Yoshiko Ikuma - クラシックはおいしい -Blog

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ボーイ・ソプラノ ただひとつの歌声
 映画にクラシック音楽が使用される場合、そのプログラムやパンフレット、マスコミ用資料などに原稿を寄せることがある。
 今回は、9月11日に全国ロードショーとなる「ボーイ・ソプラノ ただひとつの歌声」の劇場公開用パンフレットの原稿を書いた。
 これはきびしいオーディションで主役をつかんだギャレット・ウェアリングが長編映画初出演となる作品で、美しいボーイ・ソプラノを聴かせている。
 彼が演じるのは、複雑な家庭環境に育った12歳の少年ステット。類まれなる美しい声に恵まれているが、投げやりな人生を送っていて、その才能を伸ばそうと努力しない。しかし、アメリカを代表する国立少年合唱団のオーディションを受けて入団したことから、人生が変わっていく。
 この合唱団の厳格な指導者を演じているのが、ダスティン・ホフマン。彼が演じるカーヴェルは、自身が音楽家としての才能を伸ばすことができず、指導者になったわけだが、神から美声を与えられているにもかかわらずそれを伸ばそうとしないステットにきびしくあたる。
 ここでは、ヘンデルやフォーレ、ブリテンなどの宗教曲やクリスマスキャロルが多数うたわれ、合唱団が日本ツアーにいくというシーンでは日本のわらべ歌「ほたるこい」も登場する。
 監督は、「グレン・グールドをめぐる32章」「レッド・バイオリン」などでおなじみのフランソワ・ジラール。キャシー・ベイツ、デブラ・ウィンガー、ジョシュ・ルーカスら名優が顔をそろえている。
 ステットは、保守的な先生たちと合わなかったり、少年たちの嫉妬やいじめに遭ったり、父親に実子とは認めてもらえなかったり、さまざまな苦難に遭遇するが、最後は彼の天使のような純粋無垢な歌声がすべてのことを洗い流し、輝かしいステージで燦然と輝く。そしてずっと切望していた「家族」を手に入れる。
 ボーイ・ソプラノという声域は、美しい声を与えられた才能のある少年が、ほんのひとときだけ発揮することができる稀有な歌声。幻想的で繊細で情感あふれる歌声は、聴き手の心に深く浸透し、夢を見させてくれる。
 ステットは苦難を乗り越え、ひたすら努力し、栄光をつかんだ。哀愁に満ち、孤独の影をただよわせるギャレット・ウェアリングが、見事な歌と演技を披露し、ステット役を好演している。
 今日の写真は、映画のチラシ。すばらしい歌声をぜひ聴いてほしい。


 
| 情報・特急便 | 22:16 | - | -
JOYCE&TONY
 昔から、カラヤン、ショルティをはじめ、ピアノが得意な指揮者は多い。
 最近では、レヴァイン、チョン・ミョンフン、ノセダが歌手や器楽奏者との共演で、その実力を示している。
 以前、プレヴィンが、マクネアーとジャズやアメリカン・ポップスをうたったアルバムがすばらしく、何度聴いても至福のひとときを過ごすことができたが、それに匹敵するスゴイふたりのアルバムが登場した。
「ジョイス・ディドナート&アントニオ・パッパーノ ライヴ・アット・ウィグモア・ホール」(ワーナー)と題されたライヴ録音で、いま絶好調のメゾ・ソプラノ、ディドナートがマエストロ・パッパーノのピアノに合わせ、天に飛翔していくような躍動感とエネルギーを発揮した、楽しさあふれるアルバムである。
 ディドナートは、今夏2枚の印象的なアルバムをリリースしたばかり。1枚は「ロッシーニ:オペラ・アリア集」で、これは「彼が愛したミューズ/コルブランに寄せた作品集」というサブタイトルが付けられている。そしてもう1枚は、メゾならではのオペラにおける男役(ズボン役)と女役の両方をうたった「ディーヴァ・ディーヴォ」というアルバム。これはヤマハの「音楽ジャーナリスト&ライターの眼」で紹介したばかりだ。
 そこへ今回のパッパーノとの新譜が登場した。2014年9月にウィグモア・ホールで行われたライヴで、2枚組。1枚目はハイドンやサントリクイド、デ・クルティスらの作品がずらりと詰まっていて、まさにイタリア色満載。
 一方、2枚目は「ヤンキー・ディーヴァ」と自ら称するディドナートが、得意とするアメリカの曲、ジェローム・カーンをはじめとするミュージカルやキャバレー・ソングを嬉々としてうたい上げたもの。パッパーノも英国生まれのアメリカ育ち。絶妙のピアニズムでディドナートの歌に寄り添う。
 こういうアルバムは、ときどき無性に聴きたくなるものだ。イタリアのイラストレーターによるジャケットの絵も実に雰囲気があり、当日のデュオの様子をリアルに伝えている。今日の写真はそのジャケット。このふたりの表情、うまいよね〜。


 
 
 
 
