Yoshiko Ikuma - クラシックはおいしい -Blog

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レイ・チェン
 1989年生まれのヴァイオリニスト、レイ・チェンが、「20代で挑むオール・バッハ」と題するリサイタルをサントリーホールで開いた。
 プログラムは、J.S.バッハの「無伴奏ヴァイオリン・ソナタ&パルティータ全6曲」。ソナタ第1番からスタートし、パルティータ第1番、ソナタ第2番、パルティータ第3番、ソナタ第3番、パルティータ第2番という順序で演奏し、途中25分間の休憩をはさみ、18時30分から約3時間というもの、集中力に富む孤高の音楽を聴かせた。
 レイ・チェンの演奏は何度も聴いているが、今日のバッハはより成熟度を増し、圧倒的な存在感を放っていた。使用楽器は、日本音楽財団から貸与されている1715年製ストラディヴァリウス「ヨアヒム」。非常にのびやかで豊かにうたう響きを備えた名器である。
 プログラムの最後はパルティータ第2番だったが、有名な「シャコンヌ」に至ると、とても力強く豊潤な歌が奏でられ、ようやく長大で厳格な孤独の旅が終わりを告げ、音楽が自由に天空に舞い上がっていくようだった。
 明日は、その日本音楽財団にいき、レイ・チェンにインタビューをすることになっている。
 今日の写真は、圧巻の長い音楽の旅を終えて、汗びっしょりのレイ・チェン。その楽屋の外には、CDのサイン会を待つ人々の長蛇の列。楽屋のドアの横からず〜っとホールのロビーの先まで列が続いていた。

| クラシックを愛す | 23:42 | - | -
クラウス・フロリアン・フォークト
 東京・春・音楽祭―東京のオペラの森2018―のプログラムが発表となり、4月5日と4月8日に東京文化会館大ホールで、「東京春祭ワーグナー・シリーズvol.9」として、「ローエングリン」の演奏会形式/字幕・映像付全3幕をドイツ語上演することになった。
 指揮はウルフ・シルマー、ローエングリンはクラウス・フロリアン・フォークトがうたう。
 この上演に際し、来日中のフォークトにインタビューを行った。フォークトは昨日、「タンホイザー」の最終公演を終えたばかり。そして今日はインタビュー後に、10月1日に行われる「NHK音楽祭2017」のキリル・ペトレンコ指揮バイエルン国立管弦楽団特別演奏会「ワルキューレ」のリハーサルが控えていた。
 それゆえインタビューは時間がなく、巻きの状態。撮影もあるため、すさまじい状態となり、フォークトは「申し訳ない、本当にごめんなさい」とあやまりながら、リハーサルへと飛び出していった。
 ただし、私は聞くべきことは早口でガンガン聞き、足りない分はドイツ語通訳のKさんに託して、リハーサル後に追加質問してもらうことにした。
 このインタビューは「ぶらあぼ」に書くことになっている。「ローエングリン」に関して、役どころ、各地の歌劇場での演奏、演出について、最初にうたったころから現在までの変遷などを書く予定である。
 フォークトは、今回共演しているキリル・ペトレンコを評して「非常に効率のよいリハーサルの仕方で、いつもとても勉強になり、学ぶことが多い」と語っていたが、フォークトのインタビューの答えも非常に効率がよく、内容が充実していて、短時間でもすぐに文章がまとまりそうな感じである。
 何より、真摯で率直でおだやかで知的で、一緒に仕事をした人がみな彼の人間性を称賛するが、それがとてもよくわかる。
 それにしても、連日ハードなスケジュールをこなしているのに、「大丈夫、疲れてはいないよ」とさわやかな雰囲気。すごいよねえ、このエネルギー。
 また、来年は「ローエングリン」のほかにも、リートの演奏も予定されているそうだ。以前、シューベルトの「水車小屋の娘」を聴いたが、いまは「冬の旅」とシューマンの作品を集中的に学んでいる最中とか。
 こちらも楽しみ。フォークトのリートはとても心に響くからだ。
 今日の写真は、インタビュー中の1枚。ことばを尽くして一生懸命話しているところ。


 
 
 
 
| 情報・特急便 | 23:03 | - | -
宮田大
 今日は、浜離宮朝日ホールで宮田大のチェロ・リサイタルが行われた。
 これはCD第3弾リリース記念コンサートで、ピアノは録音で共演しているジュリアン・ジェルネがパリから駆け付けた。
 プログラムはCDの収録曲がメインを成し、これにドビュッシーのチェロ・ソナタ ニ短調と、ドヴォルザークの「森の静けさ」が加わり、宮田大とジュリアン・ジェルネの息の合ったデュオを存分に披露した。
 実は、以前のブログにも綴ったが、このライナーノーツを担当したため、音源は何度も耳にしていた。それらの作品をナマで聴くことを非常に楽しみにしてホールに出向いたが、やはり、ふたりの呼吸はピタリと合っていた。
 彼らは2011年からの付き合いだそうで、宮田大がジェルネのことを「ベストパートナー」と明言するように、ふたりの作り出す音楽はお互いの信頼と絆が感じられ、本番のステージでは多分に即興性も含んでいた。これが、ナマの演奏を聴く一番の醍醐味だと思う。
 今回の新譜は、「木洩れ日」(N&F)と名付けられている。宮田大がこだわったタイトルであり、CDの帯には「音楽は、日に時に、うつろう木洩れ日のよう。いま見た光、また遭う光―」と記されている。
 フォーレ、グラズノフ、ピアソラ、サン=サーンス、ファリャ、カッチーニ、ブルッフのよく知られた名曲、情感豊かな小品が多彩な光を放っているようだ。
 今日の写真は、終演後のふたり。そしてもう1枚は、木洩れ日のような雰囲気にデザインされたCDのジャケット(10月10日発売)。





 
 
| クラシックを愛す | 23:31 | - | -
新譜の届く時期
 毎月、中旬から下旬にかけて、レコード会社各社から新譜が送られてくる。
 それをひとつずつ選り分け、新譜紹介やレビュー、ニュース、情報などを書くものとして整理していく。
 実は、これがとても時間のかかる仕事なのである。
 もちろん、すぐに聴いてみたいものがあり、整理どころか即座に音出しの状態となる。
 新譜をじっくり聴く時間というのは限られているため、たとえば京都に行く新幹線のなかで聴くということも多い。
 来日記念盤もあり、そういうCDは、コンサート前にいち早く聴いておかなければならない。そして、コンサートに期待がかかるというわけだ。
 今日の夕方、久しぶりにジムにいってからだを動かし、トレーナーのHさんに、「まだこれから仕事ですか?」と聞かれた。
「ええ、新譜がたくさん届いているし、それを聴いて原稿を書かなくてはならないので、夜遅くなると思う」と答えると、あきれたような、困惑したような表情をされた。
「本当は、ストレッチをきちんとしたので、からだを休めるといいんですけどね」
 そりゃあ、もう十分にわかっています。でも、締め切りはそんなに延ばせないし、録音を聴く時間も必要。だから、いつも夜中になってしまうんだよね。
 さて、明日と明後日はインタビューが続く。
 その準備もしないとね。やれやれ、やっぱりストレッチの効果は薄まっちゃうかな…。
 
 
| クラシックを愛す | 22:03 | - | -
マティアス・ゲルネ
[ヤマハWEB「音楽ジャーナリスト&ライターの眼」]2014年7月23日

[アーティストの本音トーク マティアス・ゲルネ ]


