベルク変奏曲」が大ヒットを記録、そのウェーブがドイツからヨーロッパ各地へと広がりつつある。
 これはシュタットフェルトが2003年10月に自分でスタジオ録音したものをレコード会社に送り、即座にリリースが決定したもの。以後、バッハの「イタリア協奏曲・シンフォニア」、モーツァルトの「ピアノ協奏曲第20番&第24番」など、次々と録音が行われている。
 今夏は音楽祭への出演が相次ぎ、8月27日と28日にはシュトゥットガルト音楽祭に出演、「21世紀のバッハ」と題したコンサートで「平均律クラヴィーア曲集」を演奏した。
 録音でも感じられたが、彼は作品を完全に自分のものとし、確信をもって弾いている。「ゴルトベルク変奏曲」は、最初は静謐で瞑想的な音の世界が広がるが、次第にジェットコースターのようなスピードを味わうことができる。「平均律」も装飾音から和音、ペダルの活用、オクターヴの使用などに確固たる意志が感じられた。
「ぼくのバッハがジェットコースターのよう? いいねそれ、まさにその通りかも(笑)。ぼくはバッハは極端な面を備えている音楽だと思っているから。静と動、瞑想とエネルギーなど、さまざまな面で非常に異なる要素を秘めている。バッハは卓越した鍵盤奏者だったけど、子どもが練習するための作品を書く面も持ち合わせていた。その二面性に無性に惹かれる」
 
「バッハを弾いていると一種のエクスタシーを感じるんだ」

 シュタットフェルトは2002年ライプツィヒで開催されたバッハ・コンクールにおいて、最年少の22歳でドイツ人初の優勝者となった。
「自分の目指す道が評価されてとても光栄に思った。ぼくは6歳からピアノを始めたけど、7歳のときにはもうピアニストになりたいという気持ちを固めていたんだ。すごく練習が好きな子どもで、もちろん外でも遊んだけど、ピアノの前にすわっているのが一番快適だった」
 コブレンツの近くの小さな村で育つ。父親は獣医で、彼は4人兄妹の長男。時間の制限なしにいつでもピアノが弾ける環境だった。
「6歳のころから《平均律》を少しずつ弾き始めた。もうバッハがたまらなく好きで、愛を感じていた。バッハを弾いていると、一種のエクスタシーを感じるんだ。もちろん音楽に対する愛だよ。危険なヤツだと思わないでね(笑)。バッハ・コンクールのときも、聴衆と愛の交換ができたと感じた。ぼくは音楽を通して自分の考えを聴き手に伝えたい。音楽で対話をしたい。それが愛の交換だと思うんだ」
 おだやかで思慮深い話し方だが、趣味はクルマを飛ばすこと。いまはロシア文学に夢中で、片時も本を離さない。ワインにも目がない。
「バッハの偉大なところは、聴く人それぞれが異なった絵を思い描くことができること。ぼくも深い海にもぐっていくような不思議な感覚を味わう。先日、トーマス・クヴァストホフと共演したんだけど、彼のすばらしいバッハに感動した。やはりバッハは偉大だ!」

 シュトゥットガルトでの演奏は、まさに彼のことば通り、バッハへの愛に満ちていた。音楽祭の会場は宮殿内のホールで、音響と雰囲気がすばらしく、強い印象をもたらした。その翌年、2006年3月9日にはすみだトリフォニーホールで「ゴルトベルク変奏曲」1曲を1日だけ弾くために来日。同年の夏にはザルツブルク音楽祭に出演した。
 このインタビューのあと、彼は愛車を飛ばしてアウトバーンを駆け抜け、自宅へと帰っていった。家ではゆっくりワインをたしなむのだそうだ。
 今日の写真は、その雑誌の一部。長身のスリムな体躯の持ち主で、モデルのよう。先日の来日公演のときも、10年経っているのにその雰囲気はまったく変わっていなかった。ちょっと安心(笑)。