| クラシックを愛す | 22:31 | - | -
ビデオ・メッセージ
 先日撮影したNCAC音楽大学の講座のビデオ・メッセージが、「こんな形になりましたよ」と担当者のMさんから送られてきた。
 私が事務所のCD棚の前で、今回の講座の内容について語っているビデオである。自分の話している姿を見るというのも、なんだか妙な感じで、結構照れくさい。
 ぶっつけ本番で、台本もないため、ときどきことばがちょっとトチリ気味になっているところが気になったり、顔の表情がなんだかなあと思ったり、どうもマイナス要素ばかりに気持ちがいってしまう。
 でも、これをみんなが見てくれ、講座に参加してくれるわけだから、私も本当は胸を張って「これ見て、ぜひ参加してね。楽しいですよ」と、明るくいわなければならないんだろうな。
 もちろん、ビデオのなかの私はいつもの早口でまくしたて、いろんなことを一気にしゃべっている。講座では、これにもっともっと拍車がかかるはずだ(笑)。
 これは長野市芸術館のHPに掲載され、今日からアップされているようだ。
 こういうビデオ・メッセージ、私のHPでも、ゆくゆくはアーティストに登場してもらって掲載したいなと思っている。先日買ったカメラは、動画も撮れるし、まずはそこからスタートかな…。
| 情報・特急便 | 23:30 | - | -
辻井伸行
 辻井伸行は、コンサートのたびに異なるコンチェルトを披露する。
 今日は、サントリーホールで「《自作&クラシック》オーケストラ・コンサート」と題する演奏会が開かれ、前半は自作品を田中祐子指揮オーケストラ・アンサンブル金沢と共演し、オーケストラ・バージョンで演奏した。
 後半はガーシュウィンの「パリのアメリカ人」(室内オーケストラ版)から始まり、いよいよ辻井伸行がソロを務めるガーシュウィンの「ラプソディ・イン・ブルー」が登場した。
 彼はいかにも楽しそうに、ジャジーなリズムに乗り、オーケストラとの音の対話を濃密な形にしていく。
 つい最近、ラフマニノフやプロコフィエフのコンチェルトを聴いたばかりだったのに、今度はガーシュウィンだ。本当にそのレパートリーの広さには感服してしまう。 
 終演後、11月末から12月にかけて行われるワレリー・ゲルギエフ指揮ミュンヘン・フィルとの共演による、ベートーヴェンのピアノ協奏曲第5番「皇帝」のプログラム原稿のためのインタビューがあり、楽屋に向かった。
 私は「皇帝」の第2楽章をこよなく愛しているため、その話題で盛り上がり、彼もあの美しい緩徐楽章には深く魅せられていると話していた。
 デビュー当初の話からクライバーンの思い出、ゲルギエフとの初共演、ドイツで初めてベートーヴェンの「ハンマークラヴィーア・ソナタ」を弾いたときの緊張感、これからの夢までいろんな話を聞くことができ、11月29日と12月1日のサントリーホールでの演奏が楽しみになった。なお、このツアーは大阪、名古屋、仙台公演も組まれている。
 今日の写真は、インタビュー後の写真撮影の横でチラッと1枚撮ったもの。彼は写真撮影は苦手なようで、インタビュー中はとても嬉々とした表情を見せていたのに、撮影となったら下を向いていることが多かった。本来は、とてもシャイな性格なのである。
 でも、コンサート直後なのに、疲れも見せずにインタビューに応じてくれた。辻井さん、ありがとう。「皇帝」、期待していますよ!


 

 
| 親しき友との語らい | 22:15 | - | -
打ち合わせが続く
 日曜日、月曜日と、今後の仕事の打ち合わせが続いている。
 日曜日は、NCAC音楽大学(長野市芸術館)の講座の打ち合わせがあり、担当のMさんが私の事務所にきてくれた。
 仕事の話を一応終えたところで、さまざまな話題に花が咲き、結局4時間ほどふたりでおしゃべりをしてしまった。
 夕方になって、「ウワーッ、もうこんな時間」と、ふたりともビックリ。おしゃべりに興じていたため、時計を見なかったのである。
 Mさんは、それから長野まで帰らなくてはならない。あたふたと駅までお送りし、別れたが、翌日になって「時間を忘れていろんなことを話すことができ、とても楽しかった」と、メールをいただいた。
 もちろん、私もMさんとこんなにゆっくり話すことがなかったため、いろんなことがわかり、とても有意義な時間を過ごすことができた。
 そして昨日は、雑誌の編集者ふたりと打ち合わせ&飲み会をした。彼らはふたりとも中野に住んでいるため、私が中野にいき、夜中まで盛り上がった。
 この秋の仕事の打ち合わせだったが、私はHPのリニューアルがあるし、単行本を1冊書かなくてはならないし、シーズンは始まるし、新たな仕事が入る余地はない。
 この編集者ふたりとは、長年のおつきあいゆえ、もちろん仕事は全面的に引き受けたいと思うのだが、どうやって時間をやりくりするか、それが一番の問題である。
 今日はずっとHPのリニューアルのサンプル記事(0号)にかかりっきり。これが結構ひとつずつ時間がかかることがわかった。これから更新をどうやっていこうか。う〜ん、頭が痛い。
 とはいっても、ここまで進んできたからには、前に進むしかない。でも、絶対的な時間が足りないし…。
 昨日も、飲み会をしながら、ひとりで悩んでしまった(笑)。
| 日々つづれ織り | 18:06 | - | -
アリス=紗良・オット
 今日は、久しぶりにアリス=紗良・オットに会い、いろんな話を聞いた。
 彼女は11月にアンドレス・オロスコ=エストラーダ指揮フランクフルト放送交響楽団の来日ツアーのソリストとして、チャイコフスキーのピアノ協奏曲第1番を演奏することになっている。
 まず、その話から始め、チャイコフスキーのコンチェルトについてあらゆる質問をし、それに対し、さまざまな答えを戻してくれた。
 それを来日プログラムの原稿や、その他の記事でも展開することにしている。
 アリスに会うといつもそうだが、いまどんな生活をしているか、世界を回っているなかでどんなことに遭遇しているか、現在の考え方や将来についてなど、あらゆる方向に話が広がっていく。インタビューということを離れ、本音で話してくれるため、とても自然な形で話ができる。
 もうベルリンに住んで4年になるそうで、とても住みやすいという。音楽仲間や友人を家に招いて食事を作りながらいろんな話をするのが、一番のリラックスタイムになっているようだ。
 彼女にはデビュー当初から話を聞き、演奏も聴き続けているのだが、今日のインタビューのなかで再三再四こんなことばを口にしたのにはびっくり。
「もう若くないんですよ。10代の若い子たちがどんどん出てきているし、そういう人たちを見ると、ああ、自分もずいぶん年をとったなあと思って…」
 エーッ、アリスが若くないなんていうとは。彼女もキャリアを着実に重ね、成長したということなのだろうが、そのことばを何度もいうのには驚いた。
 アーティストは、デビュー当時は若い若いといわれるが、彼女のように国際舞台で華々しい活躍を続けていると濃密な時間を過ごし、人生経験が豊富になるため、新人が出てきたときに、自分はもうかなり先輩になったと感じるのだろう。
 それに加え、アリスはこれから先の20年後、30年後のことをよく考えるようになったという。そのためにいま自分が何をすべきかを自問自答しているのだそうだ。
 チャイコフスキーのピアノ協奏曲第1番は、17歳のときに初めて日本でオーケストラと共演したコンチェルト。もう70回ほど弾いているが、いつも異なる指揮者&オーケストラとの共演により新たな発見があるという。
 今日の写真は、髪を切ってからようやくカットが落ち着いたというお気に入りのヘアスタイルになったアリス。スカーフもおしゃれだ。
 最新録音はグリーグにフォーカスしたアルバムで、「グリーグの珍しい作品も入れたんですよ」といっていた(ユニバーサル)。リリースが待ち遠しい。
 私は2007年にグリーグの家を訪れて本を書いたため、今度その本をプレゼントすることを約束した。「日本語だけど、読めるよね」と聞いたら、「だいたい、大丈夫よ」といってケラケラ笑っていた。