 マティアス・ゲルネはひとつの歌曲をうたうとき、徹底的に作品を研究し、歌詞の内容に寄り添い、ピアニストとの音の融合を図り、旋律と詩との有機的な結びつきを極めていく。
 そこには完璧主義者としての顔がのぞく。それは子ども時代に培われた性格なのだろうか。
「子ども時代はワイマールで過ごしました。とても自由で、いま思い出してみると、独特の空気に包まれていたような感じがします」
 ゲルネはこういって、目を遠くに泳がせるような表情をした。それは自身の思い出をたどっているようにも見えた。
「ごく最近、おもしろいことがあったのです。母が1枚の古い写真を送ってくれたのですが、もうそれを見た途端に爆笑してしまいましたよ。すっかり忘れていたんですが、急にそのときのことが鮮やかに蘇ってきました」
 それはゲルネが3歳のころの写真で、幼稚園のカーニヴァルに参加したときのものだった。その日は、みんなが仮装することになっていた。
「母は私に“何になりたいの“と聞きました。インディアン、カウボーイ、パイロットなどと聞くのですが、私はいやだいやだといったんです。どれも私か着たいコスチュームではありませんでしたから。母は困惑して、”じゃ、いったい何になりたいの“と聞きました。すると私は、はっきり”赤ずきんちゃん!”といったのです。母は驚いて“な〜に、本当に赤ずきんちゃんがいいの”と再度聞きました。私はハイと答え、赤ずきんちゃんのコスチュームを着てカーニヴァルに参加したわけです。母が送ってくれたのは、そのときの写真だったんですよ(笑)」
 ゲルネの話を聞いた途端、インタビューに居合わせた全員が大笑いし、しばらく笑いが止まらなかった。ぜひ、その写真を見せてほしいものだ。
 体躯堂々としたゲルネが、幼少時代に「赤ずきんちゃん」に変装したとは、想像を絶する。彼はそんな子ども時代を「独特の空気」ということばで表現したのだろう。
「すごくいい子ども時代だったと思います。私の要望したことがそのまま“いいよ”といわれる環境だったわけですから。子どもというのは、はっきりした希望をもっているため、それが受け入れられることがとても重要になります。私はけっして子どもらしさの芽を摘まれることがなかったのです。そう、折られることがなかった。親が子どもに何かを強制したり、否定したりすることがなかったんです」
 それはライプツィヒで最初に師事した声楽の先生、ハンス=ヨアヒム・バイヤーの教えにも共通していたことだという。
「先生は、お前はダメだとか、個性をいじる人ではありませんでした。何が正しいか、何が正しくないかを教えてくれ、まちがっていることははっきり指摘されました。私は子どものころからとてもわがままな性格で、一度いやだと思ったら絶対に引かない。そんな私を先生はよりよい方向へと導いてくれました」
 そうした子ども時代に培った精神は、いまなお彼の仕事ぶりに現れ、シューベルトの録音シリーズでも大いに発揮されている。
 さらに次なる大きなプロジェクトとして、シューベルトの「冬の旅」を京都賞を受賞した南アフリカの美術家、ウィリアム・ケントリッジの映像とのコラボレーションでうたうという計画も進められている。
 これは6月9日にプレミエが行われ、ウィーン、エクサンプロヴァンス、アムステルダム、パリ、ニューヨーク、ドイツの各都市などで5年間にわたって展開されるプロジェクト。ドイツ・リートの新たな地平を拓くゲルネの挑戦は、ここからまた快進撃が続く。
「このプロジェクト、ぜひ日本でも実現させたいんですけどね」
 目力の強いゲルネの表情が、なお一層強い光を放って見えた。
 



| インタビュー・アーカイヴ | 14:59 | - | -
マティアス・ゲルネ
[ヤマハWEB「音楽ジャーナリスト&ライターの眼」]2014年7月17日

[アーティストの本音トーク マティアス・ゲルネ ]

 マティアス・ゲルネは自身が完璧主義者ゆえ、リートで共演するピアニストに対しても非常に要求が高い。実際に、ピアニストにはどんな演奏を希望するのだろうか。
「私はピアニストではないし、あまりピアノは上手ではないのですが、これまで数多くのすばらしいピアニストとの共演を重ねてきましたので、ピアノに対する理解は深まっています。テクニック面では何もいえませんが、結局、ピアノの技術というのはその人の内面がすべて現れるものだと思います。その内面と私の音楽に対する姿勢が、お互いに正しいものだと判断できれば、多くのことが可能になるわけです」
 ゲルネは2001年から2005年までデュッセルドルフのロベルト・シューマン音楽大学で名誉教授を務め、歌曲科で教鞭を執っていたこともあり、そのときにも声楽専攻の学生とともにピアノ専攻の学生による演奏も多数聴いている。そうした経験を踏まえ、ゲルネは「指導するときは、歌手のみならず広い視野に立って教える」という。
「実は、3週間後にハンブルクでコンサートが予定されているのですが、そこにとても才能のあるヴァイオリニストがピアニストとやってくるため、その指導をすることになっています。もちろん、私はヴァイオリニストではないため、弦楽器の技術は教えられませんが、彼らと一緒にヴァイオリン作品の勉強をします。フレージングやアーティキュレーションに関しては、いずれの作品にも共通項がありますからね。豊富な経験と、楽譜の深い読み、そして豊かな音楽性をもった音楽家は、作品全体を見渡す目が備わっているものです。そうした目は、ひとつの作品の大きな鳥瞰図を描くことができます。私はそれを目指しているのです。指揮者がコンチェルトの演奏でピアニストやヴァイオリニストとともにいい音楽を作り出そうとするのは、そうした考えに基づくもので、そこでは指揮者の解釈が問われます。私もそれと同様のことを試みようとしているわけです」
 ゲルネは、2008年からシューベルトの歌曲を網羅した録音プロジェクトを実践している。これは全11巻で構成され、巻ごとに彼が信頼を寄せているピアニストと共演する形を取っている。現在は8巻まで進行し、2014年秋には「冬の旅」がリリースされる予定だ(キングインターナショナル)。
「このプロジェクトは私がすべて計画し、レコード会社に提案しました。ピアニストに関しても、この巻はこのピアニストというように決めてアイディアを出したのです。各巻のプログラムは、ピアニストに合わせて作ったといった方が的確かも知れません。長年、多くのピアニストと共演していますし、よく知っている人ばかりですから、この曲はこの人だな、とわかるのです」
 ピアニストのスケジュールもあるのだろうが、ゲルネはあらかじめこの人と決めて事後承諾で計画を進めたそうだ。この強引とも思えるほどの実行力、確固たる自信、積極性、説得力など、ゲルネの「自分を信じる」「正しいと思うことをする」という信念は、いっさい迷いがない。その強い気持ちが全面的に演奏に反映し、聴き手を納得させてしまう。
 さて、次回の最終回は爆笑ものの子ども時代の話と、次なる夢を語ってもらいたいと思う。