| インタビュー・アーカイヴ | 21:12 | - | -
第15回チャイコフスキー国際コンクール
 いよいよ今日から第15回チャイコフスキー国際コンクールが始まる。6月15日から7月4日まで、ピアノとヴァイオリン部門がモスクワで、チェロと声楽部門がサンクトペテルブルクで行われる。
 一昨日はヴァイオリン部門、昨日はピアノ部門の第1次予選参加者の名前が発表され、ピアノは35名、ヴァイオリンは23名が第1次予選に参加することになった。
 各々の部門に日本人がひとりずつ選ばれているが、ここまでの審査のなかで、すでに内外ともに多くの実力者が姿を消してしまった。なんというきびしさだろうか。
 これから毎日チャイコフスキー・コンクールのサイトを見るたびに、一喜一憂しそうだ。
 今年もまた、各部門の審査員に現役のトップクラスの演奏家の名前がずらりと並び、この名を見ただけで同コンクールに対するロシア側の気合の入れ方がわかる。
 さて、もうすぐ現地では開会式が行われる。
 今回はどんなドラマが展開され、どんなスターが誕生するのだろうか。私の友人のKさんが、もうすぐコンクールを聴くために出発する。お土産話を聞くのがとても楽しみだ。 
 
 
 
 
| 情報・特急便 | 22:50 | - | -
マグリット展&ボッティチェリとルネサンス展
 ふだんはなかなか時間がとれず、行こう行こうと思っているうちに終わりが近づいてきたふたつの美術展。
 国立新美術館で開催されている「マグリット展」(6月29日まで)と、Bunkamuraザ・ミュージアムで開催されている「ボッティチェリとルネサンス フィレンツェの富と美」(6月28日まで)。
 今日は一気にふたつを回り、すばらしい絵にどっぷりと浸ることができた。ただし、どちらも超満員。人気の高い絵の前は人だかりで、それをはずして少し他の絵を見て、また戻るというちょっとしたコツが必要だった。
 ルネ・マグリットの代表作のひとつである「光の帝国」は、以前ベルギー王立美術館で見て、その複製(ポスター)を購入し、家に飾ってある。今回は、ニューヨーク近代美術館所蔵の他のバージョンが飾られ、これもまた味わい深く、絵の複製を購入した。
 ボッティチェリ展の方は、私の大好きなフラ・アンジェリコの「聖母マリアの結婚」「聖母マリアの埋葬」(フテレンツェ、サン・マルコ博物館)の2枚のテンペラ・板が展示されていて、何時間ながめていても飽きないほどだった。心はサン・マルコ博物館へと飛翔し、あの静謐で敬虔な空間が脳裏に蘇ってきた。
 ボッティチェリの絵では、聖母子をたくさん描いた彼の作品が何枚か展示され、「受胎告知」も圧倒的な存在感を放っていた。
 絵を見ると、本当に心が豊かになる。欲をいえば、もっと1枚1枚ゆっくり時間をかけて人のいないところで鑑賞したいが、それは無理というものだ。
 今日の写真は、すぐに東急ハンズで合う額を購入し、マグリットの「光の帝国供廚鮓軸悗望ったところ。この反対側には以前の「光の帝国」が飾ってある。

| 日々つづれ織り | 21:52 | - | -
マグロのすき身
 いつもおまけをしてくれたり、余分にいろいろ入れてくれる魚屋さんに久しぶりに顔を出した。
 アサリや生鮭を選んでいたら、新鮮なイカを見つけてしまった。
「これ、フライ用にさばいてもらえますか」
 こう聞くと、いつもきれいに処理してくれるお店の人が、頭を横に振った。
「あのねえ、これは刺身用のイカなんだよ。火を通しちゃもったいない。刺身にしてあげるよ」
 というわけで、あっというまにおいしそうなお刺身が出来上がった。
 いつもこのお店にいくと、大将と板さんの名コンビと話が弾む。ただし、以前も書いたように、大将はあまり余計なことはいわない。板さんが話好きで、私とあれこれ話し、いろんな魚の知識を植え付けてくれる。
「ねえ、これもっていく? スプーンですくと、うまいすき身ができるから、やってみな。イカの刺身と一緒に盛り付けてもいいし」
 こういって、マグロの皮についたすき身用の物を入れてくれた。
 家に帰って見てみると、これがとても上等な代物。早速、いわれた通りにすき身にしてみた。う〜ん、絶品だワ。もらっちゃっていいのかな(笑)。
 本当に、こういう魚屋さんが近くにあると、すごく食生活が充実する。お鍋用のお魚を買いにいくと、鮭の大きな尻尾に身がたっぷり付いた物をさりげなく入れてくれたりする。いいだしが出るからと。
 今日の写真は、マグロのすき身用の部分。すき身を取る前は、こういうふうになっているんだと初めて知った。