 
| 親しき友との語らい | 22:10 | - | -
服部百音
 服部百音の演奏を聴くのは、何度目だろう。
 そのつど、高く天空に飛翔していくような、才能が大きく開花していくような、フレッシュな演奏の瞬間に立ち会える気持ちがする。
 今日は、東京芸術劇場で行われた下野竜也指揮読響サマーフェスティバル3大協奏曲のコンサートを聴きにいった。
 前半は、服部百音がソリストを務めるメンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲と、デンマーク出身のチェリスト、アンドレアス・ブランテリドのドヴォルザークのチェロ協奏曲、そして後半が韓国出身のHJリムによるチャイコフスキーのピアノ協奏曲第1番というプログラム。
 服部百音は、現在東京音大付属高校特別特待奨学生で、海外では名教師として知られるザハール・ブロンに師事している。
 今日のメンデルスゾーンは、やはり高校生になったからか、ずいぶん大人の音楽になった気がする。このコンチェルトはかなり弾き込んでいるため、自分の「声」でうたっている。しかし、彼女はいつもそうだが、本番になるとひたすらアップテンポになり、第3楽章はどうなるのだろうとハラハラするほど、飛ばしていた。
 楽屋で会ったときにそう話すと、「やっぱりそうなっちゃったか」と苦笑していた。リハーサルのときは、もう少しゆったりと弾いていたらしい。
 でも、これが服部百音の勢いに満ちた音楽の源でもあるわけだから、けっして悪いことではない。一気に突っ走っていく、それが彼女の大きな特徴なのである。
 今日は、いまのレッスンの様子、先生や友人たちとのかかわり、レーピンやヴェンゲーロフから受けたレッスンのことなど、短時間ながらいろんな話をしてくれた。
 海外では、やはりいろいろ苦労もあり、「社会勉強しているわねえ」といったら、「そうなんですよ、いろんなこと、学んでいます」と笑っていた。
 会うたびに成長していく若手アーティストは、その進化が著しい。次回はどんな演奏を聴かせてくれるだろうかと、心躍る思いがする。
 今日の写真は、楽屋でのひとこま。実は、とんでもなくふざけた表情をしている写真が1枚撮れたのだが、関係者から「それはマズイ。載せないでください」と釘を刺され、あえなくボツ。百音ちゃんは、「あ〜あ、残念」と落胆顔。
 演奏は真摯で集中力に富み、作品の内奥に一気に入っていくものだが、素顔はとってもジョーク好き。それとも、私が撮るときだけ、そういう表情をしているのかな。というわけで、今日の写真は、真面目な1枚となった。


 
| 親しき友との語らい | 22:35 | - | -
山本貴志レシピ
 9月のNCAC音楽大学(長野市芸術館)の講義のなかで、アーティスト・レシピをひとつ紹介してほしいとの依頼が担当のMさんから入り、講演の内容に合わせてピアニストの山本貴志のレシピを考えることになった。
 彼の演奏はとてもあたたかく、心に染み入るもので、ピアノに向かう姿勢が超個性的。ワルシャワに長く滞在していること、長野県出身ということを考慮し、スープに決めた。
 両都市に関係する素材として、きのこやりんごは欠かせない。そこで、「じゃがいもときのことりんごのスープ くるみ風味」というレシピを考え出した。
 今日は材料を買いに行き、スープを作ったが、Mさんから、テレビのお料理番組のように手順を追って写真を撮っておいてほしいといわれ、これが大変な作業だとわかった。
 なにしろ、すべてをひとりでやらなくてはならない。
 まず、材料を切って撮り、順にお料理が進むにつれて5枚ほど撮っていく。そして最後はお皿に盛りつけたところで完成。
 でも、料理中は湯気が出て、うまく写真が撮れない。それにお鍋の影になって、中身が暗くなってしまう。
 本職のカメラマンではないし、テレビのように照明があるわけでもない。やれやれ、こりゃ、大変なこった。
 それでも、なんとか出来上がり、撮影も完了した。
 すぐにレシピを書いてMさんに送付。フ〜っ、終わった〜。
 写真は講座で使うため、まだここでは発表できない。まあ、おだやかで、なめらかで、ちょっと深い味わいに仕上がったから、よしとするか(笑)。山本貴志の音楽が連想できるレシピになったかな(?)
 また、講座終了後に苦労した写真、全部公開しますね。
| 美味なるダイアリー | 22:27 | - | -
夏野菜を食べよう
 最近あちこちから、手紙やメールなどで「残暑お見舞い申し上げます」という文面が届く。
 そうか、もう残暑なのか、早いものだ。
 こういう時期になると、夏の疲れが一気に出ることがある。それを防ぐためには、夏野菜をたくさん食べて、野菜から元気をもらうのが一番である。
 でも、生野菜は、一度にそうたくさんは食べられない。だから温野菜に頼ることになる。
 温野菜、夏野菜とくれば、ラタトゥイユ、またはカポナータである。通常は、トマト、ズッキーニ、玉ねぎ、なす、パプリカ、ピーマン、いんげん、セロリを使うが、私はこのごろじゃがいもとお豆を入れている。
 まず、オリーブオイルでにんにくのみじん切りをこげないように炒めて香りを出し、食べやすい大きさに切った玉ねぎを最初に炒め、あとは堅い物から順に炒めていく。最後にトマトを入れ、塩、コショウ少々を加えて弱火にし、野菜の水分だけでじっくり煮ていく。
 途中で、白ワインビネガーを入れて酸味が飛ぶまで再び煮込み、火を止めてからバジルの葉を散らして出来上がり。
 今日は、おいしい鹿児島のじゃがいも、西ゆたかを使用し、お豆はイタリアのミックスビーンズを使った。
 これは温かいうちにお肉やお魚料理に添えて食べるのもとてもおいしいが、冷やしておいてワインと一緒に出したり、卵料理の付け合わせにしたり、パンと一緒に食べてもグッド。
 とにかく、野菜が山ほど食べられるため、夏バテ気味のからだには最適だ。これから秋にかけて超特急で突っ走らなければならないから、からだのケアは欠かせない。
 今日の写真は、ほくほくのじゃがいもが入ったラタトゥイユ。スープストックで煮たり、いろんな味をつけることもできるが、野菜そのものの味でシンプルに仕上げた方が飽きない。
 常備菜にどうぞ!


