Yoshiko Ikuma - クラシックはおいしい -Blog

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春野菜を満喫
 先日、Tちゃんからいただいた安曇野の野菜は、忙しい毎日にひとときの涼風を吹き込んでくれる。
 まず、野菜を眺めながら「どんなお料理にしようかな」と考え、自分がいまもっとも食べたい物を作ることにする。
 最初に登場したのは、「ヤリイカのペペローチーノ フレッシュ・クレソン添え」。15センチくらいのヤリイカを4本用意し、皮をむいたり内臓を取ったりして下ごしらえをする。しっかり水気をとっておくのがポイント。
 これを食べやすい大きさに切り、オリーブオイルでにんにく2片と鷹の爪少々の香りをたたせ、イカを入れて短時間で調理。最後にゆずコショウ小さじ1を加え、しょうゆを小さじ1加えてざっくり混ぜれば出来上がり。
 温かいうちにクレソンをちぎって乗せると、フワーッといい匂いが立ち込める。



 次は、「桜えびと水菜の生パスタ 焼津まぐろのアヒージョ風味」。これはおいしい生バスタが手に入ったら、ぜひ作りたい一品。
 オリーブオイルでにんにくのみじん切りを炒め、桜えびを加え、塩とコショウで味を調えたら、ゆでたパスタに混ぜる。水菜をたっぷりトッピングし、缶詰の焼津まぐろのアヒージョ(スペインの魚介類のオリーブオイルとにんにくの煮込み)をパラリとトッピング。ワインが進みますゾー。



 3つ目は、「せりご飯」。お米2合にしょうゆとみりん各大さじ1、和風だし小さじ1を入れ、上質な油揚げ1枚の千切りを加えて炊く。
 炊き上がったら、食べやすく切ったせり1把の茎の部分をごはんの上に散らして7分ほど蒸らし、さらに葉の部分を入れて3分ほど蒸らす。最後に京都のちりめん山椒を大さじ3ほど混ぜ合わせる。しらすでもいいが、ちりめん山椒の場合は、炊き込むときの調味料を少し減らす。
 これはおにぎりにしてもおいしいし、まさに春の香り豊かな混ぜごはん。



 まだまだ野菜は残っているため、これからも楽しみが続きそう。さて、次は何にしようかな、腕が鳴る鳴る、武者震いしそう(笑)。
 
| 美味なるダイアリー | 22:41 | - | -
クラシック音楽との出会いによる未来創造事業
 3月4日に別府のしいきアルゲリッチハウスで行われる「クラシック音楽との出会いによる未来創造事業」の私の講演は、「ピアノと室内楽の楽しみ」がテーマ。
 いま、主催の別府アルゲリッチ音楽祭実行委員会の担当者とさまざまな打ち合わせを行い、講演内容と使用音源の確認をしているところである。
 今日は、数多くのピアノと室内楽のDVD、CDをチェックし、どれを使用したらいいか決めることにかなりの時間を有した。
 なにしろ、紹介したい音源は山ほどあり、それらを並べてチェックしていくのは大変な作業である。
 しかし、講演の時間は限られているため、そう多くのDVDやCDは使えない。加えて、1曲通して聴くと時間が長くなってしまうため、ほんのさわりだけかけて、音量を絞ってもらうしかない。
 しいきアルゲリッチハウスは、とても音響のいいホールである。こういう場所で音源をかけると、ナマの演奏でなくてもすばらしい音が響くに違いない。
 ようやく、6種類のDVDとCDが決まった。
 明日はこれらを担当者に送り、事前に下調べをしてもらうことになっている。
 私の方は、講演の内容を再度検討し、万全を期さなくては…。
 そうこうしているうちに、27日(月)のNHKラジオ「ごごラジ!」のナマ放送の最終台本が送られてきた。これも、もう一度話す内容を検討しておかなくちゃ。
 世の中は、プレミアムフライデーなのに、フリーの仕事というのはそうもいかない。いつになったら、私もプレミアムフライデーの仲間入りができるのかな。
 
| クラシックを愛す | 23:11 | - | -
打ち合わせの日々
 最近はランチをしながら、お茶を飲みながら、仕事の打ち合わせをすることが多い。
 ランチタイムは結構あわただしいものだが、先日は外苑前にある豆腐料理の専門店に仕事仲間3人が集まり、静かな空間で和食をいただきながらゆっくり話すことができた。
 昨日は新宿にあるゆったりしたカフェで打ち合わせが行われ、ここでもじっくり話し合うことができた。
 打ち合わせに使う場所を選ぶのは、かなり難しい。日中はどこも混んでいて、周囲の話がよく聞こえてしまったり、テーブルの間が詰まっていたり、BGMが大きかったり…。
 私はよくホテルのカフェやレストランを利用するのだが、こういうところも最近はBGMが結構聴こえてくる。
 もっとも大変なのは、インタビューの場所に指定されたところのBGMが大きいことだ。テレコの感度がよく、人間の声よりも音楽の方を拾ってしまうため、あとで聞き直すと、声が聞きにくいこともしばしば。
 こういうときは、すぐに音楽を止めてもらうか、音量を下げてほしいと頼むのだが、他のお客さまの手前、そうそうわがままはいえない。
 本当は、私の仕事部屋(事務所)で打ち合わせをするのが一番いいのだが、みんなに西荻まできてもらうのも悪いしねえ、悩むところだワ。
 実は、これまで私の仕事部屋にきてもらって打ち合わせをしたことが何度かあるが、居心地がいいのか、あるいはだれに遠慮することもないためか、結構長居をする人が多い。
 1時間で済む内容でも、5時間〜7時間くらい話していく人がいる。お互いに忙しいし、やっぱり外のカフェに出かけた方がいいかな(笑)。
 今日の写真は、お豆腐料理の田楽。和食は本当にからだが喜ぶよねえ。