| 美味なるダイアリー | 22:21 | - | -
西荻散策
 今日は、鎌倉に住む上の姉が遊びにきて、ふたりで西荻散策をした。
 姉は学生時代、西荻の善福寺公園のすぐそばにある祖父の家で暮らしていたため、この町がとてもなつかしいといい、祖父の家があったところにも足を伸ばした。
 もちろん、その場所はすでに代替わりして他の人の所有となっているが、いってみると空き地になっていて、姉は感慨深そうに写真を撮っていた。
 その後、善福寺公園をぐるりと歩き、緑豊かな自然を堪能した。
「よく、おじいちゃんが研究や執筆の間にこの公園を散歩していたのよ。それが日課になっていて、本当に規則正しい生活をしていたわ。毎日、何時から何時までは散歩って決めていたもの」
 姉はこういって、祖父が歩いたであろう池のまわりをゆっくりと、その足跡をたどるように歩いていた。
 人は何年か経って思い出の地を訪ねると、その当時の記憶が一瞬にして蘇ってくるものだ。そのときの自分を思い出し、胸が熱くなる。
 姉は西荻に住んでいた時代に、いまなお続けている研究の基礎を築いた。いわば、祖父の家は、彼女の原点なのである。
 久しぶりに会った姉はとても元気で、雄弁だった。いつもよくしゃべる人だが、今日はいつもにも増して話に熱が入っていた。
 私も負けじとしゃべり、いまやろうとしているWEBの話をするとすごく応援してくれ、背中を押してくれた。
 今日の写真は、雨上りの新緑がまぶしい善福寺公園の散歩道。ウィークデイの昼間だったからか、あまり人がいなくてとても静かだった。近くに住んでいれば、毎日散歩したくなる静謐な空間だ。


 
| 日々つづれ織り | 22:06 | - | -
第9回浜松国際ピアノコンクール
 今年はビッグな国際コンクールが重なる年だが、11月21日から12月8日まで、第9回浜松国際ピアノコンクールが開催される。
 今年は前回の288人を大幅に上回る42カ国1地域から449人の応募があり、5月21日から27日まで5人の審査員によるDVD審査が行われ、第1次予選に参加する21カ国1地域87名の出場者が決定した。
 今日はその記者会見が行われ、87人の詳細が発表された。それによると、平均年齢24.1歳、最年少17歳、最年長29歳、男性66人、女性21人、日本国籍20人、外国籍67人となっている。
 審査委員長は海老彰子、審査員はマルタ・アルゲリッチ、セルゲイ・ババヤン、ジェイ・ゴットリープ、ハン・ドンイル、アンジェイ・ヤシンスキ、マティアス・キルシュネライト、リ・ジエン、パーヴェル・ネルセシアン、アンヌ・ケフェレック、植田克己というメンバー。
 今日は実行委員会長の鈴木康友浜松市長、運営委員長の一柳慧、審査委員長の海老彰子が会見に出席し、コンクールの応募状況、予備審査の結果、第2次予選で演奏される三輪眞弘と山根明季子の新曲のことなどを報告、発表した。
 2014年12月、浜松市はユネスコ創造都市ネットワーク音楽分野にアジア初加盟し、コンクール開催時の12月4日から6日まで、世界創造都市フォーラムin浜松を開催するという。
 なお、先日亡くなった音楽写真家・木之下晃さんが半世紀にわたり撮影した巨匠ピアニストたちの写真が、アクトシティ浜松市民ロビーに10月15日から12月8日まで展示されるそうだが、これは生前木之下さんが選定した写真で、彼が企画した最後の作品展となるという。
 実は、今回のコンクールの公式講評(旧名称はオブザーバー)を依頼され、コンクールを聴いて報告書に原稿を寄せることになった。男性の音楽評論家4人と私がこの任に当たる。
 まだ、いずれのラウンドを聴くことができるか判明していないが、希望は第3次予選と本選を聴きたいと思っている。
 前回も前々回もお誘いをいただいたのに、単行本の最終校正や女性誌の特集の執筆などが重なり、聴きに行くことがかなわなかった。今年はぜひ、スケジュールを空けて、しっかり聴きたい。
 今日の写真は、記者会見後のワンショット。左から海老さん、鈴木さん、一柳さん。
 12月6日の本選2日目の演奏後、審査発表に次いで表彰式が行われる。いかなるスターが誕生するか、その瞬間が待ち遠しい。