 
| 美味なるダイアリー | 21:34 | - | -
奈良の甘味
 奈良の旅では、あまりにも暑いため、神社巡りのあと、和風のカフェに飛び込んでは甘い物で涼を取った。
 もっとも印象的だったのは、先日もちょっと書いた、猿沢池の湖畔にある柳茶屋の広い和室。昔ながらの畳敷きの部屋で、池を臨む廊下も畳敷き。こういう家、昔はあちこちにあったっけなあ、となつかしい思いを抱いた。
 今日の写真は、その部屋からの眺め。おばあちゃんの家を思い出してしまった。それから、宇治金時のかき氷ときなこ味のアイスクリーム。どちらもとても自然な味わいで、大満足。このふたつ、見ているだけで、ちょっと涼しくなるでしょ(笑)。
 お店の方はとても親切で、「外は暑いですから、たくさん水分補給していってくださいね」と、ガラスのポットに入った冷茶をどんどんもってきてくれるため、おなかがガブガブになるまで飲んでしまった。
 








 奈良といえば、吉野葛である。吉野本葛の井上天極堂にいって、葛饅頭と抹茶をいただいた。これもまた、素朴で自然な味である。
 猛暑のなかを歩いていると、水分と塩分が不足してくると考えがちだが、不思議に糖分も欲する。そういうときには、和風カフェが一番だ。
 写真は、葛饅頭と抹茶。真夏でなければ、こういうお菓子、お土産に買って帰りたいところだけど、無理だよね。

| 美味なるダイアリー | 21:35 | - | -
HPの打ち合わせ
 ホームページのリニューアルに関し、デザイナーからワイアーフレームが出来たとの連絡が入り、関係者4人で打ち合わせを行った。
 各々のコンテンツについて内容を詰め、いろんなものがどこに入るか、どういう組み立てになるか、分量や位置はどうかなど、具体的な内容を話し合い、今後の進め方について検討した。
 1週間後に、私の方で各々のコンテンツのサンプル記事を提出することになり、先ずはそこからページ作りがスタートする。
 いよいよ形が見えてきた。
 さて、これからが勝負である。なんとかいい内容になるよう、集中して記事を書かなくてはならない。
 暑い暑いといっているうちに、あっというまに8月も半ばを過ぎてしまった。9月からはシーズンが開幕してしまうし、いまのうちにできる限り飛ばして、やるべきことをやっておかなくては…。
 
| 日々つづれ織り | 22:17 | - | -
古都たび
 奈良も京都も最近は外国人旅行者が多く、神社仏閣の受付もカフェもレストランも長蛇の列だ。
 それでも奈良は、京都ほどは混んでいない。朝晩も涼しく、畳にお布団を敷いてもらって、エアコンに頼らずぐっくり眠れた。
 写真は、奈良公園の鹿たち。タクシーの運転手さんに聞いた話だが、売っている鹿せんべいだけをやっていると問題ないのだが、自分でもってきたお菓子やパンを与えると、塩分などが入っているため、死にいたり、危険なのだそうだ。



 今回の奈良の宿泊先は、食へのこだわりといまどきの部屋づくりが印象的で、各部屋にひのき風呂がしつらえてある。夕食は奈良風の懐石料理だったが、丸い石の上で焼く牛肉がとても美味だった。



 しかし、お寺はどこにいっても人、人、人。旅行者を外して写真を撮ることができない。内部は撮影禁止ゆえ、ここでも撮れない。
 唯一、東大寺の大仏殿だけは撮影禁止とは書いてないため、みんな大仏を入れて自撮りするのに大騒ぎ。いずこもお祭り騒ぎのようだった。
 そんななかでも、私の大好きな興福寺の阿修羅像、法隆寺の夢殿の半跏思惟像と大宝蔵院の百済観音像(平成10年秋にようやく百済観音堂が完成)をゆっくり見ることができ、非常に有意義な時間を過ごすことができた。この3つの仏さまは、超スリムで八頭身。多分にあこがれがあるのかな(笑)。優美で慈悲深い表情をしているところにも魅了される。
 奈良では、かき氷が欠かせない。吉野葛の葛饅頭もちゃんといただいた。写真は、猿沢池湖畔にある茶屋の入口。広い畳敷きの部屋から池を見ながら冷菓をいただき、心身共に癒された。




 海外からの旅行者は、みんなリュックを背負い、短パンにビーチサンダルだ(あまりの暑さにまいって、日本で購入したに違いない)。うちわや扇子をバタバタさせながら、首に巻いたタオルで汗をぬぐっている。
 それでも、みんな実に楽しそうだ。日本の古都は、真夏でも人気が高いことを思い知った。なにしろ、京都駅は東京駅か新宿駅のラッシュどきのような混雑ぶり。
 今回まいったのが、外国人の旅行者から道や電車の乗り方を訪ねられること。私は昔から人によく道を聞かれる。たくさん人が並んでいる場合も、ピンポイントで私に聞きにくる。なんで〜と思うが、どうやら聞きやすいタイプに見えるらしい。日本ばかりではなく、バチカンやパリでもバスの乗り場などを質問される。なんでだよ〜、私も旅行者なのに〜。
 というわけで、今回も中国人に電車の乗り方を聞かれた。前後にたくさん人がいるのに、である。う〜ん、またか。でも、ここで冷たくすると日本人のイメージが悪くなると困るので、親切に教えてあげたが、そうこうしていると、この人は教えてくれるとばかりに他の中国人がわんさか寄ってくる。
 ヒエーッ、勘弁して。私はガイドさんじゃないし、時間がないのよ〜。
 といっても、法隆寺は全面的に玉砂利が敷いてあり、逃げるのに四苦八苦だ。昔は陸上をやっていたものの、いまはちっとも早く走れん。ガンガン日差しが照り付ける境内で、旅行者から逃げるのも大変だ。
 私の古都たびは、なんともあわただしく、あっというまに過ぎてしまった。
 今日の写真は、人がいない瞬間を撮った法隆寺の回廊。



