Yoshiko Ikuma - クラシックはおいしい -Blog

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ダニール・トリフォノフ
 ダニール・トリフォノフの演奏を初めて聴いたときの衝撃にも似た感情は、いまだ忘れることができない。
 2010年のショパン・コンクールで第3位入賞を果たしたが、順位を忘れさせるほどのクオリティの高い、存在感のあるショパンを披露したのである。
 もっとも印象に残っているのは、その透明感あふれる美音と、各々の作品の真意に近づいていくひたむきな姿勢。
 トリフォノフはスリムな体躯でありながら、芯の強い音を放ち、伝統的なロシア・ピアニズムを体現している。
 それはグネーシン音楽院で師事したタチヤーナ・ゼリクマン、現在クリーブランド・インスティテュートで就いているセルゲイ・ババヤンの教えによるものだろうが、打鍵の深さと美しいレガート、楽器を豊かに鳴らし、歌を表現することが基本となっていて、そこに作曲家の顔をのぞかせ、作品の構造の内部へと入り込んでいく。
 トリフォノフの10月29日の東京オペラシティコンサートホールの演奏は、いまや世界の舞台を飛び回っているトリフォノフの面目躍如たるものだった。シューベルトやブラームスなどの作品が組まれていたが、とりわけ後半に登場したラフマニノフのピアノ・ソナタ第1番が出色で、この作曲家をこよなく愛す心情が全編に息づいていた。ファウスト、グレートヒェン、メフィストフェレスの3人を鮮やかに描き出し、最後のコーダまで一瞬たりとも弛緩することなく、一気に弾き切った。
 その鮮やかなテクニックは、アンコールのシュトラウス(トリフォノフ編):喜歌劇「こうもり」序曲で完全に爆発。10本の指とは思えぬ(?)早業で、会場を沸かせた。まさにエンターテイナーである。
「コンクールはスタート台。その後の活動いかんでその優勝者の人生はいかようにも変わる」とよくいわれる。チャイコフスキー・コンクールの覇者、トリフォノフは、コンクール後もひたすら研鑽を重ね、確実に階段を上っている。
 最近は年間120回もコンサートを行っているというが、そのエネルギーはどこからくるのだろうか。今回はインタビューが延期となり、11月3日に行うことになった。いろんな話が聞けそうだ。
 
 
| クラシックを愛す | 23:43 | - | -
小林愛実
 今日(実際には昨日)は、東京オペラシティにダニール・トリフォノフのリサイタルを聴きにいった。
 明日(実際には今日)はトリフォノフのインタビューが入っているため、そこでリサイタルの様子もきちんと書きたいと思う。
 実は、このコンサート会場で、小林愛実に会った。本当に久しぶりだったため、ふたりで駆け寄ってハグしてしまった。
 ショパン・コンクールのことを聞くと、「結果がわかったときは、本当に死にそうだったけど、もういまは元気になりました」とのこと。
 ああ、よかった。彼女は持ち前の前向きな姿勢で、いろいろ話してくれた。
 もっと詳細を聞きたいし、留学の話も聞きたい。しばらくは日本にいるということで、「今度、一緒にごはん食べようね〜」といって別れた。
 今日の写真は、私に「久しぶりに会えてうれしい!」といって、にこやかな笑顔を見せてくれた彼女。
 しばらく会わないうちに、すっかり大人っぽくなった。ショパン・コンクールの結果はショックだったそうだが、コンクールに参加してよかったといっていた。
 そうそう、その意気。このコンクールは、次なるステップに向かうための糧と考えればいいのよ。
 今日は親友のKさんがショパン・コンクールから帰国し、コンクールのプログラムやデイリーニュースをお土産に持ってきてくれたため、それを見ながらリサイタル終演後にお茶を飲みながら彼女からさまざまな話を聞いた。
 まさに、ショパン・コンクール一色の日となった感じだ。前回のコンクール時のトリフォノフの演奏も思い出したし…。


 
 
 
| 親しき友との語らい | 01:16 | - | -
旅心を刺激される料理本
 ショパン国際ピアノ・コンクールを聴きにいっていた友人や知人が、次々に帰国している。
 今日は、その友人のひとり、Tさんから旅先で購入した料理本が送られてきた。今回、彼女はオーストリアからポーランドに移り、コンクールの本選を聴いている。
 その旅の合間を縫って、料理本を探してくれたようだ。感謝、感謝!
 ひとつはポーランドの伝統料理や郷土料理が主体となった立派な装丁の本。写真もとても美しく、どれか作れる物がないかと探すのが非常の楽しみだ。ショパンが好んで食べたお料理があるかもしれない。
 もうひとつは、オーストリア・ハンガリー帝国の皇帝フランツ・ヨーゼフ1世の皇后、エリーザベト(愛称シシイ)の愛したレシピが紹介されている本。甘いお菓子を好んだシシイらしく、スイーツがたくさん掲載されている。
 さて、最後の1冊は、ポーランドの北に位置するDOBROTYの郷土料理の雑誌。チェコ語のみなので、まったく読めない。お料理の写真を見て、手順をじっくり眺めながら、作り方を想像することになる。
 こうした本は眺めているだけで、なんだか心が癒され、旅心を刺激され、想像力が喚起される。
 仕事の合間にページをめくっているだけで、とても幸せな気分に満たされるのである。Tさん、ありがとう。至福のひとときを過ごしています。
 今日の写真は、3冊の異なった魅力をもつ料理本。眺めていたら、突然おなかがすいてきた。困ったなあ、もう夜遅いのに(笑)。



 
| 美味なるダイアリー | 22:37 | - | -
小林美樹
 2011年、5年に一度ポーランドで行われる第14回ヴィエニャフスキ国際ヴァイオリン・コンクールで第2位入賞を果たした小林美樹は、これまで2枚のCDをリリースしている。
 これらは協奏曲とソナタという組み合わせだったが、3枚目の新譜では、サン=サーンスのヴァイオリン・ソナタ第1番をメインに、フランス作品を組んでいる(オクタヴィア 11月20日発売)。
 今日はその録音の話を聞きに、レコード会社まで出かけた。
 この新譜では、ピアニストの田村響と共演している。
「田村さんは私が弾きやすいように、あまりこまかいことはいわず、美しい響きでピタリと合わせてくれました」
 こう語る小林美樹は、レコーディングのときの様子、コンクールを受けたときのこと、恩師の徳永二男のきびしいレッスン、現在ウィーンで師事しているパウェル・ヴェルニコフの集中的なレッスンなど、さまざまなことを語ってくれた。
 このインタビューは、「CDジャーナル」に掲載される予定である。
 彼女は、幼いころにザハール・ブロンのレッスンを受け、そのすさまじいロシア語と通訳の早口の日本語にはさまれ、頭が真っ白になったそうだ。
 ヴィエニャフスキ・コンクールのときの話もとても興味深く、その詳細も記事に書こうと思っている。
 以前、ピアニストの姉、小林有沙とともに一度会ったことがあるため、今日は最初からスムーズに話が進んだ。
 新譜の話では、それぞれの作品にまつわる思い出や印象に残るエピソードも飛び出し、あっというまに1時間が経過した。
 11月から来春にかけて、アルバム発売記念リサイタルやインストアイヴェントなどが目白押し。多忙な日々が待っている。
 ウィーンに住んで5年目。練習に疲れると、近くの公園でゆったりと過ごすのが、最高の息抜きだそうだ。
 今日の写真は、おだやかな笑みを浮かべるインタビュー後のワンショット。「運動するのも大事だとわかり、ときどきプールにいっています」といっていた。


