Yoshiko Ikuma - クラシックはおいしい -Blog

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特集記事で動きがとれない
 今週は、各誌の特集記事と新聞の原稿が目いっぱい重なり、まったく動きが取れない状況に陥っている。
 コンサートに行くこともままならず、ひたすらパソコンと対峙。運動不足になるわ、眼精疲労になるわ、いいことはまったくない。
 というわけで、夜中まで仕事仕事で、ブログのネタも不足。
 今日は、まだまだ原稿とにらめっこ。
 こんな状態、いつまで続くのだろうか…。もうすぐ11月も終わり、今年もあと1カ月しかない。気持ちだけが焦る。
 つまらない内容ですみません。
| ああ愉しき(?)、締切り地獄 | 23:40 | - | -
リュカ・ドゥバルグ
 リュカ・ドゥバルグは、超個性的なピアニストである。以前もブログに綴ったが、演奏もステージマナーも、ほとんど独学で始めたというピアノも、みな型破りな感じだ。
 前回の初来日時には、スケジュールがあまりにもタイトでインタビューができなかったが、今日は初めてインタビューをすることができた。
 このインタビューは「レコード芸術」に掲載される予定である。
 リュカは、ひとつの質問に対してものすごく長く、熱心に答えてくれる。時間は1時間と決められているから、数多くの質問をしたいのだが、あまりにも雄弁に話してくれるため、質問を制限しなくてはならなくなった。
 しかし、チャイコフスキー国際コンクールを受けたときの話、ギドン・クレーメルとの出会いと共演、初来日公演のこと、コンクールで話題沸騰となり、録音も行ったラヴェルの「夜のガスパール」とメトネルのピアノ・ソナタ第1番に関して、ショパンに対する深い思い、スカルラッティへの愛、恩師のレナ・シェレシェフスカヤの教えなどさまざまな話をじっくり聞くことができた。
 リュカは、一筋縄ではいかないタイプで、ひとつのことに没頭するタイプ。ある話題について興が乗ると、話は一気に熱を帯び、手の表情が増え、前のめりになり、止まらなくなる。
 12月1日のリサイタルが、ひたすら楽しみになった。
 彼の話は哲学的で、独断的な面もあり、自分の考えに対して自信をもって語るため、説得力がある。
 このインタビューをそのまま綴っただけで、リュカ・ドゥバルグの人間性が描き出されると思う。それゆえ、何の演出もいらない。ただ、自然な流れで書いていけば、そこから彼の音楽が浮かび上がるのではないだろうか。
 没頭型の彼は、インタビューが終わり、写真撮影の途中からピアノに向かって弾き出した。すると、もう他のことはいっさい目に入らない感じ。ずっと音楽のなかに入り込んでいる。
 そこで、取材陣はみんなお別れのあいさつもできずに、静かにその場を辞した。本当にピアノと一体化している。
 今日の写真は、そうやって演奏に没頭しているところ。写真を撮られようが、まわりに人がいようが、おかまいなし。自分の世界に入り、集中していた。



  
 
| アーティスト・クローズアップ | 22:59 | - | -
デビスカップ
 昨夜は、テニスの男子世界国別対抗戦、デビスカップのワールドグループ決勝がクロアチアのザグレブで行われ、真夜中にテレビにかじりついてしまった。
 今年は、クロアチア対アルゼンチン。ここまでクロアチアが2勝1敗で優位に立ち、昨日は最終日。
 シングルス第1試合は、両国のエース対決となった。クロアチアはマリン・チリッチ。アルゼンチンはフアン・マルティン・デル・ポトロ。ふたりともグランドスラムを獲得したことのある実力派で、198センチの身長と28歳という年齢もまったく同じ。まさにライバル。そしてビッグサーバーでもある。
 最初はチリッチが断然優位で、まったく隙のないように見え、2セットを連取。ところが、第3セットをデル・ポトロが取返し、次いで4セットも取ってタイに持ち込むと、形成は逆転。最後はデル・ポトロが足を痛めながらエネルギーを振り絞ってもぎ取り、優勝へと一歩近づいた。
 会場は、両国のサポーターで嵐のようなはげしさ。サーブ1本ごと、ショット1本ごとにみんなが立ち上がって叫びまくるため、審判が鎮めるのに必死。
 クロアチアもアルゼンチンもサッカーの盛んな国で、サポーターの熱い応援は知っていたが、テニスでもこれとまったく同様。われを忘れて大騒ぎとなった。
 アルゼンチンの応援席には、ディエゴ・マラドーナの姿もあった。彼もひとつずつ立ち上がって叫びまくっていた。
 シングルス第2試合は、クロアチアの211センチのビッグサーバー、イボ・カルロビッチと、アルゼンチンの熱血漢フェデリコ・デルボニスの対戦。エース対決のときよりは静かになったが、結局ストレートでアルゼンチンが勝利を手にすると、初優勝のアルゼンチンは怒涛の祝祭気分。
 なにしろ、この国は5度目の決勝進出で悲願の初優勝を手にしたことになる。1981年にアメリカに敗退してから、2006年、2008年、2011年と決勝に進出したものの、優勝カップを手にすることはできなかった。
 とにかく、この試合のすごいこと。エース対決は4時半を超え、チリッチもデル・ポトロも死力を尽くした。ひとつずつのプレーがすこぶる高度で、情熱的で、見ごたえがあった。
 おかげで、今日は極度の寝不足である(笑)。
 しかし、国別対抗試合というのは、みんなが燃える。テニスであんなに観客が大騒ぎするのは、ふだんないことである。
 すばらしい試合を観戦し、テニスファンの私は大満足。
 多少の寝不足はがまんしないとね。おめでとう、アルゼンチン!!
| 日々つづれ織り | 23:28 | - | -
仕事部屋の大改造
 いま、仕事部屋の大改造を計画中である。
 自宅から1〜2分のところにある仕事部屋は、資料とCDと書籍で埋まっているが、自宅も資料で満杯状態。
 これをなんとかしないと、仕事の効率が非常に悪い。ストレスの大きな要因となっている。
 いつも原稿を書く前に資料を探してばかり。その時間がとてももったいないのだが、膨大な資料がきちんと整理されていないため、常に物を探している。
 アーティストの音源、資料がきちんと目の前にそろっていれば、原稿を書くのはそんなに時間がかからない。
 でも、準備段階で、もう疲れ果ててしまう。
「どうしたら、図書館のようにきちんとなるのだろう」
「どこをどう整理したら、見つかるのだろう」
 常にこの問題と戦ってきた。毎日、あらゆるところからさまざまな資料が送られてくる。でも、受けるのは私ひとり。整理するのも私。どうにも時間が足りない。
 ここは一念発起して、来年から整理に徹することにした。
 というわけで、いま、私は仕事部屋のレイアウトを考え中。12月は各社の年末入稿が重なるため、片付けの時間は取れないが、年明けにねじり鉢巻きで頑張ろうと思っている。
 でも、もっと広いデスクがほしいなあとか、整理棚を買い替えようかなあとか、ティーテーブルのいいのがあったらなあなどと、目先のことばかり考えていて、ダメだわねえ。
 もっと地に足を着けて、着実に仕事がしやすいようにしなくっちゃね。
 イメージだけはちゃんとあり、すっごくきれいに片付いた、すばらしくおしゃれで、仕事がはかどる仕事部屋が脳裏に浮かぶ。ここに行き着くまでの大変さは、どっかに飛んでいる(?)
| 日々つづれ織り | 22:41 | - | -
レディーサラダ
 また、珍しい野菜を見つけた。
 レディーサラダという小ぶりの大根で、三浦大根とアメリカやドイツの大根の交配によって生まれた品種とか。この名称は、美しい赤色とサラダに向くことから女性をイメージして命名されたという。
 近所の八百屋さんによると、赤い皮の部分にアントシアニンが豊富に含まれているため、皮ごと食べた方がいいそうだ。
 早速、レディーサラダの甘酢浸けを作ってみた。
 まず、レディーサラダ1本を皮付きのまま、薄いいちょう切りにする。これをボウルに入れ、塩小さじ1を振り入れてさっと塩もみし、5時間ほど置いておく。
 しんなりしたら、少しずつ堅くしぼり、甘酢のなかに入れていく。
 今回は、甘酢の代わりに、以前ブログでも紹介した馬路ずしの素を大さじ4ほど入れ、ゆずの皮の千切りを混ぜた。
 三浦半島で生食用に開発されたというだけあって、本当にナマでポリポリとした歯ごたえを楽しみながらいただける。ちょっと辛みと苦みが効いて、さわやか。ゆずの薫りがよく似合う一品になった。
 今日の写真は、調理前のレディーサラダと、出来上がった甘酢浸けゆず風味。焼き魚に添えたり、お肉の生姜焼きの付け合わせなどに最適だと思うけど、いかがかな。