 今日の写真は、2016年2月の来日公演で共演したピアニスト、アレクサンダー・シュマルツと。


| インタビュー・アーカイヴ | 14:25 | - | -
マティアス・ゲルネ
[ヤマハWEB「音楽ジャーナリスト&ライターの眼」]2014年7月10日

[アーティストの本音トーク マティアス・ゲルネ ◆

 マティアス・ゲルネは、シューベルトの3大歌曲のなかでは、「美しき水車小屋の娘」をもっとも遅く勉強したという。
「私は3大歌曲のうち、《冬の旅》から勉強を始めました。そして《白鳥の歌》へと歩みを進めたのです。なぜ、私が《美しき水車小屋の娘》を最後に勉強したかというと、学生のころから数多くの録音を聴いてきたのがその理由です。それはペーター・シュライヤーであり、フリッツ・ヴンダーリヒであり、またディートリヒ・フィッシャー=ディースカウのうたうものでした。それらはもちろん名盤と称されるものです。でも、私にとっては、何か違うなという感じがぬぐえなかった。それらをあまりにも聴き過ぎて、自分の解釈というか、切り口が見出せなくなってしまったのです。ですから、容易に取り組めない状態になってしまったわけです」
 ゲルネは、とても心情的に複雑だという表情をした。名盤を聴き過ぎたために、かえってシューベルトの名曲に近づけなくなってしまった。彼はその胸の内を、ことばを尽くして説明してくれたが、これはひとことでいい表すのはとても難しいことである。
「この歌曲集は3つのなかでもっともドラマティックな作品だと思います。これは極端といいかえた方がわかりやすいかも知れません。ドイツ語でいうと、ドラマティックは劇的なという意味合いと同時にはげしさ、究極的な、という意味も含まれます。実は、私は《美しき水車小屋の娘》の主人公の幼稚さに共鳴できなくなってしまったのです。ですから、自分の切り口というか、入口が見つけられなくなってしまったというのが正直な思いです」
 作品にそこまで強い思い入れがあり、自身の感情と向き合い、歌詞の内容を検証していく。そこにはゲルネのリート歌手としてのひたむきな気持ち、誇り、そして完璧主義者ならではの姿勢が見える。
「私は偉大な歌手に師事していますが、彼らとはシューベルトの3大歌曲は勉強していません。シュヴァルツコップともフィッシャー=ディースカウとも、一度もこれらの作品を学んでいないのです。なぜなら、これらのリートは自分で発見し、自分の世界を作り上げるものだと考えているからです」
 ゲルネのことばは確信に満ちていた。彼は演奏もそうだが、語り口にもいっさいの迷いが感じられない。率直でストレートで、明快である。その後、彼は「美しき水車小屋の娘」に取り組むようになり、今回のステージでも披露され、録音も行っている。
「私はシュヴァルツコップやフィッシャー=ディースカウからは、自分自身の感情を前面に押し出すのではなく、あくまでもテキストと楽譜に忠実に従うことの大切さを学びました。楽譜に対しての敬意ですね。その教えがいまでも私の基礎となっているのです」
 
 
| インタビュー・アーカイヴ | 11:41 | - | -
マティアス・ゲルネ
 いま、「タンホイザー」でヴォルフラムをうたっているマティアス・ゲルネは、これまで何度か来日し、そのつどオペラやリサイタルで聴き手の心の琴線に触れる歌声を披露してきた。 
 そこで「インタビュー・アーカイヴ」第75回はゲルネの登場。今日から4回に分けて、全文を紹介したいと思う。

[ヤマハWEB「音楽ジャーナリスト&ライターの眼」]2014年7月3日


[アーティストの本音トーク マティアス・ゲルネ  

 いま、オペラとドイツ・リート(歌曲)の表現者として世界中から熱い称賛の目を向けられているのが、ドイツのバリトン、マティアス・ゲルネである。彼の歌声は弱音の繊細な響き、歌詞の的確な発音、表現力の深さ、作品の内奥を極める洞察力などで知られる。
 今回から4回にわたり、ゲルネの本音トークをお届けしたいと思う。
 マティアス・ゲルネはワイマールに生まれ、やがてライプツィヒでハンス=ヨアヒム・バイヤーに師事して声楽の基礎を学んだ。特筆すべきは、歴史に名を残す偉大な声楽家、エリーザベト・シュヴァルツコップとディートリヒ・フィッシャー=ディースカウに師事したことで、ふたりからドイツ・リートの真髄を学んでいる。
 そのマティアス・ゲルネが、5月に来日公演を行い、紀尾井ホールでシューベルトの3大歌曲連続演奏会―「美しき水車小屋の娘」「冬の旅」「白鳥の歌」を行った。
 ゲルネはこれらの作品をこれまで各地で数多くうたい、録音も行っている。彼はリートの場合、ピアノとの音の融合に重きを置いているが、今回の来日公演でも長年ともに演奏している盟友のピアニスト、アレクサンダー・シュマルツとの絶妙な音の対話を披露し、さらに両者はシューベルトのそれぞれの歌曲集の主人公を浮き彫りにすべく、視覚的な演奏を繰り広げた。
 ゲルネは長年にわたり、シューベルトの3大歌曲の研究を行い、完璧なる美を目指して日夜これらのリートと対峙し、ゲルネにしか表現できない強い個性に裏付けられた歌を生み出すことをモットーとしている。
「私はシューベルトの3大歌曲を単独ではなく、ひとつのかたまりとして続けてうたうことに意義を見出しているのです。ライプツィヒで最初に就いたバイヤー先生は声楽家としてのうたい方を教えるのではなく、何が正しくて何がまちがっているかということを詳しく教えてくれました。ですから、私はいまでもその教えに従い、常に自分が正しいと思うことをしたいと考えています。具体的には、自分がいまもっともうたいたい作品を選び、そのなかで自分を解放し、歌詞の発音、曲の理解を完璧に行いたいと思っています」
 リートのステージでは、各曲の詩に寄り添い、それらの主人公の気持ちになりきり、ピアノ伴奏とは密接なコミュニケーションをとりながらも、あたかもひとり芝居のように身振り手振りを加えながら演技を盛り込んでいく。そこには特有の世界が広がり、ゲルネが編み出す空気が会場全体を満たしていく。
「私が師事したシュヴァルツコップとフィッシャー=ディースカウは、歌詞の母音の発音に対する“色″というものの大切さを教えてくれました。シューベルトもシューマンもマーラーも、それぞれの歌曲にはその作曲家ならではの特別な色彩が潜んでいるのです。私はその教えを忠実に守り、豊かな″色″を自分の声で生み出すようにしています」
 
 今日の写真は、インタビュー後の1枚。からだに厚みがあるのがわかるよね(笑)。この体躯堂々とした全身から、あのやわらかな情感あふれる歌声が生まれ出る。


| インタビュー・アーカイヴ | 16:40 | - | -
「タンホイザー」初日
 昨日、15時からNHKホールでバイエルン国立歌劇場2017のワーグナー「タンホイザー」が幕を開けた。
 今回、初来日のキリル・ペトレンコの指揮は想像をはるかに超えたすばらしさで、まず、序曲からオーケストラの緻密な表現に驚かされた。
 これまで何度もこのオーケストラの演奏は聴いてきたが、指揮者が変わるとこんなにも演奏が変貌するものかと、まさにペトレンコの魔力にかかった感じだった。
 もちろん、歌手陣も全員がオーケストラと一体化し、もてる最大限の実力を発揮、くわえて合唱が底力を発揮した。
 ペトレンコは合唱指揮者にすべて任せることはせず、自分でできる限りのリハーサルを行ったそうだ。
 先日の記者会見で、彼は「リハーサルがすべて」と語っていた。来日してからずっと時間をかけてきびしいリハーサルを行っていたというが、その成果は、本番のステージで見事な大輪の花を咲かせた。
 この公演評は、「公明新聞」に書く予定にしている。
 オペラは長丁場である。しかし、第1幕75分、休憩40分、第2幕70分、休憩40分、第3幕60分という長時間の舞台でも、演奏は一瞬たりとも弛緩することなく、緊迫感と集中力に満ち、会場も水を打ったような静けさに終始した。
 今日の写真は、記者会見での主役の4人。
 タンホイザーのクラウス・フロリアン・フォークト。2017年のバイエルン国立歌劇場での新演出の「タンホイザー」は、大成功のロール・デビューとなった。フォークトは、後半になるにつれて声がどんどん出てくるようになり、圧倒的な存在感を示した。