 
| アーティスト・クローズアップ | 22:47 | - | -
ザ・フィルハーモニクス
 みんなが幸せそうな笑顔で帰路に着く。こういうコンサートはそうあるものではない。
 今日は、東京芸術劇場にザ・フィルハーモニクスを聴きにいった。2007年に活動を開始したウィーン・フィル公認の「リミット無しのアンサンブル」といわれるザ・フィルハーモニクスは、ウィーン・フィルから4名、ベルリン・フィルから1名、ラカトシュが愛するヤーノシュカ兄弟という7人編成。
 いずれも腕に自信のある名手で、7人そろうと超絶技巧もなんのその、クラシックの名曲から民俗音楽、タンゴ、ワルツ、自作まで鼻歌をうたうようにかろやかに、嬉々とした表情で演奏する。
 このコンサートは、「公明新聞」の公演評を書くことになっている。
 今日のプログラムは前回の来日とは多少趣が異なり、チャールダーシュやタンゴなどに加え、サン=サーンスの「白鳥」やリストの「愛の夢」など叙情的な曲が組み込まれ、躍動感あふれる曲とのコントラストが際立っていた。
 各曲の紹介はこのアンサンブルの創始者であり、リーダーでもある第1ヴァイオリンのティボール・コヴァーチが担当。ユーモアたっぷりに司会を進める。
 前回もその妙技に舌を巻く感じだったが、今回もピアノのフランティシェク・ヤーノシュカのロマ風の演奏にすっかり酔いしれてしまった。
 もちろん各人の見せ場もたっぷり披露され、それぞれの個性も存分に発揮された。
 今日は特別にプログラムに組まれていない曲が1曲追加。ボーナス・プログラムとして、ファリャのクライスラー、カウフマン編曲による「三角帽子」より「スパニッシュ・ダンス」が演奏されたが、スペイン好きの私としては、身も心もノリノリで、本当は足踏みをしたいくらいだった。
 終演後は、みんな笑顔で、「楽しかったねえ」とか「聴きにきてよかった」などと話しながらホールをあとにしていた。
 今日の写真は、個性的な7人が表紙のプログラム。以前、インタビューしたときに、「私たちは本当に音楽を楽しんでいて、それをいかに聴いてくれる人に伝えるかをいつも考えている。だから、いったんリハーサルが始まると、だれも止める人がいない。録音でも、収録が終わってからもずっとみんな演奏しているんだよね」と語っていたが、そのひたむきさが完璧なるアンサンブルを生み、聴衆を心から楽しませる演奏を紡ぎ出すのだろう。
 ホント、しばし日常を忘れました…。


 
 
| クラシックを愛す | 23:44 | - | -
作曲家のマグカップ
 仕事に疲れてくると、まずはティータイムでひと息。
 そんなときに心を癒してくれるのが、作曲家が4人並んだマグカップだ。今春、宮崎音楽祭に出かけたとき、グッズ売り場でみつけた物である。
 モーツァルト、バッハ、ベートーヴェン、ショパンのイラストが描かれたカップで、見つけたときにすぐ購入したいと思ったのだが、実は、裏側を見て笑ってしまった。4人のうしろ姿が描かれていたからである。
 この絵、すぐに4人の名前がわかる個性的なヘアスタイル。よくぞ、描いてくれた。何度見ても、にんまりとしてしまう。
 こういう遊び心のあるグッズが部屋にあると、しばし疲れが吹き飛び、ティータイムが楽しくなる。
 私は音楽祭だけでなく美術館でもグッズ売り場をのぞくのが大好きで、必ず何か気に入った物を見つけてしまう。
 でも、最近のヒットはこのマグカップだ。これ、いろんな作曲家のシリーズを作ったらいいんじゃないかな。まあ、ヘアスタイルに特徴がないとダメだから、難しい人もいるだろうけど、かなりの人気商品になると思う。
 今日の写真は、正面とうしろ姿の4人。ユニークなアイディアだよねえ。




 
| 日々つづれ織り | 17:05 | - | -
ユッセン兄弟
 オランダのピアニストの兄弟、ルーカスとアルトゥールのユッセン兄弟が2年ぶりに来日。今日は、「レコード芸術」のインタビューのため、すみだトリフォニーホールに出向き、リハーサルの合間を縫って話を聞いた。
 彼らは2013年5月に初来日、そのときは初めて会ったとは思えぬほど意気投合し、話がはずんだものだ。
 それを覚えていてくれ、今日もさまざまな話題に花が咲いた。
 ふたりの新譜は、「モーツァルト:2台のための協奏曲集」(ユニバーサル)。モーツァルトの3(2)台のための協奏曲ヘ長調(第7番)K242(作曲者自身による2台ピアノ版)、2台のピアノのための協奏曲変ホ長調(第10番)K365、4手のためのソナタ ニ長調k381というプログラム。91歳になるサー・ネヴィル・マリナー指揮アカデミー・オブ・セント・マーティン・イン・ザ・フィールズとの共演である。
 まず、この偉大な指揮者との共演についてルーカスとアルトゥールが我先にと話し始め、それからモーツァルトの難しさについて、録音に対する十分な準備について、さらにこれまで師事したさまざまなピアニストについて、いろんな指揮者との共演で学ぶことなど、幅広い話を聞くことができた。
 この新譜は2年前よりも成長し、自信に満ち、自分たちの目指す方向をしっかり見据えた演奏で、初のコンチェルトのレコーディングで心が高揚している様子が見てとれ、その思いが音に緊迫感と推進力と嬉々とした表情を与えている。
 明日24日(土)は、18時からすみだトリフォニーホールでコンサートが開かれ、ベートーヴェンの「4手のためのピアノ・ソナタ」、ショバンの「幻想ポロネーズ」(ソロ)、ラヴェルの「ラ・ヴァルス(2台ピアノ版)」他が予定されている。
 今日の写真は、インタビュー後のワンショット。手前が弟のアルトゥール、後方が兄のルーカス。いつ会っても、本当に気持ちよく話ができるナイスガイのふたりだ。