 
 
 
| 日々つづれ織り | 22:52 | - | -
早春の安曇野の味覚
 松本に住む親友のTちゃんが、早春の安曇野の野菜やお米を送ってくれた。
 いつものように箱を開けた途端、みずみずしく清涼な安曇野の空気がただよってくるようで、しばし野菜を眺めてしまう。
 せり、水菜、クレソン、わさびの花に加え、信州木曽のすんき漬と安曇野のこしひかりが入っている。
 いやあ、たまりませんなあ。
 この新鮮さ、素朴さ、おだやかな風がどこかから吹いてくるような、まるで日常から離脱し、しばし清流が流れる安曇野の地にたたずんでいるよう。
 今日は、松本はちらほら雪模様だそうで、Tちゃんは「今夜は寒いから、ウチはせり鍋にするわ」といっていた。
 う〜ん、せり鍋か。こんな新鮮なせりだったら、さぞおいしいだろうなあ。あっというまにたくさん食べてしまいそう。
 私は、野菜とじっくり対峙し、レシピを考えた。こういう時間が、なんとも幸せなんだよねえ。
 先ず、せり。こんなとれたてのせりがたくさんあるなんて、ふだんは考えられないから、2品は考えたい。
 ひとつは、「せりとあさりのあえ物」。あさりのむきみ缶を使うシンプルで作り方も簡単なあえ物。
 もうひとつは、「春野菜の五色白あえ」。せり、油揚げ、きくらげ、いんげん、にんじん、干し椎茸など、手に入る物で作る白あえ。
 でも、あえ物だけではもったいないから、もっといろいろ考えたい。
 時間ができて、納得のいくレシピができあがったら、また公開しま〜す。お楽しみに。
 今日の写真は、届いたばかりの安曇野の味覚。締め切りに追われ、心身が疲弊しているときこそ、こういう野菜が特効薬。さて、早く原稿を終わらせて、お料理、お料理っと。


 
 
| 美味なるダイアリー | 21:29 | - | -
コロッケサンド
 最近、私のレシピで大評判なのがコロッケサンドである。
 これは、行きつけのオーガニック・ショップ、長本兄弟商会のパンを使って作る。このパンは、やわらかいバンズのようなものではなく、小麦の味がしっかりした噛みごたえのある三角形の白いパンである。
 いつもお店にあるわけではなく、決まった日に少しだけ入荷するため、ときどきしか食べられない貴重な代物。



 小麦粉、砂糖、酵母、食塩だけが使用されたホワイトフランスと名付けられたパンで、ラベルには国産小麦、白神こだま酵母、手づくりパンと書かれている。
 このパンが手に入ったら、早速コロッケを作る。
 じゃがいもに豚赤身ひき肉とたまねぎを入れた、昔ながらの自然な味のコロッケである。



 パンは真ん中に包丁を入れて厚みを半分にし、軽く焼く。片方にはバターを、もう片方にはマヨネーズを塗る。
 コロッケとキャベツの千切りをパンの片方に乗せ、粒マスタードとケチャップととんかつソースを混ぜたものを少しだけ塗り、もう片方のパンをかぶせて出来上がり。
 パンがどっしりとした存在感のあるものゆえ、ひとつ食べるとかなりおなかがいっぱいになるけど、コロッケ好きにはたまらない味で、ついもうひとつ食べたいと手が出る。
 これはサラダを添えればランチにピッタリだけど、実は赤ワインにも合うんだよね。やっぱり手づくりの素朴なお料理は、飽きない味でいいよねえ、と自画自賛(笑)。

 