 
| 美味なるダイアリー | 16:00 | - | -
体調が崩れる時期
 今日は、午前中に来日アーティストのインタビューが予定されていたため、宿泊先のホテルに出向いたが、あいにくこのアーティストが体調を崩し、インタビューは延期となった。
 実は、私も秋からの疲れがたまったためか、いつものようにのどがやられ、ときおり咳が止まらなくなってしまう。
 お医者さんには、「いつものことだからね。疲れを取ってゆっくりすれば、自然によくなるよ」といわれ、たいした薬も出してもらえず、先ずは休めといわれてしまった。
 でも、この咳というのは私の仕事には鬼門で、まず人に会えない、コンサートに行くことができない、インタビューなども大変だ。
 咳をがまんするのは死ぬ思いで、特に静かなコンサートのときは辛い。
 というわけで、この時期はいいコンサートが目白押しなのに、残念ながら欠席せざるをえない。残念無念…。
 どうも疲れがたまると、のどが敏感に察知してしまうようだ。
 私は忙しいときには目いっぱい突っ走り、絶対にダウンすることはないし、海外出張でもどんなにタイトなスケジュールも乗り越えることができる。
 でも、それが終わったときに、一気にドドーッと疲れが押し寄せてくる。
 先日、きょうだい会のときに、1日空けるために前日はほぼ半徹状態で原稿を書き上げ、具合が悪いままきょうだいに会った。このころはすでにウィーンの疲れが出ていた時期だ。
 すると、姉ふたりがいった。
「よっちゃんは、昔からそうだったよね。幼稚園や小学校にいっている間は一生懸命勉強をこなし、ピアノも練習し、楽しく遊んでいるけど、学期末の休みになると体調を崩していたもの。よくお医者さんに薬をもらいにいったわよ」
 こういわれ、なあんだ、私はちっとも変っていないんだと思った。
 どうも、ふだんは自分のキャパシティ以上のことをしているらしい。それが休みになると、急に精神的に安心するのか、バタッとくる。
「だから、よっちゃんは、お休みがなかったのよ。友だちが遊ぼうと呼びにきたり、プールにいこうと誘いにきたけど、寝込んでいたから」
 やれやれ、なんて私は不運なんでしょう、お休みに縁がないなんて(笑)。
 ただし、いまはインフルエンザが猛威をふるっているとか。みなさん、ぜひ予防接種をお忘れなく。私ものどが治ったら、いきます!
 
 
| 日々つづれ織り | 18:15 | - | -
リュカ・ドゥバルグ
 6月7日のブログにリュカ・ドゥバルグのことを綴り、「次回はぜひリサイタルを聴きたい」と書いたら、早くもそれが実現することになった。
 12月1日に浜離宮朝日ホールで来日公演が行われる予定である。
 リュカ・ドゥバルグは2015年のチャイコフスキー国際コンクールで入賞し、その自由で個性的なピアニズムが大きな話題となった逸材である。
 ギドン・クレーメルとの初来日の様子はブログに書いた通りだが、デビュー・アルバム「スカルラッティ・ショパン・リスト・ラヴェル」(ソニー)もとても興味深い演奏で、次なる録音が待たれていた。
 セカンド・アルバムは、「バッハ・ベートーヴェン・メトネル」。デビュー・アルバムでは、コンクールで大喝采を浴びたラヴェルの「夜のガスパール」が収録され、来日公演でもこの作品を披露した。
 そのラヴェルは、まさに自家薬籠中のものとなった演奏で、新たな才能に出会った喜びを感じさせてくれた。
 今回リリースされたセカンド・アルバムでも、コンクールでセンセーションを巻き起こしたメトネルのピアノ・ソナタ第1番を収録し、作品の真の魅力に肉薄する演奏を聴かせている。
 来日公演では、モーツァルト、シューベルト、シマノフスキ、プロコフィエフのピアノ・ソナタが組まれている。このリサイタルのプログラムに原稿を寄せ、リュカの魅力について綴った。
 今日の写真は、セカンド・アルバムのジャケット。手足が長く、スリムで、飄々とした雰囲気でステージに登場する。そしてピアノに向かうと、一気にからだのなかから音楽がほとばしり出る感じだ。
 クレーメルが才能にほれ込んだように、私も彼のピアノに強く惹かれている。


 
| 情報・特急便 | 22:11 | - | -
アントン・ブルックナー
 1994年3月、JTBが企画した「旅のシラブル 伊熊よし子と行く音楽家ゆかりの地」と題するツアーで、アントン・ブルックナーゆかりのオーストリア・リンツにあるサンクト・フローリアン修道院を訪れた。
 ものすごく寒い季節で、リンツの深い森のなかをバスで進むうちに、参加者はみな凍えそうな寒さにブルブル。修道院に着いてからも、極寒のなかでの見学となった。
 ただし、ブルックナーが弾いていたオルガンや、広大な図書館などを見て、とても深い感動が心に押し寄せてきたことを覚えている。
 参加者にいろんなことを説明するなかで、私自身もブルックナーの交響曲がこうした深い森に根差していることを実感した。
 今秋、ウィーンを訪れた際、ブルックナーの最晩年の住居、ベルヴェデーレ宮殿の一角にある家を訪れた。
 ここは、1895年に皇帝フランツ・ヨーゼフ2世が無償貸与した家で、足が弱ってきたブルックナーのために1階の部屋が用意されたという。
 何度も訪れているが、またゆっくり訪れてみると、あの深い森の深遠さと静謐さが蘇り、交響曲を聴きたくなった。ブルックナーはこの家で1896年10月11日に息を引き取っている。
 ブルックナーの遺体は、生前の希望により、サンクト・フローリアン修道院の教会地下納骨所、パイプオルガンの真下に安置されている。
 今日の写真は、ベルヴェデーレ宮殿の家の外観と記念の碑板、ウィーン市立公園の記念像。