 
 
 
| 親しき友との語らい | 21:53 | - | -
サラ・オレイン
 人は、その分野で大成功を遂げても、必ずしも自信に満ちた元気いっぱいの状態にはならないようだ。
 今日は、「ポスト・サラ・ブライトマン」といわれる3オクターブを超える歌声と絶対音感をもち、ヴァイオリンも作詞・作曲もこなすサラ・オレインにインタビューを行った。
 クラシカル・クロスオーバーというジャンルはすっかり定着したようだが、サラ・オレインもこのジャンルに属する。新譜は「f(エフ)」と題するアルバムで、クラシックの名曲の編曲ものから自作曲、癒しの名曲まで多種多様な曲が収録されている(ユニバーサル)。
 もちろん、インタビューは新譜について、これまでの活動の経緯、子ども時代から現在までの音楽とのかかわり方などについて聞いていたのだが、ふとしたことから自身の生き方についての話になり、そのなかで「自分に自信がない。私はとても弱い人間で、それを克服するために必死で勉強してきた」と語りはじめた。
 オーストラリアでは優秀な成績を収め、ヴァイオリニストとしても活躍、日本の東京大学の留学生に選ばれ、来日6年目にして歌手として日本で大ブレイク。それなのに、自信がないとは…。
 彼女はとても繊細な神経の持ち主で、傷つきやすく、これまでいじめなどにも遭い、それを必死で乗り越えてきたという。
 話を聞いていると、大変な努力家で、完璧主義者。語学にも興味があるため、日本語を「ちょっとできる」程度では納得できず、ふつうに話せるまで勉強したという。実際、流暢な日本語で、熟語や難しい表現も楽々と話す。
 サラ・オレインの歌声は、ヒーリング的な要素もあるが、説得力もある。それは彼女が完璧に納得いくまで歌を磨くからだろう。
 このインタビューは、HPのリニューアル後のインタビューページに掲載する予定である。
 今日の写真は、ノーブルで繊細な表情を見せるサラ・オレイン。フィギュアスケートの羽生結弦をはじめとする選手たちとの共演は、とても楽しかったと語る。
「羽生選手は本当に完璧主義者で、負けず嫌い。本当に自分が納得いくまで練習を続け、本番で最高の状態を披露する。ある意味で、似ているところがあると感じました」とのこと。


| アーティスト・クローズアップ | 22:22 | - | -
ショパン・コンクール審査発表
 20日の本選を終え、同日深夜に第17回ショパン国際ピアノ・コンクールの審査結果が発表された。
 第1位 チョ・ソンジン(韓国)、第2位 シャルル・リシャール=アムラン(カナダ)、第3位 ケイト・リウ(アメリカ)、第4位 エリック・ルー(アメリカ)、第5位 イーケ・(トニー・)ヤン(カナダ)、第6位 ドミトリー・シシキン(ロシア)。副賞のポロネーズ賞はチョ・ソンジン、マズルカ賞はケイト・リウ、ソナタ賞はシャルル・リシャール=アムランが受賞した。
 日本から唯一本選に出場した小林愛実は、残念ながら入賞することはできなかった。
 今日は結果が判明した時点で、小林愛実の気持ちを考え、いてもたってもいられない気持ちになった。さぞ、落ち込んでいるだろう。いますぐにでも飛んでいってなぐさめたい、そんな思いに駆られた。
 彼女は、デビュー当初からとてもなついてくれ、なんだか親族のような気持ちになったものだ。アメリカに留学してからは会うこともなく、もう20歳になったわけだから、今度会ったら大人っぽくなっているだろうが、コンクールの映像を見る限り、基本的な奏法や表現は変わっていない。きっと、性格もあまり変わっていないのではないだろうか。
 それにしても、本当にこのコンクールの審査はきびしい。小林愛実ほどの実力をもっても、入賞を逃すとは、なんと高い壁だろうか。
 今日は仕事をしながら、一日中、彼女のことを考えてしまった。
 しかし、前回のインゴルフ・ヴンダーのように、初めて受けたショバン国際ピアノ・コンクールで納得のいく結果が出せず、一時はピアノがまったく弾けなくなっても、そのどん底からはい出て、次に挑戦していい結果を出す例もある。
 小林愛実には、ぜひこの苦境を乗り越えて前に進んでほしいと願う。彼女にはそれだけの力があると確信しているから。
 これから、コンクールに出かけた友人や知人が次々に帰国する。みんなからいろんな話を聞くことができそうだ。
 
| 情報・特急便 | 23:16 | - | -
続・あいさつ回り
 ここ数日、HPのリニューアルの件で営業のNさんと各社を回り、いろんな人たちと話をしている。
 ふだんはゆっくり話せない人も多いため、改めて時間をとってもらってさまざまな話をすると、いろんなことが見えてくる。
 もちろん、クラシック界をいかにしたら活性化するかということがメインになっているのだが、雑談のなかからも、興味深いことや新たな発見がある。
 そうしたことを踏まえ、HPの記事の内容を意義深いものにしていかなくてはならないと、肝に銘じる日々である。
 ただし、こうして毎日出歩いていると、じっくりと原稿を書く時間がまったくとれない。これが一番困ることだ。
 だが、もうかなりの数のレコード会社やホールや音楽事務所を回ったため、あとはもう少しというところまでこぎつけた。
 やはり、自分が本当にしたいことをするというのは、いろんな面でリスクも負うことになる。それが私の場合は、「時間がたりない」ということにつながる。
 先日、どうしてもいかれないため、フィットネス・クラブを退会した。トレーナーには、本当に残念だといわれたが、何かを得るためには何かをあきらめなくてはならない。
 さて、明日もあいさつ回りがある。そしてHPのデザインをしてもらっている会社に出向き、打ち合わせもある。
 こうして毎日いろんな人に会って、いわゆるプレゼンテーションのようなことをしていると、その時間は集中しなくてはならないため、帰宅するとぐったりと疲れる。
 本当に、仕事は体力、気力が充実していないとこなせない。
 そうこうしているうちに、ひとつ大きな仕事の件で音源がバイク便で届き、それを全部聴き終わり、ようやく今日の仕事が終わった。
 さて、ショパン・コンクールの結果が明日の朝には判明する。私はただただ小林愛実の笑顔を見たい。いまは神に祈るばかり…。
 
 
 