 
| 美味なるダイアリー | 21:19 | - | -
プラシド・ドミンゴ
 昨年9月、ロサンゼルスでインタビューしたプラシド・ドミンゴに関しては、新聞、音楽専門誌、一般誌、女性誌、情報誌、WEB、ラジオ出演など、さまさまな媒体でインタビュー内容と3月13日の来日情報を書き、話し、紹介してきた。
 今月号の「モーストリー・クラシック」は、そのドミンゴにかなりのページを割いている。
 表紙からドミンゴで、私は「BIGが語る」「プラシド・ドミンゴの歩み」「3大テノールの軌跡」、そして「ドミンゴと敏腕マネージャー 寺島忠男&悦子夫妻」の原稿を担当した。
 これまでずいぶんいろんな媒体に記事を書いてきたが、原稿は「モーストリー・クラシック」が最後となり、あと1本、27日のNHKラジオ「ごごラジ!」のナマ出演ですべて終わりとなる。
 毎回、インタビューのたびに感じることだが、ドミンゴはとても誠実で、前向き。どんなに忙しくても、疲れていても、一生懸命インタビューに応えてくれる。
 これはなかなかできることではない。
 実は、私の仕事はアーティストにとって、手放しで歓迎されるものではない。特に、もう宣伝や広報活動をする必要がない世界的なポジションを獲得しているアーティストの場合、インタビューに時間を取られるのは極力避けたいと思うのが常である。
 来日した場合も、寸暇を惜しんで練習やリハーサルに時間を当てたいし、時差や気温差などの問題もある。
 それゆえ、インタビューはできる限り短い時間で、ということになる。
 ほとんどの場合は、アーティストの滞在先のホテル、レコード会社や音楽事務所で行われるが、カフェやレストラン、ホールの楽屋という場合もある。
 それでも時間が取れない場合は、新幹線の車中、クルマで移動するとき、リハーサルの合間のホールの階段のところ、などということもある。
 いずれにしても、臨機応変な対応を迫られる。もういろんなケースに遭遇しているため、ちょっとやそっとのことでは驚かないが、もっとも大変なのは短時間での対応だ。
 ドミンゴの場合も、しっかりした撮影を行わなくてはならなかったため、話を聞く時間が限られていた。私はいろんな媒体に書き分けをする必要があったため、あらゆる方向から質問を試み、ドミンゴも私の気持ちを察してか当意即妙のことばを返してくれた。
 海外取材は、日本での取材とは根本的に異なる。現場では、何が起きるかわからない。予測できない事態に遭遇することもしばしば。そうした場合に備え、こちらもいろんな手段を考えておかなくてはならない。
 ようやく、ドミンゴの取材記事が形になり、いまはホッとした気持ちだ。さて、3月13日はどんなコンサートになるだろうか。ひたすら待ち遠しい!
 今日の写真は、「モーストリー・クラシック」の表紙と、「BIGが語る」のページの一部。





 
  
| 終わりよければ…取材奮闘記 | 15:25 | - | -
セドリック・ペシャ
 すみだトリフォニーホールが2006年のマルティン・シュタットからスタートし、シリーズとして行っている「ゴルトベルク変奏曲」。
 第10回目の昨夜は、フランスとスイスの国籍をもつ、ローザンヌ生まれのセドリック・ペシャの登場。ジュネーヴ音楽院、ベルリン芸術大学で学び、2002年のジーナ・バッカウアー国際ピアノ・コンクールで第1位を獲得したピアニストだ。
 現在は、国際コンクールの審査員や室内楽シリーズの芸術監督を務め、欧米各地でマスタークラスも開催している。2012年にはジュネーヴ高等音楽院のピアノ科教授に就任した。
 セドリック・ペシャの「ゴルトベルク変奏曲」は、これまで聴いていた演奏とはまったく異なる。このシリーズでは、革新性を発揮したり、即興的な演奏をしたり、J.S.バッハの作品をあたかも「旅」のようにとらえたり、ジャズのイディオムを加えたりするなど、毎回個性的な「ゴルトベルク変奏曲」が登場してきた。
 しかし、ペシャの演奏は、あくまでも流麗でおだやかで、闘いの表情は微塵も顔を見せず、作品の美質を浮き彫りにする奏法。初の「リピートしない」奏法でもある。
 プログラムは、前半にフレスコヴァルディの「パッサカリアによる100のパルティータ」、ウェーベルンの「ピアノのための変奏曲」、ブラームスの「主題と変奏」「創作主題による変奏曲」という変奏曲をもってきて、しかも「曲間の拍手はご遠慮ください」というアナウンスがあり、4曲を集中して演奏。流れる清らかな水のような、春を待ち焦がれる人々の気持ちを代弁するような、また、舞曲を静かに舞い踊っているような空気を生み出した。
 そして、後半はリピートなしの「ゴルトベルク変奏曲」。非常に個性的な組み立てである。
 この日は、午前中からずっと打ち合わせやインタビューが続き、その足でホールに出向いたため、攻撃的な演奏を聴く体調ではなかった。セドリック・ペシャのピアノは、そんな私の心にゆったりと静かに語りかけてきた。約41分の「ゴルトベルク変奏曲」。シンプルな素描画のようなバッハだった。
 今日の写真は、コンサートのチラシ。