| 麗しき旅の記憶 | 22:49 | - | -
斎藤雅広
 ピアニストの斎藤雅広が新譜「メランコリー」(ナミ・レコード)をリリースすることになり、その話を聞きに銀座のヤマハ・アーティスト・サロンに出かけた。
 このアルバムはプーランク「メランコリー」で幕開けし、シュット「かわいらしいエチュード作品16-1」、セヴラック「ロマンティックなワルツ」などの珍しい作品を経て、ショパンやグリーグ、ドビュッシー、シューマンなどの名曲の数々へと歩みを進め、ショパン「別れのワルツ」で終幕を迎えるという趣向だ。
 いずれも斎藤雅広ならではの磨き抜かれたテクニックに貫かれているが、けっして技巧を表面に押し出すスタイルではなく、しっとりと心に響く大人の音楽に仕上がっている。このCDのライナーノーツも担当した。
 インタビューでは、その録音の様子、各々の作品への思い、楽器との邂逅、2017年にデビュー40周年を迎えることに関してなど、あらゆる話に花が咲き、有意義なひとときを過ごすことができた。
 斎藤雅広とは、いつも話があちこちへと飛んでいき、仕事を超えておしゃべりが止まらなくなる。
 このインタビューは、「ピアノの本」、ヤマハWEB「ピアニスト・ラウンジ」に書くことになっている。
 彼は2017年7月にフランスのアルザス地方に位置するルーファック地区の「ムジカルタ」という、夏の音楽祭&講習会に招かれているという。
 これはコンサートとマスタークラスなどで構成され、世界各国から講師が集まり、講習生を指導する。
「ねえ、すばらしいところみたいだから、取材にこない? ワインもおいしいし…」
 こう誘われたが、そう簡単にいけるわけもなく、返事はできない。場所は、アルザス・ワイン街道に位置しているようだ。ムムム、残念。
 この話をしながら、銀座でランチを楽しんだ。斎藤さんは大変なグルメ。彼のいきつけという広島料理「銀座 かなわ」にいき、釜めし御膳をいただいたのだが、これがもう絶品! 
 かきが大好きな私は、ひとつずつのお料理に狂喜乱舞(笑)。
 かきの好きな方、絶対お薦め。みゆき通りと交詢社通りの間の通りにあるお店で、ビルの地下1階です。
 今日の写真は、インタビュー中の斎藤雅広。12月にはアップすると思うので、ぜひインタビュー記事を読んでくださいね。



 あとの写真は、煮物、かきフライ、釜飯など。この日の煮物はかきまんじゅう。かきフライは小ぶりでジューシーで新鮮、まいりました。土鍋で供されるかきの釜飯も、これまで食べたことのないおいしさ。







 次は、かきの大好きな友人を誘ってしまおう。もう、すぐにでもいきたい! 斎藤さん、いいお店を教えてくれてありがとう。
 
 
| 親しき友との語らい | 22:41 | - | -
ファジル・サイ
 ファジル・サイは鬼才、奇才、真の天才と称される。彼はモーツァルトの録音で衝撃のデビューを果たし、以来ピアニストとして、作曲家として国際舞台で活躍。
 昨日は紀尾井ホールでオール・モーツァルト・プロによるリサイタルがあり、天上に駆け上っていくような嬉々としたモーツァルトを聴かせ、至福のときを味わわせてくれた。
 今日は、久しぶりにファジルに会い、インタビューを行った。以前は、相手の顔をまともに見られず、目が宙をさまよっているような表情をしていたが、今日のファジルは、まっすぐに私の眼を見て、再会を喜んでくれ、雄弁に語った。このインタビューは、来春の「CDジャーナル」に書く予定である。
 今回は、「インタビュー・アーカイヴ」第71回として、ファジル・サイを取り上げたい。もう16年前のインタビューである。

[FM fan 2000年11月27日〜12月10日 No.25]

久々に元気なピアニストが登場!
「演奏がエキサイティングだって? ぼく自身は繊細な表現も十分にしているつもりなんだよ」 


生命力あふれるワクワクドキドキする演奏

 J.S.バッハ、ストラヴィンスキー、ガーシュウィンの録音でとてつもなく個性的で、聴き手の心を高揚させるエキサイティングなピアノを聴かせてくれたファジル・サイが、ついに10月に来日を果たし、すみだトリフォニーホールでコンサートを行った。
 プログラムは前半が「プレリュードとフーガ イ短調」「イタリア協奏曲」「シャコンヌ」というオール・バッハ。そして後半は、金聖響指揮新日本フィルとの共演によるガーシュウィンの「アイ・ガット・リズム変奏曲」「ラプソディ・イン・ブルー」という、彼がいまもっとも得意とするプログラム。そのいずれもが生命力あふれるワクワクドキドキする演奏で、何日経過してもその高揚感が失われることはなかった。
 サイはステージに登場したときから目は宙をさまよい、おじぎもそこそこにピアノの前にすわった。そして演奏が開始するやまわりはいっさい目に入らないような超没頭スタイルを披露、聴き手にも極度の集中力を要求するようなピアノを聴かせた。
 ただし、ステージを離れるとすこぶるシャイ。エキサイティングな演奏がうそのように背中を丸めてボソボソと低い声で話す。
「演奏がエキサイティングだって? 確かに世界のさまざまな都市でそういうふうに評価してくれるけど、ぼく自身は繊細な表現も十分にしているつもりなんだよ(笑)。特にモーツァルトの録音ではこのデリケートな表現というものが大切だからね。ぼくが録音した「キラキラ星変奏曲」や「トルコ行進曲」は子どもたちがとても親しみやすいと感じている曲だから、勢いと繊細さなどさまざまな表現を盛り込んで演奏した。子どもは敏感だからね。いい演奏をしないと聴いてくれないし、もちろんモーツァルトは大人にも広く愛されている作曲家。ぼくは自分が子どもだったころにこれらの作品に魅せられた。そのときの気持ちをいつまでも失わないようにしているんだ」
 