| 日々つづれ織り | 22:00 | - | -
ストレスとの戦い
 どんな仕事にも人間関係のストレスはつきものだが、私も最近はさまざまなストレスにさらされ、夜も眠れない日が続いた。
 ところが、もつべきものは「友」で、親しいOさんが私のフィジカルとメンタルを心配し、会いにきてくれた。
 そこで家の近くのカフェで思いッきり胸の内を話し、彼女の忌憚のない意見を聞き、ふたりでなんとかいい方向に向かうよう、意見を出し合った。
 正直になんでも話せる友というのは、本当にありがたい。隠すことなく、気負わず、気取らず、自然体でいられるから。
 Oさんも、実は大変なストレスを抱えていることがわかった。今度は、私が彼女の聞き役に回る番だ。
 いま直面している問題がすべて解決したわけではないが、いいたいことをいったら、だいぶ心が軽くなった。Oさんのおかげである。
 しかし、仕事をしていると、次々に問題が起きる。ひとつ山を乗り越えたと思ったら、次の山が目の前にそびえていることが多い。またこれも乗り越えなくてはならないわけだ。
 でも、わかってくれる人に話すと、スーッと胸のなかが風通しがよくなッた感じがして、前に進む勇気が湧いてくる。
 さて、元気を出して、またまた次なる山に挑戦しましょうか。これって、ものすごくエネルギーのいることなんだけどね。
| 親しき友との語らい | 21:58 | - | -
小林愛実
 ワルシャワではショパン国際ピアノ・コンクールの本選がこれから始まるところだが、日本人で唯一このラウンドに進んだ小林愛実は、14歳のころから知っているピアニストである。
 彼女は当時からYoutubeの演奏映像視聴数がクラシックの分野でダントツ1位を記録し、話題を集めていた。ひたむきに鍵盤に向かい、完全に音楽のなかに没入し、全身全霊を傾けて演奏する姿は一瞬たりとも目が離せなくなるもので、ほとんど目を閉じ、からだ全体を楽器に預けるようにして弾く姿に、みな驚きの表情を隠せなかったものだ。
 1995年生まれの彼女は、さまざまなコンクールの最年少記録を次々に塗り替え、10代でパリ、ニューヨーク、モスクワ、ワルシャワでも演奏し、高い評価を得ていた。そして2010年、愛してやまないバッハ、ベートーヴェン、ショパンの作品でEMIからCDデビューを果たした(2008年6月ニューヨークで録音)。題して「小林愛実 デビュー!」。そのライナーノーツを書き、このころから彼女にインタビューを行い、演奏を聴き、食事をするなど、親しくおつきあいをすることになった。
 この新譜では、特に「ワルトシュタイン」が新鮮な響きで迫ってくる。
「ベートーヴェンのこのソナタはすごく難しいけど、弾くたびに好きになる。一番好きなのは第1楽章。最初の8分音符の刻みからベートーヴェンのすばらしい世界にスッと入っていける感じがします。第3楽章もスピード感あふれ、華やかでフィナーレまで一気に突っ走ることができるので魅了されます。でも、この曲はいつもテンポが速くなってしまい、先生に注意されてばかり(笑)」
 山口県出身の彼女は3歳よりピアノを始め、2007年より桐朋学園大学音楽学部付属「子供のための音楽教室」に特待生として入学。8歳から名教師として知られる二宮裕子に師事している。
「いまは4時半に学校から戻り、夕食をはさんで9時まで先生にレッスンを受けています。私は練習嫌いなのでいつも怒られてばかりいるけど、ステージで弾くのは好きなの。録音もハードだったけど、すごく楽しかった」
 当時、中学生だった彼女はこう語っていた。あっけらかんとした性格で、趣味は「食べることと寝ること」。さらに「背が高くてカッコいい男の人が好き」などといって笑っていたが、いったんピアノに向かうと表情が一変し、集中力に満ちた演奏が展開された。
「目を閉じて弾くのは自分では意識していない。曲のなかに入ってしまうと、どんな顔をして弾いているかわからなくなる。ショパンも大好きで、自分の心が素直に表現できる気がして、もっともっと弾きたくなるの」
 新譜ではショパンのスケルツォ第1番、第2番、ノクターン第20番が収録されているが、マズルカも好きで、さらに今後はバラード第1番に挑戦するといっていた。
「バラード第1番はすごくカッコいい曲なので早く弾きたかったけど、先生にまだ早いといわれ続けてきた。ようやく今年OKが出たの。うれしくて譜読みするのが楽しみ。ステージで演奏する日が待ち遠しい」
 彼女の演奏は聴いていると元気が湧いてきて前向きに物事を対処しようという気持ちになる。演奏からみずみずしいエネルギーが伝わり、自然に内なる活力が湧いてくるのがわかるのである。日本を元気にしてくれる、そんな若き逸材の誕生にクラシック界も活気づくのではないかと思った。
 そんな彼女は、2013年9月からアメリカのカーティス音楽院に留学、さらなる研鑽を積んでいる。そして今年、ショパン国際ピアノ・コンクールに参加しているのである。現在、20歳。コンクールの映像を見ると、大人っぽくなり、演奏も成熟し、深みが増している。
 ぜひ、本選で実力を発揮し、いい結果を残してほしいと願う。
 今日の写真は、デビューCDのジャケット。今夏、ワーナーから再発売されたばかりだ。

| アーティスト・クローズアップ | 21:39 | - | -
辻井伸行
 先日、またまた辻井伸行に話を聞いた。「家庭画報」に掲載されるインタビュー記事である。
 私が「辻井さん、毎度!」といってあいさつをすると、辻井さんも「ああ、伊熊さん、毎度、毎度!」といって、大笑い。インタビューは、なごやかな雰囲気で始まった。
 これはショパンに関するインタビューで、彼のショパンに対する思い、作品について、ショパン国際ピアノ・コンクールに参加したときの思い出、ジェラゾヴァヴォーラの生家やマヨルカ島を訪ねたときの印象、幼いころのショパンとのかかわりなど、多岐に渡る内容を聞いた。
 辻井伸行は、2016年1月6日から3月30日まで、全国17箇所で「ショパン・リサイタル」と題した演奏会を予定している。プログラムは3つのワルツ作品34、12のエチュード作品10、4つのバラードである。
 さらに、10月21日には、ショパンのピアノ・ソナタ第2番、第3番を収録した新譜をリリースしたばかり。このCDのライナーノーツを書いたため、そのときに少しソナタに関する話は聞いていたが、今回はより詳しく2作品について聞くことができた。
 これまでさまざまな作曲家の作品について話を聞いているが、やはり辻井伸行にとって、ショパンは特別な存在のようだ。ショパンの話になると、話が止まらないという感じで、熱く語ってくれる。
「ショパンは体調がすぐれなくても、どんな苦難に遭遇しても、ひたすらすばらしい作品を書き続けた。その強さに魅了されます。ぼくもそんな生き方をしたい。いい曲も書きたいし…」
 こう語る彼は、ショパンの気高く美しく繊細な作品の奥に宿る、一本芯の通った強さに憧れているようだ。
 今日の写真は、インタビュー後のおだやかな表情。
 彼とはいつも食べ物の話で盛り上がるのだが、今回は、ニューヨークの巨大なオムレツをぺロッとたいらげ、ウエイターに仰天されたという話がおもしろかった。このオムレツは卵10個以上使っているとも思える大きさで、アメリカ人でもほとんどの人がフーフーいって残すくらいだという。それを残さずきれいに食べたので、お皿を下げに来たウエイターに「この坊や、全部食べたの?」と驚かれたそうだ。
「その英語、ぼく、わかるですよ。失礼ですよね」といって憤慨している表情を見て、私は思いッきり笑ってしまった。
 その食欲、すべて演奏のエネルギーになるんだろうな。


   
| 親しき友との語らい | 22:33 | - | -
クリスチャン・ツィメルマン
 いまは、ワルシャワで第17回ショパン国際ピアノ・コンクールが開催されている真っ最中。今日は、第3次予選が行われている。
 現在、国際舞台で活躍しているピアニストの多くがこのコンクールの優勝者、入賞者だが、インタビュー・アーカイヴの第65回は、1975年の第9回の覇者、クリスチャン・ツィメルマンを取り上げたい。彼は当時18歳、史上最年少優勝者となった。

[SIGNATURE 2008年6月号]