| アーティスト・クローズアップ | 23:07 | - | -
ルネ・マルタン
 今年も、ラ・フォル・ジュルネの季節が巡ってきた(5月4日〜6日、東京国際フォーラム)。
 2017年のテーマは「LA DANCE ラ・ダンス 舞曲の祭典」。ルネサンスから今日までの、600年にわたる躍動感や爆発的なエネルギーを含む舞曲やダンス音楽が会場を彩ることになる。
 今日は、アーティスティック・ディレクターのルネ・マルタンにインタビューし、今年のテーマと内容、選曲、音楽家の人選などについて聞いた。
 彼はいつも内容に関しては熱く語ってくれるが、やはり舞曲をテーマにするのは長年の夢だったようだ。
 このインタビューは、3月号と4月号の「日経新聞」に書くことになっている。
 とりわけマルタンの口調がなめらかになったのが、初出演の人、珍しい楽器、バロック時代の作品に関して。
 私もバロック時代の作品は大好きなため、話が弾んだ。
 すでにラ・フォル・ジュルネの公式サイトでは概要が発表されているため、参考にしてほしいと思う。
 今年も3日間、フォーラムの各会場では熱き演奏が朝から晩まで繰り広げられ、人々の心も躍動するに違いない。
 今日の写真は、いつもながら情熱的な語りがとどまるところを知らないルネ・マルタン。彼は小さなオーディオ・グッズを目の前に置いて、作品の話になるとすぐに音楽をかける。それが延々と止まらなくなると、インタビュー時間はどんどん短くなってしまう。
 私も、音楽は聴きたいし、時間は気になるし、これが悩むところなんだよねえ。


 
 
| 情報・特急便 | 23:48 | - | -
第19回別府アルゲリッチ音楽祭
 今日は、第19回別府アルゲリッチ音楽祭の記者発表会が、銀座の大分県東京事務所県人会ホールで開催され、その後、同ビルのなかにある「坐来大分」で大分料理をいただきながらランチ交流会が行われた。
 第19回のテーマは、「小さな子どもだったあなたへ〜私たちの星で音楽を奏でる理由(わけ)」。
 このテーマに関しては、「大切なことは目に見えない」という「星の王子さま」の中で語られるメッセージとともに、人々にとり何が大切なのかを問い、穏やかに共生していける世界への願いを音楽に託したいと思います、と説明がなされている。
 今回の大きな特色のひとつとして、「現代に望み得る最高の2大巨匠による饗宴」と題する小澤征爾とアルゲリッチの初共演が挙げられる。これは同音楽祭と水戸室内管弦楽団共同制作によるもので、5月17日にiichiko総合文化センター・iichikoグランシアタで行われる。 
 ふたりの夢の共演とあって、すでに海外からもチケットの問い合わせが殺到しているそうだ。
 ふたつ目は、「出会いから始まる音楽祭オリジナル企画として」マラソン・コンサートが再開される。これはアルゲリッチをはじめ、ベテランから新人まで、幅広い音楽家がさまざまな組み合わせで演奏をつないでいくスタイル。5月20日にビーコンプラザ・フィルハーモニーホールで行われる。
 3つ目は、「ミッシャ・マイスキー しいきアルゲリッチハウス スペシャル・コンサートVol.3」。木のぬくもりに満ちた最高の音響を誇る150席の空間で、マイスキーとピアニストの娘、リリー・マイスキーがデュオを繰り広げる。これは5月8日に予定されている。
 この他、多彩な音楽家による興味深いコンサートが多数組まれており、5月6日から26日の間に、別府以外の都市でもコンサートが開かれることになっている。
 記者発表の最後には、海外に向けて大分県民出演の歓迎PR動画が流されたが、これはYoutubuで公開されている。
 実は、3月4日に同音楽祭の会場のひとつである、しいきアルゲリッチハウスで、講演を行うことになっている。テーマは「ピアノと室内楽の楽しみ」。じっくりと内容を吟味し、参加してくださった方たちに納得してもらえるような講演を行わなくてはならない。
 今日の写真は、記者発表会でプログラムを説明する音楽祭総合プロデューサーの伊藤京子(ピアニスト)。



 あとの2枚は、「坐来大分」のとびっきり美味なる大分料理。小皿に新鮮な海の幸や山の幸が詰め込まれ、目にも鮮やか。どのお料理もヘルシーで新鮮で、味付けもとてもからだにやさしいものだった。





 音楽祭関係者は、もう来年の第20回も視野に入れ、さまざまなアイデアを練っているそうだ。別府アルゲリッチ音楽祭には県外からの聴衆もかなり多く、みなさん大分県の温泉を堪能し、美食に舌鼓を打ち、そして音楽を全身に浴びてリフレッシュするという。
 クラシックを楽しむには、そうした土地の環境も大切なのだろうと考えさせられた。ああ、「日本一のおんせん県おおいた」の温泉に早く入りたいなあ(笑)。
 
| 情報・特急便 | 22:17 | - | -
ジムでからだをほぐす
 パソコンに向かってずっと原稿を書いていると、からだがバリバリになり、眼精疲労はひどくなる一方。さらに姿勢も悪くなる。
 そこで、近くのジムに通うことにした。
 以前も、プールに行ったり、フィットネスに通ったりしたが、時間に余裕がなくて長続きしない。
 そこで、自宅から1分ほどの近いところにあるジムだったら、きっと大丈夫だろうと思い、入会することにした。
 先週、体験クラスを受講し、今日は初のトレーニング。体験クラスで指導してくれたトレーナーが担当してくれ、マンツーマンでみっちり教えてくれる。
 いろんな器材を用い、飛んだり跳ねたりすることはなく、からだの堅くなったところや血流の悪いところをじっくりほぐしていくという方法だ。
 実際に運動をしてみると、本当にからだが堅くなっていることを実感する。
「大丈夫ですよ。徐々にほぐれていきますから。ゆっくりやりましょう」
 親切なトレーナーのおかげで、1時間のコースが終了したときは、からだが軽くなり、頭もすっきりした感じ。これが長続きすればいいんだけどね(笑)。
 まあ、焦らず、じっくり、からだのケアをしましょうか…。
  