 
| 情報・特急便 | 22:33 | - | -
庄司紗矢香&ジャンルカ・カシオーリ
 今日もまた、ヴァイオリンのリサイタルを聴きにサントリーホールに出かけた。庄司紗矢香とジャンルカ・カシオーリのデュオである。
 彼らはデュオを組んで6年、つい先ごろベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタ全曲録音の完結編(第5番《春》、第6番、第10番)をリリースしたばかり(ユニバーサル)。
 ふたりは日本ツアーでもベートーヴェンのソナタを披露し、今回は5月23日から10公演が組まれ、今日がツアー最終日である。
 今日のプログラムは、前半がモーツァルトのヴァイオリン・ソナタ第35番とベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタ第6番。後半はストラヴィンスキーの「イタリア組曲」とラヴェルのヴァイオリン・ソナタ。
 最終日ともなると、ふたりの息はまさにピッタリ。だが、無理に合わせようとせず、お互いの音楽性を理解した上で、自己を主張しながらも次第に寄り添っていくというデュオである。
 いつも感じることだが、このデュオはけっして激せず、淡々と、流れる水のような不思議な色合いを見せる。庄司紗矢香は繊細で知的でクールな音楽性を備え、それに和すカシオーリのピアノはやわらかく、感情を抑制した趣をただよわせる。
 情熱的で濃厚で丁々発止の対話が行われるというデュオとはまったく異なり、あくまでも静けさがただよい、聴き手の心の奥にしみじみと音楽が染み込んでくるという様相を呈している。
 なお、カシオーリはこの後リサイタルも予定され、12日に紀尾井ホールでショパンやリストからリゲティまで多彩な曲目を組んだ演奏を行う。そちらにもぜひ足を運びたいと思う。
 
| クラシックを愛す | 23:24 | - | -
ルノー・カピュソン
 昨日に引き続き、今日はルノー・カピュソンのリサイタルを聴きにトッパンホールに行った。
 プログラムはモーツァルトのピアノとヴァイオリンのためのソナタ 変ロ長調からスタート。トッパンホールの親密的な空間に、美しく流麗なルノー節が朗々と響いていく。序奏の重音から、こまやかな神経が細部まで張り巡らされた繊細で緻密なモーツァルトが展開されていく。とりわけ第3楽章のガヴォット風のロンドがエレガントな美を放っていた。
 次いで、ベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタ第7番が登場。ここではピアノのダヴィッド・カドゥシュとともに丁々発止の音の対話が繰り返される。
 ベートーヴェンのこのソナタは、ピアノが非常に大切な役目を果たし、主題が幾重にも変容され、美しいカンタービレや緊迫感あふれる劇的な音楽が形作られていく。
 ヴァイオリンがそれを鮮やかに装飾し、「運命の調」と呼ばれるハ短調で書かれた音楽ならではの緊張感とエネルギーと推進力を生み出していく。
 後半は、シューベルトの幻想曲ハ長調。こういう作品こそ、カピュソンの類まれなる美音が生きる。かろやかさ、ヴィルトゥオーゾ性、スラヴ色豊かな民族性、豊かなファンタジー、あふれるロマン、変奏主題の妙などをカピュソンは自由闊達にのびやかに奏で、フィナーレではピアノとともに高い頂に一気に登り詰めるような高揚感を示した。
 昨日のインタビューでも語っていたが、かつてアイザック・スターンが使っていた楽器、1737年製グァルネリ・デル・ジェス「パネット」を弾き出してから10年、ようやく自分の思うような音が出せるようになったという。
 まさしく、「自分の音」となった楽器で、輝かしいルノー節をたつぷりと聴かせてくれた。
 