ピアノが自分の生涯の友であると確信

 5歳からピアノを始めた。両親は音楽家ではないが、とてもインテリジェンスな家庭環境だったとか。ちなみに父親は小説家である。
「ごく幼いころ、ぼくは耳から覚えた旋律をすぐにリコーダーやピアニカのような楽器で演奏してしまったらしい。それを見て、両親は何か楽器をやらせようと思い立った。トルコではクラシックか民族音楽を学ぶというのがふつうで、ぼくはクラシックを選んだというわけさ。家には本がたくさんあって、ピアノの練習以外はいつも本を読んでいるような子どもだった。それもモーツァルトやベートーヴェンの伝記や偉大な作曲家にまつわる本ばかり。子どもだったぼくは、その作曲家の子ども時代の生き方にとても共鳴した。いつか自分もそんなふうに曲が書きたい、そんなあこがれを抱いていたんだ」
 やがてアンカラ国立音楽院に進んだサイはピアノと作曲を学び、17歳のときに奨学金を得てデュッセルドルフのシューマン音楽院に留学する。
「15歳のころにはもうステージで演奏したんだけど、このころからピアノが自分の生涯の友であると確信していた。ピアノを弾くこと以外、ほかのことは考えられなかった。でも、ドイツではその考えが根底からくつがえされてしまった。19歳のころは孤独感にさいなまれ、楽器を弾くことも音楽を聴くこともまったくできない状態まで落ち込んだ。もう自分でもどうしたらいいかわからない精神状態だったよ」
 このころ就いていた先生はデイヴッド・レヴァイン。その彼はエイズにかかり、やがて亡くなってしまう。
「ショックだったよ。でも、先生と一緒に演奏したストラヴィンスキーの《春の祭典》(ピアノ版)は、一生忘れられない。すばらしい共演だったから。これはぼくを救ってくれた作品でもあるしね」
 実は、ピアノも弾けず音楽もいっさい聴かない日々を送っていたサイは、ある日思い切ってラジオのスイッチを入れる。そのとき流れてきたのが、アンタル・ドラティ指揮デトロイト交響楽団の演奏による《春の祭典》(オーケストラ版)。その演奏に心を動かされたサイは最後まで聴き、すぐに楽譜店にピアノ版のスコアを探しにいく。
「ストラヴィンスキーが実際に書いた4手のスコアを見つけ、それをとことん勉強した。この曲に出合って、ぼくは再び生きる喜びに目覚めたんだ。すぐに先生のところにいって、退院したら一緒に弾こうと話し合った。たった一度しかふたりで演奏できなかったけど、それは貴重な経験としてぼくの心に残った。それから10年間、これをひとりで演奏できないかと考え、企画を温めていたわけなんだ」
 レヴァインの死後、サイはベルリン・アカデミーに移り、ここでピアノを教える仕事に就く。そして25歳のとき、ニューヨークのヤング・コンサート・アーティスト国際オーディションで第1位を獲得。これが録音デビューにつながった。
 日本では12月にリリースされる予定のモーツァルト・アルバムが、ヨーロッパでブレイク、特にフランスでは破格の売り上げを記録している。
「フランスでモーツァルトが評価され、とてもいいスタートが切れた。演奏会も入ってきて、いま年間100回のコンサートをこなしている。とてもキツイけど、この生活を楽しんでいるよ。だってあの落ち込んでいたときから見たら、天国だもの。どんなにハードでもやり遂げなくちゃ。1回1回のコンサートに集中力をもって臨むのは大変だけど、いまは突っ走るよ。でも、一番問題なのは作曲する時間が限られること。もう少ししたら、時間を調整して作曲の時間を確保するようにするつもり。自作だけでコンサートもしたいしね」

音の向こうに見えるものから実際の音を

 ストラヴィンスキーは10年間温めてから自分だけの演奏で多重録音をし、その後バッハやガーシュウィンもじっくり練った選曲で録音にこぎつけた。さらに今年はモントルーやパリ、イスタンブールなどのジャズ・フェスティヴァルにも参加、自作やトルコの音楽を自身のバンドで演奏した。
 彼はこのように自国の音楽を世界に広めたいという強い意志ももっている。
「トルコの民族音楽や宗教音楽は、とても美しい旋律とリズムをもっているんだよ。行進曲のような軍隊を思わせる曲が広く知られているけど、実際は祈りの音楽や自然を賛美したもの、民族のルーツを伝えるものなどが多い。特にぼくが気に入っているのはイスラムの音楽で、スーフィというもの。これは多分CDのワールドミュージックのコーナーにいくと売っていると思う。中東やバルカン半島の音楽に近い感じかな。そうしたものをほくは自作に取り入れて、世界の舞台で演奏していきたい。バルトークやロシアの作曲家が自分たちの民謡や舞曲を大切にしたようにね。ぼくは作曲するときはその音符の先に見えるもの、音の向こうに見えるものを想像して実際の音を生み出していく。日本の音楽にもどこか共通しているところがあると思うけど、音で人生を語り、生き方を問い、自分自身を率直に表現したいんだ」
 現在はニューヨークに居を移し、多忙な日々を送るサイだが、そのなかでも時間を見つけて大好きな映画を見るようにしている。ジャンルは問わず、さまざまな映画を見るそうだが、特に印象に残っているのは「シンドラーのリスト」と「パルプフィクション」。
「将来は映画音楽を書いてみたい。これは大きな夢といえるかもしれない。映画はいいよね、さまざまな創造力を与えてくれる。昔からドストエフスキー、トルストイ、そしてドイツの作品など本をたくさん読んでいるけど、いつもそれらに視覚的なイメージを重ね合わせている。そして音楽もそこから湧いてくる。いまはトルコの詩をよく読むんだ。詩というのは、そのことばが完全に理解できるものでないと深いところまで理解できないよね。だから詩はやはり母国語のものに限る。トルコの詩はすばらしいんだ。手放しでほめたたえちゃうよ(笑)」
 いまピアノ協奏曲を作曲中だという。来年はパリでトルコの若手作曲家の作品の世界初演も行う予定。久々登場した元気なピアニストは、さまざまな活動で私たちを驚かせてくれる。

 このインタビューから16年、この間ファジル・サイは世界中のホールや音楽祭や記念行事の場から作曲依頼が入る作曲家に成長。ピアニストとしては、モーツァルトのピアノ・ソナタ全集をリリースした(エイベックス)。恥ずかしそうな笑顔は変わらないが、話すときの視線はすっかり変わった。
 昨夜のモーツァルトの演奏も見事だったが、ファジルの成熟した姿に触れることができ、感慨もひとしおだった。
 今日の写真は、そのときの雑誌の一部と、今日のインタビュー後の1枚。にこやかに話していたのに、写真を撮るといったら急に堅い表情になってしまった。やっぱりシャイな素顔は変わらない(?)