 今回の奈良の旅で、まず足を運んだのが奈良うちわの老舗、池田含香堂。優雅な天平模様の透かし彫りうちわで、真竹に手漉きの伊予紙を貼って仕上げる。お店には各種の手作りうちわがあり、どれも素敵だったが、黄色と青の鹿が入った絵柄を選んだ。こうした職人による伝統工芸は、さまざまな形で奈良に息づき、それをゆっくり見て回るのも旅の醍醐味だ。

| 麗しき旅の記憶 | 20:41 | - | -
奈良へ
 夏休み前の原稿がすべて終了し、ようやく気持ちが楽になった。
 明日から数日間、奈良に旅をすることになっている。
 先日、ケマル・ゲキチと食事をしたことはブログに綴ったが、その際、彼に「Yoshiko、夏休みはどうするの?」と聞かれ、「ほんの数日だけ奈良に行くワ」と答えたら、「えーっ、せっかく奈良に行くのに、数日だけ。なんでそんなに仕事ばかりしているんだよ」と驚かれた。
 一緒に食事をしていたレコード会社のFさんも、夏休みは九州の実家に2日間だけ帰省するといい、ゲキチはこれにも驚きの表情を隠さなかった。
 本当に日本人の夏休みは短い、いくらなんでも短すぎると、ため息をついていた。
 私も確かにそう思う。本当は1週間くらいのんびりしたいとは思うのだが、ルーフバルコニーの植木や花も水やりをしないと枯れてしまうし、やっぱりそう長くは出かけられない。
 でも、ほんの数日間でも、日本人は楽しみ方を十分に心得ているのよ、とゲキチにいいたい。ちょっと言い訳っぽいけどね(笑)。
 というわけで、明日から、ものすごく暑いだろうと予想される奈良にいってきま〜す。
 まほろばの土地の美しい写真、いっぱい撮ってくるつもり。お楽しみに〜。
| 日々つづれ織り | 22:07 | - | -
おしゃべり会
 どんなに忙しくても、気心の知れた友人とのおしゃべりは欠かせない。
 今日は、親しいレコード会社のOさんと、お互いの仕事の合間を縫って渋谷で落ち合い、2時間しゃべりまくった。
 とにかくいま一番の関心事をダーッと話し、ワーッと意見をいい、それから次々に話題を変えていく。
 このスピード感とタイミングがふたりとも絶妙で、息がピッタリ。
 話が終わった時点で、気持ちはかなりリフレッシュ。
「また、暑気払いでビールでも飲もうね〜」
 こういって、渋谷の駅であっさり別れ、お互いにまた仕事モードに。
 仕事をするということは、どんな仕事でも人間関係に問題を抱えることになり、悩みも増え、日々ストレスがたまっていく。
 それをリフレッシュするためには、わかりあえる友とのおしゃべりが一番だ。
 Oさんとは頻繁に会っているため、最初から説明しなくてもわかってもらえるから話がスムーズに進む。もちろん、メールでも電話でも話すが、やはり実際に会って話すのが一番いい。
 以前、彼女と電話で話していて、気が付いたら7時間ということがあった。ふたりともビックリ。あわてて電話を切って、ふたりともトイレに駆け込んだという、いまでは笑い話のようなことがあった。
 さて、おしゃべりして気が晴れたところで、きちんと仕事モードに戻さなくちゃね。でも、よく今日は2時間で済んだものだ(笑)。
 
 
 
| 親しき友との語らい | 22:53 | - | -
NCAC音楽大学
 2016年5月に開館する長野市芸術館の記念行事として、プレ・イヤーの2015年にホクト文化ホール(長野県県民文化会館)小ホールで行われているNCAC音楽大学の「音楽が分かる大人になろう!講座」。
 すでに5月31日(柴田克彦氏)と7月18日(加藤昌則氏)の2回が終わり、9月19日は、私が講師を務める番である。
 その打ち合わせで担当のMさんが上京し、今日は午後から講座の詳細を話し合った。
 Mさんとは、彼女が音楽事務所に勤務していたころからの長いつきあいである。でも、松本に実家がある彼女は数年前に松本に戻り、長野市芸術館がオープンするのをきっかけに、長野に移った。現在は、開館を前にさまざまな仕事を行い、とても忙しそうだ。
 本当に久しぶりに会ったため、お互いの近況報告や、ホールの話、これからのことなどさまざまな話をし、有意義な時間を過ごした。
 今日は、ホールのホームページに掲載するということで、私のビデオメッセージが収録された。れいによって早口になってしまい、いろんなことを話したが、彼女がうまく編集してくれるようだ。
 この講座のタイトルは、「ピアニスト山本貴志とコンクールの覇者たち」〜ベテランから注目の新人まで〜と題されている。山本貴志は長野県出身であり、今年はショパン・コンクールの開催年であることから、彼の話から始めることにした。
 アーティスト・レシピも考えてほしいというオファーがあり、いま山本貴志のレシピを考えている。キーワードは「スープ」。彼の演奏はユニークであったかくて人を引き付ける。いまはワルシャワで再度研鑽を積んでいることから、ポーランドの食材と、長野の食材を使ったスープを考案中だ。
 さて、どんな講座になるだろうか。
 なにしろ60分間である。内容が凝縮し、参加してくれた人が楽しんでくれるものにしなくてはならない。音源選びも慎重にしなくては…。
 