| 日々つづれ織り | 23:07 | - | -
ごごラジ! 打ち合わせ
 今日は、渋谷のホテルのカフェで、NHKラジオ番組「ごごラジ!」の打ち合わせを行った。
 以前にも書いたが、2月27日の14時から15時にR1(ラジオ第1)でナマ放送が行われるもので、内容は3月13日に来日するプラシド・ドミンゴについて話すというものである。
 担当のチーフ・ディレクターのYさんは、ドミンゴのことばかりではなく、私の経歴やこれまでの仕事にとても興味をもってくれ、いろんな質問を受けた。
 さまざまな話をしているうちに、いま自分が考えていることが明確になってきて、さらに今年は何か新しいことに挑戦したいという気持ちもむくむくと頭をもたげ、とても有意義な時間を過ごすことができた。
 最初は1時間という約束だったが、なんと2時間半も話し込んでしまった。
 これからYさんが台本を起こし、当日の本番を迎える。
 さて、どんな番組になるだろうか。
 昨年から何度もNHKの放送センターに足を運んでいるが、ほとんどの場合がナマ放送である。また、少し緊張する時間が訪れそうだ。
 
| 日々つづれ織り | 22:13 | - | -
冬大根の赤しそ酢あえ
 冬は、大根のおいしい季節である。
 以前、ブログでも紹介した赤しそ酢は、いろんなレシピに使える万能選手だが、水分の多いやわらかな冬大根ともピッタリの相性だ。
 今日は、「冬大根の赤しそ酢あえ」を作ってみた。
 まず、太めの大根10センチを千切りにする。スライサーを使うと、簡単にできる。
 赤しそ酢はしそを少し取り出してきつく搾り、みじん切りにしておく。
 あえるソースは、赤しそ酢、マヨネーズ、みそを各大さじ1、そこに蜂蜜を小さじ1〜2くらい加える。甘さ、辛さはおみそによって異なるため、少しずつ加えて味見をし、自分の好きな味にしてみてね。
 すべての調味料を混ぜ合わせたら、大根の千切りをざっくりとあえ、最後に赤しそ酢のみじん切りを混ぜ合わせ、白すりごまをパラリとトッピングしたら出来上がり。
 蜂蜜は、香りと味わいの濃厚なそばの蜂蜜を使用してみた。おみそは、愛用している新潟産を使っている。
 冬大根は辛みもなく、こうしたあえ物にすると、箸が進む。
 もちろん、お酒のおつまみには最適だが、ごはんの友としても、箸休めとしても重宝する。
 大根が余ったら、ぜひお試しくださいな。
 今日の写真は、つきだしとして出てくるような感じに仕上がった「冬大根の赤しそ酢あえ」。


 
 
| 美味なるダイアリー | 15:33 | - | -
エリソ・ヴィルサラーゼ
 ジョージア(グルジア)出身の名ピアニスト、エリソ・ヴィルサラーゼは、来日のたびにピアノ好きの心をとらえる演奏を披露し、深い感動を与える。
 私も毎回ソロやコンチェルトを聴くたびに、虚飾を排し、徹底的に作品を磨き抜いた自然かつ静かな情熱を秘めた演奏に、心をわしづかみにされるような強い衝撃を受ける。
 彼女は、インタビューなどで会うごとに、「あらあ、久しぶり。元気にしてる?」と素朴な笑顔を見せてくれ、再会を喜んでくれる。
 今日は、母校の東京音楽大学のレッスン室で会うことができた。ここでマスタークラスを行っているようで、その合間を縫ってのインタビューとなった。
 2017年は、ヴィルサラーゼの多面的な活動が日本で展開される。
 ひとつは、「ショスタコーヴィチ・マラソン」と題し、ショスタコーヴィチの弦楽四重奏曲全15曲を1日で演奏するという驚異的なプログラムを敢行し、話題となっているサンクト・ペテルブルク出身で、現在はベルリンを拠点に世界各地で活躍しているアトリウム弦楽四重奏団との共演(11月28日 紀尾井ホール)。
 プログラムは、モーツァルト、ショスタコーヴィチ、シューベルト、シューマンが組まれている。
 もうひとつは、モーツァルト、ベートーヴェン、ショパンのコンチェルトをアレクサンダー・ルーディン指揮新日本フィルとの共演により、一夜で演奏するというプログラム(11月23日 すみだトリフォニーホール)。
 今日のインタビューは、これらのコンサートについて聞きながら、彼女の音楽論や教育論、恩師たちの思い出、各々の作品との出合いやエピソードなど多角的な話を聞いた。
 ヴィルサラーゼは、一本芯の通った凛とした人である。あまり笑わないが、目はとても優しくおだやかな光を放ち、真摯な語り口が人を惹きつける。
 私は会うたびに、演奏を聴くたびに、この自然体で思慮深く、人生をまっすぐに歩んでいる精神性の高さに触れ、「ああ、同時代に生きていてよかった」という気持ちにさせられる。
 ヴィルサラーゼは、恩師のゲンリフ・ネイガウスやヤコフ・ザークの偉功を受け継ぎ、それを体現し、さらに次世代へと受け渡す役割を担っているからである。そうしたピアニストのナマの演奏に触れることができるのは、本当に幸せである。
 今日のインタビューは、「ぶらあぼ」に書くとともに、各ホールのHPや刊行物にも綴ることになっている。
 写真は、1999年にリサイタルを行ったときの紀尾井ホールのプログラムをなつかしそうに見るヴィルサラーゼ。ちなみに、アトリウム弦楽四重奏団とは初共演ゆえ、とても楽しみにしているとのこと。それから、一夜に3曲のコンチェルトを弾くのはけっして大変なことではないが、それぞれの作品の曲想や解釈、表現を弾き分けるのはとても大変だと笑っていた。