孤高のピアニズム

 1975年にショパン国際ピアノ・コンクールで優勝の栄冠に輝いて以来、30年以上に及ぶ演奏活動において常に第一線で活躍を続けているトップクラスのピアニスト、クリスチャン・ツィメルマンは、自身の楽器を世界各地にもち運んで演奏するこだわりの音楽家。最良の演奏を聴衆に提供するために、楽器の構造から調律などの専門知識も習得し、ホールの音響などすべてに心を配る。そこから生まれ出る音楽は、完璧なる美に貫かれている。

 ツィメルマンのこだわりは、1999年に自身のオーケストラを結成したことにも見てとれる。長年、ショパンのピアノ協奏曲をさまざまなオーケストラと共演してきたが、常に完全な満足が得られず、ついに自分でオーケストラを作ることになった。
「ソロではなくコンチェルトとなると、指揮者やオーケストラとの音の対話が非常に重要。自分の目指す音楽を奏でたいと願うと、どうしても私の音楽を完全に理解してくれるオーケストラとの弾き振り(ピアノ演奏をしながら指揮も担当)が理想的です」
 ショパンは2曲のピアノ協奏曲を残した。それをツィメルマンは理想的な美しさをもって表現したいと考えている。そのためにポーランドの若手演奏家を集めてオーディションを行い、ポーランド祝祭管弦楽団を結成し、各地で演奏して回った。
「自分の音楽を完全に納得のいく形で演奏し、聴いてもらいたいのです。少しでも不満の残ることがあったら、それはステージに乗せるべきではありません。音楽は神聖なもの。演奏家は完璧な準備をして本番に臨むべきです。そうでないと人々の心を真に打つ音楽は生まれない。私は演奏家が前面に出るのではなく、作品のすばらしさ、作曲家の意図したことをピアノで伝えたい。それが私の使命ですから」
 ツィメルマンは1956年ポーランドのシュレジア地方に生まれた。両親は工場で働いていたが、ともに音楽を愛していた。父はいつも仕事が終わると工場の仲間たちを連れて帰宅し、みんなでピアノやさまざまな楽器を演奏していた。
 5歳の誕生日にピアニカのような楽器を与えられたツィメルマンは次第にその仲間に加わり、楽譜を読むことを学び、徐々にアンサンブルの能力を磨いていった。
「毎日音楽漬けでした。シュレジア地方は環境汚染のひどい土地で、窓も開けられないほどでしたが、家にはいつも音楽があった。父の仲間は食事をするのも忘れていろんな楽器を演奏しては楽しんでいた。彼らは音楽家になりたくても、機会もなくお金もなく、なれなかったんです。でも、音楽に対する渇望が渦巻いていた。やがて私はピアノを習うようになり、音楽家になることができましたが、いまでも常に音楽に対する渇望は人一倍強い。この気持ちを生涯忘れてはならないと思っています」
 小学校に入ったとき、ツィメルマンにはひとりの友人ができた。あるとき、その子がツィメルマンを自宅に呼んでくれた。立派な家で、部屋にはすばらしい家具が並んでいた。でも、何かが足りない。
「ねえ、ピアノはどこにあるの?」
 その家にはピアノはなく、楽器もまったくなかった。音楽を演奏する人はひとりもいなかった。
「大きなショックを受けました。当時の私は、音楽を演奏しない人がいるということが信じられなかったのです。音楽がなくても、生きていくことができる。その事実を知り、驚愕しました。それまで信じていた世界が一瞬にして崩れていくのを感じました。私は食べたり寝たりするのと同じくらい演奏するのは自然なことでした。人間には自分と違う生きかたがある、とそのとき知ったのです。そのショックからいまだに回復していない(笑)。これが私のマイルストーンだったのでしょうね」
 ツィメルマンの最高のものを求める姿勢には多くの作曲家も賛同し、作品を献呈、初演の依頼も多い。祖国の偉大な作曲家ヴィトルド・ルトスワフスキ(1913〜1994)とも交流が深く、彼のピアノ協奏曲を1988年のザルツブルク音楽祭で初演。指揮はルトスワフスキが担当し、翌年には録音も行われた。
「作曲家の指揮で新作を初演するのは大変名誉なことですが、だれも聴いたことのない作品を演奏することにはどれほど多くの困難が伴うかということも思い知らされました。ルトスワフスキには多くの質問をしたのですが、演奏するのはきみだよ、とはぐらかされた。私の自由を重んじてくれたのです。でも、テンポなどは絶対に守ってくれと頑ななまでにいわれました。ルトスワフスキの作曲技法は確固たるフォルムに貫かれ、ひとつの完成した世界がある。それを守りながらどこまで自由な解釈をプラスしていいのか、本当に悩みました。彼は指揮をしながら大いなる寛容の精神で私の演奏に耳を傾けてくれた。そして成功に導いてくれたのです」
 ツィメルマンに捧げられたピアノ協奏曲が初演20周年を迎えた今秋、日本で演奏される。磨き抜かれた究極のピアニズムが披露されるに違いない。
 
 ツィメルマンには初来日のころから取材を続けているが、かなり気難しい面と、ジョークを連発する面とが共存し、インタビューでは結構とまどうことも多い。だが、彼は日本をこよなく愛し、とりわけ東京の六本木を好む。ひとりで真夜中にフラフラ歩いていても、だれも気に留めないところが気に入っているとか。日本の秩序を重んじるところ、礼儀正しさ、治安のよさ、知的欲求が強いところも魅力を感じるそうだ。
 今日の写真は、その雑誌の一部。本当に整っている顔をしているよね。近くで見ると、まさに彫刻のようだワ、と思って見とれてしまう。
 以前、インタビューのときに「バーゼルに住んでいるんですよね。テニスのロジャー・フェデラーの家の近くですか」と聞いたら、「ええっ、きみ、フェデラーのファンなの? そうだよ、フェデラーの家はよく知っているよ。本当にファンなの?」と何度も聞かれ、それ以上はいえなかった(笑)。

| インタビュー・アーカイヴ | 21:25 | - | -
福間洸太朗
 福間洸太朗に会うと、いつもフィギュアスケートの話題に花が咲く。
 彼はスイスのステファン・ランビエルと友人で、2014年12月ジュネーブで「アイス・レジェンド」、2015年6月、7月日本で「ファンタジー・オン・アイス」に招待され、ランビエルや安藤美姫、鈴木明子と共演している。
 こういう場でのピアノの演奏は寒さとの戦いで、指が動きにくかったり、照明が急に自分にも当たって驚いたり、スケーターとのアイコンタクトが必要になって鍵盤から目を離さなくてはならなかったりと、ふだんの演奏とはまったく異なることを要求され苦労するようだ。
 だが、いつも新しいことに挑戦し、ポジティブな性格の彼のこと、この共演はとても楽しいと語る。
 今回は、これまでステージで演奏し、録音を希望されていたスメタナの「モルダウ」(福間洸太朗編曲)をメインに据えた「モルダウ〜水に寄せて歌う」と、山田和樹指揮横浜シンフォニエッタとの共演によるモーツァルト:ピアノ協奏曲第9番《ジュノーム》&シューマン:ピアノ協奏曲」(コロムビア)の2枚の新譜がリリースされたため、インタビューを行った。
 このインタビューは次号の「intoxicate」に掲載予定である。
 話題はやはり「モルダウ」が中心となったが、海外でのコンサートのこと、ベルリン在住10年になったこと、コンチェルトの録音に関してなど、幅広く聞くことができた。
 この「モルダウ」は、一度耳にすると絶対にナマの演奏を聴きたくなる。小さな流れから大河に成長していく水の流れをピアノ1台で表現するさまは、とても視覚的で、想像力を喚起するから。
 そして、もちろん大好きだというフィギュアスケートの話題も登場。彼によると、以前インタビューのことをブログに書いたら、多くのフィギュアスケートのファンの方たちが読んでくれたそうで、私のブログが思いもかけないところで話題になったそうだ。
 今日の写真は、そんなさまざまな話題を楽しそうに語る福間洸太朗。もう1枚は、ドイツのエージェントが製作してくれたという福間洸太朗の2015年のコンサート記録のパンフレット。ミュンヘン、トゥールーズ、マルタなど、各地のホールの写真付きだ。こんなにすばらしいパンフレットを作ってくれるなんて、恵まれているよねえ。
 ベルリンに住んで10年、ここから各地へと演奏に出かけていく。会うたびにたくましくなっていく姿に、エールを送りたくなる。