 
| クラシックを愛す | 17:53 | - | -
安曇野市堀金の野菜
 松本に住む親友のTちゃんから、安曇野市堀金の野菜がドーンと送られてきた。
 土の香りがするような、夏の強い日差しをいっぱいに受けて育った元気な野菜で、トマト(シンディースイート)、ブルーベリー、紫と白と緑のなす、ささげ(いんげん)、おくら、万願寺こしょう、伏見甘長唐辛子、つるむらさき、えごまの葉という、なんとも豪華なラインナップ。
 さて、何からお料理しようか。
 う〜ん、悩んでしまうほど、みずみずしくて美しくて、ただ眺めているだけで幸せな気持ちになってくる野菜たちだ。
 Tちゃん、ありがとう。身も心も元気になれそうです。
 とにかく、今年の夏は猛暑続きゆえ、私のまわりもすでに夏バテ状態の人が続出。なんとかこの暑さを乗り切らなくてはならない。
 このエネルギーあふれる野菜から、少しでも活力をもらって、頑張ろう!! 
 今日の写真は、届いたばかりの安曇野の空気を漂わせている色とりどりの野菜。まずは、トマト、いんげんを揚げた豚肉と合わせた「揚げ豚肉と彩り野菜のマリネ」、おくらを蒸してバター煮にする「おくらのバター煮」を作ろうかな。
 いやあ、考えているだけでドキドキしてきますなあ、武者震いしそう(笑)。



| 美味なるダイアリー | 15:14 | - | -
アリス=紗良・オット
 アリス=紗良・オットは、世界各地のオーケストラのスケジュールを見ていると、いろんなところにソリストとして出演している人気者だ。
 8月25日、26日にはいま話題のフィンランドの指揮者、ヨーン・ストルゴーズ&NHK交響楽団と共演し、ベートーヴェンのピアノ協奏曲第3番を演奏する。
 そして11月には、アンドレス・オロスコ=エストラーダ指揮フランクフルト放送交響楽団の日本ツアーのソリストを務め、チャイコフスキーのピアノ協奏曲第1番を演奏する予定になっている。
 アリスには、デビュー当初からずっとインタビューをし、演奏を聴き続け、すっかり意気投合。毎年、クリスマスカードを送ってくれる。
 インタビュー・アーカイヴの第64回はそのアリス=紗良・オットの登場。やはり初めのころが鮮烈な印象だったので、今回はそのインタビューを選んでみた。

[CDジャーナル 2009年1月号]

名門ドイツ・グラモフォンから国際的なデビューを果たす 日本の血を引く超新星ピアニスト

3歳のころから自分の道は自分で決めてきた

 アリス=紗良・オットの演奏には迷いがない。自分の目指す方向を信念をもって見据え、ひたすら前進あるのみという姿勢を崩さない。それがひとつひとつの音に反映され、疾風怒涛のごとく突っ走っていく勢いを感じさせる。それは5歳のときに「将来はピアニストになる」と、自分の将来を決めたということからもうかがえる。
 そして6歳のときにイースターのプレゼントとして贈られた、ショパンのカセットテープのカバーについていたドイツ・グラモフォンの鮮やかな黄色いロゴに魅せられ、「いつか私もこんな録音がしたい」と願った。その願いが19歳で実現。ドイツ・グラモフォンと契約し、リストの「超絶技巧練習曲集」で国際的なCDデビューを果たす。
 現在、20歳。ドイツ人の父親も日本人の母親も優しく心の広い性格で、自由に育ててくれたが、3歳のころから自分の道は自分で決めてきたため、両親を手こずらせることが多かったという。
「私は辰年生まれのしし座で、石頭のじゃじゃ馬娘なんです。子どものころから言い出したら聞かない性格で、反対されればされるほど燃えるタイプ。3歳のときに両親に連れられてコンサートに行き、そのときに聴いたピアノの演奏に感動して自分がやりたいのはこれだ!と確信したんです。それでピアノを習いたいと両親に訴えました」
 家には母親が弾くグランド・ピアノがあったためすぐにでも弾きたかったが、なにしろ3歳。まだほかの選択肢がいくらでもあると考えた両親は反対し、ピアノのまわりに絵本を高く積み上げて柵を作ってしまった。
 だが、それにめげるアリスではない。親の留守中によじのぼって柵を壊し、ピアノを弾くことに成功。やがて両親はその情熱に負け、4歳からピアノを習わせてくれた。
 ミュンヘンに生まれた彼女は、3歳からユニークなイタリアの教育法を取り入れている幼稚園に通っていたが、この入園の際にも負けず魂を発揮した。
「その幼稚園はドイツ語と英語を教えてくれ、子どもの個性を伸ばすことに重点を置いていました。ですから人気が高く、父親が電話したときには満員だと断られたんです」
 父の横に立って聞いていたアリスは、リダイヤルで幼稚園に自分で電話し、園長に掛け合った。「ぜひ入りたいんです」と。3歳の子が自分で電話してきたことに幼稚園側は驚き、入園はすぐに許可された。それを聞いた両親の驚きは如何に…。
「園長先生は私の個性を伸ばすために、みんなが外で遊んでいるときにひとりでことばのカード遊びをさせてくれ、それが成長につながりました。当時から友だちは男の子ばかり。ままごとや人形遊びは苦手。女の子同士でキャーキャー騒ぐのもダメ。昔から一匹狼なんですよ」
 3歳のころ、彼女は自分の言いたいことが相手に明確に伝わらないことに悩んでいた。ことばではうまく表現できない。それがピアノを弾くことにより、自由な自己表現が可能になった。
 5歳で初めてステージで演奏したときには、聴衆の反応が伝わり、拍手を受けて自分と聴衆とのコミュニケーションに熱い感動を得る。この時点で道は決まった。以後、迷いはなし。これまで挫折もなし。壁にぶつかったことは何度もあるが、それを乗り越えることに喜びを見出し、自分に対しての大いなるチャレンジだと言いきかせてきた。これを乗り越えれば、次に進める。だったら歯をくいしばって進もうと。
「12歳のときからザルツブルクのモーツァルテウム音楽大学のカール=ハインツ・ケマリンク先生に師事していますが、門下生はほとんど年上で数も膨大。大きなひとつのファミリーのような感じです。レッスンはすごくきびしいのですが、きびしければきびしいほど私には向いている。ぬるま湯状態だとダメな性格なので」
 ここでもアリスの性格が発揮される。正義感が強く、思ったことはすぐに口に出す彼女は、先生と衝突することもしばしば。そのなかで切磋琢磨し、人間性と音楽性に磨きをかけてきた。学ぶ作品についても、はげしいディスカッションが絶えない。
「13歳のときにショパンのスケルツォ第2番を弾きたいと申し出たのですが、難しいからまだ早いと却下された。でも、どうしてもこの作品が好きで弾きたかったんです。先生は技術的な難しさではなく、作品が内包する情感がまだ理解できないからと私を諭したのですが、粘りに粘って許可してもらいました。でも、練習を始めたら、自分のイメージしているように弾くことができず、何度も何度も悔し涙を流しました」