 
| インタビュー・アーカイヴ | 23:27 | - | -
女子会
 女子会ということばが流行している。
 先日、仕事の仲間3人で渋谷に集合、女子会を行った。
 ふだんから親しくしている音楽事務所のOさんとSさんと私の3人で、和食を食べながら飲んだり、目いっぱいおしゃべりしたり…。
 こういう会は、もちろん仕事の話が多いが、プライヴェートな話も盛りだくさん。同じクラシックの世界で働いているわけだから、どんな話題が出てもツーカーというところがミソ。
 みんなが仕事を終えてから19時に集まり、23時まで話していたが、それこそあっというまの4時間だった。
 すごく楽しかったため、「もっとひんぱんにやろう」という話になり、次回は私の京都の仕事部屋で京都女子会を行うことになった。
「そんなに広くないから、雑魚寝だよ」といったら、ふたりが「大丈夫、ずっとしゃべっていて、ほとんど寝ないから」「テラス広いんでしょ、私、寝袋もっていく」といわれ、大爆笑となった。
 どんな分野の仕事でも、日々ストレスはたまる。私は、こういう気心の知れた友人とおしゃべりするのが一番の特効薬だ。
 今日の写真は、渋谷の「並木橋なかむら」というお店のおいしかったお料理の一部。白菜のすり流し、大根のカニあんかけ、山芋の和風サラダなど。
 最後は私の大好きな鮭のおにぎりとお味噌汁で〆、おなかも心も大満足で家路に着いた。
 さて、明日からまた頑張るゾ。






 
| 親しき友との語らい | 22:31 | - | -
庄司紗矢香
 毎年、この時期になると、「東芝グランドコンサート」のソリストのインタビューが続く。プログラムに記事を書くためである。
 2017年のコンサートは、いまもっとも熱い視線を浴びている若手指揮者のひとり、クシシュトフ・ウルバンスキが指揮するNDRエルプフィルハーモニー管弦楽団(ハンブルク北ドイツ放送交響楽団)。
 ソリストは先日インタビューしたアリス=紗良・オットと庄司紗矢香である。
 昨日は庄司紗矢香のインテビューがあり、六本木のホテルまで出かけた。
 今回、彼女が演奏するのはプロコフィエフのヴァイオリン協奏曲第1番。以前、このコンサートでは第2番の方を演奏したため、その作品についていろいろ聞いたが、今回は第1番についてさまざまな質問を投げかけた。
 庄司紗矢香は、プロコフィエフのヴァイオリン協奏曲を非常に得意としている。その作品との出合い、共演した指揮者から得たこと、第1番と第2番のコンチェルトの違い、第1番との思い出やエピソード、プロコフィエフについて、ロシアでの演奏についてなど、幅広いことを聞いた。
「東芝グランドコンサート2017」は、3月7日から15日まで、東京、仙台、名古屋、川崎、福岡、大阪の6公演が予定されている。
 庄司紗矢香はプロコフィエフのヴァイオリン協奏曲第1番、アリス=紗良・オットはベートーヴェンのピアノ協奏曲第3番を演奏する予定である。
 オーケストラのプログラムは、ドヴォルザークの交響曲第9番「新世界より」、R.シュトラウスの交響詩「ツァラトゥストラはかく語りき」などが組まれている。
 庄司紗矢香と話すと、いつも絵が好きな彼女と、いろんな美術館のことや、パリで開催された美術展の話などに花が咲く。
 このインタビューは、来日公演のプログラム原稿が主たる媒体となるが、他にも情報誌やWEBなどにも書くことになっている。
 今日の写真は、いつもスリムな庄司紗矢香。実は、私は彼女のパンツ姿を初めて見たような気がしたため、それを話すと、「えーっ、私いつもパンツばかりですよ。スカートは年に2、3回 それも特別なときしかはきません」という。
「じゃ、私のインタビューのときは、特別なときなの? スカートやワンピース姿しか見たことないわよ」
「そうでしたっけ。じゃ、特別なときだわ(笑)」
 まあ、そうですか。光栄ですわ、スカートはいていただいて(笑)。
 ふだんはジーンズが多いと聞いて、びっくり。彼女にはコンクール優勝時の若いころから取材を続けているが、ジーンズのイメージはまったくない。
 この話題のときばかりは、ハスキーでささやくように話すいつもの声の調子が変わり、一気にテンションが上がった。
 庄司紗矢香のプロコフィエフ、非常に楽しみである。ウルバンスキとは、一度共演したことがあり、とても息が合うそうだ。


| 情報・特急便 | 22:50 | - | -
中木健二
 チェリストにとって、J.S.バッハの「無伴奏チェロ組曲」全6曲は、バイブルのような存在である。
 多くのチェリストが「生涯に一度はこの無伴奏作品6曲を録音したい」と語るが、今回は、中木健二がセカンドアルバムとしてバッハの「無伴奏チェロ組曲全曲録音」を行った(キングレコード 11月23日リリース)。
 中木健二はパリ、ベルン、シエナなどで学び、2005年にルトスワフスキ国際チェロ・コンクールで第1位を獲得している。この他にも受賞歴は多数あり、2010年フランス国立ボルドー・アキテーヌ管弦楽団の首席奏者に就任した。
 先日のインタビューでは、フランス時代のこと、バッハの作品のこと、恩師であるアントニオ・メネセスのこと、2014年日本に帰国してからの活動、東京藝術大学での後進の指導に関して、現在の楽器1700年製ヨーゼフ・グァルネリについてなど、幅広い話に花が咲いた。
 中木健二は、ソロ、弦楽トリオ、弦楽四重奏団などさまざまな活動を行い、そうした話を聞くたびにメネセスの教えが顔をのぞかせる。
 きっと、彼にとっては「メンター」的な存在なのかもしれない。
 このインタビューは、次号の「CDジャーナルWEB」に書く予定になっている。
 彼は11月29日(火)に、王子ホールでリサイタルを開く(19:00開演)。プログラムはバッハの「無伴奏チェロ組曲」第1番、第4番、第5番である。
 いまもっとも集中的に取り組んでいるバッハ。「全身全霊を傾けて演奏する」という彼の気概を演奏から受け取りたい。
 今日の写真は、インタビュー後の中木健二のリラックスした表情。あらゆる話題に話が広がり、とても有意義なインタビューとなった。記事をぜひ読んでくださいね。
 
| アーティスト・クローズアップ | 22:18 | - | -
エル・プエンテ
 スペインが大好きな私は、おいしいスペイン料理のお店をいつも探しているのだが、なかなか気に入った味に会えない。
 ところが、先日、ドミンゴの来春来日のプロモーション責任者をしているHさんと、新聞社のSさんと3人でいった北青山のエル・プエンテ(El Puente)は、すべてのお料理がすばらしいおいしさだった。
 外苑前から徒歩3分ほどの、ちょっと隠れ家的なこぢんまりとしたお店で、Hさんのお薦め。
 ちょうど新しい生ハムが届いたところだというので、まず生ハムの盛り合わせを頼んだが、これが塩気がほどよくて、とても新鮮でやわらかい。
 お豆のサラダも、パエリアも、えびのアヒージョも、素材のよさが存分に生かされた調理法で、サングリアもデザートのバニラアイスも大満足。
 シェフはマドリードで修業したそうで、私が大のスペイン好きといったら、すごく喜んでくれた。
 この日は、食事のあともまだ原稿が残っていたため、帰宅後に夜中まで仕事をしたが、美味なるスペイン料理で心身が蘇り、一気に書くことができた。私って、ものすごく単純かも(笑)。
 今日の写真は、生ハムを前にシェフとウエイター。