 
| アーティスト・クローズアップ | 23:35 | - | -
日本のラグビー躍進
 今日は、寝不足の人も多いのではないだろうか。
 英国グロスターで行われたラグビーW杯の最後の試合、日本対アメリカは28対18で日本が勝利し、日本は3試合で勝ち星を挙げた。
 ただし、ベスト8には残れなかった。
 今日の試合で、2ゴール、3PGで13得点を挙げたFBの五郎丸歩は、2度目のマン・オブザ・マッチに選ばれたが、インタビューでは涙・涙の男泣き。ことばにならなかった。
 彼は、今回日本が目標に掲げたベスト8に残れず、無念の涙を流した。自分がマン・オブ・ザ・マッチに選ばれても、おごらず、気取らず、チームの勝利だと繰り返す。
 あとのインタビューで、ゴールキックのときのルーティンのポーズを称賛されると、「ラグビーにはスターはいません。チームの全員がスターです。すばらしいメンバーとともに戦えて、幸せです。ベスト8に届きませんでしたが、3勝を揚げたのはうれしいことなので、胸を張って日本に帰国します」と語っていた。
 なんと謙虚で男らしくて、潔いのだろうか。ああ、私ももらい泣きしそう…。
 明日の午後、チームが帰国する。きっと空港は出迎えのファンであふれるのではないだろうか。
 日本のラグビーは、世界にその進化を示した。規律と情熱とパワー、そしてけっしてあきらめることがない彼らの姿勢は、日本に勇気をもたらした。
 インタビューに応じた選手がみな「もうからだはボロボロ。でも、気持ちでは負けなかった」と口にしていた。確かに、あのすさまじいからだの海外の選手が体当たりしてくるのを見ると、壊れないのが不思議なくらいだ。
 2019年は日本で開催されるラグビーW杯。もっともっとメンバーが強くなるに違いない。
| 日々つづれ織り | 22:29 | - | -
アルテミス・カルテット
 7月20日のブログで、アルテミス・カルテットのヴィオラ奏者、フリーデマン・ヴァイグルが急逝したことを書いたが、彼が参加した最後の録音、ブラームスの弦楽四重奏曲第1番と第3番(ワーナー)は、本当に心に残る演奏となっている。 
 第1番はブラームスならではの厳粛さと渋さが共存し、緻密に練り上げられた弦4本の響きが印象的である。特にヴィオラとチェロの重厚な味わいが耳に残る。第3番は打って変わって明朗で自由闊達、親しみやすい旋律に彩られ、ロマンあふれる情緒が全編を貫いている。それらをアルテミス・カルテットはブラームスの神髄に迫る迫力と、巧みな奏法を披露し、ハンガリー的な味わいをも大切に緊密なアンサンブルを聴かせている。
 フリーデマン・ヴァイグルの訃報は、7月7日アルテミス・カルテットのメンバーによって発表された。享年52。常に右側で長い黒髪を揺らしながら凛とした演奏を響かせていたヴァイグルは、病気のため帰らぬ人となった。
 フリーデマン・ヴァイグルは1962年ベルリンに生まれた。指揮者セバスティアンは実兄である。6歳でヴァイオリンを始め、ベルリン・ハンス・アイスラー音楽院でヴィオラを学び、国際コンクール入賞を経て1979年にベーターゼン・カルテットを結成した。その後、ベルリン・ドイツ交響楽団のヴィオラ奏者を務め、2007年にアルテミス・カルテットのメンバーとなる。各地の音楽院で教鞭も執り、後進の指導にも尽力した。
 昨年のインタビューでは、ヴィオラのヴァイグルを評して他のメンバーがこう語っていたことが印象に残っている。
「フリーデマンは全員のエンジン役で、あらゆる方向に向けて視野を広く保ち、常に上を目指していくんだよ」と。
 今回のブラームスでも内声に注意深く耳を傾けると、ヴィオラの知性的で構成力を大切に、ヴァイオリンとチェロの架け橋となるべく巧みなバランスを保つ音色が明確に聴こえてくる。そのヴィオラは、ヴァイグルの渾身の音でもあり、魂の響きでもある。
 とりわけ第3番の第3楽章は、ブラームスがヴィオラを主役に仕立てて作曲した作品。その愛らしい旋律と情感豊かな響きは心に深く刻み込まれる。
 今日の写真は、ブラームスの新譜のジャケット写真の表と裏。いつも右端にいるのがヴァイグルだ。




| クラシックを愛す | 22:07 | - | -
黒キャベツ
 東京ミッドタウンは、洋服、食材、雑貨、文具、レストラン、カフェなど、好きなお店が多いため、よく足を運ぶ。
 今日は、「山梨マルシェ」と題した無農薬野菜やパン、お菓子などが販売される日で、洋服を見にいったついでに食材とお菓子を購入した。
 そのなかに、珍しい野菜があった。黒キャベツというもので、初めて見た野菜である。
 イタリア在来系で、トスカーナ地方ではよく食べられているものだという。表面の凸凹が強く、濃い緑色をしている。結球しない葉キャベツで、カーボネロというのが現地の呼び名のようだ。
 やはりイタリア料理に使われることが多く、特にスープや煮込み料理、パスタなどが合うと聞いた。
 このマルシェは、農薬&化学肥料をいっさい使用していないことがウリで、珍しい野菜がたくさん店頭を飾っていた。
 早速、黒キャベツをベーコンとともにスープにしてみた。かなり歯ごたえのある野菜で、煮込んでも崩れない。色は濃い緑色のまま。こういう野菜は、ふだんあまり見かけないが、山梨ではよく食べられているのだろうか。
 今日の写真は、その黒キャベツ。東京でも手に入るようだと、いろんなお料理に使えるのにな。これでロールキャベツを作ったら、色鮮やかでトマトソースとの相性がよさそう。
 もう1枚は、出来上がったスープ。この色の濃さは、ポリフェノールが多くて、からだによさそうな感じ…。