 エリーザベトのアンネッテ・ダッシュ。舞台映えする美しい容姿と、華麗で清涼で情感あふれる歌声が役柄にピッタリ。



 ヴェーヌスのエレーナ・パンクラトヴァ。ワーグナーにはなくてはならない、強靭でのびやかな歌声の持ち主。



 ヴォルフラムのマティアス・ゲルネ。彼のやわらかく叙情的で、しかも浸透力の強いバリトンは「特別な声」である。一番の聴かせどころ「夕星の歌」も、けっして力を入れすぎず、自然でテキストに忠実な歌唱だった。



 一日たったいまも、私の脳裏にはペトレンコの力量に圧倒された序曲の美しいテーマと、「夕星の歌」の旋律がずっと居座っている。
 
| クラシックを愛す | 22:41 | - | -
安曇野の野菜と果物
 シーズンが始まり、連日コンサートやインタビュー、締め切りなどに追われ、ドタバタしていたら、松本に住む親友のTちゃんから「安曇野の野菜と果物を送るね〜」と連絡が入った。
 そして今日の午前中、届きました。信州の空気とともに、色とりどりの秋の味覚の入った箱が…。
 開けてみると、スタークリムソンペアーとバートレットという、初めて聞く名前の洋梨、シナノピッコロというかわいいりんご、それにローリエの葉とドライフルーツの巨峰レーズンと同じくドライフルーツのあんずが入っていた。そして、特筆すべきは、本ワサビが一緒に入っていたことである。
 う〜ん、これはいいおさしみを見つけてこなくっちゃね。この本ワサビを見ただけで、もう心はお魚屋さんに飛んでいる(笑)。
 まさに安曇野の初秋の風が吹いてくる感じだ。ナマの果物は、色づくまで少しだけ常温に置いておく方がいいと書いてある。
 Tちゃんによれば、今回の野菜と果物は、スイス村の隣に昨年オープンしたハイジの里で購入したものだそうだ。
 いいよねえ、こういう新鮮な野菜や果物がすぐに手に入るなんて。
 今日の写真は、届いたばかりの安曇野のフレッシュ食材。これらを眺めながら、いろいろレシピを考えていると、疲れがパーッとどこかに飛んでいく感じ。


 
 
 
| 美味なるダイアリー | 23:19 | - | -
クラウス・フロリアン・フォークト
 明日からいよいよ「タンホイザー」が始まる。
 そこで、「インタビュー・アーカイヴ」第74回は、クラウス・フロリアン・フォークトの登場。「タンホイザー」のタイトルロールをうたう。

[日経新聞 2012年6月28日 夕刊]

聴き手を別世界へといざなうテノール、
クラウス・フロリアン・フォークト


 この6月、新国立劇場でワーグナーのオペラ「ローエングリン」が全6回上演された。主役をうたったのは、いまヨーロッパで大ブレイクしているヘルデン・テノール(華麗さと量感をもってオペラの英雄的役割をうたうテノール)、クラウス・フロリアン・フォークト。ドイツ出身の彼はハンブルク・フィルの第1ホルン奏者としてキャリアをスタートさせたが、声のすばらしさを見出され、やがて歌手に転向した。

10年かけて役を磨く

 オペラ歌手として活動を開始したのは1997/98年シーズン。フレンスブルク歌劇場で腕を磨き、やがて国際舞台へと飛翔していく。「ローエングリン」をうたったのは10年前。エアフルトの歌劇場が初めてだった。
「最初はオーケストラとのやりとり、指揮者や演出家の指示など、さまざまな面での対処が難しかった。この役は長時間にわたり声のコントロール、体力、精神面など多くのものを要求されます。ワーグナーは声の色彩、歌詞の発音、ダイナミズムなどすべてにおいて幅広いものを求めて作品を書いています。それを10年かけて一歩一歩経験のなかから会得してきました」
 
チームプレイを好む

 今回の「ローエングリン」では、声の響き、歌詞の表現、演技などあらゆる面で傑出し、聴き手を異次元の世界へと運ぶ幻想的な舞台を作り上げた。10年の成果がそこには宿っていた。
「私のモットーは毎回異なる歌を披露すること。いつも新鮮な気持ちで舞台に臨み、2度と同じ演奏はしません。それがオペラの醍醐味ではないでしょうか。うたっている間は日常生活から切り離され、別世界へと旅に出ているような気分。聴いてくださるかたと一緒に旅に出るわけです。オペラは始まってみないとどんな演奏になるかわからない。その日の調子が物をいうからです。共演者とみんなでひとつの物を作り上げていく、そこに一番の魅力を感じます。私はチームプレイが大好きで、オーケストラで演奏しているときも楽しかったのですが、いまも毎回演奏を心から楽しんでいます」
 フォークトはこれまでモーツァルト「魔笛」のタミーノからコルンゴルト「死の都」のパウルまでさまざまな役をうたってきたが、それらの得意とする役を1枚のCDに収めた。題して「ヘルデン」(ソニー)。ここには本人が何度も口にする、「声と表現の幅広さ」を要求される役が詰まっている。
「私は楽譜に書かれた音符をこまかく見ていくようにしています。付点音符から休符まで、作曲家が意図したことは何かと探求していく。そして呼吸法も大切です。ホルンを吹いていましたから歌手になったときは呼吸法の訓練がずいぶん役に立ちました」 
 来春の「東京・春・音楽祭」では、「ニュルンベルクのマイスタージンガー」のヴァルターをうたう予定。これもフォークトの当たり役である。
「ワーグナーは声のために作られた作品が多い。楽譜に忠実にうたうと、なんと歌手にとって自然な曲なのだろうと感動を覚えます。来年、よりうたい込んだヴァルターを聴いてください」