 
 
 
| 情報・特急便 | 21:46 | - | -
音の旅人
 2月1日発売の「家庭画報」3月号から、「音の旅人」と題した辻井伸行の連載が始まった。
 毎月4〜5ページのカラー連載ゆえ、彼のコンサートに同行したり、インタビューをしたり、さまざまな取材をすることになっている。
 実は、この2月のフランス、スイス、ドイツ公演の密着レポートを行う予定だったが、諸般の事情から出張はキャンセルとなった。
 編集担当者のSさんとは、以前からページ構成についてさまざまな打ち合わせを行っているが、雑誌の連載の場合かなり先の号まで内容を決めていかないとならず、その準備に多くの時間を要する。
 でも、この連載は、辻井伸行をデビュー当時から取材し続けている私にとって、とても大きな意義をもつ。
 ぜひ、彼の活動の詳細を読者に伝え、ひとりでも多くの人がナマの演奏に触れたいと思ってもらえるよう、興味深い記事を書いていきたいと思う。
 さて、今後のページ構成はどうなるのだろうか。また、Sさんとじっくり打ち合わせをしなくては…。
 今日の写真は、連載第1回目のページの一部。辻井伸行をずっと撮り続けているカメラマンのHさんの写真が全ページを彩る。

| 情報・特急便 | 21:47 | - | -
グリューワイン
 ドイツやフランスなどでは、寒い冬になるとワインと香辛料などを温めて作るグリューワインが登場する。
 これはバーやカフェ、レストランなどでも飲むことができるが、町のキオスクのようなところでも気軽に買うことができる。
 以前、極寒のドイツに取材旅行にいったとき、オフタイムにひとりでケーテンまで足を延ばした。
 駅に着いたら、ものすごい寒さでブルブル。これから町を歩くのには、かなりの勇気を要するなと思っていたところ、ふと見ると駅の売店に「gluhwein」の文字が。
 早速、1ユーロで買い求め、からだの奥まで温まった。
 なんとも安く、簡単なあったまり方だ。これで町歩きは寒さ知らずだった。
 家でも作ってみるが、気候が違うのだろうか、ワインや香辛料の違いだろうか、どうもヨーロッパの味にはならない。
 今日の写真は、ケーテンの駅構内の売店。こういうところで、ひとりでグリューワインをあおるというのも、旅の貴重な思い出である。ちょっと、日本では昼間からできないもんね(笑)。


 
 
| 麗しき旅の記憶 | 22:41 | - | -
ウィーン・フィルを語る
 海外取材は、日本でのインタビューなどとは異なり、その場でさまざまな変更が生じたり、急にキャンセルになったり、突如問題が起きたりする。
 長年、そうした現場で即座の対応を迫られることを経験してくると、まあ、ちょっとやそっとのことでは驚かなくなる。図々しくなるのだうか(笑)。
 昨秋、JALの国際便機内誌「SKYWARD」の取材でウィーンを訪れた際、ウィーン・フィルのメンバー、関係者に話を聞くことができた。
 雑誌ではあまり長く紹介するスペースがなかったため、せっかくインタビューの時間を取ってもらっていろんな話を聞いたのでもったいないと思い、ヤマハのWEB「音楽ジャーナリスト&ライターの眼」で6回連載で綴ることにした。
 私のHPの各コンテンツの左下のバナーからすぐに入れるので、ぜひ読んでくださいな。
 2016年12月22日から6回分で、今週木曜日、9日の分で最後となる。
 タイトルは、「ウィーン・フィルを語る」と名付け、各人がウィーン・フィルへの思いを語るスタイルにした。
 やはり、演奏する側とそれを支える側では、仕事もオーケストラに対する思いもまったく異なるが、全員がウィーン・フィルへの深い愛情を示している。
 今日の写真は、ウィーン・フィルの本拠地、楽友協会(ムジークフェライン)。毎年、ニューイヤー・コンサートの冒頭に登場するから、すっかりおなじみだ。ここを訪れると、どこからかウィーン・フィルの音楽が聴こえてくるような錯覚に陥る。それほど、このホールとウィーン・フィルは一体化している。