いつも学ぶという姿勢 一回一回のステージが成長の場

 その後、モーツァルト、ベートーヴェン、リストと作品の幅を広げ、数々のコンクールでも優勝、入賞を果たし、世界各地で演奏活動を展開するようになる。そんなアリスがドイツ・グラモフォンからのCDデビューに選んだ作品は、リストの「超絶技巧練習曲集」。全12曲を初めての録音に選ぶことに周囲は反対したが、これもまた押し通した。
「私は全曲弾くことにより、その作品の全体像が見えると考えています。有名な曲だけ弾くのは意味がない。リストのこの作品は、人間のあらゆる喜怒哀楽の感情が詰まったもの。リストは激しい人生を送った人ですが、すごく幸せだったと思う。人生を楽しんで生きていたと思うからです。そんな豊かな感情を表現したかった。これはエチュードでも、人の心を揺さぶる力がある作品だと思いますから。そんな演奏ができたら最高ですね」
 ある作品を全曲演奏することは、子どものころから実践してきた。J.S.バッハの「2声のインヴェンション」は6歳で、「3声のシンフォニア」は7歳のときに全曲勉強した。リストの「超絶技巧練習曲集」は12歳のときに「マゼッパ」と「鬼火」からスタート、徐々に作品を増やしていき、途中で少し離れ、17歳から18歳で全曲を弾くようになったという。
 今後はリストのピアノ・ソナタ ロ短調やベートーヴェンのピアノ・ソナタ第32番、ショパンのワルツ、シューベルトのピアノ・ソナタへと目が向いている。
 各地てでのコンチェルト演奏の機会も多く、2009年1月には井上道義指揮オーケストラ・アンサンブル金沢とベートーヴェンのピアノ協奏曲第5番「皇帝」で共演、約1カ月の日本ツアーを行う。
「オーケストラとの共演は、最初が肝心ですね。リハーサルの最初の10分で指揮者とオーケストラに認めてもらえなかったら、共演はうまくいかないと思います。そのために懸命に準備をします。オーケストラのメンバーは各々がソリストと同じ。キャリアが長い人が多く、こんなチビッ子が“ソリストです”という顔をしていったらけっしてうまくいかない。ですからいつも学ぶという姿勢、挑戦する心、ステージから何かを得るという気持ちをもって臨むようにしています。私は一回一回のステージで成長していくと考えていますので。本番が大切な勉強の場。最初から心してかからないとなりません。でも、一度認めてくれたら、オーケストラの人たちはずっとサポートしてくれる。だから最初が勝負!」
 リストのアルバムの勢いに満ちたダイナミックな演奏と同様、アリスのナマのステージも、エネルギッシュでポジティブ。聴き手にも大きな元気を与えてくれるような演奏だ。
 趣味は絵を描くこと。今回のCDブックレットには、リストを描いたものが掲載されている。
「あとはピザやパンを焼くこと。いまこれにハマっていて」と、このときばかりは無邪気で明るいリラックスした笑顔がはじけた。

 当時インタビューでは、常に母親が付き添い、難しい日本語になるとお母さんが手助けしてくれたが、徐々に日本語にもインタビューにも慣れ、いまでは完全にプロフェツショナルな姿勢で応じる。
 今日の写真は、その雑誌の一部。いまは髪型も表情もまったく違うよねえ。まさに個性派になった感じだが、このころはまだあどけなさが残っている。


| インタビュー・アーカイヴ | 22:06 | - | -
バスブラシ
 こう暑いと、バスやシャワーが大活躍。
 ただし、お掃除も大変になる。毎日、いろんなところが汚れ、特にバスルームはきれいにしないと、すぐに汚れてしまう。
 そんなとき、ちょっとおしゃれなお掃除グッズがあると、面倒くさい気持ちが遠のき、楽しくお掃除ができ、気持ちが楽になる。
 先日、こじゃれたバスブラシを見つけた。これはひっかけるところが付いていて、バスルームのポールにはさんでおける。水切りができるし、何より清潔だ。
 プラスチックの取っ手をもってさっとバスを洗うだけで、簡単にきれいになる。そして洗ってかけておけばOK。なんとも便利なブラシである。
 私は、原稿の締め切りに追われてくると、ついついお掃除が行き届かなくなり、ストレスがたまってくるタイプ。きれいに片付いた部屋でゆったりと過ごしたいのに、仕事部屋はいつも資料だらけで、とてつもない状態になっている。
 他のところも、いつもお掃除しなくちゃ、と気になって仕方がない。でも、物理的な時間が足りない。
 ああ、この悩みからいつ解放されるのだろうか。
 先日、ある人から「伊熊さん、そんなにお忙しいのに家事はどうしているの。メイドさん、いらっしゃるの?」と聞かれ、大笑いしてしまった。
 まさかねえ、全部自分でやっていますよ。
 とはいえ、あれもやらなきゃ、これもやっておかなくちゃと、毎日毎日ストレスがたまる一方だ。
 でも、こんなことは悩んでいても解決しないから、できることからしなくてはならない。
 というわけで、私のお助けマンは、お掃除グッズである。楽しくお掃除できる物を探して、楽しみながらきれいにする。これに限りますな(笑)。
 今日の写真は、チャコールグレーの丸いスポンジが付いたバスブラシ。かわいくて、遊びながらバスを洗える感じでしょ。