 
| クラシックを愛す | 23:10 | - | -
ルノー・カピュソン
 ルノー・カピュソンは、私が大好きなヴァイオリニストのひとりである。彼の流麗で透明感のある情感豊かな音色は非常に印象的で、すぐにカピュソンの音とわかる強い個性に彩られている。
 今日はNHK交響楽団の定期公演にソリストとして出演、ラロのスペイン交響曲ニ短調を演奏した。指揮は、近年注目を浴びているフランスのステファヌ・ドゥネーヴである。
 ラロのスペイン交響曲は、あまり演奏される機会に恵まれていないが、5楽章構成の聴きごたえのある作品。スペイン色濃厚で、ハバネラのリズムやボレロのリズムが随所に含まれ、甘美で民族色あふれる旋律が全編を覆っている。
 カピュソンは、冒頭からオーケストラと完全に融合する妙技を示し、躍動するリズム、豊かな歌心を備えた主題などを美しく自然に弾き進めた。
 その音楽からはスペインの歌が聴こえ、乾いた空気がただよい、作品の流れを重視した美しい演奏が聴き手を異国の地へといざなった。
 終演後、宿泊先のホテルでインタビューを行った。
 実は、私のHPは2011年に開始したのだが、5年目になり、大幅なリニューアルを考えている。昨年7月からさまざまな仕事関係の人に会って相談し、助言や提言をもらい、ようやく大体の骨子が固まってきたところである。
 インタビューページやCD&DVDの紹介ページを新たに加え、情報も選びながら入れ、ひとりでも多くの人にクラシックを聴いてもらえるような、興味深いサイトにしたいと思っている。
 まず0号を立ち上げ、それをいろんな人に見てもらい、さらにコンテンツを吟味し、内容を検討したいと考えているのである。
 その0号のインタビューのトップバッターが、ルノー・カピュソンである。これまで何度かインタビューを行ってきたが、そうした内容を含めてカピュソンの魅力を伝えるページにしたいと思っている。
 その話をすると、「おお、すばらしい、ありがとう!」と、満面の笑みをたたえ、インタビューは楽しい雰囲気のなか、スムーズに進んだ。
 今日写真は、たくさん撮ったなかの1枚。これからインタビューページの写真は、たくさん撮らなければならない。でも、カメラマンのようにいろんな機材をもっているわけではないし、照明器具もなく、インタビュー終了後の瞬間の勝負なので、条件はきびしい。
 今日はレストランの一番端の席を用意してもらったのだが、照明が落としてあり、ちょっと暗い感じになってしまった。0号では、もっといろんな表情の写真を公開します。お楽しみに〜。



 
| 親しき友との語らい | 21:53 | - | -
新しいメガネ
 最近、パソコンの画面が見にくくなり、どうもメガネが合わないようだと思っていた。そこで、今日は新しいメガネを作りに出かけた。
 検眼してもらってびっくりしたのは、右目が乱視だとばかり思っていたのが、間違っていたことだ。乱視はほとんどなく、メガネが合わないためにパソコンの画面が揺らいで見えていたようだ。
 さらに、遠視もあまりなく、近視が少し進んでいると判明した。
「このくらいだと、ふだんはあまりメガネをかけないでしょう」
 お店の人にこういわれた。
「もちろん、仕事でパソコンに向かうときしかかけません。オペラや映画の字幕もだいたい読めるし」
 こういうと、驚きのひとことが戻ってきた。
「ということは、ふだんかなり目が緊張しているんですよ。見えると思っていても、無理しているので、一日中緊張を強いられている。そこにもってきて夜中までパソコンに向かっているわけですから、かなり眼精疲労もあるでしょうね」
 いやあ、まさにその通り。
 そこでいろいろ詳しく検査をしてもらい、結局ふだんかけるメガネと、パソコンに向かうときに必要なメガネの2種類を買うことになってしまった。
「でも、ふだんメガネをかける習慣がないから、うっとうしいなあ」
 と、ブツブツいっていると、急にフレームを選びましょうと連れていかれた。
 私はグリーンが好きなので、グリーンのフレームを探しているのだが、なかなか売っていない。
「お客さん、実はフランスの女性のデザイナーが作っている、すごくおしゃれで似合いそうなのがあるんですよ」
 その男性は、手品のように、グリーンと茶色が混じったモダンなデザインのフレームを私の目の前にもってきた。かけてみると、これが、驚きの美しさ。顔にピタリと合い、デザインもすばらしい。グリーンといっても、角度によってグリーンがちらっとのぞくが、茶の模様が彫刻のようにこまかく刻まれている。
「えっー、こんなの初めて見たわ。ステキ、これいいわねえ」
「先日、これが入荷したとき、日本人でこの色を選ぶ人はほとんどいないんじゃないかとみんなで話していたんですよ。でも、お客さん、ピッタリですよ。顔のサイズにも、目の形にも鼻の感じにも合うし。いいでしょう」
 うまいもんだわねえ。お客を乗せるというのは、こういうやり方なんだ。ただし、その人はちっとも押しつけがましくなく、ステキなフレームが合うお客がたまたま現れて、本当によかったと思っている様子。
「これは絶対、ふだんかける方にしてくださいね。みんながほめてくれますよ」
 こう説得され、もうひとつの仕事用のフレームは、日本の女性デザイナーによる、繊細でかろやかなワインレッドの色のものにした。
「いやあ、気に入ってもらえてよかったです。10日ほどかかりますが、引き取り日は私の出勤の日にしてくれませんか」
 まあ、本当に熱心だこと。というわけで、10日後にふたつのメガネが出来上がることになった。
 お店を出るとき、「楽しみにしていてくださいね〜」といって見送ってくれたが、ここまでいうか、という感じ。
 まあ、しっかり検眼してくれ、一生懸命合うフレームやレンズを探してくれたから、仕事熱心なんでしょうね。
 これまでは割にビジネンライクなメガネ屋さんばかりだったため、こう親切にされると、ちょっととまどう。
 でも、これまでで一番気に入ったフレームが手に入った。これからは、メガネをかけることが面倒ではなくなるかも。10日後が楽しみだワ。コンサートや取材に行くとき、ふだん用の方をかけていって、みんなに見せちゃおうかな(笑)。
  