 
| 終わりよければ…取材奮闘記 | 22:32 | - | -
寺下真理子
 ヴァイオリニストの寺下真理子には、デビュー・アルバムをリリースしたときにインタビューをしている。 
 今回は約2年ぶりに会い、第2弾のアルバム「ROMANCE」(キング 2月22日発売)に関して話を聞いた。この記事は次号の「intoxicate」に掲載される予定である。
 彼女は、以前こんなことをいっていた。
「人間はそれぞれ使命をもって生まれてくるのだと思います。各々の使命が輝き、どう生きるかが重要で、私自身はヴァイオリニストですから音楽で人の心を救いたい。そのために日々練習を重ねています。人は本来、夢をたくさん抱いているのに、それが年を重ねることにより、また他者との交流のなかで壊れていったり失われたりしてしまう。その夢をあきらめないで探求し続けてほしいし、私も音楽を通して自分の夢を実現したいと願っています」
 演奏は柔らかな音色と優しい歌心、ゆったりと心に染み込んでくる弦の音が特徴だが、素顔は凛とした、一本芯の通った性格。以前は一匹狼のようなところがあると話していたが、今回は、「仕事をしていると周囲の人たちとの協調性が大切だと思う」と大きな変化を見せていた。
 新譜は、恋、愛、ロマンスをテーマした楽曲を集めたもの。ブラームスやファリャ、ラフマニノフなどの名旋律が紡がれているが、最近はロシア作品に無性に惹かれているそうで、ストラヴィンスキーやショスタコーヴィチの音楽を演奏したくてたまらないとか。
 彼女と話していると、いつもいろんな方面に話題が広がっていき、音楽以外の話にも花が咲いてしまう。
 現在は、台湾や韓国でも人気があり、アジア地域も視野に入れて活動を展開しているそうだ。
 今日の写真は、インタビュー後のワンショット。近々、ロシア作品だけのコンサートやレコーディングも期待できるかもしれない。

| 情報・特急便 | 23:15 | - | -
ベルリン・フィル八重奏団
 ベルリン・フィルの室内楽アンサンブルとして、80年以上前に結成されたベルリン・フィル八重奏団は、メンバーを変えながら長年世界各地で演奏を展開してきた。
 現在のメンバーは、樫本大進(第1ヴァイオリン)、ロマーノ・トマシーニ(ルクセンブルク、第2ヴァイオリン)、アミハイ・グロス(イスラエル、ヴィオラ)、クリストフ・イゲルブリンク(ドイツ、チェロ)、エスコ・ライネ(スウェーデン、コントラバス)、ヴェンツェル・フックス(オーストリア、クラリネット)、シュテファン・ドール(ドイツ、ホルン)、モル・ビロン(イスラエル、ファゴット)の国際色豊かな8人。
 彼らは1月19日から31日まで、2014年1月以来2度めの日本ツアーを行い、ニールセンの「軽快なセレナード」、ドヴォルザーク(シェーファー編)の「5つのバガテル」、シューベルトの「八重奏曲」を演奏した。
 今回はこのアンサンブル結成のきっかけとなった、シューベルトの「八重奏曲」のレコーディングもあり、彼ら8人にインタビューを行った。
 31日には東京オペラシティコンサートホールで演奏を聴いたが、非常に緊密で一体感のあるアンサンブルをじっくりと聴かせた。
 翌日、サントリーホールの楽屋でインタビューは行われ、映像も同時に収録された。
 なにしろ相手は8人である。よく弦楽四重奏団のインタビューを行うと、全員に平均して話してもらうのに苦労を要するが、8人となると、もうこれはひとつの質問で次々に答えてもらうしかない。
 それでも、長く話す人とほんの短いコメントの人があり、答えはまちまち。しかし、シューベルトの作品に関しては、全員が作品に関し、自身の楽器が果たす役割に関し、いいたいことは山ほどあるという感じだった。
 それが終わるとすぐに、今回のレコーディングのプロデューサーであり、ベルリン・フィルの録音を数多く手掛けているクリストフ・フランケに話を聞くことになり、場所を移してインタビューを行った。
 このCDは、リリース予定が決まり次第、また情報を流したいと思う。
 アーティストもプロデューサーも、「納得いく仕上がり」と語っていたから、きっとすばらしく内容の濃い、各楽器が雄弁な音の対話を繰り広げる録音ができ上がるに違いない。
 今日の写真は、8人にインタビューしている写真。CDのジャケットなどデザインを担当するOさんからシェアしてもらった。もう1枚は、インタビューに答えるクリストフ・フランケ。 


| 情報・特急便 | 23:42 | - | -
チョン・キョンファ
 1月28日、チョン・キョンファがサントリーホールで行った「J.S.バッハ 無伴奏ヴァイオリン・ソナタ&無伴奏ヴァイオリン・パルティータ全6曲」のリサイタルは、心の奥に響く圧倒的な存在感を放っていた。
 彼女の真摯に作品と対峙する思いが痛いほど伝わり、磨き抜かれたテクニックに支えられた、一徹な気概が横溢したリサイタルとなった。
 第1番と第2番の間に15分、第2番と第3番の間に20分を休憩をはさみ、約3時間というもの、怖いまでの集中力を維持し、ほとんどからだを動かさない奏法でバッハの内奥へとひたすら迫り、ホールの隅々まで緊迫感のある音色を響かせていった。その演奏は、何日たっても色褪せることない。
 チョン・キョンファはこのバッハを演奏するにあたり、2016年7月6日、インタビューに答えてバッハ観をことばを尽くして話している。インタビュー・アーカイヴ第73回はそのチョン・キョンファの登場だ。