 このインタビューから、はや5年。そのフォークトが、テノールの難役といわれるタンホイザーに挑む。ワクワクする思いだ。
 今日の写真は、新聞の一部。いつもふわりとした長髪だが、今回の来日記者会見でも、素適なヘアスタイルだった。

| インタビュー・アーカイヴ | 18:58 | - | -
バイエルン国立歌劇場2017日本公演記者会見
 今秋の大きな話題となっている、バイエルン国立歌劇場の来日公演。9月21日、25日、28日はワーグナーの「タンホイザー」(NHKホール)、23日、24日、27日、29日はモーツァルトの「魔笛」(東京文化会館)が上演される。
 今日は、同歌劇場総裁のニコラウス・バッハラー、同歌劇場音楽総監督、「タンホイザー」の指揮を担当するキリル・ペトレンコ、「タンホイザー」のタンホイザー役のクラウス・フロリアン・フォークト、エリーザベト役のアンネッテ・ダッシュ、ヴェーヌス役のエレーナ・パンクラトヴァ、ヴォルフラム役のマティアス・ゲルネが開幕記者会見を行った。
 バイエルン国立歌劇場は、6年ぶり7回目の来日公演となる。初来日は1974年、すでに40年以上前のこととなり、その間、来日ごとに強い印象をもたらす演奏を披露してきた。
 今回、ペトレンコは初来日。インタビューに応じないことで知られているが、その理由を聞かれると…。
「日本だけではありません。世界のどこでもインタビューには応じていません。私は、自分の仕事について語ることはしない方がいいという考えなのです。指揮者は、音楽を伝えるのはことばではなく演奏で伝えるべきだと思うからです。それに、指揮者は秘密があった方がいいでしょう」
 これまで肉声で語った記事を読んだことがなく、インタビュー嫌いで知られていたため、とても気難しいタイプを想像していたのだが、ペトレンコはとてもおだやかで優しい表情をしている。話し方もごく自然で、表情豊かである。
 今日の記者会見では、バッハラー総裁が4人の歌手を紹介する役目を担い、それぞれの歌手が「タンホイザー」への抱負を語った。
 全員が、自身の役柄に対して非常に責任と誇りを抱き、日本でうたえることに大いなる喜びを感じていると話した。
 ペトレンコは今回初来日ゆえ、質問が集中。彼自身の音楽に対峙するときのモットーは、「リハーサルがすべて」。リハーサルを存分に納得いくまで行えば、本番はもう自分は何もすることがないとまでいい切った。
 これを受けて、フォークトやゲルネもみな「ペトレンコのリハーサルではたくさんのことを学べる。彼ほど楽譜とテキストを正確に深く読み込む指揮者はいない。リハーサルはすばらしく効率的で内容が濃く、1分たりとも無駄な時間はない」と口をそろえた。
 ペトレンコは、録音よりもライヴが重要で、生きた音楽こそ価値があり、その場でしか味わえない音楽を聴いてほしいと力説。
 バッハラー総裁も、世の中はどんどん進歩し、オペラのライヴ配信なども発達しているが、歌劇場に足を運んでぜひライヴを堪能してほしいと語った。
 明日からリハーサルが始まり、いよいよ21日に「タンホイザー」が幕開けする。キリル・ペトレンコの手腕に期待が高まり、すばらしい布陣の歌手陣に注目が集まる。
 今日の写真は、記者会見の様子と、ペトレンコ。
 ペトレンコは初めての日本だが、数日いただけで、「もう日本食のおいしさにまいってしまって…」と笑っていた。






 
 
| 情報・特急便 | 22:14 | - | -
ブッフビンダーのリサイタル延期
 台風の影響により、明日14時から大阪のいずみホールで開催されるルドルフ・ブッフビンダーのリサイタルが延期となり、18日の14時に開催される運びとなった。
 先日のブログにも書いたように、このリサイタルを聴くために昨日から京都入りしていた私は、18日には東京に戻らないとならないため、台風を避けて早めに帰京。
 なんだかドタバタと移動し、新幹線に乗っている時間だけが長く感じられた。
 しかし、自然の驚異にはだれも逆らうことはできない。
 というわけで、せめて何かおいしいものでも食べようと、京都伊勢丹に入っているてんぷらの「天一」で、かき揚げ丼をいただいた。
 京都伊勢丹は創立20周年を迎え、いまさまざまな催しを行っている。このかき揚げ丼も、期間限定だそうで、小エビがこれでもかと入った逸品だった。
「天一」は、たれ(てんつゆ)の味がとても自然でちょうどいい辛さ。
 いつもはカウンターでいろんなものを目の前で揚げてもらいながらゆっくりいただくのだが、今日はランチだったため、このかき揚げ丼にした。
 やはりおいしくて、胃にもたれないやさしい味わいだった。
 今日の写真は、開店20周年の限定かき揚げ丼、しじみのお味噌汁と京漬物付き。
 残念ながら、ブッフビンダーを聴くことも、いずみホールを訪ねることも、ゆっくり京都で過ごすこともできなかったが、台風だから仕方がない…。


 
| 情報・特急便 | 23:09 | - | -
アンジェラ・ヒューイット
 昨夜は、紀尾井ホールにアンジェラ・ヒューイットのリサイタルを聴きにいった。
 これは、先日もブログに書いたように、4年間に渡って世界各国で演奏する「バッハ・オデッセイ」の一環で、この夜は「パルティータ第3番」、「パルティータ第5番」、「パルティ(パルティータ) イ長調」、「パルティータ第6番」というプログラム。
 長年バッハをじっくり演奏しているヒューイットの演奏は、からだのどこにも力の入らない、とても自然なピアニズム。バッハのさまざまな書法が、簡潔に明快に伝わってくる。
 いずれの作品も、隅々まで神経が張り巡らされた演奏だが、かといって小さくまとまらず、全体を俯瞰する大きな目が存在する。
 なにより、演奏する姿勢が美しい。背筋をピシッと伸ばし、余分な力を入れることなく、強音も鍵盤を強くたたかず、深く響かせる。
 このシリーズ、次回の来日公演は、2018年5月22日と23日、紀尾井ホール。
 来年もぜひ上質なバッハを聴きたい。
 今日の写真は、演奏後のアンジェラ。ステージ衣裳は、スリムなパンツにモノトーンの美しいブラウス。まさにバッハを表現している。

| クラシックを愛す | 15:00 | - | -
ヴァレリー・アファナシエフ
 長い間、「音楽を語ろうよ」のコーナーの更新ができなかったが、ようやくヴァレリー・アファナシエフの記事をアップすることができた。
 来月は来日公演もあり、新譜もリリースされる。
 ぜひ、サイトに寄ってくださいね。
| 情報・特急便 | 08:47 | - | -
ローレンツ・ナストゥリカ
 セルジュ・チェリビダッケのオーディションに受かり、1992年からチェリビダッケが亡くなる1996年までの4年間、ミュンヘン・フィルのコンサートマスターとして巨匠とともに演奏してきたローレンツ・ナストゥリカ。
 今日は、来日中のナストゥリカにインタビューを行い、チェリビダッケの思い出、その音楽性、巨匠の素顔、リハーサルの様子から、現在のミュンヘン・フィルの活動まで、さまざまな話を聞いた。
 ナストゥリカは体格が非常によく、陽気で大声でよくしゃべる。一度、興味のある話題に触れると、ずっと話していて、止まらなくなる。
 チェリビダッケをずっと敬愛し、彼の音楽と教えを守り続け、ミュンヘン・フィルの次世代のメンバーにも継承していきたいと、熱弁をふるった。
 チェリビダッケ指揮ミュンヘン・フィルの録音は、彼が録音をあまり好まなかったったため、そう多くはないが、これから徐々に貴重な録音がリリースされる予定である(ワーナー)。
 チェリビダッケに関しては興味深い話がたくさん飛び出し、時間が足りないほどだった。
 もちろん、ナストゥリカ自身のキャリアや現在のオーケストラの様子も話題となり、いまのシェフ、ワレリー・ゲルギエフとの絆についても話に花が咲いた。
 このあと、音楽仲間と焼肉を食べにいくことになっているそうで、「早く食べたい、たくさん食べたい、ああ、待ち遠しい」と、途中からそればかり。
 いろんな話を聞いたからいいけど、1時間近くたったら、「これで、おしまい!」と自分からインタビューを切り上げ、「焼肉、焼肉」と明るく叫びながら、部屋をあとにした。
 ナストゥリカの話を聞いていると、いまのミュンヘン・フィルの演奏をすぐにでも聴きたくなる。それほど、このオーケストラの特質を自慢げに話してくれた。
 このインタビューは、「CDジャーナル」に書く予定になっている。数々の興味深い話が出たため、すべて書きたいが、さて、ページはどのくらい取れるだろうか…。
 今日の写真は、ブログ用の写真を撮ろうとしたら、さっと「CDジャーナル」を抱えてポーズ。サービス精神旺盛である。
 さすがに長年ミュンヘン・フィルのコンサートマスターを務めているだけあって、人を惹きつけ、場をなごませ、空気を変える力を有する。今後の録音が楽しみである。すごいシリーズが予定されているんですよ。