 そしてお豆のサラダとパエリアとバニラアイス。小さなお店なので、予約をしないと入れないが、次回は食いしん坊の友人たちを誘いたいと思う。
 みんな、仕事のストレスがいっぱいで、疲れている人も多いから、こういうお料理でエネルギーをチャージしないとね。









| 美味なるダイアリー | 16:27 | - | -
ゾルタン・コチシュ
 ハンガリーの指揮者・ピアニスト・作曲家のゾルタン・コチシュが11月6日、亡くなった。享年64。
 コチシュは2012年に心臓手術を受け、最近は体調を崩して、10月に予定されていたハンガリー国立フィル日本公演に同行することができず、心配されていた矢先の訃報である。
 コチシュは1952年5月30日、ブダペスト生まれ。バルトーク音楽院とリスト音楽院で学び、18歳のときにハンガリー国営放送が主催するベートーヴェン・ピアノ・コンクールで優勝して注目され、国際的な活動をスタートさせる。
 1975年に初来日。やがて指揮者としての活動も開始し、1983年、指揮者のイヴァン・フィッシャーとともにブダペスト祝祭管弦楽団を設立した。
 1997年、小林研一郎の後任としてハンガリー国立交響楽団の音楽監督に就任、名称をハンガリー国立フィルハーモニー管弦楽団に変更し、楽員の大幅な入れ替えを実施してレヴェル・アップを図り、国際的な活動を展開するようになる。
 コチシュには、以前インタビューを行ったが、そのときの様子はブログの2014年3月26日の「インタビュー・アーカイヴ」で紹介している。
 ぜひ、読んでほしいと思う。
 なお、ヤマハの「音楽ジャーナリスト&ライターの眼」で、2014年の来日時のプログラムに寄せた文章を転載して追悼文に代えたいと思っている。
| 情報・特急便 | 22:38 | - | -
TOKYO FM
 年末のFM放送でプラシド・ドミンゴの特集が組まれ、番組に出演するため、放送局に出かけた。
 先日のロサンゼルスでのドミンゴのインタビューの話を含め、3時間番組で流す音源を選曲し、担当者3人と事前に打ち合わせを行い、いざ収録となった。
 これはTOKYO FMミュージックバードのTHE CLASSIC(クラシック専門チャンネル)
ウィークエンド・スペシャルで、「スーパースター、ドミンゴ来日!〜デビュー50周年&日本デビュー30周年記念」と題されている。
 放送は2016年12月18日(日)19:00〜22:00で、再放送は12月24日(土)12:00〜16:00。
 聞き手の田中美登里アナウンサーとともにマイクに向かい、音楽を流す間にもスタッフとこまかな打ち合わせを行い、収録を進めていった。
 このメンバーとは以前にも一緒に仕事をしたことがあるため、安心して番組に臨める。ただし、トチったり、言い直したりしないよう、終始気を引き締めながらの出演となった。
 曲は、ドミンゴの得意とするオペラ・アリアからスペインの民俗オペラであるサルスエラ、歌曲まで多彩なプログラムを組み、曲をかけている間は雑談をし、みんなで「いい声だよねえ」「いまも主役を張っている現役って、すごい」「この声、すごく若いときで、なつかしい感じ」などといいながら、和気あいあいの雰囲気のなかで時間が経過した。
 今日の写真は、スタッフの3人。左から渡邊未帆さん、田中美登里さん、篠崎めぐみさん。
 みなさん、お世話になりました。番組をひとりでも多くの人が聴いてくれることを願っています。


| 情報・特急便 | 23:56 | - | -
清塚信也
 国内外のコンクールで数々の受賞歴を誇り、ロシアに留学し、現在はピアニスト、俳優、映像作品のサウンド・トラックの作曲や音楽監督を務めるなど、3つの顔をもつ清塚信也が、ユニバーサル・ミュージック移籍第1弾のアルバムをリリースした。
 題して「KIYOZUKA」(12月7日発売)。
 今回のアルバムは、小栗旬主演のHuluオリジナルドラマ「代償」(11月18日1話&2話同時配信、以降毎週金曜配信、日米同時配信全6話)のエンディング・テーマ「代償」を含み、ベートーヴェンのピアノ・ソナタ第17番「テンペスト」第3楽章やラフマニノフのピアノ協奏曲第2番より第2楽章(ピアノ・ソロ・ヴァージョン)、ドビュッシーから「日本の四季」をテーマとしたさまざまな作品まで、多彩な曲を収録した、「あなたのために奏でたい」というコンセプトに基づく新録音。
 そのインタビューのため、先日久しぶりに会った清塚信也は、以前と変わらず一途に目標に向かって突っ走っていくスタイルを維持しながらも、スタッフや共演者にこまやかな気遣いをする「大人のピアニスト」に変容を遂げていた。
「そうですか、大人になったといわれるとうれしいですね。いろいろ苦労していますから(笑)。でも、今回のアルバムは、いまのぼくがもっともしたいことを思う存分させてもらうことができた、納得いくアルバムなんですよ。ピアニストとして、俳優として、作曲家として、ここ数年は日々3時間ほどの睡眠時間で、ひたすら仕事をして積み上げてきたものが一気に出せた、そんアルバムなんです」
 いつも清塚信也に会うと、前向きで、人生を肯定的にとらえ、夢に向かってひたすら走り続けている姿に驚きを隠せないが、今回もその人生哲学に「おそれいりました」という感じだった。
 彼は常に周囲に気を配り、ある面においてはその道のプロに任せ、自分の意見は最小限に留めてよりよい方向を見定める。
 とかく、人は自分の意見を通し、一緒に仕事をしている人にこまかく注文を出してしまいがちだが、彼はそれを極力抑えるという。
 今回のインタビューは、ヤマハのWEB「音楽ジャーナリスト&ライターの眼」に情報的なことを早めに書くことにし、のちに私のHP「音楽を語ろうよ」でじっくり綴ろうと思っている。
 今日の写真は、インタビュー後の清塚信也。ショートスリーパーの彼は、私とはまったく逆。私はしっかり睡眠をとらないとダメなタイプ。3時間で大丈夫なんて、うらやましい。1日の時間の使い方がすごく違うだろうな。
 もうひとつ、すごく健康だというのも彼のバイタリティあふれる仕事の源泉。「昔から丈夫なんですよ」と笑っていた。これもうらやましい限りだ。


| アーティスト・クローズアップ | 23:22 | - | -
アリサ・ワイラースタイン
 昨夜は、王子ホールにチェロのアリサ・ワイラースタインのリサイタルを聴きにいった。
 彼女には2014年2月の初来日時にインタビューをしたことから、「Oji Hall Magazine」2016年秋号に原稿を書いている。
 プログラムは、無伴奏作品で統一。前半は、ブリテン「ザッハー」、ゴリホフ「オマラモール」、J.S.バッハ「無伴奏チェロ組曲第3番」、後半はコダーイ「無伴奏チェロ・ソナタ」というチェロの多様性が味わえる選曲。
 アリサ・ワイラースタインは、バレンボイムに見出された新星。演奏はエネルギッシュで推進力に富み、深々とした低音をじっくりと聴かせる。
 この公演評は、「公明新聞」に書く予定になっている。
 とりわけコダーイのソナタが彼女の持ち味を存分に表現していたが、いつも耳にしているようなほの暗さ、もの悲しさ、悲壮感、悲痛な響きではなく、むしろ慟哭に近い音色とでもいおうか、胸に鋭く突き刺さってくるようなはげしい表現だった。
 ここにもう少し弱音のしなやかさが増えれば、彼女のチェロはより聴き手の心の奥深い部分に強い印象をもたらすに違いない。
 以前、インタビューしたときにも感じたが、とても前向きで努力家。きっと次回演奏を聴くときには、より磨き抜かれた演奏に変貌を遂げているのではないだろうか。
 今日の写真は、王子ホールの冊子のアリサのページ。それにしても、ドメニコ・モンタニャーナの名器は、すばらしい音色をしている。