  
| 日々つづれ織り | 23:33 | - | -
辻井伸行
 つい先ごろ、辻井伸行のマネージャーから連絡が入った。32日間に渡るアメリカ、カナダ、ヨーロッパ公演を無事に終え、帰国したという報告である。
 今回の海外ツアーでは、やはり5月16日と17日にウィーンのムジークフェラインで行われたウィーン・デビューが際立つ。
 これは今秋から佐渡裕が音楽監督に就任するウィーン・トーンキュンストラー管弦楽団との共演で、プロコフィエフのピアノ協奏曲第3番を演奏したもの。2日間ともステージ奥に補助席が用意され、さらに立見席も満杯の大盛況だったという。
 演奏は大成功を博し、辻井伸行はアンコールに初日はラフマニノフの「パガニーニ狂詩曲」第18変奏を自身のアレンジで披露し、2日目はリストの「ラ・カンパネラ」を演奏した。
 私はこのウィーン・デビューが決まったときから、ぜひ現地に赴いて実際の演奏を聴きたいと願ったが、それもかなわず、陰ながら成功を祈っていた。
 こうした海外公演を経験するたびに、彼はひとまわり大きくなっていく。今回も、各地でさまざまな経験をし、演奏が肉厚になったに違いない。
 このウィーン・デビューの様子は、BSフジが収録している。今秋までに放映されるそうだから、また放映日が決まったらすぐに情報を流しますね。

 
| 情報・特急便 | 23:19 | - | -
おそうじブルー
 忙しいときに限って、部屋のいろんな箇所のほこりや汚れが気になる。見て見ぬふりをしていても、やっぱり気になる。
 あーあ、またおそうじしなくちゃ。
 私のように、おそうじが義務と感じ、ストレスを抱いている人は世の中にとても多いようだ。こういう人の精神状態を「おそうじブルー」と呼ぶそうだ。
 いまでもまだ完全におそうじブルーから抜け出せたわけではないが、私はひとつとてもいいグッズを見つけ、それを使用してからは、かなり心の負担が軽くなった。
 ダスキンのおそうじモップで、大と小のモップがセットになっていて、これで床や家具のほこりを取り、ダストクリーナーで吸い取る方式。
 とても簡単で、掃除機をわざわざ出して階段などをよいしょよいしょとおそうじしなくても、さーっと拭けば大体のほこりは取れる。
 月に1度、担当の方がモップの交換にきてくれ、支払いを済ませばOK。リーズナブルな価格で、負担にはならない。
 これを使ってから、ほこりが目に入ると、すぐ拭くようになった。もちろん、表面のほこりを取るだけだから、きちんとしたおそうじは必要だが、気は楽になる。
 今日の写真は、ケース入りのモップ大小と、ダストクリーナー。さて、またちょこっとおそうじしようかな、ほこりたまってるし(笑)。