| 美味なるダイアリー | 22:35 | - | -
服部百音
 1999年生まれの若きヴァイオリニスト服部百音が、2016年1月17日に紀尾井ホールでヴィヴァルディの「四季」を演奏する(午後2時開演)。
 東京ヴィヴァルディ合奏団のニューイヤーコンサートのゲストとしてヴァイオリン独奏を務めるもので、マルチェルロやラヴァニーノ、フレッチャーの作品が組まれたプログラムの最後を飾るのが「四季」である。
 この初めての大役に挑む服部百音に、インタビューを行った。
「いま必死で練習しています。すばらしい作品ですので演奏するのが楽しみですが、東京ヴィヴァルディ合奏団の方たちとのコミュニケーションがうまくとれるか、それが一番心配ですね」
 ただし、そこは若さと根性のある彼女のこと。本番に強い精神性の持ち主だから、果敢に新たな試みに挑戦して、いつもながらのスピード感あふれる躍動感に満ちた演奏を聴かせてくれるに違いない。
 彼女は現在、東京音楽大学付属高等学校特別奨学生だが、スイスのザハール・ブロン・アカデミーにも在籍。これからまたブロンのもとで勉強するためにスイスに行くそうだが、今回は「四季」をみっちり練習してくるという。
 このインタビューは、次号の「ぶらあぼ」に書く予定になっている。
 いつもは、コンサートを聴き、終演後に楽屋でいろんな話をすることが多かったが、今回はインタビューということで、1時間じっくり話を聞くことができた。「四季」に関しては、4つの季節を弾き分けることに主眼を置いているようだ。
 若い女性らしく、ステージ衣裳にも気を遣っていて、「何色にしたら、いいかなあ。情熱的な夏の楽章に合わせると赤だけど、冬の凍るような寒さを表現するとしたら白になってしまうし…」と悩んでいた。
 もう来年の国際コンクールの準備も進めていて、ブロンのレッスンではいろんな作品を学んでくるという。
 いつも服部百音に会うと、ひたむきにヴァイオリンと対峙している姿に感動を覚える。きっと、みずみずしく勢いに満ちた「四季」が生まれるに違いない。
 今日の写真は、インタビュー中のワンショット。昔から知っているためか、写真を撮ろうとすると、舌を出してふざけてみたり、しかめっ面をしたり…。でも、そういう写真は、関係者から「ノー!」と即座にいわれてパス。真面目な表情の1枚がOKとなりました、残念(笑)。



 
| 親しき友との語らい | 21:13 | - | -
第17回ショパン国際ピアノ・コンクール
 いま、ワルシャワでは第17回ショパン国際ピアノ・コンクールが華々しく開催されている。
 第1次予選は10月3日から7日、第2次予選は9日から12日、セミ・ファイナルは14日から16日で、ショパンの命日17日をはさみ、18日から20日がオーケストラとの共演によるファイナルというスケジュールである。
 参加者を見ると、ポーランドと中国が最多の15名。日本からは中桐望(28歳)、小林愛実(20歳)、須藤梨菜(27歳)、野上真梨子(24歳)、有島京(23歳)、古海行子(17歳)、木村友梨香(22歳)、丸山凪乃(16歳)、三重野奈緒(20歳)、中川真耶加(21歳)、小野田有紗(19歳)、竹田理琴乃(21歳)という12名が参加している。
 そして10月7日、午後10時過ぎ、第1次予選通過者の名前が発表された。
 日本は12人中5人が通過、有島京、小野田有紗、小林愛実、須藤梨菜、中川真耶加が9日からの第2次予選に進むことになった。
 コンクールの様子は、ショパン・コンクールの現地のWEBサイトでライヴ演奏が見られるようになっている。もちろん時差もあり、演奏のスケジュールにもよるため、全部は見られないが、ライヴを聴くことができるというのは貴重だ。
 さて、この5人の日本のピアニストは、第2次予選でどんな演奏を聴かせてくれるのだろうか。興味は尽きない。
 
 
| 情報・特急便 | 22:08 | - | -
山本貴志のレシピ
 9月19日に長野市芸術館で行った「NCAC音楽大学の大人講座」で紹介した山本貴志のアーティスト・レシピは、温かなスープである。
 そのときに、ホールの関係者がみんなでこのレシピを盛り上げてくれ、私の撮ったお料理の写真をきれいに飾り立ててくれた。
 それはとてもおいしそうな、またあったかそうなお料理に見え、楽しい飾り付けとなっている。
 こういうことがPCでどんどんできる人って、本当に感心してしまうワ。
 今日の写真は、その一部。これが講座のときに大きなスクリーンに映し出されたんですよ。そして、講座に参加されたみなさんには、作り方のコピーも配られた。
 のちに、私のアーティスト・レシピに加わる一品である。










 
 
| 美味なるダイアリー | 18:26 | - | -
あいさつ回り
 HPのリニューアルのデザインが進むなか、私の考えに賛同してくれたNさんが営業担当で加わってくれることになったことは以前書いたが、本当にたのもしいスタッフが増えてうれしい限りだ。
 これからしばらくの間、彼とふたりでレコード会社や音楽事務所、ホールなどの担当者に会い、Nさんの紹介をメインにあいさつ回りをする予定である。
 今日は各社の担当者に連絡をし、返事を待ち、スケジュール調整をしている。
 自分が本当にしたいことをし、それに向かって進んでいくことはとても意義あることだと思うが、やはりそう簡単なことではない。
 これから実際にHPのリニューアルが完成し、いざ記事を次々に更新していかなくてはならなくなったら、時間との勝負になるに違いない。いまでも時間がなくてフーフーいっているのに、いったいどうなるのだろう。
 だが、もう滑り出してしまったからには、後戻りはできない。いま、自分ができる最善のことをやるしかない。
 さて、Nさんと各社を回るなかで、また新たな発見があったり、いろんな意見を聞くことができると思う。それらを踏まえて、やるべきことをやる。
 そのためには、体力と気力を充実させなければ。これが一番難しいんだけどね。
 