 
| 日々つづれ織り | 22:13 | - | -
ドミトリー・マスレーエフ
 昨夜は、サントリーホールでPMF(パシフィック・ミュージック・フェスティバル)2015の東京公演があり、ワレリー・ゲルギエフ指揮PMFオーケストラの演奏が行われた。
 前半は、ロッシーニの歌劇「ウィリアム・テル」序曲からスタート。ゲルキエフの熱血指揮に若きPMFオーケストラ(世界各地からオーディションで選ばれた若手音楽家が札幌のPMFに集結し、夏の1カ月間、世界を代表する音楽家から指導を受け、才能を開花させていく)が呼応し、みずみずしく情熱的な演奏を繰り広げた。
 次いで登場したのが、2015年のチャイコフスキー国際コンクールのピアノ部門の優勝者、ロシア出身のドミトリー・マスレーエフ。ラフマニノフのピアノ協奏曲第2番をエネルギッシュに、かつリリカルに奏で、優勝者としての実力を発揮した。
 この後、私はマスレーエフのインタビューが入っていたため、後半のショスタコーヴィチの交響曲第10番は聴かずに、楽屋へ直行。ゲルギエフがマスレーエフと長い間話しているのを待って、インタビューを行った。
 このインタビューは、音楽事務所ジャパン・アーツの依頼によるマスターインタビューで、これからいろんな媒体に書き分けをすることになっている。
 マスレーエフは、コンクール優勝の実感がまだ湧かないそうだが、その重圧は十分に感じているようだった。
「できる限り、優勝したことは考えないようにしています。歴代の偉大な優勝者のことを考えると、頭がパニックになりそうなので」
 こういって、実際に顔を手で覆い、頭を抱えていた。
 彼は1988年生まれ。モスクワ音楽院で学び、現在はイタリアのコモ湖国際ピアノアカデミーでインターンとして研鑽を積んでいる。
 来年、日本公演が予定されているが、まだ詳細は未定。だが、演奏したい作品や、もしも録音のオファーが入ったときに弾きたい作品など、あらゆることを私が次々に聞くため、シャイで寡黙な彼はそれでも一生懸命ことばを尽くして話してくれた。
 今日の写真は、インタビュー後のワンショット。最初に撮った1枚は、楽屋の照明がきつかったため、本人いわく「いやだー、ゾンビみたい」ということで、すぐに撮り直した。こっちは、うまく照明が当たっていたため、「うん、大丈夫」とOKが出た。
 ロシア人特有の大音量で勝負するパワー全開のピアニストではなく、柔軟性に富んだ叙情的な音楽が持ち味。来年のコンサートが楽しみだ。また、詳細が発表され次第、すぐに情報をお伝えしま〜す。

| 情報・特急便 | 22:35 | - | -
マーティン・ヘルムヘン
「ヘルムヘンのピアノに恋をした」のは、何年前のことだろうか。おそらく、2004年の初来日のときだったと思う。
 当時、まだマーティン・ヘルムヘンの名前は、日本ではあまり知られていなかった。だが、ヨーロッパでは知性的でリリカルなピアニズムの持ち主として知られ、海外出張などのときに、よく町で演奏会のポスターを目にしたものだ。
 当時から、私は情感豊かでけっして鍵盤をたたかず、かろやかでありながら思慮深い表現に心が奪われていた。
 彼がトッパンホールでコンサートをするようになったのは、2008年から。以来、トリオなどを含め、3度出演。
 今回は、先日書いたように7月31日にヴァイオリニストの日下紗矢子とのデュオを披露し、8月2日にはリサイタルを行った。
 毎回、ヘルムヘンのプログラムはあるひとつのテーマに基づき、練りに練った曲目が並ぶ。今回は、変奏曲がテーマ。
 まず、シューベルトの親友のひとりといわれる「ヒュッテンブレンナーの主題による13の変奏曲」からスタート。聴き手を「シューベルティアーデ」のサロンへといざなうような親密な空気を生み出した。
 次いでウェーベルンの今日演奏される唯一のピアノ作品が登場。200年以上前の作曲家たちと現代の聴衆との間に位置するウェーベルンが、シューベルトと次なるシューマンの作品をつなぐ役割を果たしている。
 シューマンは幻想曲の様相を呈している「アベック変奏曲」が選ばれ、こうした作品はヘルムヘンの美質が存分に発揮される。主題に基づく変奏が幾重にも変容し、シューマンならではの変奏の妙が濃厚な音色で奏でられた。
 後半は、ベートーヴェンの「ディアベリの主題による33の変奏曲」。これが当日のメインを成す作品で、ベートーヴェン最大の変奏曲であり、変奏技法の集大成ともいうべき1時間近い大作を、ヘルムヘンは一瞬たりとも弛緩することなく、緊迫感と集中力みなぎる演奏で聴かせた。
 この変奏曲は、素朴な主題をさまざまな形に変化させていくベートーヴェンの傑出した才能が堪能できる作品。主題が自由に飛翔し、小宇宙を形成するため、聴き手も天上へと招かれ、音楽に心から酔える。
 私は、またまたヘルムヘンのピアノに深く魅了された。
 彼は来春、クリスティアン・テツラフらとの室内楽の演奏のために日本に戻ってくる予定である。また、詳細が判明したら、すぐに情報を流したいと思う。
 いつも彼のピアノは私の心に深い感銘をもたらし、幸せな気持ちにさせてくれる。次回の室内楽もメンバーが充実しているようで、本当に楽しみだ。
 今日の写真は、終演後のサイン会でのヘルムヘン。大作を弾き終え、汗びっしょりで、額にかかった髪も濡れている。演奏中は暗譜ゆえ、メガネはかけていなかったが、サインをするときはメガネ着用だ。


 
 
| クラシックを愛す | 23:56 | - | -
ライナーノーツ、インタビュー原稿
 月始めの締め切りは、各雑誌のインタビュー原稿と、レコード会社のライナーノーツである。
 週末にはねじり鉢巻きでかなり飛ばしたが、日曜日なのにまだまだ仕事が終わらない。
 こういうときは、暑いにもかかわらず、からだを熱くする食べ物がいいとばかり、麻婆なすを作った。
 いまは八百屋さんの店頭に、ぷっくりと太った肉厚のなすが山盛りになって並んでいる。それをたくさん買ってきて、食べやすい大きさに切り、まず素揚げをする。
 長ねぎ、しょうが、にんにくのみじん切りと豚赤身ひき肉を炒め、中華スープ、豆板醤、しょうゆ、砂糖、酒で味をつけ、なすを加えてしばらく煮込む。
 最後に隠し味として、酢とごま油をたらしたら、出来上がり。
 今日の写真は、ピリ辛、熱々の麻婆なす。これをいっぱい食べて、猛暑を乗り切る。そしてガンガン仕事をする。
 まだ8月の始めなのに、この暑さ、いったいいつまで続くのか。残暑になったころには、みんな疲弊しちゃうんじゃないかな。なんとか、体力をつけて頑張らないとね。


 
| ああ愉しき(?)、締切り地獄 | 22:51 | - | -
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