 
| アーティスト・クローズアップ | 23:33 | - | -
アンジェラ・ヒューイット
 カナダ出身のピアニスト、アンジェラ・ヒューイットは、長年J.S.バッハの作品を演奏し、世界中で高い評価を得てきた。
 バッハを主軸に幅広いレパートリーを誇り、ドイツ・オーストリアからフランス、スペインまでさまざまな作品を演奏し、各地からひっぱりだこの人気である。
 そんな彼女が、スカルラッティのソナタ集Vol.2をリリース(東京エムプラス)。今日は、その新譜の話を聞きに、ファツィオリのショールームに出かけた。
 ヒューイットは、ロンドンとオタワ、そしてイタリアのウンブリア州にも居を構えている。オタワは出身地であり、ロンドンは活動の拠点。そしてウンブリア州では、「トラジメーノ音楽祭」の芸術監督を務めている。
 今日は、スカルラッティの話のなかで、イタリアに住むことでスカルラッティの気質に近づけるという話題になり、しばしイタリア談義となった。
 もう音楽祭は13回を迎えるそうで、徐々に規模が大きくなっているという。そして、私がぜひ聴きにいきたいといったところ、来年ヴェネツィアで開催するという新たな音楽祭の話が出た。
 ヒューイットのスケジュールはハンパではない。世界各地で演奏し、マスタークラスで指導し、音楽祭を主宰し、録音もひっきりなしに行っている。
「どうやって体調を維持しているんですか」と聞くと、「そうねえ、本当に忙しいけど、好きな音楽に身を投じているから、過密なスケジュールがこなせるのかも。でも、時差だけは弱いのよ」といっていた。
 インタビューは、スカルラッティからライフワークのバッハに移り、各作品の解釈や表現、版の話まで発展。さらにファツィオリのピアノの魅力を熱く語った。このインタビューは「レコード芸術」に書くことになっている。
 ヒューイットは、9月13日と14日、紀尾井ホールでバッハの「パルティータ」を2夜に渡って演奏する。
 これは2016年秋にプロジェクトを発表し、向こう4年間に渡り、バッハのソロ鍵盤音楽のすべてをロンドン、ニューヨーク、オタワ、東京、フィレンツェの各都市で、各々12回公演で完奏するという「バッハ・オデッセイ:バッハ遍歴の旅」の東京におけるリサイタル。
 バッハは長年さまさまな作品を弾いているが、「けっして同じ演奏はしない」と明言していた。「パルティータ」が楽しみである。
 今日の写真は、インタビュー後のワンショット。とてもお洒落で、物腰もエレガント。しかし、ピアノにかけるエネルギーは強靭なものを備えている。
「ヴェネツィアの音楽祭の予定が決まったら、メールするわね」といい、「よかったら、聴きにきて〜」と笑顔を見せながら、インタビュー会場をあとにした。
 そりゃあ、いきたいのはやまやま。でもねえ、無理ってもんでしょ(笑)。


 
 
 
 

 
| アーティスト・クローズアップ | 23:50 | - | -
ジム通いもままならず
 1週間に1度はからだを動かし、ふだんパソコンに向かって原稿書きばかりしているからだのバリバリをほぐそうとしているのだが、今週はそれもままならない。
 今日もジムにキャンセルの電話をして、トレーナーに残念がられた。
 そして、やはりというべきか、この時間になると、もう首も肩も背中も腰も足もコリコリである。
 まずいよなあ。
 でも、なんとか、今日の締め切りは無事に送ることができた。
 やれやれ、こんな状態はよくないよなあと思いつつ、ノートで明日の締め切りを確認する。
 今週はインタビューも続き、コンサートもあり、原稿書きの時間の確保がとても難しい。
 こういうときは深く考えず、なるようになるさと考え、京都の町歩きの本などをながめる。すると、一気に頭のなかは古都に飛んでいき、リラックス、リラックス…。
 さて、明日のインタビューの予習をしなければ。
 こういう1週間は、あっというまに過ぎていく。週末には京都に出かける予定。それまでに全部の入稿を終わらせなければならない。
 なんだか、ニンジンを目の前にぶら下げられた馬のような気分になってきたゾ(笑)。
 
| ああ愉しき(?)、締切り地獄 | 23:20 | - | -
セルゲイ・カスプロフ
 ロシア・ピアニズムの真の継承者だが、伝統に自由さを加えたユニークな奏法を得意とするセルゲイ・カスプロフ。
 彼の演奏は旧ソ連の響きを備えているといわれ、2008年のリヒテル国際ピアノコンクールでは、審査委員長を務めたヴァレリー・アファナシエフに絶賛され、モスクワ市政府賞を受賞した。このほかにも、数々のコンクールで入賞に輝いている。
 初来日は2015年。ピアノ好きをうならせる個性的で深い思考に根差した演奏を披露し、一気にファン層を広げた。
 今日は3度目の来日を果たし、東京文化会館小ホールでリサイタルが行われた。
 カスプロフは常に作品と作品の間に関連性を持たせたプログラムを組んでいるが、今回は「3つのソナタと変奏曲」と題し、前半にハイドンの「アンダンテと変奏曲 ヘ短調」とベートーヴェンのピアノ・ソナタ第23番「熱情」を組み、後半はベルクのピアノ・ソナタ作品1とリストのピアノ・ソナタ ロ短調が演奏された。
 いずれも楽器を存分に鳴らし、豊かな歌を奏でる強音と頬をなでる微風のような弱音が交錯するもので、ダイナミズムの広さが印象的。確かにピアノを弾いているのだが、その演奏からは多彩な楽器の響きが聴こえ、あるときはシンフォニーのようでもあり、ときにオペラのようでもある。
 極度の集中力に支配され、ステージに登場する様子も演奏中も、余分なパフォーマンスはいっさいなし。ただひたら音楽に身を捧げる修行僧のようでもある。
 変奏曲とソナタ3曲を聴き、こちらも集中力を要求されたためか、アンコールでは一気に開放された。曲は、ショパンの「スケルツォ 第1番」、スカルラッティのソナタ ホ長調、ヴィラ=ロボスの「赤ちゃんの一族 第1組曲」より「道化師」。
 カスプロフはスカルラッティを好んで演奏しているが、今日の演奏もピアノの響きを存分に生かした、生き生きとしたスカルラッティだった。
 この後、銀座のヤマハのスタジオに場所を移してインタビューを行った。
 彼は、モスクワ音楽院でアレクセイ・リュビモフに師事し、現在は恩師の助手を務めている。それゆえ、ロシア・ピアニズムの源流について、その伝統の継承について、さらに子ども時代のピアノとのかかわり、プログラムの考察など、さまざまな角度から話をしてもらった。
 演奏は非常に尖鋭的で旧ソ連の空気を伝えるものだが、素顔はとてもおだやかで真摯で話好き。とても時間内では語りきれないというように、雄弁に話してくれた。
「じゃ、その続きは、また今度の来日時に話してくださいね」
 こういうと、「2019年にまたきますよ」とのこと。
 このインタビューは、ヤマハのWEB「ピアニスト・ラウンジ」に書く予定である。
 今日の写真は、ピアノに向かうカスプロフ。私が今回のプログラムの関連性について聞くと、すぐにピアノのところにいって、「ほら、この曲のここと、この曲のここは似ているでしょう」と、実践で聴かせてくれた。