 
| 日々つづれ織り | 21:08 | - | -
ラグビー人気
 イングランドで開催されている、ラグビーW杯2015の人気がすごいことになっている。
 1次リーグB組初戦で、日本が優勝2回の強豪、世界第5位の南アフリカに「史上最大の番狂わせ」と報じられた歴史的勝利を上げ、日本では一気にラグビー人気が過熱した。
 なんといっても、人気の中心はFB(フルバック)の五郎丸歩である。185センチ、99キロの29歳。チームに力を与えるキックの精確さは特筆すべきで、これは何年もかけて精度を高めてきた結果だという。現在は85パーセントの成功率だそうだ。
 そのキックを行う前の儀式、ルーティン(習慣)に世界が注目。映像などでは何度もこの五郎丸のポーズが流されている。
 まず、ボールを軽く回して投げ上げてから、セットする。
 3歩下がって、左に2歩動く。
 右腕を振って、蹴るイメージを作る。
 からだの真ん中に力を集中させるイメージを描いて助走に入り、一気に蹴る。
 このルーティン、何度見ても惚れ惚れする。とりわけ、祈るようなポーズがユニークだ。このときの遠くを見る目が印象的で、一緒に祈りたくなってしまう(笑)。先日のサモア戦のときも、とても難しい角度のキックを成功させ、一気にテンションが上がってしまった。
 もちろん、私はにわかラグビーファンのひとりである。ルールもあまりよく知らないし、テレビ観戦をしながらひとつずつ覚えている。
 とにかく、あの鍛え上げられた屈強なからだを見るだけで、驚きだ。しかも、日本代表は、フィジカルでもメンタルでもけっして負けていない。
 エディー・ジョーンズ・ヘッドコーチによると、これだけ練習するチームはないそうだ。とにかく練習の虫で、過酷な練習により、ここまでチーム力を上げてきたのだという。
 そういうことを知ると、もっともっと応援したくなる。
 でも、決勝トーナメントに進むためには、南アフリカ×アメリカ、サモア×スコットランドの結果を待たなければならない。ここまできたからには、ぜひ決勝トーナメントに突き進んでほしいが、とても難しい局面で、12日の日本×アメリカの前に結果がわかってしまうかもしれない。
 テニスの錦織圭の大活躍で日本のテニスファンが一気に増えたように、五郎丸歩の活躍でラグビーに熱い視線が注がれている。
 日本代表のすばらしい選手たちの活躍、ぜひ応援しましょうね。
| 日々つづれ織り | 21:51 | - | -
フロントページはベートーヴェン
 ホームページのリニューアルのデザインが着々と進んでいる。当初、10月末にリニューアルが完了する予定だったが、少し遅れ、11月下旬になる予定だ。
 先日、デザイナーからフロントページのデザインを見せてもらい、すばらしい仕上がりに感動してしまった。
 写真は、私が昨年ウィーンで撮ってきたベートーヴェンの立像と、ベートーヴェンの散歩道をデザイン処理で組み合わせてもらったもの。
 実は、このベートーヴェン像のうしろ姿を撮ったものが大人気で、デザイナーはじめ担当者がみな「これがいい」「うしろ姿に注目したところが伊熊さんらしい視点だ」「こんなの、他であまり見たことがない」と即座に決まってしまった。
 この像は散歩道の中間に位置する広場に立っていて、ふつうは真正面から撮る。雑誌や書籍などでは、ほとんどの場合、正面の写真が掲載されている。
 だが、私はベートーヴェンが帽子をもってうしろで手を組み、歩いている姿がとてもリアリティがあると感じ、後方にまわって写真を撮った。
 まさか、それがみんなに受けるとは思いもしなかったが、なるほど、いわれてみると、なかなかおもしろい。
 というわけで、散歩道の細い小川が流れている場所と、ベートーヴェン像がリンクされてフロントページを飾ることになった。
 これがなんとなく哀愁を感じさせるというか、一種の寂寥感がただようというか、なんとも情感豊かなページになっている。
 もう少し時間がかかるけど、楽しみにしてくださいね。
 グリーグの作曲小屋がフロントを飾ってから5年が経過、次はベートーヴェンです。
| クラシックを愛す | 22:27 | - | -
自然な味を求めて
 最近は、添加物なしやオーガニックの食材にこだわったお店が多い。西荻にも、もちろんそういうお店はたくさんあるが、ちょっと足を伸ばして阿佐ヶ谷にいくと、私の大好きなお店がいくつかある。
 まず、Gelateria SINCERITA(ジェラテリア・シンチェリータ)から。ここはジェラート専門店で、イタリアの国際大会で3位に入賞した中井洋輔さんのお店。ショーケースには旬の果物を使い、ノンホモ低音殺菌牛乳、蜂蜜などを使用した16〜17種類の色とりどりのジェラートが並ぶ。
 毎月11日には新作が登場、四季を感じさせるジェラートに徹している。
 いまは、ピスタチオ、巨峰、和三盆、カカオなどがズラリ。近所の人のみならず、遠くから食べに来る人まで多くの人でにぎわっている。阿佐ヶ谷の中杉通りの一本西側の通りを北に進んだところ、阿佐ヶ谷北1-43-7である。
 もう一軒お薦めのお店は、お魚をおいしく食べさせてくれる定食屋さん。昔ながらのなつかしい感じのお店で、パールセンターの入口近くの左側。銀だらの西京漬けとか、さんまの塩焼き、まぐろのコロッケなど、本当にシンプルなお料理を出してくれる。これにごはんとおみそ汁、おしんこなどがついている。
 一度こういうお店に出会うと、毎日でも通いたくなる人が多いらしく、ひとりでふらりと訪れる人も多い。
 おひたしや和風サラダなどサイドオーダーもでき、定食を頼むとごはんとおみそ汁のおかわりができる。 
 今日の写真は、新鮮な味わいに一度でハマるジェラートのお店と、日本人ならだれでも通いたくなるおさかな定食のお店。
 今日は、「西荻はおいしい」の番外編。ホント、このふたつ、西荻にほしい!!
 


| 西荻はおいしい | 20:34 | - | -
新譜を聴く
 月末から月始めにかけて、各社の新譜を大量に聴くことになる。
 NEWディスク、ディスクセレクション、今月の1枚など、雑誌や新聞によってタイトルはさまざまだが、その月にリリースされた新譜を紹介する記事を書く。
 あまりにも膨大な数ゆえ、まとめて聴く時間もとれず、とにかく何かをしながらでも新譜を次々にかけることにしている。
 お料理をしながら、片付け物をしながら、仕事の合間を縫い、寸暇を惜しんで新譜を聴きまくる。
 ライナーノーツにも目を通し、資料も読み、気になることがあったらすぐに調べ、頭に叩き込んでいく。
 そうして、ひとつずつ原稿をこなしていく。
 というわけで、この時期は、仕事部屋が足の踏み場もないほどCDや資料であふれかえる。
 さらに、それとは関係のない仕事の資料も机のまわりに押し寄せてくるため、2〜3日で部屋は何がなんだかわからない状況に陥る。
 これが毎月続くのだから、少しは要領がよくなるはずなのに、いっこうに片付かない。最近はもう、ほとんどあきらめ状態で、この締め切りの時期が終わったら片付ければいいや、と投げやり(笑)。
 よく、作家の仕事部屋などが雑誌で紹介されているが、ほとんどの人が、本人だけがわかるように資料があちこちに積み上げられている。こういうのを見ると、内心ホッとするんだよね。ああ、こんなに有名な人でも、部屋はすさまじい状態になっているんだって。
 とはいえ、私はほとんど毎日、物を探している。「あれ、どこにいったっけ」「あの資料、ここにしまったはずなのに」「しまった、あのメモ用紙、捨てちゃったのかなあ」「どこかに、この原稿の関連記事、あったよなあ」と、必要な物を探しまくり。整理整頓されていれば、もっと早く原稿に取りかかれるのに、といつもいつも後悔しきり。
 でも、そんなことを考えていても締め切りは待ってくれないから、できることから始めるしかない。
 あれっ、さっき途中まで聴いたCD、どこかに消えちゃった。なんでこうなるの。キャーッ、パニック、パニック…。
| ああ愉しき(?)、締切り地獄 | 22:16 | - | -
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