| アーティスト・クローズアップ | 23:41 | - | -
辻井伸行
 昨日は、東京オペラシティコンサートホールで、辻井伸行とヨーロッパ室内管弦楽団のコンサート「極上のモーツァルト」があり、聴きに出かけた。
 実は、女性誌の取材も兼ねていたため、リハーサルからじっくりと聴き、コンサート後にはインタビューも行った。
 このオーケストラは、指揮者を置かず、ロレンツァ・ボラーニというコンサートミストレスがリーダー&ディレクターを務めている。
 彼女はリハーサルのときも途中で演奏を止め、オーケストラのメンバーにこまやかなアドヴァイスを行い、全体をまとめていた。
 辻井伸行との共演について聞くと、「最初は彼の才能に驚いたけど、一緒に演奏していくうちにどんどん呼吸が合ってきて、いまはオーケストラのメンバ―全員がNOBUの演奏に呼応している」と語っていた。
 この夜は、まさに「極上のモーツァルト」が演奏され、鳴りやまぬ拍手に応えて辻井伸行はアンコールにショパンの第20番のノクターンを演奏した。
 このアンコールについて彼に話を聞くと、「ツアーの間、毎日アンコールを変えています」とのこと。
 オーケストラもそのアンコールを楽しみにしていて、「今日のアンコール、すごくよかったよ」とか「明日は何を弾くの?」と、楽しみにしてくれるのだそうだ。
 このインタビューは、女性誌の新しく始まる連載記事に書く予定になっている。また、その連載に関しては、詳細が決まり次第、お知らせしますね。
 
 
 
| 親しき友との語らい | 23:54 | - | -
プラシド・ドミンゴ
 先日、ロサンゼルスに出張した件が、ようやく情報解禁になった。
 実は、来春のドミンゴのコンサートのために、インタビューに行ったのである。コンサート情報は下記の通り。

 Citigroup Japan Presents
 プラシド・ドミンゴ&ルネ・フレミング 
 プレミアム コンサート イン ジャパン2017
 2017年3月13日(月)19:30開演 東京国際フォーラムホールA
 入場料金 SS席43,000円 S席38,000円 A席30,000円 B席21,000円 C席14,000円 D席7,000円
 発売日 2016年12月10日(土)午前10時〜
 ユージン・コーン指揮 東京フィル「プラシド・ドミンゴ」特別編成オーケストラ
 曲目は決定次第発表となる。
 予約・問い合わせ チケットスペース 03-3234-9999
 チケットスペースオンライン 検索

 ドミンゴにインタビューをしたのは、9月18日。前日、彼は総監督を務めるロサンゼルス・オペラでヴェルディ「マクベス」の初日の主役をうたい、その夜は午前2時までパーティに参加した。
 私のインタビューは18日のお昼から。「きっと無理だよねえ」と取材班はみんなで懸念していたが、なんと、午後1時半すぎには元気にインタビュー会場に現れた。
 それから撮影を含め4時間以上、ドミンゴは私たちの要求に応え、ずっと笑顔で対応してくれたのである。
 このインタビューの様子は来日公演プログラム、雑誌、新聞、情報誌、WEBなどに書く予定になっている。
 ドミンゴにはこれまで何度もインタビューを行い、各地の3大テノールの会場でも取材を続けたが、いつもどんな質問に対しても的確な答えを戻してくれる。
 今回は、ルネ・フレミングとの共演、震災後の日本公演のこと、テノールからバリトンに転向したこと、今後の抱負まで、さまざまなことを聞いた。
 今日の写真は、プログラムの表紙用にと、スーツからタキシードに着替えてもらった直後の表情。右側に撮影用の準備が行われているため、ちょっと切り取った形の写真となってしまった。
 でも、元気そうでしょ。ご本人も、いまとても声の調子がいいといっていた。
 ぜひ、日本でのリサイタル30周年、唯一無二の輝けるデュオを聴いてくださいな。
「いつも日本の聴衆の前でうたうのは大いなる喜び。会場には特別な空気が流れ、魔法の時間を共有できるから。ルネとの一夜限りのコンサートでも、特別な空気が流れると思うよ」といっていた。



| 情報・特急便 | 22:54 | - | -
サラダクレソン
 サラダクレソンという野菜を見つけた。ふつうのクレソンも大好きなため、すぐに購入して説明書を読んでみた。
 これは静岡県産で、沖縄県与那国島で採取した高純度の化石サンゴを肥料に使っているそうで、この肥料は70年余種類の豊富なミネラルが含まれていると書いてある。
 このクレソンは、カリウム、食物繊維、タンパク質、カルシウム、鉄、チアミン、リボフラビン、ナイアシン、葉酸、亜鉛、ビタミンA、B6、B12、C、D、E、Kを大量に含み、商品ランキングで第1位を獲得したとか(アメリカ疾病予防センター2014年調べ)。
 要は、すばらしく栄養豊富な野菜だということなのね。
 サラダとしていろんな野菜に混ぜてしまうのはもったいないため、パスタのトッピングにしようと決めた。
 今日の写真は、サラダクレソンと、それを乗せたペンネアラビアータ。なるほど、ほのかな苦みがあり、とても柔らかく、クセがなくて食べやすい。
 こういう野菜はなかなか近所の八百屋さんにはきていないため、見つけにくいが、次回目にしたら、もっとたくさん買っておこう(笑)。
 日曜日も原稿書きに追われているため、こういうミネラルたっぷりの野菜はからだが元気になりそうで、うれしい。
 さあ、もうひとふんばり、という気にさせてくれるから。




 
| 美味なるダイアリー | 14:02 | - | -
遊禅革
 京都には、長い伝統に支えられた職人芸による物が数多く存在する。
 私が見つけたのが、日本が誇る京都の伝統染色技術「友禅染」の華やかで美しい色彩を牛革に施した「遊禅革」の小物類。
 友禅染は、元禄時代の京都の知恩院門前に宮崎友禅斎という扇絵師が住んでいて、友禅斎の絵がとても流行したことから、着物の絵柄集も手がけるようになったことが始まりだという。
 友禅斎の図案で染めた着物は、絵画のように華やかで人気を博したことから、「友禅染」と呼ばれるようになったそうだ。
 この洗練された色彩感豊かな友禅染を革製品に取り入れた遊禅染は、上品ではんなりした色彩を備え、京都の匠の技によるため、とても強い存在感を放っている。
 一度見ただけで、私はこの小物に魅せられてしまった。
 最初は長財布、次は名刺入れ、そしてカードなどを入れられる財布と徐々にそろえ、ようやく3つになった。
 革に染められているため、色落ちなどはまったくせず、本体もとても丈夫にできている。
 毎日使う物だから丈夫が何より。しかも、ハンドバッグのなかでいつも存在感を放ち、私の大切な友となっている。 
 今日の写真は、遊禅革の小物たち。名刺を出すときに、海外のアーティストに「それ、何?」「どこで買ったの?」と聞かれることが多く、しめしめ(笑)。
 そのつど、日本のすばらしさを宣伝している。