 リサイタルでは、とてつもなく長い指の持ち主だと思ったが、彼は足も細くて長い。その長身を折り曲げるようにして、ピアノと対峙する。



 もう1枚は、「ブログ用に写真をください」といって撮影した1枚。カメラマンのMさんが、照明を工夫してくれたため、本人も「おおっ」と喜びの声を上げたほど、いい表情に撮れた。



 カスプロフは録音にも積極的で、古楽器も演奏するためレパートリーは膨大。それらを次々にレコーディングしている。
| アーティスト・クローズアップ | 22:27 | - | -
シーズン到来
 9月に入り、いよいよクラシック・シーズンが始まった。
 今年も来日ラッシュで、明日からはピアニストのリサイタルとインタビューが続き、9月17日には大阪のいずみホールにルドルフ・ブッフビンダーの演奏を聴きにいくことになっている。
 これはいずみホールとウィーン楽友協会提携企画のコンサートで、第1日(17日)はピアノ・リサイタル、第2日(20日)はピアノ・トリオ、第3日(23日)はコンチェルトが予定されている。
 ブッフビンダーのあらゆる面が楽しめる企画で、このプログラムの原稿を担当したため、今回は初めていずみホールに出かけることになったのである。
 この日は、バイエルン国立歌劇場の来日記者会見が行われるのだが、残念ながら出席することができない。キリル・ペトレンコ、クラウス・フロリアン・フォークト、マティアス・ゲルネら主要メンバーがみんな参加するのに、返す返すも残念である。
 もうひとつ残念なのは、記者会見前の15時から、ペトレンコ指揮バイエルン国立歌劇場管弦楽団の特別演奏会が東京文化会館で行われ、ラフマニノフの「パガニーニの主題による狂詩曲」(ピアノはイゴール・レヴィット)、マーラーの交響曲第5番が演奏される。これも聴くことができない。
 まあ、大阪にいるのだから仕方ないけど、いいコンサートって重なるときは重なるものなのよね。
 それにしても、ペトレンコはコンサートを終えてからすぐに記者会見に臨むわけで、非常に多忙な一日となる。彼はこれまであまりインタビューや取材に応じることなく、その素顔は謎というか、ちょっとミステリアス。
 こういう人ほど、インタビューをしてみたいとウズウズするが、今回はちょっと無理そうだ。
「タンホイザー」を聴くことで満足しなければね。
 私のまわりは「魔笛」と両方を聴く人が多く、バイエルン国立歌劇場の来日は、今秋一番のビッグなニュースである。
 私は「タンホイザー」の初日の21日に、NHKホールに行く予定。いまからわくわくしている。9月は密度濃いひと月になりそうだ。
 
  
| クラシックを愛す | 22:26 | - | -
シューベルトの生家
 いま、シューベルトの録音のライナーノーツを書いている。こうした原稿を書くうちに、私の脳裏には、シューベルトの家が浮かんできた。 
 昨秋、ウィーンに出張した際、シューベルトの生家を訪ねたときのことがまざまざと蘇ってきたのである。
 ウィーン第9区ヌスドルファー通り54番地に現存する家は、1797年にシューベルトが生まれたところ。1801年秋までの4年半を過ごしたと伝えられている。
 ここは現在シューベルト博物館となっており、見学することが可能である。シューベルトが使用した日常品や楽譜、楽器、肖像画、胸像などの遺品が展示されていて、とても興味深い。
 シューベルトは幅広いジャンルの創作を手がけたが、特に「歌曲の王」と呼ばれるように、この分野で豊かな表現力に富む作品を数多く残した。31歳の短い生涯の間に書かれたドイツ・リート(歌曲)は、630曲にもおよぶ。
 シューベルトは詩を大切にした人で、リートに用いた作詞者は100名をくだらない。もっとも多いのはドイツの文豪ヨハン・ウォルフガング・ゲーテ。シューベルトは作曲したものをゲーテに送ったが、これに対して文豪は冷ややかな反応しか示さなかった。作品には「糸を紡ぐグレートヒェン」「ミニョンに」「さすらい人の夜の歌」「野ばら」「魔王」「はるかなる恋人に」などがある。
 シューベルトは詩を読みながら、それをどんな音楽に結びつけるかを考えているときが一番幸せだった。どんなに貧しくても、体調が思わしくなくても、ウィーンの音楽界が真の実力を認めてくれなくても、ピアノに向かって作曲していれば、何もかも忘れることができたという。
 そんなシューベルトの真摯でおだやかで自然体の性格が、この生家で育まれたのだろう。
 家は、当時の馬車が入れるようにと高い門があり、それをくぐると広い中庭が見えてくる。その庭は当時の様子をいまに伝えるように、豊かな緑に覆われ、ひっそりと静かだ。
 家の内部も、シンプルで素朴な雰囲気。こうした作曲家ゆかりの場に足を踏み入れると、そこには遠い存在ではなく、実際に生きて活動していた作曲家の息吹をリアルに感じることができる。
 今日の写真は、シューベルトの使用していたメガネ、胸像、弾いていたギター、生家の外観。







| 麗しき旅の記憶 | 22:21 | - | -
たべごと屋のらぼう
 昔から祖父が住んでいた西荻窪に引っ越して、今日でちょうど4年目を迎えた。長年、目黒方面に住んでいたが、自分のルーツに戻った感じがする。
 西荻には、おいしいお店がたくさんある。私が西荻に移ってから、仕事仲間や友人たちがこぞってこの町に食事にきてくれる。
 西荻は、こだわりのオーナーが開いている小さなお店が多く、レストランもカフェもパン屋さんなども、それぞれ個性的だ。
 今日は、予約がとりにくいと評判のごはん処「たべごと屋のらぼう」に食事にいった。
 ここのオーナーシェフ明峯牧夫さんは、2002年春、季節や畑の野菜を素直に受け止めることをモットーとし、その精神を生かしたお料理を供するお店を始めた。彼は三鷹周辺の契約農家の野菜を毎日吟味しながら仕入れ、自然でおだやかで優しい味わいのお料理を作っている。
 ご本人もお料理と同様、とても自然体で感じのいい人である。彼は本も出していて、いまや大人気のお店となっている。
 のらぼうのお料理は、どれも厳選した素材を用い、ひと手間かけられ、ていねいに作られたものばかり。食べるほどにからだが喜び、その滋味豊かな味にほっとした気分になる。
 私の仕事仲間や友人は、日々ストレスを抱え、長時間働いている人ばかり。食事もなかなかゆっくりとれない人が多い。
 みなさん、次回の食事会は、ぜひ西荻でやりましょうね。のらぼうに行きましょ。心身ともに元気になりますよ。
 今日の写真は、たくさんあるレシピから代表的なもの。
「真鰺と茗荷の梅肉がけ」「おじゃがと若布のかき揚げ」「地野菜とお豆腐のサラダ」「鯖の土鍋ごはん」。このほかにも、「トマトと青じそ入り出し巻き卵」「具だくさんの豚汁」「茄子と寄せ豆腐の揚げ出し」など、お薦めメニューは山ほどある。一度食べたら、絶対ハマりますよ。 