| 日々つづれ織り | 21:49 | - | -
中村紘子
 人は健康なときにはその大切さに気づかない。だが、病気になった途端、からだをいたわり、自身の人生と真摯に向き合い、精神的にも強くならなくては、と新たな考えを抱くようになる。
 中村紘子は、2014年2月に腸閉塞の手術を受け、そのときに大腸がんが見つかり、ステージ2と診断された。その後も演奏活動は続けていたが、昨年末から体調を崩し、東京・がん研有明病院で漢方、マイクロ波、抗がん剤治療を続けている。
 今日は、都内のホテルで中村紘子のコンサート活動復帰記者懇親会があり、病気に関すること、現在の治療、今後の活動などがご本人の口から語られた。
 とても元気そうで、「ちょっと太って困っている」と笑っていたが、現在の治療が適切で、先生たちがとてもよくしてくれるため、前向きに対処できるという。
「確かにがんなのよ。でも、それをあまり意識せずに、楽観的な気持ちで過ごしている。私は生命線が長いようで、まだこれから30、40年生きられる気がする」と笑っていた。
 お医者さまからは「できる限りふつうの生活をし、ピアノも弾いて、同じ病気の人を元気づけてほしい」といわれているそうだ。
 今後のコンサート予定が発表されたが、今月から2016年3月まで、スケジュールはびっしり。全国をまわり、ソウル公演も含まれている。
 中村紘子は、話の端々にユーモアを交え、明るい表情で会見を終えた。
 こうした現在の彼女の様子をもっと詳しく聞き、どこかに記事を書きたいと、強く感じるひとときとなった。
 今日の写真は、記者懇親会終了後のフォトセッションでの1枚。「病は気から」というが、本当に精神的な面が大切だと感じた。彼女の「くよくよせずに病気と共存していくわ」というひとことが、強く印象に残った。
 紘子さん、頑張ってください。これからもずっと、いい音楽を聴かせてくださいね。





 
| 日々つづれ織り | 23:12 | - | -
バルサミコ酢とオリーブオイル
 スペインを旅すると、必ずサラダに添えられているのが上質なバルサミコ酢とオリーブオイル。
 ドレッシングの類はなく、ビネガーとオイルで自分の好きな味付けをし、野菜を食べる。
 若いころ、ドレッシング全盛の日本から旅をしたときには、このシンプルで自由な味付けに大きな感銘を受けたものだ。
 以来、私のサラダも、モデナ産のバルサミコ酢とスペインかイタリアのエクストラバージンオリーブオイルをかけることになった。
 5年前、マドリードの空港で軽食をとったとき、このふたつが出てきて、ああ、スペインはどこでも変わらないと、またもや感動。
 しかし、バルサミコ酢とエクストラバージンオリーブオイルというのは、奥が深い。
 私は食材探しが趣味ゆえ、輸入品をたくさん置いているスーパーやデパ地下に行くと、必ずこのふたつを探す。スペインやイタリア産だけではなく、ギリシャ、フランス、ベルギー、デンマーク、ポルトガル、ドイツにいたるまで、さまざまな国の物があり、探していてわくわくし、時間の経つのを忘れる。
 今日の写真は、マドリードの空港のカフェで出てきたバルサミコ酢とオリーブオイル。なんてことはないひと口サイズの物なのに、これがめちゃめちゃおいしい。やっぱりスペインはいいなあと、スペイン贔屓のワタシ(笑)。


 
 
| 麗しき旅の記憶 | 22:33 | - | -
新譜レビュー
 毎月、月末から翌月の月始めにかけて、各雑誌の新譜レビューを書くことになっている。
 器楽や室内楽の分野だけの雑誌もあれば、全ジャンル網羅の雑誌もあり、新聞もジャンルが決まっているものが多い。
 そうした原稿の場合、各社から送られてくる膨大な数の新譜CDとリストを手元に置き、どのCDをいずれの媒体で取り上げるか、じっくり吟味していく。
 時間の許す限り毎日新譜を聴き、ライナーを読み、順次セレクトしていくわけだが、これが並大抵のことではない。
 なにしろ、CDは1枚が約70分。それが何十枚もあるわけだから、時間との勝負である。
 整理も大変で、私は月ごとにボックスに入れてシールを貼り、棚に並べていくのだが、すぐに仕事部屋がいっぱいになってしまう。
 評論家仲間に「CDの整理、どうしてる?」と聞くと、みんなあいまいな返事をする。おそらく、返答に困るほど、整理ができない状況なのだろう。
 いまは、連載雑誌と新聞のCD評があと少しで終わる状況になり、ようやく峠は越えた感じだ。
 さて、まだ少し時間があるから、また新譜を何枚か聴かなくては…。
 
 
| ああ愉しき(?)、締切り地獄 | 22:14 | - | -
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