 
| ゆったりまったり京都ぐらし | 22:38 | - | -
反田恭平
 アーティストのなかには、なかなかインタビューや取材の日程が合わず、長い間会えない人がいる。
 いま、人気沸騰の若きピアニスト、反田恭平もそのひとり。これまでさまざまな雑誌からインタビューのオファーがあったものの、どうしてもスケジュールが合わず、ご本人に会うチャンスがなかった。もちろん、演奏は聴いている。
 そんななか、今日初めてインタビューで会うことができ、結構話が弾んだ。このインタビューは次号の「intoxicate」に書く予定になっている。
 反田恭平は現在モスクワ音楽院でミハイル・ヴォスクレセンスキー教授に師事している。その音楽院の勉強の様子、ロシアの現状、2015年に優勝したチッタ・ディ・カントゥ国際ピアノ協奏曲コンクールのこと、今後の抱負まで、幅広い話に花が咲いた。
 もちろん、新譜のアンドレア・バッティストーニ指揮RAI国立交響楽団と共演したラフマニノフのピアノ協奏曲第2番、Pianoとオーケストラのための「パガニーニの主題による狂詩曲」(11月23日発売、コロムビア)の話がメインとなったが、話術に長けている彼は、とても話題が豊富でユニークな話がポンポン飛び出す。
 コンクールを受けにイタリア北部のカントゥに行ったときの話が滅茶苦茶おもしろく、ロシアから行ったためユーロがなくてルーブルしかもっていなかったこと、イタリア語がわからないこと、ミラノからカントゥまでの行き方がわからず四苦八苦したこと、コンクールの会場にぎりぎりに着いたことなど、まさにひとつのストーリーが出来上がっている感じ。それにもかかわらず、古典派部門で優勝したのだから、肝がすわっているというか、逆境に強いというか…。
 そしてレコーディング時のバッティストーニとの息はピッタリだったそうで、この話になるとさらに雄弁になった。
 彼はすでにファンクラブもあり、人気がものすごい。演奏のみずみずしさに加え、個性的なキャラクターも人気に拍車をかけているのだろう。
「髪は、いつごろから伸ばしているの?」
 と聞いたら、数年前からで、実は額のところがちょっと後退してきたので切ろうかどうか悩んでいるとか。ここでまた、大笑い。
 こんな若さで悩むとはね。でも、ロングヘアをうしろで無造作にゆわえているこの髪型も人気のひとつ。
「目立ちたくて…」
 こう正直に語るところも、またユニーク。破竹の勢いでスター街道を突っ走っている若き新星。来年からまた新たな方向を目指すという。乞うご期待!
 今日の写真は、珍しいスーツ姿の彼。Tシャツでラフに現れるかと思ったら、まったく違っていて、これも驚きだった。 

| アーティスト・クローズアップ | 23:06 | - | -
ゴーティエ・カビュソン
 フランスのチェリスト、ゴーティエ・カピュソンは、会うたびに大きな成長を遂げていて、驚きとともにたくましさも感じる。
 今日はとてもタイトなスケジュールのなか、快くインタビューに応じてくれた。
 つい先ごろリリースされた新譜は、「ベートーヴェン:チェロ・ソナタ全集&変奏曲集」(ワーナー)。
 10代前半から少しずつ親しんできた作品で、いつか最高のパートナー(ピアニスト)に出会ったら、録音したいと願っていた作品だという。
「ようやく、“いまだ”と思って録音に取り組んだんです。フランク・ブラレイとは、長年にわたる友人であり、音楽仲間。彼のベートーヴェンはすばらしいし、ぜひこの大きなプロジェクトで一緒に演奏したかった」
 ゴーティエには、ナントや東京で何度もインタビューを行っているが、いつもものすごく効率よく、ことばを尽くしていろんなことを話してくれる。
 演奏同様、その語りは情熱的で前向きで、人を引き付ける。
 このベートーヴェンは、まさにいまのゴーティエの心身の充実を物語っている演奏。ブラレイとともにベートーヴェンの内奥に迫り、チェロとピアノが丁々発止の音の対話を繰り広げている。
「確かにベートーヴェンのチェロ・ソナタ全曲録音は大きな意味合いをもつと思うけど、ごく自然な気持ちで作品と対峙することができた。とても静かで美しい環境のなか、集中して演奏することができたんだ」
 この録音は、ドイツ南部のアルプス山麓にあるエルマウ城のコンサートホールで行われている。ここはホテルも併設しているため、「疲れてくると、フランクと15分寝てまたやろうかという感じで、リラックスして行うことができた」そうだ。
 確かに、この録音は緊張感あふれるなかに、どこかのびやかで開放的な空気がただよっている。録音場所というのは、アーティストにとって大きな意味をもつのだろう。
 このインタビューは、「日経新聞」と私のHP「音楽を語ろうよ」に書くことになっている。「音楽を語ろうよ」の第1回は兄のルノー・カピュソンだったから、兄弟で登場することになる。
 今日の写真は、インタビュー後のゴーティエ。いつも飾らず自然体。声も大きく、明快な語り口で、会う人に元気を分けてくれる。


 
| 親しき友との語らい | 22:36 | - | -
年末の仕事
 早くも、年末の仕事が入ってくる季節となった。
 今日は、12月29日のNHKのFM放送のナマ番組、約6時間に渡る長時間番組の出演依頼があった。
 これはリスナーからリクエストを募り、その曲をかけながら作品にまつわることやアーティストの話などを自由に語るというスタイルで、アナウンサーと私ともうひとりの出演者の3人でトークを行うもの。
 とてもおもしろそうだが、事前にリクエストの曲を選ぶ以外に、当日のナマ放送のときにもリクエストを受け付けるのだそうだ。
 もしも、あまり知らない曲や難しい曲が出てきたら、その解説が果たして即興でできるだろうかと心配したが、担当者から「大丈夫です。いつも和気あいあいとした感じで進めていますので」といわれ、なんとかなるか、と考え直した。
 とはいえ、長時間番組で、しかもナマ放送だ。ちょっと心配(笑)。
 また、詳細が決まったら、紹介しますね。
 もうひとつ、女性誌の連載や特集が年末入稿にかかりそうで、これまたバタバタになりそうな気配。まいりますなあ。
 最近は、「京都に行ってる?」「京都の部屋はどお?」「忙しくても、京都に行って、少しは眼を休ませた方がいいよ」と、みんなが「京都」を話題にしてくれる。
 やはりあまりにもせわしなくドタバタしているため、見るに見かねてのことだろう。先週末は少しのんびりできたが、今週が始まったら、またいつもの調子だ。締め切りに追われ、眼精疲労と腰痛が襲ってきている。
 今日の写真は、京都の部屋のテラスから眺める山々。かなり遠くだから写真では見えにくいが、右前方に清水寺の塔が小さく見える。こうして、遠くの景色を眺めながら、しばし眼を休ませている。




 
 
| ああ愉しき(?)、締切り地獄 | 22:17 | - | -
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