| 西荻はおいしい | 22:51 | - | -
京下鴨 宝泉
 京都には美味なる甘味処がたくさんある。
 京都駅でちょっとひと休みしたいときには、エキナカの「京下鴨 宝泉」が便利だ。
 もちろんいつも行列で、すぐに入ることは難しいが、タイミングがよければすんなりと席に案内してもらえる。
 夏は、やっぱりかき氷である。京都の夏は、ものすごく暑い。
 ちょっと散策しているだけで、からだからどんどん水分が奪われていく。こういうときに、抹茶とあずきの入ったかき氷は、救世主のようだ。
 京都は水がおいしいから、当然のことながら氷もおいしい。
「宝泉」のかき氷は、きめこまやかでやさしい味わい。とんがった冷たさがまったくなく、濃い抹茶とシャクシャクした氷がからだを潤してくれる。
 祇園の方にいくと、かき氷の旗を出したお店がいくつも見つかるが、いずこも長蛇の列。暑い外で並ぶ勇気のない人は、ぜひエキナカをご利用あれ。
 今日の写真は、これぞ京都のかき氷という抹茶満載の逸品。八つ橋のようなお菓子が添えられているため、冷たさがガビーンときたら、これをほおばる。
 京都の夏の風物詩である。

| ゆったりまったり京都ぐらし | 22:47 | - | -
ヤツェク・カスプシック
 5年に一度、ワルシャワで開催されているショパン国際ピアノ・コンクールの本選の演奏を務めているのは、長い歴史と伝統を誇るワルシャワ国立フィルハーモニー管弦楽団。同オーケストラは、ショパン・コンクール創設当初から、本選でファイナリストたちの伴奏を担当してきた。
 2013年9月1日、ワルシャワ・フィルの音楽芸術監督に就任したのは、ポーランドの指揮者でカラヤン指揮者コンクール入賞のヤツェク・カスプシック。前回の2015年のショパン・コンクールでは、本選の指揮を任された。
 今日は、読売日本交響楽団の指揮で来日しているマエストロ・カスプシックにインタビューを行った。これは音楽事務所ジャパン・アーツのマスター・インタビューで、カスプシックとワルシャワ・フィルは、2018年1月6日から15日までニューイヤー・コンサートを全国7都市で行う。それに先がけて話を聞くというものである。
 プログラムは、まずパデレフスキの「序曲 変ホ長調」で幕開け。次いでショパンのピアノ協奏曲第1番が組まれ、後半はドヴォルザークの交響曲第9番「新世界より」が演奏される。
 ソリストには、ニコライ・ホジャイノフ、シャルル・リシャール・アムラン、牛田智大、千住真理子(メンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲)が予定されている。
 カスプシックには、まずこれまでのキャリア、活動内容を聞き、現在のワルシャワ・フィルの音楽性や伝統、特質などを話してもらった。
 続いて今回の来日公演のプログラムの選曲について聞き、さらにショパン・コンクールの本選での演奏について、ショパンの作品に関するポーランド人としての考え、2020年のショパン・コンクールの在り方などにも触れた。
 カスプシックはとても実直な人柄で、質問に対してひとつひとつじっくりことばを選びながら真摯に答えてくれる。
 とりわけ、ワルシャワ・フィルの伝統を受け継いでいく方法や、オーケストラの特質に対する答えが興味深く、新たな発見がいくつもあった。
 ポーランド人としての、ショパンの音楽に対する熱い思いも語ってくれた。
 東京公演は2018年1月15日、サントリーホール。ソリストはホジャイノフである。
 その前に、いろんな形で今日のインタビュー記事を展開したいと思う。
 今日の写真は、インタビュー後におだやかな表情を見せるマエストロ・カスプシック。来春の演奏が楽しみである。


 
 
 
 
 
| 情報・特急便 | 21:39 | - | -
インタビューの下調べ
 インタビューの仕事が入ると、その下調べに結構時間を要する。
 レコード会社や音楽事務所から送られてきた資料をじっくり読み、録音を聴き、以前インタビューしたことがある場合はそのアーティストの資料に目を通す。
 初めて話を聞くアーティストの場合は、より丹念に予習をしなくてはならない。
 先日、ロシアのある若手アーティストにインタビューした際、ずっとかたわらに付き添っていたお母さんから、「ウチの息子のことをとても詳しく調べてあって、インタビューの内容が充実していたわ。どうもありがとう」とお礼をいわれた。
 私はインタビューに臨むときは、ほとんどメモを見ない。テレコを置いて、あとは頭のなかにたたき込んできたことを頼りに、与えられた時間のすべてを、相手の目を見ながら対話するようにしている。
 それは、日本人だろうが、外国人だろうが、あまり関係ない。通訳さんを介して行う場合も、基本精神は同じである。
 インタビューの間中、ずっと相手の顔を見ながら対話していると、ほとんどの人がこちらの顔も覚えてくれ、次に会ったときには、より突っ込んだ話ができる。
 インタビューというのは、どんなジャンルでも、難しいものである。あまりいい話を聞くことができず、納得する結果が得られずに失敗することも多い。
 そういうときは、何が悪かったのだろうと、ずっと考え込んでしまう。
 そうならないためにも、準備が大切である。
 さて、もう9月。クラシックのシーズンがスタートした。今年も来日ラッシュだ。来週早々、インタビューがある。しっかり用意しなくっちゃ。
| 日々つづれ織り | 23:03 | - | -
エルンスト・オッテンザマー
 ウィーン・フィルの首席クラリネット奏者である、エルンスト・オッテンザマーが7月22日、心臓発作のために急逝した。享年61。
 オッテンザマーは、1979年にウィーン国立歌劇場管弦楽団に入団、その後、1983年からウィーン・フィルの首席奏者を務めていた。
 ふたりの息子もクラリネット奏者で、長男のダニエルは同じくウィーン・フィルの首席奏者、次男のアンドレアスはベルリン・フィルの首席奏者である。
 ダニエルにもアンドレアスにもインタビューをしたことがあるが、ふたりとも父親にクラリネットの勉強を強制されたことは一度もなく、ごく自然に楽器に親しんだという。
 それにしても、ふたりとも名門オーケストラの首席奏者になるなんて、本当にエルンストは偉大な父親である。彼らは3人で「ザ・クラリノッツ」というユニットを組んで活躍、来日公演でも息の合ったアンサンブルを聴かせた。
 実は、私が独立してまもなくのころ、「Hanako」の記念行事の一環で、クラシックのアーティストを呼んで読者招待の祝賀パーティを行うことがあった。その企画をすべて担当した私は、ウィーン・フィルの管楽器のメンバー何人かに来日してもらい、演奏してもらったのである。
 そのなかに、エルンスト・オッテンザマーもいた。彼はいかにも名門オーケストラの首席奏者らしく存在感があり、演奏もすばらしかった。
 ウィーン・フィルが発表したニュースを聞いたときは、突然の訃報に信じられない思いだった。
 謹んでご冥福をお祈りいたします。
 
 
 


 
| 情報・特急便 | 22:10 | - | -
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