[intoxicate 2016 October]

苦難のときを超え、満を持して全曲録音に挑んだチョン・キョンファのバッハ 

 幼いころから音楽に類まれなる才能を示し、「神童」と称され、特別な教育を受けて実力を伸ばしてきた韓国出身のヴァイオリニスト、チョン・キョンファ。12歳で渡米し、ジュリアード音楽院で名ヴァイオリニストたちに師事し、19歳でエドガー・レヴェントリット国際コンクールに優勝して国際舞台へと躍り出た。以来、怖いまでの集中力に富む、深い表現力に根差した完璧なる演奏は各地で高い評価を得、全身全霊を賭けて演奏する情熱的な姿勢に世界中のファンが魅了された。
 だが、2005年に指のケガに見舞われ、5年間まったくヴァイオリンが弾けない状況に陥る。この間は後進の指導にあたるなど若い音楽家の育成に尽力した。復帰は2011年12月。演奏は洞察力に富み、情感あふれる響きとなり、ヒューマンな音楽へと変貌を遂げた。いまや各地から演奏のオファーが相次いでいる。 
 2013年6月には15年ぶりの来日公演が実現、聴衆に深い感動をもたらした。さらに2015年にも来日し、4年間デュオを組んでいるケヴィン・ケナーとのデュオでベートーヴェンのソナタをじっくりと聴かせた。
 チョン・キョンファといえば、野生動物を思わせるような本能的な演奏をする人、俊敏で情熱的で一気に天に駆け上がっていくようなはげしい演奏をする人、というイメージが定着していた。しかし、インタビューではひとつひとつの質問にことばを選びながら真摯な答えを戻し、静かにゆったりと話す。ただし、時折熱を帯びてくると声高になり、早口になり、口調も音楽と同様テンションが上がっていく。
 そんな彼女が長年の夢であるJ.Sバッハの「無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとバルティータ」全6曲をリリース(ワーナー)した。
「この作品は私の人生の糧ともいうべき作品。ニューヨーク時代に14歳くらいで弾き始めたけど、本当に理解することが難しかった。特にフーガは大いなるチャレンジだったわね。全体の流れを大切に、ヴィブラートを抑制しながら弾いていく。自分のなかで各々の作品を完全に咀嚼し、音にしていく過程はとても困難だった。でも、長年に渡り、ずっと弾き続け、勉強を続けてきたわけ。今回は勇気を出して、いま演奏するべきだと自分にいい聞かせ、全曲録音に挑戦したというわけ」 
 とりわけ愛しているのが、ソナタ第3番のフーガである。フーガに関しては、当初からさまざまな悩みを抱え、あらゆる奏法をガラミアン教授から学び、自身で内容と解釈と奏法をひたすらきわめていった。ここに聴くフーガは、長年の研鑽と研究の賜物である。
「このバッハは、聴いてくれる人たちへの私からの“ギフト”なの。私が楽器を弾けない時期にバッハに救われ、音楽から贈り物を与えられたことを考え、今度は私が演奏で多くの人に贈り物を届けたいと思ったの」
 彼女は、ヴァイオリンが弾けなかった時期に、頭のなかでバッハの楽譜と対峙したという。楽器に触らず、楽譜の隅々まで読み込み、イメージを広げていく。その作業が、いまは大きな成果と役割を果たしていると語る。
「演奏家は、どうしても楽譜を深く読むことより、先に楽器を手にして弾き始めてしまう。でも、譜面をじっくり読み、頭のなかで音楽を鳴らすこと、想像すること、考えることはとても大切なことなの。楽器が弾けない時期に、私はこの精神を学んだのよ」
 ここに聴く全6曲は、楽譜の読み方を変え、作品のイメージをふくらませ、バッハにひたすら近づいた演奏。ひとつのソナタ、ひとつのパルティータがチョン・キョンファの声となり、語りとなり、歌となって聴き手の心にゆっくりと浸透してくる。
「こうした偉大な作品は、人生とは何か、なぜ私はここにいるのか、どこからきてどこへいくのか、どう生きるべきかという人生の命題を突き付けてくる。それを私は音楽で表現し、聴衆とその精神を分かち合いたいのです」
 まさに彼女の心からの“ギフト”である。

 今回の演奏中、キョンファは風邪のためか咳き込んで止まらなくなってしまった。しばらくステージで咳をしていたが、舞台袖に戻ることも、水を飲むこともせず、やがてその曲を最初から弾き始めた。
 以後、集中力はより高まり、最後まで咳はまったく出ることなく、一気に弾ききった。すさまじいまでの精神力の強さである。
 終演後、楽屋で少しだけ話をし、写真を撮ったが、疲労困憊している表情だったため写真をアップするのはやめにした。
 今日の写真は、インタビューが掲載された雑誌の一部。


 
| インタビュー・アーカイヴ | 21:18 | - | -
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